夕暮の蘆花恒春園
とまりぎ
ガスタンクが目の前に見える向日葵の花壇。大きくなって背よりも高い。
時々見る花だが、名前を知らない。
紫陽花がまだ残っている。周辺が整備されて、公園として広くなった。真中には大きな木が多いので、集る昆虫も多い。
徳富蘆花がこの地に住まいを移した頃は、住居の南側に小川が流れていただろう。公園の真中を西から東へ流れる北沢川の上流部だったが、現在はこの流れはなくなっている。たぶん流れには蘆(よし)や数珠球になるハトムギが自生していて、のどかな土地だったに相違ない。
夕暮近く、それまで鳴いていたのは油蝉やミンミン蝉だったが、ヒグラシが鳴き始めた。暗さが増していくとヒグラシの声が大きくなる。
これと同じような情景を、神宮外苑の野球場と競技場あたりの林の中で体験したことがある。カブトムシやクワガタやタマムシを探して歩き回った遠いむかしのことだが。