関とおるの鶴岡・山形県政通信

安心して住み続けられる山形県をめざして、住民の暮らし、県政の動き、そして私の考えと活動をお知らせします。

精神障害者支援

2010年07月07日 | 医療・介護・福祉など社会保障
 一般質問の二つ目のテーマ、精神障害者への支援についてご報告します。

 市は昨年春、障害者保健福祉計画を発表した。合併前H8年度から15年度の間に各市町村で策定していた計画を大幅に改定するものとなった。
 「認め合い 支えあって 共に生きるまち 鶴岡」という基本理念に沿って、計画を総合的に推進することが求められているが、今回取り上げるのは、精神障害者への支援について、その中でも相談支援事業と地域のネットワークについて。
 今年度から「にこ・ふる」に身体知的精神の三障害に一体的に応じることができる窓口が設置された。 
 その役割や内容は三障害共通したものだが、今回は問題を実感している精神障害について。
潜在する問題に対応する相談体制を
 精神障害者に関する相談支援は、昨年度まで「かたぐるま」と「はばたき」に委託されていたが、相談件数は20年度で948件、内、訪問相談は73件であり、厚労省の障害者白書から精神障害者が人口の約2.5%存在すると見られることなどに照らし合わせれば、ニーズはまだまだ潜在している。
 実際、地域には適切な医療や福祉を受けられないでいる精神障害者の方とその家族が、周囲の目を気にしながら、一人で問題を抱え込む姿が広く認められる。
 こうした方々にとっては、まずもって、何でも気軽に相談できる窓口につながることが困難を和らげていく第一歩になる。
 更に、家族が高齢の場合など、相談窓口で知識を授かることができても、障害者本人に対して適切な支援をおこなうことができないケースもある。
 相談を待っているだけでなく、積極的に、必要なら継続的に訪問もして、相談活動をおこなうことが望まれる。
 また、状態によって本人や家族が夜中でも専門家に相談したくなること、相談する必要が生じることが希でない。
 加えて、精神障害者の方の中には、いつでも話ができる相手を必要とする方もいる。
 そこで第一点、相談窓口について、平日の日中だけではなく、夜間や土日祭日にも開設すること、24時間応じられる体制をつくっていくこと、訪問相談も含めて展開できるように体制を拡大していくこと
 全国的には、一昨年4月段階で全国の市町村の約半数が、365日又は24時間のどちらかの体制、あるいは両方の体制をとっている。それも念頭に置いて体制強化を図るべき。
地域のネットワーク
  精神医療が入院から地域への移行を進める中で、行政、医療機関、福祉団体、患者・家族を始めとする関係者等が連携し、一人ひとりへの支援について望ましいサービスを協力してつくりあげるとともに、そうした個別ケースの積み上げの中から、地域に必要な課題を明らかにしていくような協議の場がいよいよ切実に求められている。それが、自立支援協議会。
 H20年4月時点で予定も含めて全国市町村の9割に設置が進む中で、市は今年度ようやく協議会の設置の検討をおこなうことになっている。いつまで、どんな形で設置しようとしているのか。
健康福祉部長答弁
 本年4月に総合保健福祉センターに、これまで身体、知的障害と精神障害の2箇所に分かれていた相談支援事業所を統合し、市障害者相談支援センターを開設した。
 センターでは、知的、身体、精神の障害の区別なく障害者全般の相談に応じ、必要な場合は訪問を行い、各種福祉サービスの利用援助のほかに、支援施策に関する助言・指導、社会生活力を高めるための支援として、人間関係、健康管理、金銭管理等の指導や専門機関の紹介を行う。
 体制は、センター長ほか、精神保健福祉士等の資格を持つ相談員や就労相談員等委託先職員9名と市職員1名。
 相談支援における精神障害の方との関わりは、体調の変化、精神の安定を欠いた状態における問題行動への対応などの保健或いは医療的側面と、自立に向けた環境を整えていくための生活全般に関する継続的な助言、指導を行う福祉的側面がある。センターは、主に福祉的側面の支援。
 一方、保健、医療的側面は、診断により投薬、入院が必要な場合もあり、庄内保健所或いは医療機関による対応が不可欠。
 保健所では、問題行動等緊急を要するケースが発生した場合に備え、365日、24時間対応できる体制を整えている。
 なお、精神障害者の地域生活支援に関して、現在県では鶴岡地域をモデル地区にして、鶴岡病院に入院している精神障害者のうち、症状が安定しており、受け入れ条件が整えば退院可能である方に対し、退院訓練を行い地域生活への移行を推進する「精神障害者地域移行支援特別対策事業」を実施している。さらに、その延長として包括型地域生活支援プログラム、通称ACTを実施できないか研究会を立ち上げ、検討を行っている。
 ACTは、これまでも一般質問で何度か提起をいただいているが、長期入院を余儀なくされていた人の退院や、頻回に入退院を繰り返している精神障害者を社会から孤立しないよう、医師や看護師を含めた多職種のチームを編成し、在宅訪問や協同作業などを主体とした支援を提供するもので、24時間365日対応を原則として危機介入に対応するものであり、重症の精神障害者の地域生活を支えるシステムとして期待されている。
相談体制整備は今後の検討課題
 議員ご質問の相談体制の強化については、昨年度までの精神障害者地域生活支援センター翔(はばたき)の状況を聞くと、午前0時までの体制を敷いたこともあったが、精神医療を受けられている方は、夕食後服薬する薬の作用により早めに就寝することなどもあり、勤務時間外の緊急時の対応や相談は殆どなく、相談があった場合でもその内容や精神障害者に対する支援の緊急性(がないこと)などから、体制を縮小してきたとのこと。
 このようなことから、現状の相談業務でも必要な場合は訪問による指導を実施し、長期の休日が続くようなときは、緊急的事態に備え当番を決めて福祉課および相談支援センターの対応体制をとっており、今のところ議員ご提案のような365日、24時間対応の体制を市として図ることは考えていない。
 ただ、時間外における医療的側面との連携など、想定できないことが発生することもあると思われますので、状況をみながら必要な体制の整備について検討して参りたい。
 併せて、障害者相談支援センターの一層の周知を図り、本人、家族及び関係者が気軽に相談いただけるように努めて参りたい。
有効な協議機関設置を図る
 これまで障害者施策全般にわたり協議する組織として、当事者や団体、サービス提供事業所、関係行政機関・団体、特別支援学校等の代表者で構成する市障害者施策推進協議会を設置。
 これに加えて、障害者の地域での自立した生活を支えるネットワークとして、市障害者保健福祉計画及び障害者地域自立支援協議会を、今年度中の設置を目指し取り組んでいる。
 地域自立支援協議会は、障害者の地域生活を支援するため個々の障害者のニーズと地域資源の間に立ち、様々なサービスを適切に結びつけて調整を図ることを目的とするものであり、協議会の事務局機能は障害者相談支援センターに置く。
 現段階での考え方としては、協議会はケース支援会議、分野別部会、全体会議で構成し、
 ケース支援会議では、個別ケースに関わっている担当者により、情報の共有、支援方針、出席者各々の役割の確認などを行ない、連携した支援を行う。
 分野別部会は、就労支援、地域移行など分野ごとに関係する事業者、関係機関、相談支援センターの現場の責任者で組織し、支援会議における個別ケースの検討を通じて把握された課題について、専門的立場から共通的課題の整理、課題解決に向けての協議を行なう。
 全体会議では、分野別部会で検討された事項の共有化と部会を越える課題を協議することを想定している。
 また、このように個別ケースヘの支援から積み上げられた地域全体の共通課題をもとに、その解決に向けた障害者施策の実施や社会資源の開発、改善などについて、市障害者施策推進協議会のご意見をいただきながら進めたい。
 こうした重層的な支援の仕組みを構築するまでには少し時間をもらわなければならない。可能な限り障害者当事者や家族等の参加をいただき、有効な組織にしたい。

