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ホームレス ニューヨークと寝た男

2020年06月28日 | 映画

公開時に気になりながら見逃していた本作を Amazon Prime Video で見ました。ニューヨークで家を持たずに生活しているファッションフォトグラファー、マーク・レイに密着した2014年(日本公開2017年)のドキュメンタリー映画です。

ホームレス ニューヨークと寝た男 (Homme Less)

ニューヨークのファッション・ストリートフォトグラファーというと、思い出すのはビル・カニンガム。清貧でストイックで善良な市民でもあるビルさんと、マークはタイプとしてはまったく違いますが、こういう生き方もあるんだ...と衝撃を受けました。

【参考記事】ビル・カニンガム & ニューヨーク (Bill Cunningham New York)

マークは、長身でハンサムでファッションセンスも抜群。デザイナーズスーツがよく似合います。それもそのはず、彼は元モデルで、俳優でもあるのですから。今もエキストラの仕事をすることがありますが、本業はファッション・ストリートフォトグラファー。

ニューヨークの街を歩く、美しい女性たちに声をかけますが、誰ひとりことわることなく、彼のためにポーズを決めて写真を撮らせてくれるというのが、ある意味すごい。^^; それだけマークがフォトグラファーとして説得力があるということなのでしょう。

彼はYMCAのジムで体を鍛え、俳優組合に所属しているので健康保険にも入っています。清潔で、身ぎれいで、パーティでの身のこなしも決まっていて、華がある。誰とでもすぐに打ち解けて、会話をはずませる才能もあります。

そんな彼が唯一持っていないのが家だと知ったら、誰もがきっと驚くでしょう。彼は友人のアパートメントに泊まらせてもらった時にこっそり合い鍵を作り、以来そのビルの屋上でビニールシートにくるまって不法に寝泊まりしているホームレスなのです。

ストリートの片隅でうずくまっているホームレスを横目で見やり、マークは「同情はするが施しはしない」と言います。物価の高いニューヨークで、この街の魅力を享受するためには、どこかで生活費を削らなければならない。

その結果が、マークの今の生き方なのでしょうね。この旺盛な生活力はたしかにすごいと思いますが、彼のやっていることは不法占拠であり、犯罪でもあるわけで、冷静に考えると受け入れられない部分もありました。

でもそのことは彼自身が一番よくわかっているのですよね。ビルの屋上の特等席で、ひとり独立記念日の花火を眺めながら、ふと現実にもどって涙する。彼の孤独な魂に触れた時に、地に足をつけた生き方をして欲しいと願わずにはいられませんでした。


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4 コメント

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Unknown ()
2020-06-28 20:25:42
こんばんは~。

マーク・レイさん、全く知らなかったのですが、こちらの記事を読んで観てみたくなりました。
こんなに素敵な、スタイリィッシュな方がホームレス!?

衣食住、彼の中で一番必要ない、削るべきものが住居という考えなのでしょうか。

凡人の私には、何をおいてもまず住むところは欲しい!!ましてや、NYで!!ととても驚きです。
プライムで観れるのですね!!
これはぜひ見てみたいと思います。


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家を持たない選択 (ノルウェーまだ~む)
2020-06-28 23:32:57
セレンさん☆
男性にとっては家を持たない(ホームレス)はどこか憧れがあるらしいですよ。
例えばキャンピングカーで全国を回ったり、テントで寝泊まりするとか。
都会のど真ん中で何にも縛られない生き方は、ある意味清々しい気もします。
小奇麗にできてお洒落でセンスも良くて見た目も美しいなら案外最高の生き方なのかもしれませんね。
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☆ 瞳さま ☆ (セレンディピティ)
2020-06-29 00:42:03
瞳さん、こんばんは。
マークさん、渋くてかっこいいですよね。
こんなにすてきな方がホームレス?!ってびっくりしてしまいます。

NYだとたしかに家賃の額が半端ないでしょうから
それがないだけで、意外と豊かな生活が送れてしまうものかもしれません。
でも毎日見つからないかとびくびくしながら暮らすのは
やっぱりストレスフルで私には耐えられそうにないです。

こういう生き方もあるんだーとびっくりします。
よかったらご覧になってみてください☆
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☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ (セレンディピティ)
2020-06-29 01:07:16
まだ~むさん、こんばんは。

>キャンピングカーで全国を回ったり、テントで寝泊まりするとか
なるほど... 遊牧民みたいな暮らしですね。
そういえば、スーツケースひとつで全国を飛び回る
ジョージ・クルーニーの「マイレージ、マイライフ」という映画もありました。

家がなくても、生活レベルを落とさず、誇りを持って生きる
という姿勢はすばらしいと思いました。
でもいつまでも続けるのは、きっときついでしょうね...。
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