ちょっと気になるいい事、言葉、最新技術

書籍、映画、旅、最新技術から選んだ心に残るもの。速読者向けは、青文字表示。内容は小学生でも理解できる表現使用

不運の中にも豊かさ、幸せを見つけ出す『方丈記』

2019-08-11 09:04:11 | 歴史から学ぶ
@人生には幸運・不幸・不運がある。その一人、生涯の中で大きな災厄(5つ)に遭遇し、不運の人生を歩み、孤独死した「鴨長明」である。その人生の不運から災害困難を乗り越え、人生・住まいの断捨離を行い、自分史(方丈記)「豊かさ・幸せ」を作り出したのである。長明のシンプル生活・スローライフ・断捨離(財産・資産をなるべく残さない)など、ここにある「自由気ままな生活」とはー何事も他人との比較はしない生活へと歩むのは現代でも理にかなっている。最後にあるのは長明の様な「自分史」(参考)を遺こす現代調の秘策がある。 (月に叢雲花に風)
  • 「自分史」の為の参考
  •  「書き出しの文章」で読者を引きつける (タイトル・趣旨内容)
  •     自分の生きた時代と「同時代の社会的事件」をリンクさせる (時代背景を想像させる出来事)
  •     人生の中で出会った「良い言葉」を効果的に用いる 
  •     家の図面を描く様に「全体の構成」をきっちり練る

『方丈記』鴨長明

  • 「豊かさ」の価値を疑え! 「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」の有名な書き出しで始まる『方丈記』。世の中を達観した隠遁者の手による「清貧の文学」は、都の天変地異を記録した「災害の書」であり、また著者自身の人生を振り返る「自分史」でもあった。日本人の美学=“無常"の思想を改めて考える。
  • 「鴨長明」
  •     1155年下賀茂神社の神官・最高の位である正禰宜の次男
  •     23歳で安元大火
  •     26歳で治承の辻風・福原遷都
  •     27歳で養和の飢饉
  •     30歳、鴨川での離別生活
  •     31歳で元歴の大地震
  •     47歳、後鳥羽院の抜擢により「新古今和歌集」寄人
  •     50歳、職を投げ出し、失踪。大原にて隠棲
  •     54歳、日野山中にこもり終の棲家・方丈の庵
  •     58歳、「方丈記」執筆
  •     60歳、「発心集」
  •     62歳、6月没
  • 「方丈記」
  •     儚い世の中の在りようを説明
  •     平安京を襲った5つの災厄の迫真の描写
  •           困難に見舞われた時の重圧記述・想定外の事象
  •     自分の人生観・考え方・感じたことなどの「自分史」
  •     原稿用紙20枚分の書
  •     鴨長明の打ち込んだもの「和歌と音楽(琵琶)」
  • 「人生・自分史」
  •     勝負に負け、全てを失い(地位もない、家もない、金もない、妻子もない、他人様に恥じる様なこともない)憂に神経をすり減らすこともない環境と住まいを選ぶ(断捨離)
  •     リスクを避ける暮らし方を選び(方丈の庵)取り壊し可能な家(1丈=3m)に住む、人生の終い支度した家=心休まる場所)
  •     身分が低いと権力者の前でいつも小さくなる
  •     貧乏であれば、富裕な隣人と会うたびに恥ずかしい思いをする
  •     密集地に住めば火事の類焼を免れず
  •     出世すれば人心は貪欲になり
  •     独身だと軽く見られる
  •     財産があれば心配になるし、貧しければ恨みがましくなる
  •     誰かを頼りにすると自分は失われ、その者に支配される
  •     誰かの面倒を見ると愛情に縛られ
  •     世の中の常識に従えば窮屈だが、自由気ままを通すと、見た目は狂人とそっくりに映る=心にストレスが溜まっている状態は、どれほど財産があっても立派な家に住んでいても不幸だと言うことを悟っていた。
  •     「願わず」望まない、要求しない、欲しがらない世界で平静さを保ち、心が波立つことを避け、何よりも安寧で静かな暮らしを求める心を優先させた
  • 「自分史」の参考
  •     「書き出しの文章」で読者を引きつける
  •     自分の生きた時代と「同時代の社会的事件」をリンクさせる
  •     人生の中で出会った「良い言葉」を効果的に用いる
  •     家の図面を描く様に「全体の構成」をきっちり練る

