市川の源流

2017年12月08日 | 但馬の滝・渓谷
            冬の十五夜の月  


(但馬ふるさとづくり協会転載許可済)
平成29年 第12回但馬検定(3級)問題より

【60】瀬戸内海に注ぐ市川の源流にあたり、紅葉の名所としても知られる朝来市
の渓谷は次のうちどれでしょうか。

(a) 黒川渓谷     (b) 小代渓谷     (c) 糸井渓谷     (d) 奥山渓谷


 南但馬の奥深くから流れ出た水は、朝来市生野町から神河町を抜け、播但線

沿いをずっとずっと南下して、姫路市から瀬戸内海に流れていきます。その川

の名が「市川」なのです。

市川の源流は、生野町黒川なのです。答えは(a)の黒川渓谷なのです。


 それでは、他の渓谷はどの川の源流でしょうか。香美町の小代渓谷は、香住

漁港から日本海に流れる「矢田川(やたがわ)」の源流です。

朝来市の糸井渓谷は、糸井川の源流で円山につながって、豊岡市津居山から日

本海に流れています。

豊岡市出石町の奥山渓谷は、奥山川の源流で出石川、円山川とつながって日本

海に流れています。


『ワラの中敷き、背中の綿入れ』

 ケンちゃんミオちゃん。保育園の行き帰り、とっても寒くなったね。但馬の

冬はとっても寒いね。ケンちゃんもミオちゃんも、フワフワのジャンパー着て、

しっかりした可愛い靴履いて、どちらも温ったかそうだね。いいねいいね、優

しい母ちゃんで嬉しいね。

じいちゃんの子供のころは、今よりもう少し寒かったように思うね。雪もたく

さん降って、積もった雪の上を歩いて学校に通ったんよ。履いている靴は「短

ぐつ」って言って、ゴム製の薄っぺらな靴だったの。靴の中がとっても冷たく

雪の上を歩くと足がビンビン冷えるんよ。


 母ちゃんがね、靴の中が冷たかろうと中敷きに「ワラ(稲わら)」を折り曲

げて入れてくれるの。それが防寒の靴だったんよ。一日で中敷きの「ワラ」は

ペシャンコになって、次の日はまた新しくしてもらうの。

それからフワフワのジャンパーなんて、その頃はない時代だったの。服の下に、

背中のところに綿を広げて入れてくれるの。優しい母ちゃんは、北風の中を学

校へ行くのが寒かろうと、大切な絹の真綿を薄くのばして服の下、背中のとこ

ろに入れて縫い付けてくれたんよ。

温かい「ワラの中敷き」の靴履いて、暖かい「綿入れ服」を着て、雪降

る中を小学校に通ったんよ。

阿瀬渓谷の滝

2017年12月07日 | 但馬の滝・渓谷
     余部の鉄橋エレベーター「余部クリスタルタワー」  

(但馬ふるさとづくり協会転載許可済)
平成29年 第12回但馬検定(3級)問題より

【59】豊岡市日高町の阿瀬渓谷には、約3km にわたり大小さまざまな滝があり
ますが、通称いくつあると言われているでしょうか。

(a) 28      (b) 38      (c) 48      (d) 58


  阿瀬渓谷には「阿瀬48滝」と言われるほど多くの滝や淵があります。そうで

す、阿瀬渓谷にある大小の滝の数は、48なのです。答えは(c)48となりま

すね。

 ちなみに主な滝の名前をひろってみます。

いもじが滝、源太夫の滝(落差30m)、出合滝(落差9m)、鉄砲滝(落差

12m)、恐れ滝、蛇壺(落差5m)、カエデの滝、もみが滝、月照滝(落差

6m)、龍王滝(落差30m)、不動滝(落差15m)、二段の滝(落差5m)、

紅葉滝(落差5m)その他小さな滝から淵まで合わせると48か所ありますね。


『大岡山に三べん降ったら』

 ケンちゃんね、今朝はすご~く寒かったよ。じいちゃんが朝早く土居の水門見

に行くだろ。今朝は積もった雪で車も真っ白だったよ。

堤防の上から見える、まん丸い大岡山も白くなってたよ。妙見や蘇武は少し前に

白くなってたけれど、大岡山は今朝が初めてだったね。寒い寒い但馬の冬が、い

よいよやってくるね。


 じいちゃんの子供の頃からこんなこと言ってたんよ。「大岡山に三べん降った

ら、里にも雪が積もるようになるんだよ」と言われていたの。浦西(うらにし)

