3月18日(水)、山形県議会2月定例会が閉会、 2019年度2月補正予算、2020年度山形県当初予算案等が全会一致で可決・成立しました。
共産党県議団は、博物館・文化財保護行政を知事部局に移管する関連3議案を除くすべての議案に賛成しました。
県議団が発表した「声明」のポイントをお知らせします。
(1)2019年度2月補正予算について~経済の落ち込みと対策~
2019年度2月補正予算の歳入では、消費税収入が大幅減額補正となりました。
政府の地方財政計画の伸び率をもとに211.6億円と見込んでいましたが、2019年2月補正では200億円の見込みとなりました。法人税割・地方法人譲与税などでも不足が生じ、10年ぶりに減収補てん債を24億円計上しました。
歳出には、大沼破産に対する緊急特別対応、及び小雪・暖冬の対応などの他に、漁業無線更新補助が盛り込まれました。私が取り上げたイカの不漁等に対応した漁業者支援です。
(2)2020年度山形県一般会計当初予算について
当初予算には、これまで県議団として要望してきた施策がいくつか盛り込まれ、また重要な事業が継続実施となりました。
私立高等学校等授業料軽減補助、女性活躍に関する行動計画の策定支援、非正規雇用労働者の正社員転換の奨励金、水害・内水被害軽減緊急対策、河川の堆積土・支障木対策、高校での特別支援教育としての通級指導の拡大、低所得世帯への冬季灯油購入費助成、住宅リフォーム助成制度、学童保育利用料軽減支援、中小企業トータルサポート事業などです。
新規事業としては、児童養護施設の退所者支援、小規模の重点ため池整備。
以上のことから、吉村県政のこれまでの前向きの事業の継続を評価し、総合的に判断して2020年度山形県一般会計予算に賛成しました。
(3)一方、当初予算には、懸念する事業も含まれています。
学力向上支援チームの設置は、アドバイザーが学校を訪問し、授業改善等の指導・助言を実施するというものですが、教師が専門性を発揮して行われるべき授業の充実が上からの統制で損なわれる懸念を抱きます。
田川地区で計画されている進学校の中高一貫校化も、事実上県内で初めての中学受験競争、家庭の経済力による格差、市町立中学校との格差などの問題を発生させるものです。
(4)第4次山形県総合発展計画が策定されました。
2010年に策定した第3次山形県総合発展計画が期間の10年を終え、第4次山形県総合発展計画が策定されました。政府の「まち・ひと・しごと創生法」の総合戦略の方向性を反映して策定されたものとなっています。
党県議団は、1月24日「次期総合発展計画では、県民の命と暮らしを守る施策最優先の立場を基本とし、医療、福祉、教育、産業振興、防災事業等の充実に全力を尽くすこと。その立場から、政府に対して、社会保障削減の中止など、新自由主義的政策の転換を求めること」と要望しました。
行き詰まった国の地方創生が反映されていることは懸念しますが、吉村県政の優位点である命と暮らしを守る先進的施策が2020年度予算でもほぼ継続されていることから、第4次計画は第3次計画を継承したものであると判断し、賛成しました。
新型コロナウィルスの影響で世界的な経済危機が広がり、県内の保健・医療・福祉提供体制が日々問われています。安倍政権による全世代型社会保障改革、消費税増税などが相まって、県民生活に重大な影響を及ぼしつつあります。
今まさに、「県民の命と暮らしを守る施策最優先の立場を基本」とする姿勢での県政運営が求められており、吉村県政に引き続きに求めていくものです。
(5)新型コロナウィルス対策について
2月27日、安倍晋三首相が、小中高校などに全国一律の臨時休校を要請すると突然表明、県も同様の措置を県立学校に指示し、市町村に要請しました。
県議団は、事態の重大性に鑑み、3月2日に子どもたちの安全と学習権を求め「新型コロナウィルス対応に関する申し入れ」を行いました。
県議会議長に「2月定例会冒頭の知事説明には無い事態が進行して」いるとして「全議員に県説明の場の設置を求める申し入れ」も行いました。
県内でも学校休校に伴った影響、イベントや旅行等の自粛による影響が県民生活に重大な影響を及ぼしています。引き続き県に的確な対応を要望していきます。
(6)県営住宅を借りる際の保証人に係る条例について
(7)県立博物館関連議案に反対
県立博物館の所管を教育委員会から知事部局に移管する関連議案に反対討論を行いました。
教育行政は、戦前の国家主義的・軍国主義的教育への反省から、首長から独立した教育委員会制度を設けてきました。博物館などの社会教育施設も、首長による教育内容への不当な介入や権限集中を防止し、教育の自主性と地域住民に対する直接的責任、中立的、専門的な行政運営を担保するため、教育委員会が所管することとされてきました。
