関とおるの鶴岡・山形県政通信

安心して住み続けられる山形県をめざして、住民の暮らし、県政の動き、そして私の考えと活動をお知らせします。

山形県議会でも自民党多数の横暴~戦争美化を図る「慰安婦意見書」~

2015年10月08日 | 平和と民主主義・外交
山形県議会最終日、自民党が従軍慰安婦問題を否定する意見書を提案、民主社民系の県政クラブが会派協議会(自民と県政のみで構成。非公開)で提案することに反対しましたが、採決は強行され、自民党と無所属の賛成で可決されました。
反対は共産党(2)と公明党(1)、県政クラブは採決を棄権しました。
私は反対討論を行いました。

 意見書は、「(従軍慰安婦の強制連行をおこなったという)吉田証言が嘘だったから、河野官房長官談話も間違ってる。吉田証言を報道した朝日新聞は謝罪したが、そのような中でクマラスワミ報告が採択され、世界に間違った情報が拡がった。真実を発信して日本の名誉を回復せよ」などと政府に求めるもので、些末なことを元にして、歴史の真実をねじ曲げ、日本の戦争犯罪を免罪しようとするものです。

 このような意見書が県民を代表する県議会の名で議決されたことは、議員として恥ずかしい限りであり、県民の名誉を毀損するものと考えます。
 加えて、最終日に上程し(文書配布は前日)、県民が知らないうちにすぐに多数決で決めるとは許せません。

 会派協議会では、自民党議員が県政クラブ高橋議員に、「あんた、クマラスワミ報告呼んだことあるのか?!」と問い詰められて、「ない・・」と答えたといいます。
 自分はクマラスワミ報告を読みもせず否定している訳です。
 ポツダム宣言を読まずに戦争美化を図る総理大臣と同じです。

 昨年、同趣旨の請願を採択した時に、アジアのマスコミは山形県議会を「戦争肯定の妄動」として報じました。
 自民党の皆さんも、意見書の内容が県民多数の声では無いことをわかっているはずですが、「そんなこと」は一顧だにせず、議会で数が多ければ何をやってもいいという姿勢は、国政でも県政でも、一貫しているということでしょうか。

 最期に、意見書案と、私の反対討論をご報告します。
 言いたいことは沢山あるのですが、県議会の討論は何と「3分程度」とされているのです。
 また、討論に先立って、意見書について「質疑をおこなう」という通告を出しましたが、「S50年からの先例(申し合わせ)で、質疑はおこなわないことになっている」と門前払いされました。

 できるだけしゃべらせないという姿勢です。
 県民の皆さんに、県議会に向かってどんどん発言されることを呼びかけます。
 皆さんと一緒に、県民の声を取り上げ、積極的に議論する県議会をめざしていきます。

/自民党の意見書案/
 

/私の討論/
  日本共産党県議団を代表して、発議第18号に反対の討論をおこないます。
本意見書案は、93年8月の「河野官房長官の談話発表時の発言が吉田証言の裏付けとなって、クマラスワミ報告が採択され、その結果、国際社会に誤った認識が広がった」と主張しているものと読み取れます。
 強制連行に関わったという吉田証言が嘘だったことをもって、従軍慰安婦問題の真実をゆがめようとする、今日の従軍慰安婦否定論の典型的な論立てです。
 しかし、河野談話と吉田証言の関係について言えば、
 当時、日本政府は吉田氏をヒアリングの対象にはしましたが、証言は採用していません。
(注:時間の関係で省略ー「河野氏本人、談話作成に直接関わった石原信雄官房副長官など、関係者の証言からも明確でます。談話がもともと吉田証言を根拠にしていないのですから、意見書の主張は、そもそも成り立つ余地がありません」)
 意見書の主張は、そもそも成り立つ余地がありませんし、吉田証言について朝日新聞が謝罪したことも、従軍慰安婦問題の真実性をいささかも削ぐものとはならないのであります。
 また、クマラスワミ報告について言えば、国連が真実を明らかにするためにおこなった詳細な調査であり、その中で様々な証言の一つとして記載されている3行の吉田証言を削除しても、その結論に些かの影響を受けるようなものではありません。
 一方、従軍慰安婦問題について河野談話は、5つの事実を認定しています。
 第一に、慰安所と慰安婦の存在、
 第二に、慰安所の設置、管理および慰安婦の移送は、軍が直接又は間接に関与したこと、
 第三に、慰安婦の募集は、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意志に反して集められた事例が数多くあり、官憲等が直接これに荷担したこともあっ」こと
 第四に、慰安所における強制性、強制使役、
 第五に、慰安婦の募集、移送、管理等も・・総じて本人たちの意志に反しておこなわれたことなどです。
これらの事実の全体が従軍慰安婦問題の存在を認定したものです。
 さらにこれらの事実は、91年から2001年まで提訴された10件の裁判のうち8件の判決で、「争いのない事実と証拠」と認定されているのであり、意見書が最後に言うところの「慰安婦についての客観的な事実に基づく認識の形成」は、加害国である日本の司法の場でも認定されているのであります。
 これらを通じて詳細に明らかにされた事実は、本当に悲惨極まりない被害であり、野蛮極まりない加害であり、日本人としてできれば目を伏せたくなるものであります。
 しかし、都合の悪い歴史に目を閉ざせば、偏狭なナショナリズムの国として、アジアと世界の国々から孤立していく他ありません。
 本県が掲げる、中国・アジア諸国との友好関係の構築、交流拡大の方針にもそぐわないものとなります。
 未来に正しい道を歩もうとするならば、過去と現在の真実を直視する勇気を持たなければなりません。
 日本共産党県議団は、過去の過ちに対して勇気ある態度をとることによってこそ、国際社会に名誉ある地位を占めることができる国、県民が日本人であることに胸を張れる国になっていくことができると確信するものであります。
 よって、そのことに逆行する本請願には反対します。