 


3年以降の事業計画は「夢物語」『OODA LOOP』

2019-08-09 06:24:00 | 経営・リーダーシップに必要な事

@「次世代の意思決定スキル」とあるこの書の要点は4つのフェーズ「観察→情勢判断→意思決定→行動」であると言う。PDCAのサイクルから4つのフェーズをループすることだと言う。基本的には最初の「観察」が最も重要でいわゆる「目の付け所」を如何に探し出し、実践できるかと言う事。気になった内容は「スピード経営に計画はいらない」と言う事柄。時代背景から「中長期計画」とは2〜3年計画、3年以降は「ドリーム」(夢物語)であると言う、「そんな先は誰も読めなく、誰も期待しない」と言う事だ。特に初期活動、会社発足から形を売り出す(アイデアから形にする)のに最初から中長期の計画は必要ないだろう。 だが、基本指針、ビジョン・ミッションは最低必要だろう。(起業の初期活動で「メンター」からの教えは最低限必須である)

私の一つの初期活動必須メンター「6感」とは

•You can SEE   (観ること=目の付け所・アイデア抽出)
•You can LEARN  (学ぶこと=過去・未来の市場データ分析・アイデアを形にする)
•You can TOUCH  (感じること=直感的な市場価値と将来思考)
•You can HEAR  (聞こえてくること=市場からのヒヤリング・改善修正)
•You can SMILE  (運を開くこと=プレゼンテーションから顧客アプローチ・市場価値評価)
•You can MEET  (機会を作ること=投資開発・市場拡大思考)
 

『OODA LOOP』チェット・リチャーズ

  • AI、IoT、ビッグデータ、ソーシャルメディアの発達によって、リアルタイムに環境変化のデータを収集し、機敏に判断して行動に移すスキルを高めることが、スピード重視のビジネスのなかで競争優位を築くための鍵になる不確実性の高いビジネス環境に〝計画〟はいらない!
  • OODAループとは? 4つのフェーズ
    「観察→情勢判断→意思決定→行動」
    サイクルではなく、ループさせることで、目の前で起こっている環境に合わせた判断を現場レベルで下し、組織で目的を達成するための意思決定スキル(重要なのは観察)
  • 「観察」Observe
  •             外部情報・状況変化・環境変化・暗黙の誘導統制
  • 「情報判断」Orient
  •             文化的伝統・遺伝的特質・分析統合・過去未来の情報
  • 「意思決定」Decide
  •             仮説決定・暗黙の誘導統制
  • 「行動」Act
  •             テスト行動・環境相互の作用の変化
  • 「要点」
  •             世の中を観察し、関係を導き出す
  •             関係の数学的モデルを定式化
  •             数学的モデルを操作する
  •             モデル操作の結果を解釈する
  • 「ポイント」
  •       改善すべき点を発見する
  •       現状をあるがままに正確に掴む
  •       アイデアを得る
  •       改善案を作成し、実施する
  •       実施した後を確認する
  •       改善の成果を全員で味合う
  • AI時代に求められるスキル!
    収集し、即座に判断して行動に移すという。(スピード重視の経営に計画はいらない)
  • 勝つべくして勝つ組織に変わる!
    ・相互信頼を醸成
    ・直観的能力を活用
    ・リーダーシップ契約を実行
    ・焦点と方向性を与える
  •             求めるリーダーに必須のスキル (管理力から主導力)
  •       目標達成のために権限を現場に委譲

      チームメンバーに同じゴールを目指させること


「女の一分」女の素晴らしい人生『白春』

2019-08-08 08:03:00 | 歴史から学ぶ

@「武士の一分」はよく聞くが、これは「女の一分」である。赤穂浪士47士の一人を夫にもつ妻「旦那様のご最期を見届けるまでは弱音を吐けぬ」を全うしたその努力と周りに対する姿勢を描いた小説である。武士の妻としての役割とその決断・意思は現代では想像を絶するほどである。武士としての定めと武士の嫁となり妻となった女性の定め・心理とその行動をきめ細かく描いた小説は、特に切腹を覚悟でもう二度と会えない夫と別れる時の心理、討ち入りが成功し屋敷で幕府の沙汰を待つ夫の心境、切腹後の知らせと夫の最後の手紙など自分より夫への思いと周りへの心配り、自分の力が尽きる最後までの気配りなど、この「女の一分」は感動ものである。(一寸の光陰軽んずべからず)