近年は、首長の政治的思惑によって、社会教育施設での住民の自由な表現活動が制限される、或いは特定の政治的内容が教育に持ち込まれる、また学力テストの結果公表を首長が主導するなど、教育の政治的中立性や独立性を損う問題が各地で発生しています。
条例が企図する知事部局による社会教育施設の所管も、知事の政治的思惑が運営に反映したり、施設の設置・廃止を左右したり、行政の意向から独立して発揮されなければならない住民の自主性、自発性が阻害されたりする等々、様々な懸念を生むものと言わなくてはなりません。今般の条例案に際して教育委員会会議での議論はおこなわれず、博物館協議会でも議論が無い上に、協議会委員の任期も既に1月に切れていることを指摘しました。
条例は成立しましたが、住民の声に基づく運営を求めていきます。
(8)看護職員需給推計について
2025年に向けた看護職員需給推計及び看護職員確保対策の方向が示されました。
「厚生労働省の推計方法を基本としつつも、可能な限り本県の実態に即した係数に補正」するとして医療機関へのアンケート調査や訪問ヒアリングをおこなった努力は評価に値します。
しかし、推計では最終年度の2025年度でも644人の供給不足になる見通しが示されました。県が掲げる地域医療構想(党議員団は問題と考えています)・地域包括ケア体制構築の前提条件が整わないということになります。
根本的要因は、国がこれらの職種にまともな賃金・労働条件を保障する施策をとらずに放置していることにあります。
(8)常任委員会・特別委員会での質問
渡辺県議は商工労働観光常任委員会で以下の項目を取り上げました。
○大沼倒産に伴う県の対応について(失業者の相談、雇用の確保、取引業者テナン トを含めた対策、支援)
○中小企業トータルサポート補助金(特に小規模事業者向け)の充実について
○就職氷河期世代の就労支援(正社員化促進事業奨励金上乗せを含む)
○新型コロナ対応(影響を受けた事業者への支援、国に要望を)について
私は厚生環境常任委員会及び産業振興・人材活用対策特別委員会で以下の項目を取り上げました。
○新型コロナウィルスの対応について
○県立病院の経営改善について
○看護師確保策について
○強度行動障害の支援について 以上
本日午後4時半に県に対して、新型コロナウイルス対応に関する緊急の申し入れをおこないました。
安倍首相が発表した「全国一律に小中高校休校」の通達が重大な影響を及ぼしている事から、「子どもの安全と学習権の保障」のために、「一律休校とせず、地域や学校の実情を踏まえた柔軟な判断を尊重する事」等11項目を記載した要請書を若松副知事に手渡しました。
県は3月1日付けで市町村長・市町村教育長宛に「学校の臨時休業に伴う児童生徒の居場所の確保について」という依頼通知を出していますが、添付されている文書では、「体制整備の例」として、「1小学校の授業時間帯は学校で対応し、その後は、放課後児童クラブで対応する」と例示しています。
副知事はこの事を挙げて、「児童生徒の安全確保の立場から、これを第一にお示しした。市町村での検討を待っている」(概要)と答えました。
政府の「一律休校」を否定はしないものの、市町村の判断によって学校で児童生徒を受け入れて良いとするものです。
学校は、養護教諭が配置され、専門職である教師が児童生徒の状態を把握して校医とも連携して対応できる機関であり、児童生徒にとって最も安全な居場所です。
一方、子どもが学校から離れて生活する1ヶ月に渡る期間の安全は家庭まかせとなり、対応できない家庭の存在も浮き彫りとなっています。
また、学校並みの安全体制は取れない学童保育が、従来の運営確保さえも困難となっている中で、そこに児童生徒をまかせるという方針が、「子どもの安全第一」という首相の台詞と矛盾していることも明らかです。
医療や介護の体制縮小がもたらされる本末転倒の事態も、昨日投稿した通り。
感染者が発生していない地域で一律休校とすることの有効性のエビデンスは示されない一方、「社会崩壊」(千葉市長)とまで言われる弊害が噴出しています。
市町村は、県の例示の意義を受け止め、子どもの安全確保のための最善の方法を、自分の頭で考え、自分の責任で対策を決断する事が求められています。
なお、県への申し入れに先だって、金澤県議会議長に対して、議員全員への当局説明の場を設ける事を要請しました。
議長ほ、「その方向で検討している」と回答しました。