ペリリュー・沖縄戦記(ユージン・B・スレッジ 講談社学術文庫)
太平洋戦争中のアメリカ海兵隊に志願して、ペリリュー島と沖縄の最前線で迫撃砲兵として従軍した著者の体験記。
軍隊としての全体の動きは省略されていて、個人的な経験に基づいた最前線の兵士の目線での描写が中心となっている。
ペリリュー島は、日本軍がバンザイ突撃に象徴される軍事的に意味がない全滅戦術を改めて、戦闘期間の長期化(持久戦化)を目的とした篭城戦術に切替した初めての戦場で、上陸して数日でカタがつくと思っていた米軍が予想もしない消耗を強いられた戦いだった。
どこまでの正確性があるかはともかく、非常に具体的かつ詳細に最前線の戦況が語られており、戦場の厳しさ、残酷さがビビットに伝わってくる。
前線での残虐行為も避けることなく、ある意味淡々と描かれている(米兵が瀕死の日本兵をナイフで切り刻みながら所持品を略奪するシーンとか、日本兵が米兵の死体からクビをとってその口に切り取った性器をくわえさていたとか)。
24時間鼓膜が破れそうなほど鳴り響く砲声、夜襲を恐れて夜も眠ることができず、ブーツは数週間脱ぐこともかなわず「塹壕足」になって皮がずるむけになり、不用意に立ち上がれば容赦なく狙撃兵の銃弾が飛んでくる、戦闘はいつ終わるかも知れない・・・サブタイトルに複数回にわたって「地獄」という言葉が使われているが、「本当に地獄があるとすれば、こういう所がそれにあたるのではないか」と思われるものがあった。
ただ、そうした環境下にあって、本書には「腹が減った」とか「弾薬が尽きた」という類の描写は皆無といっていいほどない。地獄にあっても補給に窮することはなく、時間さえ経過すれば勝利が待っていることは予想できた米軍には、日本軍の絶望としかいいようがない状況とは一線を画すものがあったことも確かだと思う。
***************
昨日朝、いつものように最寄駅に行ったら、ついさきほど隣のターミナル駅で人身事故があり運転を見合わせるとのアナウンス。しかたなく近くの別の路線の駅へ歩いて行った。
何も通勤時間帯に自殺しなくてもいいのになあと思うが、真昼間の時刻表に余裕がある時間帯より、朝夕の通勤時間帯に多いような気がする。
やっぱり会社に行こうとしたものの、そこには絶望しか待っていないと思い込んで発作的に飛び込んでしまうものなのだろうか。
上記のような、地獄としか表現しようがない、戦場にあっても正気を保ち続けることができる人もいる。その差はどこから生まれるのだろう。生まれつきなのか?幼いころから小さなストレスを乗り越える訓練をしてきた者との差なのか?(2011.3.9)
太平洋戦争中のアメリカ海兵隊に志願して、ペリリュー島と沖縄の最前線で迫撃砲兵として従軍した著者の体験記。
軍隊としての全体の動きは省略されていて、個人的な経験に基づいた最前線の兵士の目線での描写が中心となっている。
ペリリュー島は、日本軍がバンザイ突撃に象徴される軍事的に意味がない全滅戦術を改めて、戦闘期間の長期化(持久戦化)を目的とした篭城戦術に切替した初めての戦場で、上陸して数日でカタがつくと思っていた米軍が予想もしない消耗を強いられた戦いだった。
どこまでの正確性があるかはともかく、非常に具体的かつ詳細に最前線の戦況が語られており、戦場の厳しさ、残酷さがビビットに伝わってくる。
前線での残虐行為も避けることなく、ある意味淡々と描かれている(米兵が瀕死の日本兵をナイフで切り刻みながら所持品を略奪するシーンとか、日本兵が米兵の死体からクビをとってその口に切り取った性器をくわえさていたとか)。
24時間鼓膜が破れそうなほど鳴り響く砲声、夜襲を恐れて夜も眠ることができず、ブーツは数週間脱ぐこともかなわず「塹壕足」になって皮がずるむけになり、不用意に立ち上がれば容赦なく狙撃兵の銃弾が飛んでくる、戦闘はいつ終わるかも知れない・・・サブタイトルに複数回にわたって「地獄」という言葉が使われているが、「本当に地獄があるとすれば、こういう所がそれにあたるのではないか」と思われるものがあった。
ただ、そうした環境下にあって、本書には「腹が減った」とか「弾薬が尽きた」という類の描写は皆無といっていいほどない。地獄にあっても補給に窮することはなく、時間さえ経過すれば勝利が待っていることは予想できた米軍には、日本軍の絶望としかいいようがない状況とは一線を画すものがあったことも確かだと思う。
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昨日朝、いつものように最寄駅に行ったら、ついさきほど隣のターミナル駅で人身事故があり運転を見合わせるとのアナウンス。しかたなく近くの別の路線の駅へ歩いて行った。
何も通勤時間帯に自殺しなくてもいいのになあと思うが、真昼間の時刻表に余裕がある時間帯より、朝夕の通勤時間帯に多いような気がする。
やっぱり会社に行こうとしたものの、そこには絶望しか待っていないと思い込んで発作的に飛び込んでしまうものなのだろうか。
上記のような、地獄としか表現しようがない、戦場にあっても正気を保ち続けることができる人もいる。その差はどこから生まれるのだろう。生まれつきなのか?幼いころから小さなストレスを乗り越える訓練をしてきた者との差なのか?(2011.3.9)
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