『白春』竹田真砂子

  • 赤穂の小野寺十内秀和の京屋敷に女中奉公した、耳の不自由な「ろく」の一人称形式で語られる、女の視点から見られた忠臣蔵。 仲睦まじさが知られた十内とお丹夫妻の結婚は大石内蔵助が勧めたものだったとか、お丹と内蔵助の母親(作中では「久満(くま)女」と記されているが「熊」と書かれることが多いらしい)とが知り合いだったとか、どこまで史実なのだろうか。ろくという人物も、耳が聞こえない設定は小説的にはほとんど生かされておらず、それも史実に基づいているからこそかもしれないと想像される。
     仇討ちが武士の一分を示すものならば、のが女の一分であるというテーマがしっかり描かれた作品である。
  • 注目したことは男武士としての「武士の一分」、ここでは大石内蔵助始め47士の吉良上野介への討ち入りと、武士の妻としての「女の一分」、ここでは小野寺十内の妻お丹が最後まで武士の妻としての志を通し続けた強い意志である。お家断絶から始まった出来事、赤穂城明け渡しから夫切腹の決意、大石内蔵助始め赤穂浪士たちとの隠密裏の行動、親戚関係の諸待遇、財産・持ち物などの一切を売り払い引越し、奉公人などの整理から身の回りの整理、夫関係のあった赤穂浪士への供養など、最後の最後まで生きて生き抜いて、定命を使い尽くして逝ったことである。
  • 夫、十内に対する気つかいと穏やかな姿勢、ろく(耳が不自由な奉公人)に対する優しい声掛け、大石内蔵助の母、お丹の母などに対するお世話介護から葬儀、お墓・墓石のお世話など関係する全ての人々に対する心優しい姿勢と思いやり、 決して弱音を吐かない信念を持っていたこと。また自分の死後のろくに対しての次のお世話先など、最後の最後まで周りに対する心配り、気つかいを怠らず、死が迫った自分に対しても周りに迷惑をかけまいとする気配りなど、素晴らしい「女の一分」をこの小説で知った。
  • 十内がお丹に出した手紙の中には「宝尽きたらば、ともに飢え死にもうさるべく候」、最後の手紙には「むさし野の雪間も見へつ古郷の いもが垣根の草も萌ゆらん」。お丹の最後の歌が「妻や子の 待つらんものをいそがまし 何かこの世に思いおくべき」と遺した。

贅沢な情緒を感じる長旅『すらすら読める土佐日記』

2019-08-06 06:15:00 | 人生を「生かす」には

@情緒に耽る長旅をするのも良いかもしれない。忙しい世の中、時間ばかり気にした現世代に必要な贅沢かもしれない。平安朝時代のゆったりとした時が流れる「すらすら読める土佐日記」を読んだ感想だ。 IT技術の発達のおかげで距離を身近に感じ、時間を節約できた現代、だがその裏に「せっかちな世界」をも作り出し気を休める事なく働き、動き続ける様を醸し出している。その結果、多くのストレスを感じ、病気を併発している輩も多い。携帯を終日利用しない、できない環境は既に無くなり、心のゆとりもないまま後ろ指を刺されたままである。 果たしてその未来はさらに過酷な、あるいは同様な時勢自体になっているだろうか。 「非効率」「非常識」「逆効果」などをトライし不思議な世界が有っても良いかも知れない。(似て非なるもの)