入札制度改善~「安けりゃいいってもんじゃない」~

2010年07月06日 | 市政全般

 先におこなわれた6月市議会一般質問で、三つのテーマを取り上げました。
 最初に、入札制度改善の問題についての質疑のポイントをご報告します。
  

地域発展に資する入札へ
 入札制度は、「競争によってできるだけ価格を下げる」時代から、地域の業者の適正な利益や労働者の適正な賃金の確保などで、地域経済の振興と地域社会の発展に資することが求められる時代に入った。
「価格破壊」の問題
 今年度、業務委託の入札でこんなことがあった。
 旧町村でバス3台を朝夕各2時間運行する業務で、それぞれ運転手と助手を配置するのだが、一般競争入札の結果、これまで請け負っていた地元業者では無く、地域外の別の業者が落札した。
 運転手と助手は困って、落札した業者に雇用をお願いしたところ、すぐに受け入れてもらったが、賃金は日給換算で前の半分程度。
 業務開始まで1週間ばかりの時期ということだから、最初から既存の運転手と助手を賃金を下げて雇用することを見込んでいたのではないかとも考えられる。
 元の業者は、旧町時代には町の委託を受けて、JRの駅舎周辺の夜間の防犯対策を担うなど、行政とも連携して地域社会に貢献してきた業者。
 このような事例は、委託業務の入札では珍しく無い。心ある業者は、「労働者にまともな賃金が保障できない」と嘆いている。
 問題は、業務委託の入札では、最低価格を規制する制度がとられていないということ。
改善のための一案
 そこで第一に、業務委託の入札についても、他の入札と同様に調査基準価格制度を導入してはどうか。
 第二に、総合評価方式の入札について、評価項目に技術・品質以外の項目を加えてはどうか。
 例えば、東京日野市では、地元資材の利用、労務単価の保障、建設共済等への加入、育児・介護休業・育児時間、温暖化対策等環境配慮、災害協力・ボランティアなどを「企業の信頼性・社会性」として評価項目にしている。格差是正を進め、地域社会に貢献する企業の育成を図る試みだ。
 第三に、評価すべき項目の一つに、下請けの場合に地元企業へ発注を高めること。
 今年度、西郷地区農村活性化センターで、地元業者への発注率90%という基準が落札業者に求められたと聞く。地元の業者に仕事を回し、地域経済振興を図る貴重な試みだ。
 今回は試行的な実施だと聞きいたが、今後とも継続・発展させるべき。

