ちょっと気になるいい事、言葉、最新技術

書籍、映画、旅、最新技術から選んだ心に残るもの。速読者向けは、青文字表示。内容は小学生でも理解できる表現使用

「義」から人の「縁」を繋ぐもの『無双の花』

2019-11-10 07:54:18 | 歴史から学ぶ

人の「縁」とは不思議な世界をもたらす。この江戸時代初期、関ヶ原の戦いで敗戦した武将筑後柳川の立花宗茂もその不思議な「縁」と「立花の義」から生き延びた武将である。敗者で故郷を追われた身でありながら、「義」を貫き徳川3代将軍に仕えた最強の守りの武将となった。それは「人を裏切らない忠義」であり、亡き妻との約束を果たすべく苦労した結果、遠縁ではあったが妻の救った姫と最後に夫婦になる事であった。 人の出会い、様々な機会をどのように大切にし、生かしていくかはこの小説を読むとどこかに「縁」(繋がり)があることを悟らせるのは不思議だ。 平和・泰平の世が続くとどうしても権力者が貪欲になり国民を蔑ろにするようになる。人は時間が経つと満足の度合いを忘れてしまう

『無双の花』葉室麟

  • 筑後柳川の立花宗茂は、秀吉の九州攻めで勇名を馳せ、関ヶ原で西軍に属して改易となり、のち旧領に戻れた唯1人の武将である
  • この小説は「西国無双」と言われた立花宗茂の波乱万丈の人生を生き抜いた戦国時代の物語である。朝鮮派兵、九州での戦乱から関ヶ原、大坂夏の陣をへて徳川家光(3代将軍)の側役として、武士の律儀と義を貫き、妻、誾千代との心ずくしが語られている。
  • 立花の義とは」決して裏ぎらない忠心を守ること。 そのことで関ヶ原の戦いの後徳川家康から時間がかかったが重用され、徳川の安泰を守る主と信頼された。
  • 真田の義とは」生き抜く事 義を貫き最後まで戦い続ける事(真田信繁)、「ただ生きているだけでは生きている心地がせぬ。生きた証として武名を遺したい」
  • 宗茂の家臣、雪下は「生きて戻れるとわかっている戦いがあるのなら教えていただきたいものじゃ」(生きて戻れると思って戦いに赴いたことはない)
  • 妻、誾千代の勝負の思い「武門に勝負はつきもの。負けた時にどう生きるかが何より大事じゃ」「必ずや返り咲いて、誰にも負けぬ無双の花を咲かせてくだりませ」
  • 真田信繁と立花宗茂は双方とも戦いで何もかも失う身となる似通った武将であったが、真田は武門の勝負をとことん追求、最後まで戦い続け、宗茂は徳川家康・秀忠・家光への信頼を強固に戦いのない平和を貫く努力をした。 大坂夏の陣後、信繁の子を伊達政宗に口添えした宗茂であった。
  • 妻、誾千代は宗茂を想う気持ちは最後まで添っていたが虚しく一人病死、その時に京都から一人の公家の姫を盗賊から救った。その姫が立花が旧領土柳川への領主として凱旋、後世にはその姫を妻にすることになる。(家康の死から4年後) 妻、誾千代との約束は「大名に返り咲き、凱旋する」は守れたが妻は既に亡く、代わりに助けた姫がその意志を持って嫁いで来た。「女子は大切に思う方が戻ってきてくださるのが何よりも嬉しいのでございます」
  • 徳川家康が秀忠を跡継ぎにした理由は「秀忠が無用の戦いをせぬ男」(戦いが下手だから)だった。また、家康は立花の義を重んじ立花宗茂に秀忠の傍を離れるなと厳命した。
  • 凱旋後、島原の乱が勃発してさいの宗茂の「戦国の世なれば、領民に背かれては大名は立ち行きできませぬ。それゆえ領民に心配りをいたしました。 されど泰平の世となり、油断が生じて気が緩みますれば、己の力を誇りて民を慈しむことを忘れまする

政治とメディアが一体化するとどうなる『驕る権力、煽るメディア』

2019-11-09 08:05:55 | 経営・リーダーシップに必要な事

政治とメディアが一体化するとどうなるのか。政治家の政策情報だけがPR的存在(一方通行)となり発信される、重要なことは政治家・政策の背景にある目論見が読めなくなること。この書にもある例として「5輪建設予算」、「増税・消費税」など様々な疑惑が背景にあっても国民は税金を納めるだけとなり「闇」を隠した政治家の意図、権力でどうにでも操作できることだ。実際、政治とメディアの関係は国民にとって最悪の状態になりつつある、「メディアの凋落」から「国民の個人情報流用」など「権力と金でメディア操作」は国自体が非常事態になる可能性だ。トランプ大統領の「フェイク記事」などの発言は、日本では逆行しつつある。 自由主義から社会主義的な統制が入り込んでいることに要注意が必要だ。 一つ5輪の予算(結局当初の予算から3倍位)で一言。東京都民は都税を多く納めすぎではないだろうか、都税で贅沢できるから諸問題も起こるのではないか? スマートな税の負担と利用を考えたい。

