@結末のミステリーは摂って付けたような寓話(著名な探偵小説をもじる)のようになるが、人の恨みは世代を超えて続くものだと恐ろしさも感じた。親族の絆はやはり一番強く、腹違い・養子縁組などの「絆」とはいざとなるとまるっきり違うということを物語っている。
『大鞠家殺人事件』芦辺拓
「概要」斬りつけられた血まみれの美女、夜ごと舞いおどる赤頭の小鬼、酒で溺死させられた死体―怪異、謎解き、驚愕、これぞ本格推理。大阪の商人文化の中心地として栄華を極めた船場――戦下の昭和18年、婦人化粧品販売で富を築いた大鞠家の長男に嫁ぐことになった陸軍軍人の娘、中久世美禰子。だが夫は軍医として出征することになり、一癖も二癖もある大鞠家の人々のなかに彼女は単身残される。戦局が悪化の一途をたどる中、大鞠家ではある晩“流血の大惨事”が発生する。危機的状況の中、誰が、なぜ、どうやってこのような奇怪な殺人を?
□当主の首吊り殺害となるが、妙な事にその前にその娘に切付け負傷を負わせ、偽の血糊を撒き、警察、検死の医者まで立ち会っていた時間帯に殺害が発生した。その後、その妻が酒樽から見つかり、その奥にいた祖母も死亡が確認された。
□当主は元丁稚で成り上がりの婿入りとなり、結婚後は贅沢三昧を繰り返す事になる。そこに長男の嫁が同居し始めると、当主の長女が嫁をいびり始めると言う珍事も多々あった。
□その昔、この商家の坊ちゃんが神隠しに遭い行方不明となり、その長女が元丁稚の男を婿として引き入れた経緯があった。
□怨恨を持ち続け、4人の殺害に及んだ。その影には不浄な男女関係がありミステリーを複雑にしていた。
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