蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

最後の一球

2011年03月06日 | 本の感想
最後の一球(島田荘司 文春文庫)

貧しい家庭で育った主人公は、得意の野球で身を立てようとするが、社会人、プロへと進むにつれ、おのれの能力の限界に直面せざるを得なくなる。
主人公のライバルとしてキャリアの中で立ちはだかっていた天才打者も同じチームにはいる。主人公はやがてこの天才打者を(あまりの天才ぶりに)あこがれの対象として見るようになり、戦力外となったあとは天才打者専用のバッティングピッチャーをつとめる。
やがて、大きなスキャンダルに巻き込まれた天才打者を、主人公はなんとか救おうとするが・・・という話。

いちおうミステリなのですが、トリックは、はっきりいってトンデモ系。
なのでミステリとして見ると出来は???なのですが、野球小説としては(相当ベタではあるものの)とても面白かったのです。


私が読んだ本の中で、最も怖かったのが島田さんの「アトポス」の冒頭の青髭伝説の部分です。
実は、これも本筋とはほとんど関係なくて、この部分がなくても後のストーリーは成立するので、この部分(200ページくらいある!)だけ別の作品として出版すればよかったのに・・・と思うほどでした。

島田さんは本格ミステリの伝道者のような位置付けがされているのですが、どうもご自身の作品の多くが、ミステリはほんの味付けくらいで、言いたいこと、やりたいことは、実は別にある、みたいな構造になっているような気がします。

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最近よくあるらしい、ピザ食べ放題のパスタ系のファミレスに行った。
調子に乗ってピザをコーラで流し込んでいたら、案外たくさん食べられなかった。油がもたれる感じで、この手のものが大好きな子供たちもせいぜい一人5切れくらい。
土曜日の夕食どきとあって満席で長い待ち行列ができていたのに、意外と回転がよくてすぐ座れたところを見ると皆同じ感じなのだろう。けっこういい商売なのかも。(2011.3.5(土))

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