『すらすら読める土佐日記』林望

  • 「土佐日記」
  •             平安朝の時代背景、文化、習慣などその時代の文章構成であるが、男(紀貫之)が女性のたち位置から書いた旅日記である。赴任していた土佐から任を解かれ京都に戻る旅日記、年齢も64歳余り。宮中で活躍していた頃の親しい人々が亡くなり、5歳の娘も亡くし寂しく、侘しい土佐から京都への舟旅、同乗した様々な人々の歌を交え「京都に早く帰りたい」と言う思いがここには多く記されている。
  • 流謫の地としていた土佐に赴任したのは930年から4年、5歳の最愛の娘を亡くし痛切な心情を残した土佐からようやく京都に戻る。長い船旅後も自分の家に辿り着くとその有様から亡くした娘を重ね合わせた心情(子を失った親の心の哀切さ)が伝わってくる。
  • 昔の人々は迷信深い人も多く爪を切ることもいちいち日柄の吉凶を考えたとある。(夜発明を切るな・切るのは丑の日)
  • 長い船旅(934年12月21日〜翌年2月16日)高知浦戸から京都山崎とある。鳴門海峡は当時は難所中の難所として多くの舟が遭難していたともある。また途中海賊も多く夜は出没しないことで舟は闇の夜出航が多かったともある。
  • 「歌」
  •             都出でて君に逢はむと来しものを来しか日もなく別れぬるかな
  •             都へと思ふをものの悲しきは帰らぬ人のあればなりけり
  •             行く先に立つ白波の声よりも遅れて泣かむ我や勝らむ
  •             思いやる心は海を渡れども文しなければ知らずやあるらむ
  •             世の中に思いやれども子を恋ふる思いに勝る思いきかな
  •             なほこそ国の方は見やらるれ我が父母ありとし思えば帰らや
  •             吹く風の絶えぬ限りし立ち来れば波路はいとど遥けかりけり
  •             忘れ貝拾いしもせじ白珠を恋ふるをだにも形見と思うはむ
  •             世の中に絶えて桜の咲かざれば春の心はのどけからまし
  •             君恋いて世を経る宿の梅の花昔の香にぞなほ匂いける
  •             見し人の松の千年に見ましかば遠く悲しき別れせましや

「デフォルト」で騙される『行動経済学』

2019-08-04 08:52:03 | 世界の動きから見えるもの

@AIに於けるデータ解析で見えるのは「デフォルト」を作り出すこと。「デフォルト」は人の行動判断を左右する要因になる。例えば「大多数の人はA社の製品で満足度が高い。理由は・・・」、「ほとんどの人はこの選択肢をしていない」とあると思わず、その気になってしまう。「創られた結果」=「デフォルト」(提供側の都合で作り出したデフォルト)など何が、どれだけ、どうして・・・など近未来はビッグ・データ、AIによる「デフォルト」で騙される世界も多くなるだろう。気をつけたいのは企業側・発信側の数値などをデータの出所・調査数・年齢構成比・層別等正しく理解することだ。ここで言う「デフォルト」とは「標準」「定番」「基準」を指す。(スポーツ・コンピューター・金融での用語意味とは別)物を売るための「デフォルト」は市場を蔓延し始めている。(廬山の真面目)

『行動経済学』ナツメ社

  • モチベーションアップから、販促、集客、投資術まで「ココロ」と「お金」の関係を解き明かす。リチャード・セイラー教授のノーベル経済学賞受賞で注目された「行動経済学」を、マンガと豊富な図解を用いて紹介。ビジネスや暮らしに活きる行動経済学を集め、職場でのモチベーションアップ術から、販売促進、集客、投資術まで、様々な場面に活きる知識が満載です。無駄使い・用事を先延ばしにしていることを見直す経済行動学。
  •       「ナッジ」(Nudge)より良い方に気づかせる誘導
  •       非合理性をカバーする<>自分の利益・強い自制心・計算応力・認知能力が高い
  • 第1章 職場・チームの行動経済学
  •       「やる気の管理」先出ボーナス・未達成で返金する制度
  •       「現金より経験の方が長続きする満足度」ものの満足
  •       「締め切り」日時から時間まで詳細を指定する
  •       「双曲割引」長期より短期間のインセンティブ効果
  •       「約束」周りに宣言・自分で追い込む仕組み
  •       「時給アップ」短期より長期アップが効果あり
  •       「褒美」1位からチームにも
  •       「給与」同僚の給与を教えると生産性下降
  • 第2章 顧客を動かす行動経済学
  •       変化を嫌う癖・確実にもらえるなら少額でも良い
  •       行動は差ではなく割合で比較する(感じ方心理学)
  •       人間はハズレなしが好き・元本保証などが魅力的
  •       とにかく損失を避けようとする
  •       お得なものを選択する心理(組み合わせを選ぶ)
  •             Web購読・紙の本・Webと紙の本の組み合わせ
  •             3つの値段$59・$125・$125
  •       見せ方・言い方次第
  •             「この手術では90%の人が助かります」
  •             「この手術で10%の人が死んでいます」
  •       保有効果=一度手にしたものは手放したく無い
  •       冷静な判断=本当に必要なものは何か
  •       今が最高=今が暫く続くような気がする・変わらずを期待
  • 第3章 自己啓発・社会貢献に使える行動経済学
  •       デフォルトに左右される=多くの人がやっている
  •       他人の目を気にして利他的になる
  •       思いやりは近い人<>社会的距離は異なる
  •       他人との違いを気にする人の寄付
  •       依頼のプレッシャー
  •       仕返しよりもお返しの方が経済的な成功を導く
  •       学校教育は利他性や互恵性(グループ学習・順位付け)
  • 第4章 投資に役立つ行動経済学
  •       連続記録には反転を予想する、確率は50%
  •       人間は直感に頼りがちは落とし穴
  •       他の人と同じような行動をする(横並び行動)
  •       株は晴れた日に購入(天気予報の推測)
  •       銘柄の相関関係に注目・分散投資

