院長のひとりごと

私、竹村院長が食べ物から健康まで基本的にノンジャンルでかきつづります。

「マジシャンズ哀歌(エレジー)。」

2007年01月26日 07時08分01秒 | ノンジャンル
「ミスディレクションが効きすぎてる」というジョークがあります。

洒落のきいたマジシャンがいうことですが、ミスディレクションが

わからないと面白くもなんともないので少し説明しましょう。


マジックを演じる際に、マジシャンというのはどこかで「秘密の動作」を

行っているものです。

トランプをこっそりと手の中に隠し持ったり、トランプの束の中から

一枚抜き取ったり、ポケットからこっそりりんごを取り出したり・・

そんな、「客には見て欲しくない動作」というものがあるのです。

タネの部分というのですかね。


昔はこの動作はとにかく素早くやらなくてはいけない、とされていたようですが

どんなに素早く手を動かしてカードをサッと抜き取っても人間の目に見えないほど

速く動くことは不可能です。


だから巧いマジシャンは手を速く動かそうなどと考えずに注意をヨソに向けて、

誰も見てないような瞬間にその動作を堂々とやってのけます。


右手でカードを抜き取りたいなら、客がどうしても反対の左手を見たくなってしまうような

事をするのです。

セリフまわしだったり、左手を大きく動かしたり、注意をひくようなことをするのです。



これが巧いマジシャンがマジックの巧いマジシャンと言えるのでしょう。


以上のことがミスディレクション(注意をそらす事)の意味です。


さて、飲み会などでみんなの前でマジックを披露するときにとてもありがちな状況があります。


さぁ、ここからが一番の驚きどころだよ・・・というときに店員がドリンクを持って入って来ます。


「え~っと、巨峰サワーの方は・・?」

「あ、巨峰、俺、俺!」

「梅酒ロックの方は・・?」

「あ、梅酒ロックは確か~ふくちゃんだけど、いねぇか、じゃ、そこ置いといてください」

「ファジーネーブルの方は?・・・・あの、ファジーネーブルの方は?」

「ファジー・・おい、トッコ、ファジーおめぇだろ!?」

「あ、ファジー、はい!あたしです、ファジー!」

「うっぜぇ~(笑)一同」


そんな状況がまさにミスディレクションが効きすぎている時です。


普段ならバレないかヒヤヒヤして手もプルプル震えちゃいそうな

秘密の動作も、この時であれば絶対バレません。


っていうか誰もマジック自体を見てません。


マジックを人前で演じた事のある誰もが一度は経験する

この、とても切ない状況を「ミスディレクションが効きすぎている・・」

と形容して、自嘲気味に笑うのです。


「人としてミスディレクションが効きすぎている」ようになったら寂しいだろうなぁ・・