『驕る権力、煽るメディア』斎藤貴男

  • 政府・与党の宣伝機関のような「報道」、一方で、命や人権にかかわる大問題は無視し、ヘイトを煽る……。安倍政権下でひどく歪んだメディアのありようを点検したこの4年間の論考を収録。新聞報道からドラマ、バラエティ番組に至るまで、私たちの意識に深く関わるその問題点を丹念に指摘。良識ある報道へのエールも送る。
  • 「マスメディアの凋落」
    • 新聞・TVなどSNSなどのネット情報の普及とジャーナリストへの不信だ
    • ジャーナリストの奢りによる新聞・雑誌等の部数低下、廃刊
      • 校閲を外部を利用しすることで無責任メディア化となる
      • 「私」など記者名を入れない記事無責任
    • マスメディアの政治・政治家との一体化による公平化減
      • 記者の活動制限を設け、政府に反発する記者は出入り不可
    • キヨスク・コンビニ雑誌消滅
  • 「個人情報をめぐる世代間ギャップ」
    • 年齢が上がるにつれて個人情報提供が強い
    • デジタル貧困層5.4億人・人の価値、AIがはじく
    • AIによる個人情報を分析、その人の信用や将来性をも測る技術が開発
  • 「新聞が5輪がらみの事件を追求しない訳」
    • 5輪のメディアスポンサー(朝日・読売・毎日・日経)となっている
    • 5輪のスポンサー費
      • ゴールドパートナー 100億円以上
      • オフィシャルパートナー 60億円以上 (メディアはここ)
      • オフィシャルサポーター 10億~30億円
    • JOC竹田会長の賄賂容疑は、その後どこも取材記事となっていない
    • 5輪中の首都圏鉄道利用者調査(1日役8百万人利用)とすると午前中の電車の乗車率は200%となり山手線などは停留客が2倍となると予測しているなど報道されない事実
    • 建設予算の変化では当初競技場の予算は500億円が2520億円になり、当初の誘致時点での全体の予算も8299億円が2兆円を超えているが、報道がない
  • 「増税問題に絡む情報が正しく報道されていない」
    • MMTステファニー・ケルトン大学教授の「独自の通貨を持つ国の政府は、通貨を限度なく発行できるため、財政赤字が大きくなっても問題はない」と言う
    • 「人生100年時代」は政府やメディア・企業の宣伝=元気な高齢者報道
    • 米武器追加要求4兆4600億円を約束、増税分額は一気に消える
    • 軽減税率で食品の他「新聞」があるのは新聞社との一体化を目論んでいる
    • 生活維持対象の水道料金・NHK受信料はなぜ軽減税率に入らないのか、それは権力と融合で、公明党の力量で新聞が決定したと言う
    • 政治家・安倍がよく使う言葉「粛々と進めている」など曖昧な言葉が連発

「内観」で自己回想できる『気づきの力』

2019-11-08 07:59:47 | 人生を「生かす」には

「内観」とは内から観る事である。両親・兄弟から「〜してもらった事」「〜してあげた事」「〜に迷惑をかけた事」を回想して自己反省・懺悔する方法だと認識した。これをすることで、人を思い、自分がどれだけ自己満足、自分勝手に人生を過ごしてきたか、そこに周りへの感謝があったのかを知る道標になる。自分に「気づく力」を与えてくれ、周りからの温かい思いを知り、自分の思いを改め見直してくれることだ。

『気づきの力』柳田邦男

  • 「最近の若者は□□だ」(2極論の存在)
    • 自己中心的・世間知らず・礼儀知らず
    • 真剣に自己を見つめようと努力している・新たな挑戦・ポジティブな行動
  • 感性=「手に触れてみる」感触を表現できること
    • 「見る眼」「気づき」が必要
    • 具体的なディーテール(大小感覚・色彩感覚・感触)を記述する
    • 「2.5人称の視点」<>3人称・1人称の立場を考える
  • 「孤独」から生まれる考え方
    • 孤独な時間を大切に、とことん悩んだり、苦しんだり、静寂感を感じる
    • 大人こそ絵本を読む必要がある=想像力と感性を養う
  • 「ダブルバインドの教育再生論」
    • 考える力やコミュニケーション力、不足がちな今の子供
    • モラル教育不足(真の道徳的な考え不足)。
    • 「りんごの木や実を育てるんじゃない、育つのを手助けするだけだ」
    • 何事につけ金銭的な価値で評価する発想が多くなっている
  • 「志の共同体」(志民)
    • 故郷再生・志を持って協力・事を起こす
      • 効率主義や排金主義を捨てた生き方
      • ある物を探す「風に聞け、土に着け、風と土の地元学」
      • 「金がないなら、愚痴ではなく知恵を出そう」
  • 「捏造時代」
    • テレビ・新聞など捏造で番組を作り致命的な結果を出す世の中
    • 研究者の捏造・改竄データなども、その背景が意外な「期待感」
    • 個人レベルでは競争心、名誉欲、金銭欲、スター的野心が原因
    • 原子力・食品事故の隠蔽、捏造、事故原因の改竄:無責任組織
  • 「人材不足」
    • 医師・介護不足などから派生する事件事故
  • 「サイバー・テロ」
    • 国家間の新たな戦争
      • ロシアvsエストニア(4・27サーバーテロ事件)
      • 国の根幹システム崩壊につながる事件(犯人捜査の難しさ)
  • 「尊厳死の困難」
    • 延命治療の高度化に伴い延命期間が長くなり病室不足となる
    • 治療中止の難問はつきまとう=無駄な治療費と介護負担増
    • 僧侶の「即身成仏」自然に死んでいくを希望する
    • 患者に対して「待つ」「傾聴」する事
  • 河合隼雄・瞬間の真実と意味のある偶然
    • その時のその場の真実(同じ事は別の人にもうまくいくとは限らない)
    • 「崖っぷちに立って」初めて分かる真実
  • 内観」とは
    • 両親・兄弟に対して「してもらった事」と「してあげた事」「迷惑をかけた事」を回想する事。それによって両親・兄弟に対して自分の立場を懺悔することが可能となる