が吹く秋の時雨を過ぎて、今度は雪おこしの北風が吹く季節になったね。昔は電

柱が木だったの。雪おこしの風がヒュ~ンヒュ~ンと電線を鳴らし、ブ~~ンブ

~~ンと電柱を震わせる寒い寒い冬になるね。あと二回大岡山が白くなるころ国

府の里にも雪が積もるだろね。

但馬の名高き滝

2017年12月06日 | 但馬の滝・渓谷
        道の駅「山陰海岸ジオパーク 浜坂の郷」 

(但馬ふるさとづくり協会転載許可済)
平成29年 第12回但馬検定(3級)問題より

【58】裏から滝の流れを見ることができる、別名「裏見の滝」と呼ばれている珍
しい滝で、兵庫県指定名勝となっているのは、次のうちどれでしょうか。

(a) シワガラの滝     (b) 吉滝     (c) 布滝     (d) 白糸の滝


 香美町小代(おじろ)区鍛冶屋の矢田川源流久須部渓谷にある吉滝(よした

き)は、落差約35mのニ段滝です。滝の裏側から流れを見ることができるとい

う珍しい滝なのです。別名「裏見(うらみ)の滝」は吉滝なのです。

答えは(b)の吉滝です。
 

 ちなみに、シワガラの滝は新温泉町上山高原の奥深くにあり、落差約10mと

小さな滝ですが、緑の洞窟に落ちる滝壺がとても神秘的で、人気スポットにな

っています。

布滝(ぬのたき)は、養父市関宮町の八木川源流にあり、天滝に次ぐ落差約65

mの白い布を垂らしたような名瀑です。

白糸の滝は、豊岡市出石町袴狭の集落から少し上がったハイキングコースにあ

る、上下ニ段30mほどの滝です。

ふるさと但馬の山々には、もうとても多くの美しい滝がありますね。


『裏の便所』

 さっき、ミオちゃんが母ちゃんに連れられて、トイレに行きました。「キャア

~大変~ん」と、かあちゃんの叫び声です。夕飯を食べてたミオちゃんの父ちゃ

んは「どうした~ん。今の叫び声はミオちゃんがどうかしたんかな」と、ケンち

ゃんに話しかけます。じいちゃんは『おいおい、ミオちゃんがトイレにハマった

んちゃあうか』と冗談を言います。


 駆けつけた父ちゃんはビックリです。本当にミオちゃんが、便器の水の中に足

を突っ込んでしまっていたのです。母ちゃんがズボンを下げて脇を持ち上げ、便

器に座らせようとしてミオちゃんは真っすぐ、足を水に浸けてしまったというの

です。本当にトイレにハマってしまったのです。


 ケンちゃんは冗談にこんな歌を唄って冷やかします。「ドングリコロコロ、ド

ンブリコ。トイレにハマってさあたいへん。どじょうがでてきてこんにちは。か

あちゃんいっしょに、わらいましょ」と唄います。


 ケンちゃん、ミオちゃん。昔のじいちゃんちのトイレは、母屋から裏には離れ

てポツンと建ってたの。小さなワラ屋根の便所だったの。もちろん水洗トイレな

んかじゃなかったんよ。床に巾15センチくらいの細長い穴があるの。そこに跨

いでトイレしたんよ。汲み取り式の便所なんよ。


 子供にとっては、暗い離れの便所に夜に行くの怖かったね。もしかしてハマる

かもしれないような便所の細長い穴、そこにまたがってトイレをしたんよ。大人

になるまで、ずっとずっとそんな便所で済ませたんよ。もちろん、ハマったこと

はなかったけれどね。

但馬の滝

2017年12月05日 | 但馬の滝・渓谷
      道の駅「山陰海岸ジオパーク 浜坂の郷」  


(但馬ふるさとづくり協会転載許可済)
平成29年 第12回但馬検定(3級)問題より

【57】但馬には多くの滝がありますが、名称と所在地が全て一致しているものは、
どれでしょうか。

(a) 八反の滝(新温泉町)・霧ヶ滝(香 美 町)・猿尾滝(養 父 市)・天滝(豊 岡 市)

