@人間不信症、武田信玄没後の勝頼、勇猛だが戦いでの才能がない、配下の家臣に不信を抱き信頼しなくなり、噂話でも謀反者(裏切り・寝返り)と察すると上意討ちとして忠臣に臣下の殺害命令を出していく。現代でもそうだが、参謀役次第でもことは大きく変化する。だが、戦略、戦術の才能がないリーダー、特に内部での辞退者、退職者が多く出る企業では次第に衰退する。その前に早々に転職するのが現代である。
『裏切り姫大脱走』鈴木英治
長篠の合戦から7年、滅亡の淵に立つ武田家。駿河を任されていた親族衆筆頭の穴山信君も密かに徳川方への寝返りを画策していた。武田勝頼の馬廻り・前島平蔵は、その動きを察知し、甲府にいる信君の妻・千鶴、嫡男・勝千代の身柄確保に乗り出す。手勢を率いて穴山屋敷を囲んだ平蔵。はたしてその鉄壁は破られるのか?
ー小説の内容は武田信玄後の勝頼政権の衰退物語である。衰退の要因が勝頼の失政が内部分裂を招き、多くの臣下が勝頼の執政に疑問を持ち、武田を捨て寝返っていく。武田勝頼は武将としては勇敢に戦うが知恵、戦略戦術に欠け周りに不信を抱えみ見通しが効かなくなる。その失政とは臣下への不信であり、親族も含めて殺戮するという酷い仕打ちを繰り返すことにあった。
ー長篠の合戦で敗戦した勝頼には、戦略を練る参謀がおらず、木曽家、その他の謀反での戦いでも兵の士気も上がらなかった。そんな中、平蔵に裏切り者(信君の妻子)を監視し、逃げ出したら全て殺戮せよと命令を出した。
ー穴山信君も遂に徳川に寝返り、妻子は必死に駿河に向かうが平蔵一味は頑なに追い詰めようとする。が、途中徳川の助っ人服部半蔵に助けられ、平蔵も退散。勝頼から「穴山勝千代を殺すとか、信君をどうするだとか、もはやそんなことはどうでも良いことに過ぎぬ。苦労であった」と一言で武士としての役割と死ぬ気もうせ百姓に精を出す。
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