総務部長答弁

「競争激化」を認識
 長引く経済・不況にあって、建設工事、業務委託、物品調達は地域経済に大きな影響をもたらすものであり、又、悪化による受注競争の激化は、建設工事に止まらず、一般の業務委託にも及んでいると認識。
最低価格規制に努力
 「低入札価格調査制度」は、低入礼で契約内容に適合した履行がなされない恐れがあると認められる場合の基準として「調査基準価格」を設定し、これを下回った場合は決定を保留し、調査した上で決定をするというもの。
 平成21年度からは、調査時に失格とする「数値的判定基準」を設定するとともに、建設工事に係る測量、設計等の業務委託にもこの制度を適用。
 この制度は、当初から建設工事関連で先行してきたことや、一般の業務委託では、業務内容や契約内容が多種多様で、業者側の経営形態や営業規模も様々であることなどから、県では一定規模以上の一部の業務について平成16年度から取り組まれているものの、全国的に見ても実施事例は非常に少ない。
 また、平成17年4月施行の「公共工事の品質確保の促進に関する法律(通称、品格法)」のなかで、公共工事の特性として、工事のやり直しや損害賠償等が難しいことから、契約段階で施工業者の能力や具体的な技術提案による品質面も考慮したうえで受注者を決定すべきとされてきた。
 そのことから、国県の指導でも、価格以外の評価項目としては工事の品質確保に直接関係する技術的な項目を前提に進められてきたし、発注者が評価決定をする前に、評価項目の選定や評価結果について学識経験者の意見を頂くことになっている。
貴重な識見だが・・
  関議員提言の、「評価項目について、これまでのように技術や品質に関係することに加え、地元資材の利用、従業員への労働賃金の担保や様々な保証制度の導入状況、企業の社会的貢献度といった点についても評価すべき」とする考え方は一つの貴重な見識と存じますが、先ほど述べたように、もともと「品格法」の施行によって導入された経過から、工事の品質に直接関係のない項目を加えることについては、その概念の明確化も含め、学識経験者の間でも様々な見解もある。
 本市としては、評価項目の選定ついては、原則的には工事の適正な履行や良好な品質を担保するために直線関係する項目に限定すべきであり、又、評価項目の必然性やその内容によっては、関連する法令との整合性などを慎重に検討した上で対処すべきものと考える。
 また、業務委託への総合評価方式の導入は、当該方式が「品格法」の施行から導入されたということから、こういった一般の業務委託にまで拡大して行われている事例は全国的にも非常に少ないと思われますし、山形県でも各市町村でまだ導入の事例は見られない。
検討していきたい
 いずれにしても、「低入札価格調査制度」「総合評価方式」の業務委託への導入は、個々の業者の経営に直接的に影響するだけではなく、その業界全体にも影響しかねない重要な問題を含むことから、他市町先進事例や動向を注視しながら、必要に応じて関係団体からの意見をいただくことも念頭に置き、今後とも検討を積み重ねて参りたい。
下請け工事の地元受注拡大の努力継続
 次に、下請け工事の地元受注拡大について。
 建設業は、雇用の安定の面からも重要であるとともに、季節雇用、臨時雇用等、本市の基幹産業でもある農業にも大きく影響を与える産業。
 構造的に「下請け」、「再下請け」と重層的で、元請業者だけではなく下請をする職種別の専門業者や小規模業者にも配慮していく必要がある。
 今年度の新たな取り組みとして、下請工事における市内事業者の受注率の向上を図るため、特に下請工事の職種が多く、広範囲な経済効果が期待できる一定規模以上の建築工事で、下請契約金額全体に占める市内事業者による下請下請け金額が90%以上とすることを条件とする発注を試行的に実施した。
 建築工事では、工事内容や難易度が工事ごとに違うといっても過言でなく、一方的な発注者側の裁量による高い率での下請け率を担保条件とすることは、時として合理性を欠き、むしろ業界全体件の混乱を招くとも考えられる。
 この度の試行に際しては、当該工事の内容や難易度等を工事担当課と慎重に協議をしながら、地元業者による施工が可能であると判断できる工種をひとつひとつ吟味をしたうえで実施したものであり、今回の試行結果を十分検証するとともに、今後も同様のモデルケースを積み重ね、検討を深めてまいりたい。
 これまでも、公共工事の入札及び梁約に係る透明性・公平性の確保や、受注競争の激化への対応に努めたきたが、今年度も、小規模修理修繕契約希望者登録制度の全庁的な展開、お話しのあった西部活性化センター建設工事で、下請契約金額全体に占める市内本店業者による下請契約金額を90%以上とすることを条件とする発注の試行的な実施など、本市内の中業事業者・専門業者の受注機会の拡大を図るための取り組みを行っている。
 引き続き検討・取り組みを重ねて参りたい。

  1ヶ月遅れのご報告となってしまいまして大変恐縮です。