7月2日、県議会6月定例会最終日に、政府にオリンピックの成功を求める意見書が提案され、日本共産党県議団のみが反対しました。併せて、「選手激励決議」も提案されましたが、退席して賛否に加わりませんでした。
私が討論しましたが、例によって討論時間が「3分」等と不当に制限されているため、実際に発言できたのは太字部分です。
☆日本共産党県議団を代表して、発議第13号「新型コロナウイルス感染防止対策等を徹底し東京2020オリンピックパラリンピック競技大会の成功を求める意見書」案に反対。
☆意見書案は、開催を前提に、「感染防止対策」を講じて大会を成功させることを政府に求めるものだが、菅首相が開催の条件としてきた「安全安心」は不可能で有ることを多くの国民が感じている。
☆先月はウガンダ選手団の陽性者発生が衝撃を与えたが、入国後の待機・隔離について免除する特例が設けられ、1月から6月13日の間に入国した選手や関係者の7割超2213人が隔離を免除されて、入国直後から事前合宿などに参加、内6人が感染を確認。オリパラ終了までの入国者は20倍以上の7万人前後に達する。水際対策が崩壊している。
☆選手・関係者を隔離すると宣伝された「バブル方式」も、ボランティアその他要員約30万人、来日する関係者など約5万人、多くがワクチン接種も無く、毎日の検査も無いままにバブルを出入りする事が明らかになった。バブルに感染が持ち込まれ、むしろバブル内でクラスターが発生する危険性。隔離策も崩壊。
☆より大きなリスクは、オリパラという特別の巨大イベントが開催されることで、競技を観戦するイベントや開催地との往来、それら全体を通して「オリンピックで許されるのなら」と、社会全体の感染対策が緩んでしまうこと。
☆そうでなくとも開催期間は、熱中症など医療の負担が高まり、夏休みやお盆でそもそも往来の増加が懸念される時期、そこに今、デルタ株など変異株が広がりつつある。
昨年末の感染拡大時に、「東京で1日百人程度に抑えていなければ開催は難しい」と言われていたものが、既に6百人を超える水準になり、「開会式時点で千人」「緊急事態宣言を出したとしても、最悪の場合8月中旬にも、2千人を超える」というシミュレーションも専門家(西浦京大教授等)から示されている。
☆無観客にすることなどでは感染拡大は防げない。
☆大都市部の感染拡大が本県にも波及してしまうというのはこれまでで経験済み。
☆政府はワクチン接種が進んでいると殊更強調してきたが、ワクチン供給は急ブレーキがかかり、オリ・パラ開催期間の社会的免疫の獲得等は既に破綻。
☆以上の事は、6月18日に発せられた、「専門家の提言」が強く警鐘を鳴らしている。
☆本議会厚生環境常任委員会の私の質問に、「一都三県でリバウンドが起こる中でオリンピックを迎えれば、1,2週間後には本県も非常に危い状況となる」(統括医療監)と、重大なリスクが明らかにされた。
県内報道も、開催による「本県の医療崩壊の危険」に警鐘をならす
☆国によってコロナ感染対策とそれによる選手の環境等は大きく格差があり、その不公平は、オリパラの理念であるフェアネスを深く損なっている。
ホストタウンを始めとして開催国の人々とも交流もできないどころか「隔離」と「行動制限」、選手同士も交流できない、開催国の社会で反対世論が広がっている状況は、オリ・パラが掲げてきた理念にそぐわない。
来日する選手・関係者は、このような状況を知っているだろうか?
ところが、IOCは、そのようなことは全くお構いなし、感染爆発が起ころうとも関係無いという態度を露わにし、「五輪貴族」の姿と併せて、オリンピックの意義・開催の必要性に根底からの疑問が投げかけられている。
それは、為末大氏、山口香織氏、末續慎吾氏等々、日本を代表するアスリートの方々から開催への疑義が出されている事に如実に現れている。
☆リオオリンピックから5年、努力を尽くしてきたアスリート達の競技の場が失われる事態は残念であり、大変不幸な事。
しかし、社会のあらゆる活動が自粛・縮小を求められる中、オリパラといえども例外にはし難い。その責めは、政治的思惑から延期を一年にとどめ、その間にアベノマスクやGoTo等々、科学を無視した誤った対策で、開催不可能な状況を作ってきた政府が負わねばならない。
☆こうした世論に対し、「今更やめるのは国の威信に関わる」などという主おこなっている方がいることに驚き。
安倍前首相が、「反対している人たちは反日」等と言うのと同じように、正に時代錯誤、反対する人を理屈抜きで排除する低劣な主張。
事実を認めない姿勢は、映画監督の北野武氏も言うように「戦前の大本営発表と同じだ」という批判を免れない。
☆何よりも、開催すればどうしても感染者が増え、それによって亡くなる方も増える事が明らかであるのに、それでもオリパラを開催する理由を菅首相は国民に説明していない。
多くの感染症専門家は「開催すべきでない」と言い、現場で命を預かる医療従事者は「中止して!」と叫んでいる。
そのことに口を噤み、「安全安心」を唱えるばかりの政府の説明に「納得がいかない」と思う国民がどの世論調査でも多数、開催自体への「反対」「延期」も未だ多数を占めている。
どれだけ開会式予定日が迫っても、仮に開催が強行されても、感染拡大が収まらない限り、中止の必要性は変わらない。
☆また、毎日新聞と社会調査研究センターが今春被災3県でおこなった世論調査で、東京オリ・パラ開催が「復興の後押しにはならない」と答えた人が61%。「復興を世界にアピール」という文章は被災者の気持ちにそぐわない
コロナ感染拡大を抑える事ができず、続き危機に瀕する中で、「コロナに打ち勝った証」という文章も到底賛同し兼ねる。
☆本県でもこれまで2020人がコロナに罹患され、46人の方々が亡くなられた。飲食観光業等々営業の危機、生活困窮も続いている。
オリ・パラ開催がこの苦しみを更に拡大することが明らかとなる下で、県民世論は分かれており、議会が県民の総意として、大会成功・選手激励を決議するなどということは不適切。
政治の最大の使命は、命と暮らしを守る事であると確信する立場から、その事と矛盾するオリパラには、中止を求めることこそが議会の責務であると考え、本意見書案に反対。
〜2つの発議をそれぞれ自民党議員が提案、私が指摘した問題点に何の言及も無い提案説明でした。私の反対討論に対して、賛成討論は無し。
選手激励決議では、提案者が演壇で「一丸となって応援するぞ!」と拳を振り上げる熱演に、苦々しい表情で観ている議員もいたようでした。〜