人材育成の難しさ『東洲しゃらくさし』

2019-08-03 08:09:25 | 歴史から学ぶ

@「人材を育てる難しさ」。弟子の才能を見出し、将来を見込んで弟子を旅(都から江戸)に出し、最後に自分の下でその才能を開花させたかった師匠、五兵衛は最後まで弟子の面倒ができなかったことを後悔する。弟子は自分自身で掴んだ道を選択、それは義理を返すことが出来なかった人生である。 匠の世界とは別に一般ビジネスを想定すると、如何に人材を育てるかという難局にあう上司の立場かも知れない。「思う通りには部下は育たない」ということかも知れないが、上司は時に厳しく、我慢強く待ち、将来を見据えた変わらぬ姿勢が大切だ。(千里の馬も伯楽に逢わず)

『東洲しゃらくさし』松井今朝子

  • 江戸へ下ると決めた上方の人気戯作者・並木五兵衛。一足先に行って様子を報せてほしい―。頼まれた彦三は、蔦屋重三郎のもとに身を寄せる。彦三に自らを描かせた蔦屋は、顔の癖を容赦なくとらえた絵に息を呑む。彦三の絵を大きく仕掛ける肚を決めた蔦屋。一方、彦三からろくな報せのないまま江戸へ向かった五兵衛には、思わぬ挫折が待っていた―。
  • 「彦三」謎の絵師・写楽である(東州斉写楽)。短期間に百数十種の役者絵・相撲絵などをかき浮世絵の最高峰と称された。最後に深川の郭の部屋で捕物がきた時に発した「もう逃げられぬ。逃げてはならぬ」と・・その後、姿を消した。「彦三」は五兵衛に絵の才能を見出され江戸に下る。ところが奇抜な似顔絵を書かされたことがきっかけで、当時芝居役者等の美人絵が盛んだった江戸に首長絵など奇抜な絵が売れ出した。ところが歌舞伎役者等からの横槍で中止、その後相撲絵などを書くことで大成した。江戸の芝居では「何事によらずわっさりとしたもので、理屈を言うのは野暮と見るのが江戸の気質」であ理、偽りを言えない彦三は芝居役者の偽り絵には向いていなかった。
  • 「五兵衛」は都で名を挙げた芝居の作者であり、江戸でも一旗揚げるべく芝居道具絵師の彦三を遣わし江戸を事前に調べることにした。努力の末29歳で立作者になり所帯を持った五兵衛の浮世狂言は「実」を拠り所して浮世の生半可な「嘘」に仕立てたもので庶民に受けた。そこで、江戸は大阪と違い武家の天下で、お武家は血筋にありさえすれば凡暗でも懐は潤うと江戸での身の生業を重んじて江戸に出ようと考えたのである。ところが身寄りの期待を元に江戸の「嘘」狂言を描いたが都との違いから客入りでは散々な結果をもたらす。最後に自分の思う狂言を世に出し、成功。彦三を再び芝居の絵師として向かいいれようとしたが彦三は自分の道を選んでいた。彦三は五兵衛に対して江戸で出世できたきっかけの義理があったが、役に立たないままとなった。晩年五兵衛は「あまりにも理屈の通らぬ江戸の狂言を、少しは理に詰め込んだものに仕立てたという自負がある。時代の筋の狂言と、世話の筋の狂言を二本立て狂言として興行することを唱えたのも自分である。」