7月の独楽吟・・・・・喜びの31首
7/1 本物の独楽吟 たのしみは 書(ふみ)よみ倦(う)る をりしもあれ 声知る人の 門(かど)たゝく時
7/2 本物の独楽吟 たのしみは 銭(ぜに)なくなりて わびをるに 人の来りて 銭くれし時
7/3 本物の独楽吟 たのしみは 世に解(とき)がたく する書(ふみ)の 心をひとり さとり得(え)し時
7/4 本物の独楽吟 たのしみは 炭(すみ)さしすてゝ おきし火の 紅(あか)くなりきて 湯の煮(に)ゆる時
7/5 本物の独楽吟 たのしみは 心をおかぬ 友(とも)どちと 笑ひかたりて 腹をよるとき
7/6 本物の独楽吟 たのしみは 昼(ひる)寝せしまに 庭ぬらし ふりたる雨を さめてしる時
7/7 本物の独楽吟 たのしみは 昼寝(ひるね)目(め)さむる 枕べに ことことと湯の 煮(に)えてある時
7/8 本物の独楽吟 たのしみは 湯わかしわかし 埋(うづ)火(び)を 中(うち)にさし置きて 人とかたる時
7/9 本物の独楽吟 たのしみは とぼしきまゝに 人集(あつ)め 酒飲め物を 食(く)へといふ時
7/10 本物の独楽吟 たのしみは 客人(まらうど)えたる 折(をり)しもあれ 瓢(ひさご)に酒の ありあへる時
7/11 本物の独楽吟 たのしみは 家内(やぬち)五人(いつたり) 五(いつ)たりが 風だにひかで ありあへる時
7/12 本物の独楽吟 たのしみは 機(はた)おりたてゝ 新しき ころもを縫(ぬ)ひて 妻(め)が着(き)する時
7/13 本物の独楽吟 たのしみは 三人(みたり)の児(こ)ども すくすくと 大きくなれる 姿みる時
7/14 本物の独楽吟 たのしみは 人も訪(と)ひこず 事(こと)もなく 心をいれて 書(ふみ)を見る時
7/15 本物の独楽吟 たのしみは 明日(あす)物くると いふ占(うら)を 咲くともし火(び)の 花にみる時
7/16 本物の独楽吟 たのしみは たのむをよびて 門(かど)あけて 物もて来(き)つる 使(つか)ひえし時
7/17 本物の独楽吟 たのしみは 木(こ)の芽(め)煮(に)やして 大きなる 饅頭(まんじゅう)を一つ ほゝばりしとき
7/18 本物の独楽吟 たのしみは つねに好める 焼豆腐(やきどうふ) うまく烹(に)たてゝ 食(く)はせけるとき
7/19 本物の独楽吟 たのしみは 小豆(あづき)の飯(いひ)の 冷(ひ)えたるを 茶漬(ちゃづけ)てふ物に なしてくふ時
7/20 本物の独楽吟 たのしみは いやなる人の 来(き)たりしが 長くもをらで かへりける時
7/21 本物の独楽吟 たのしみは 田づらに行し わらは等(ら)が 耒(すき)鍬(くは)とりて 帰りくる時
7/22 本物の独楽吟 たのしみは 衾(ふすま)かづきて 物がたり いひをるうちに 寝入りたるとき
7/23 本物の独楽吟 たのしみは わらは墨(すみ)する かたはらに 筆の運びを 思ひをる時
7/24 本物の独楽吟 たのしみは 好(よ)き筆をえて 先(まづ)水に ひたしねぶりて 試(こころ)みるとき
7/25 本物の独楽吟 たのしみは 庭にうゑたる 春秋(はるあき)の 花のさかりに あへる時々(ときどき)
7/26 本物の独楽吟 たのしみは ほしかりし物 銭(ぜに)ぶくろ うちかたむけて かひえたるとき
7/27 本物の独楽吟 たのしみは 神の御国(みくに)の 民として 神の教(をしへ)を ふかくおもふとき
7/28 本物の独楽吟 たのしみは 戎夷(えみし)よろこぶ 世の中に 皇国(みくに)忘れぬ 人を見るとき
7/29 本物の独楽吟 たのしみは 鈴屋(すずのや)大人(うし)の 後(のち)に生れ その御(み)諭(さと)しを うくる思ふ時
7/30 本物の独楽吟 たのしみは 数ある書(ふみ)を 辛(から)くして うつし竟(を)えつゝ とぢて見るとき
7/31 本物の独楽吟 たのしみは 野寺(のでら)山里(やまざと) 日をくらし やどれといはれ やどりける時