(b) 八反の滝(香 美 町)・霧ヶ滝(養 父 市)・猿尾滝(豊 岡 市)・天滝(新温泉町)

(c) 八反の滝(養 父 市)・霧ヶ滝(豊 岡 市)・猿尾滝(新温泉町)・天滝(香 美 町)

(d) 八反の滝(豊 岡 市)・霧ヶ滝(新温泉町)・猿尾滝(香 美 町)・天滝(養 父 市)


 八反の滝(はったんのたき)は、豊岡市日高町名色にあります。神鍋高原の別

荘地帯を流れる稲葉川本流にあり、落差は約24m(八反)あります。

霧ヶ滝(きりがたき)は、新温泉町岸田にあります。上山高原の奥深くにあり、

落差約65mから落ち水しぶきは周囲を霧で覆います。

猿尾滝(さるおだき)は、香美町村岡区日影にあります。落差約39mの上段の滝と

、落差約21mの下段の滝の上下2段の滝は、日本の滝100選に選ばれている名瀑で

す。

天滝(てんたき)は、養父市大屋町筏にあります。落差約98mの大名瀑「天滝」は

まるで天から降るがごとく流れ落ちる荘厳な滝です。日本の滝100選はもちろん、

周りは森林の森100選にも選ばれた深い森の中に存在します。


 それぞれの町と一致しているのは、八反の滝(豊 岡 市)・霧ヶ滝(新温泉町)

・猿尾滝(香 美 町)・天滝(養 父 市)となります。

答えは(d)ですね。


『ヤナギへぎ』

 ケンちゃんね、ケンちゃんの住む豊岡ってところは、カバンがとっても有名だね。

全国有数のカバン産地なの。カバン作りのもとになったのが、但馬柳行李(やなぎ

こうり)を代表とする杞柳(きりゅう)製品の数々なんよ。

ヤナギって、もう奈良時代の昔から栽培していて製品にしてたそうだよ。江戸時代

に豊岡のお殿様が、柳の栽培から柳製品の加工まで大奨励して、豊岡の地が全国一

の柳製品の産地になったの。それを引き継いで昭和になってから、カバン産業に発

展したんよ。


 おっと、今日は「ヤナギへぎ」の話だったね。国府の村々の家には、たいてい2

台や3台の「ヤナギへぎ」の道具はあったの。柳行李の原料は、当時但馬にとても

多く栽培されていた「コリヤナギ」なんよ。畑に植わった株に、何本も何本もまっ

すぐ伸びた「ヤナギの枝」を秋に刈り取るの。刈り取ったコリヤナギの一本一本を

田に仮挿して冬を越すの。


 但馬の冬は雪の中、春になると芽が出てきて5月のころになると国府の田んぼ道

にずらっと座って「ヤナギへぎ」の奉仕活動が府中中学校では一斉にあったんよ。

大人も子供も地べたに並んで、柳の皮を剥く作業をしたものです。二股の金串にヤ

ナギを挟んで強く引き抜く作業が「ヤナギへぎ」なんよ。何十本も何百本も力を込

めて引き抜く作業は、軍手をした手も痛くて広がらないくらいになったんよ。

手も腰も痛いし、そこらじゅうヤナギの渋で汚れ放題、大変な重労働でした。それ

でも学校作業で「一貫メ、二貫メ」と出来高を競って、先生に褒めてもらったの。


 家でも、田んぼにさして春を迎えた芽の出た柳を「ヤナギへぎ」したの。真っ白

な柳を洗って干して、柳行李の材料に仕上げたの。

「ヤナギへぎ」のお手伝いや、奉仕作業って懐かしいな~、じいちゃんの小さいこ

ろは、本当に手伝いするようなことがいっぱいあったね。