軽井沢の2日目は、軽井沢から車で西に1時間ほど、東御市(とうみ)市にある ヴィラデスト ガーデンファーム アンド ワイナリー (Villa d'Est Garden Farm & Winery) を訪れました。
ヴィラデストは、エッセイストで画家の玉村豊男さんが2003年に創業したワイナリーです。玉村豊男さんの「里山ビジネス」という本を読んで以来、ずっと訪れたいと願っていた憧れのワイナリーですが、それから12年もかかってしまいました。
車でしか行けない不便な場所に全くの素人がワイナリーをはじめるとは、途方もない冒険ですが、山を開墾するところからはじめて長い年月をかけ、このようなすばらしい農場とワイナリーを作り上げられたことに、深い感銘を覚えます。
まるで私の大好きな話、ジャン・ジオノの「木を植えた男」のようです。
実際、玉村さんのヴィラデストが種となって、今では千曲川沿いにいくつものワイナリーが生まれ、ワインバレーとして注目を集めているそうです。
ひとつのワイナリーから、地域の発展にまでつながっていることに、驚きと感動を覚えました。
ワイナリーは、残念ながらコロナの影響で現在見学を中止していますが、カフェでランチの予約を入れていたので、時間までの間、近くのワイナリーをいくつか巡ることにしました。
ヴィラデストの兄弟ワイナリー、アルカンヴィーニュ (Arc-en-Vigne)。ワインの架け橋という意味です。2015年には玉村さんの尽力で、ここにぶどうの栽培と醸造、ワイナリーの起業と経営が学べるワイン・アカデミーが開講されました。
スタッフに、アカデミーやワイン工場を案内していただいた後、ショップでアドバイスをいただきながら、赤・白2種類のワインを試飲しました。どちらも飲みやすくおいしいワインで、おみやげにも買っていきました。
これはまた別の、Rue de Vin (リュードヴァン) というワイナリー。ワイン通りという意味です。創業者は荒れ果てたりんご農園だったこの場所にぶどうを植え、ワイン作りをはじめたそうです。
ロゼのワインを試飲しながら、スタッフにうかがったお話では、ぶどうの収穫ボランティアに、都会からも多くの応募があるとか。農業従事者の減少によって荒廃した農村が、ワイン作りをきっかけにして蘇り、活気が生まれていることを知りました。
こちらはチーズ屋さんのアトリエ・ド・フロマージュ (Atelier de Fromage)。この横にチーズ料理のレストランもあります。手作りチーズがおいしそうで、ブルーチーズやブルーチーズ入りのカマンベールなど数種購入し、自宅に送っていただきました。
ワイナリーが点在する山道を車で走ると、ワイン用のぶどう畑が続く向こう、東御の谷に雲海が広がる幻想的な風景に心を打たれました。ジュリエット・ビノシュ主演の映画「アクトレス」の舞台、スイスのシルスマリアを思い出しました。