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自分の生き様を遺す意味『蜩ノ記』

2019-11-21 08:02:48 | 歴史から学ぶ

@「武士の生き様」、「人の生き方」。人はそれぞの人生・運命に沿って生きていく、切腹を言い渡された武家の家族、農民はどのように接し、本人はどのように生かされて行ったのか。 映画「武士の一分」でもある武士のあるべき姿を最後まで貫く、武士としての恥を晒す事なく武士の意地を貫く。ここでは特に息子にその姿を見せる事で「武士の本来あるべき姿」(藩主に忠臣であるべきである)を見せたかったのかと。現代では忘れかけている忠誠心、誰のために仕事をしているのか。「会社から家庭」(上司から妻)に変わっているのが現状かもしれないが、忘れてはいけないのは、自分の信じる「主軸」(信念)を持った行動が取れる事。親として子に恥じることのない姿勢行動なのか、と言うことだろうか。 遺言の中に自分の生き方・生き様を遺すのも家族には宝になるかもしれない。 現代はネット上に多くのストレージ(いずれも無料のドロップボックス・Googleドライブ・MEGAなどの記憶媒体)=があるので誌上でなくとも半永久に残せる。

『蜩ノ記』葉室麟 第一四六回直木賞受賞作

命を区切られたとき、人は何を思い、いかに生きるのか?

豊後羽根藩の檀野庄三郎は不始末を犯し、家老により、切腹と引き替えに向山村に幽閉中の元郡奉行戸田秋谷の元へ遣わされる。秋谷は七年前、前藩主の側室との密通の廉で家譜編纂と十年後の切腹を命じられていた。編纂補助と監視、密通事件の真相探求が課された庄三郎。だが、秋谷の清廉さに触れるうち、無実を信じるようになり……。凛烈たる覚悟と矜持を描く感涙の時代小説!

  • 家老への出世を滞りなく成し遂げるには、家系に公家、将軍、藩主などとそれなりの関係が必須で、藩主の正室に自分の家系から出自を捏造し押し進める。また、正室と側室との関係を拗らせ派閥を作り、権力を集中させていく。
  • 秋谷はその側室を殺害しようとした企てから救うが、それが仇となり側室との密通、幽閉、10年後に切腹を命ぜられる。その10年の間に家譜編纂を命じられ調査していく。その家譜編纂から発見したのは家老による正室出自の捏造で、それを書き表した書を入手したことから事件と家老の悪巧みは暴かれる。
  • 秋谷は疑いを最後まで訴えず、切腹を選んだ。それは武士の忠臣を貫くこと(藩主に仕える家臣)であった。また、家族、特に息子に対する自分の信じた友(家臣・農民)を信じ自分で責任を取れる行動を起こす事(藩主と家臣関係を自覚し貫く)、曲がった家老の志を目覚めさせる行動を見せること(武士の意志を最後まで貫く・武士の生き様)を教えたかった。
  • 心掛けの良きものはより良き道を、悪しきものはより悪き道をたどる
  • 「領民の痛みを我が痛みとせねば、家老は務まりますまい」(武士の恥)