「ヒマなヤツ」と思われるかも知れませんが、「バンビ~ノ」最終回を観ました。
主演は松本潤。こういうアイドルが主役のドラマなど見たことが無いのですが、これは偶然にも観てしまい、感激してしまいました。
(ウチの子どもらがハマッていた、「花より男子」の何が面白いのかと思っていましたところ、「道明寺」を演じたマツジュン主演の新たなドラマが始まる、ということで観てみました)
博多から上京してイタリアンレストラン「バッカナーレ」にやってきた、世間知らずの若者:伴省吾が、プロフェッショナルの世界の壁に跳ね返され、何度も挫折して泥まみれになりながら、その都度立ち上がり、前に向かって進んで行く、そういうストーリーのドラマでした。
出演者の演技力は、ベテランを除けば失礼ながら完璧なものとは思えませんし、レストランの設定など、ややデフォルメが強いかなとも思いましたが、それもまた、ロマンに向かって不器用に突き進む若者たちのドラマであることを表現しているように受け止めることができました。
特徴として感じたことは、
仕事の厳しさ、仕事によって若者が大人に成長していくことを描いていること。
若者だけではなく、オーナーシェフ:鉄幹と伴の恩人遠藤という、若者の目標となるような完成された人物=普通であれば人生の晩期にある者たちも、ロマンを追い求め、チャレンジする存在であること。
先輩・後輩・同輩という、「仲間」が描かれていること。しかも、「運命共同体」、「組織の歯車」ではなく、一人ひとりが「自分」を大切にしながら、共通する目標を持つことによって固く結びついた「仲間」であること。
(これは、最終回で見事に描かれていました。特にこの点で「出色」のドラマと思いました。)
「恋愛」があるが、男も女も「恋愛がすべて」の存在ではなく、自立した男性と、自立した女性の関係として描かれていること。
私は、この手のドラマが近年少なくなっているのは、現実の社会が、多くの若者が若者らしい希望を持つことを困難にしているということの反映かなと思います。
多くの若者が、派遣・請負・臨時雇用として、使い捨てされる存在にされてしまっていること。
正規雇用の若者も、成果主義でバラバラにされ、子育てもままならない、いつ過労死してもおかしくない「働かされ方」にさらされていること。
テレビドラマでも、そういう現実を抉る企画が求められますが、「バンビ~ノ」は、それとは違う角度でなかなか良くできあがったドラマでした。
私自身、20代から30代にかけて、今では恥ずかしくて人には言えないような幾多の失敗を重ねてきたこと、40も過ぎて家庭への責任も重くなった時期に、議員という新たな仕事にチャレンジすることになったことなど、大変身に積まされるところがあったので、殊更感激したのかも知れません。
番組の最後の方で、イタリアの小島に遠藤と一緒に店を出した鉄幹は言いました(要約)。「開店以来、客は誰も来ない。日本人の店なんか見向きもしない。完全なアウェー。最高だ!」。
人生にはロマンがあるべきであり、人生とはロマンへのチャレンジである。そういうメッセージを受け止めました。