春日局が見ていた庭『喜多院』(家光誕生の間)川越

2019-11-06 08:18:57 | 旅行

@川越・喜多院(屋内は重要文化財の為撮影不可)で見つけた春日局が見ていた庭。 穏やかで物静かな遠州流庭園(枯山水)。徳川家光もここで生まれ育った。1611年家康が川越を訪れたときに天海に眼じて建立し、喜多院と命名した。無量寿寺自体は830年に建立したが何度かの家事で焼失している。

 


出世の喜びと衰退の苦しみ『徳山道助の帰郷』

2019-11-06 07:48:54 | 人生を「生かす」には

@「故郷貢献」、昭和の時代までは故郷へ貢献(成功者・立身者)できることは家族、親戚への大いなる喜び以上に、名声が広がることで場合によっては町村を起こし歓待される場合もあった。この徳山道助、陸軍中将まで上り詰めた村一番の出世者は家族の自慢の立身者となり、兄弟、家族の待遇は様変わりした。ところが後年、その名声があることで苦悩する。人は成功した後がどのような結果をもたらすのか知る由もない。 名声は継続するが、地位立場などは変化する。花弁が散って後退・衰退した場合のその待遇は真逆となる。 人はもてはやされている時が「花」、その時に何をしておくべきか準備する必要がある。

『徳山道助の帰郷』柏原兵三

  • 陸軍中将にまで昇りつめた華々しい経歴と、その後の不如意な暮らし―時代の転変とともに屈折していく出郷者の想いを追った芥川賞受賞作「徳山道助の帰郷」ほか、フランス人女性と結婚した画家の秘密めいた生活に迫る「殉愛」、祖母の葬儀の顛末を記す「坐棺」の三作品を収録。平明な文体で、人生の様々な局面をおおらかに描いた早世の作家・柏原兵三の世界をあますところなく示す。
  • 「徳山道助の帰郷」老人となった元軍人の人生回顧録である。決して母は軍人にはしたくはなかったが本人の希望で軍人の道を選び、日露戦争後の凱旋では上層部に着いたこともあり村では大歓迎を受けた。ところが恵まれなかったことは妻が発狂して表舞台に出せなく、帰郷を3回するが妻は一緒ではなかったことである。田舎で唯一軍人で陸軍中将まで上り大成したものは、この村では前代未聞で凱旋の度、地元の歓迎ぶりは英雄扱いだった。だが、支那事変では惨敗し、地位も剥奪されると、軍人年金も止められ帰郷するにも金の工面と対面的なことで苦渋を虐げられ、昔の晴れがましい凱旋帰郷とはいかなかった。また、老人になると、いつまでも支那事変等で多くの部下の犠牲者を出し、自分の勲章とその生き様が辛くのしかかっていた。母の残した言葉「手柄を立てんでもいいから、生きて帰ってきておくれ、勲章などもらえんでもいいぞ。お母さんはな、お前が軍人になるのを許したことを後悔してならん」
  • 「殉愛」日本人の画家がフランス人女性と結婚し、日本で間借りをしながら暮らすことになる。その暮らしぶりを観察模写した小説。 
  • 「座棺」祖母の生前の生活ぶり方、無くなったとの湯灌、座棺への納棺、火葬場での様子などを描いた小説。中でも叔母と祖母との姑問題などが集まった兄弟で昔懐かしく話している。

資本主義の崩壊から「民衆主義」へ『1冊で学び直せる哲学の本』

2019-11-04 08:08:18 | 世界の動きから見えるもの

@古代哲学の考え方から現代、未来を見据えた考え方(哲学的)がこの書に簡単にわかり易くまとめられている。多くの考え方は現代でも通用し、活用されている。気になったのは未来の考え方(最先端の哲学者)という節で「グローバル資本主義」から「グローバル民衆主義」という。ネット経済から個人同士が繋がり大きな波を形成、それが次世代の経済基本になっていくという事は何となく納得し、なりつつあると感じる。それが主となる経済は果たしてどのような世界を生み出すだろうか。 現在の資本主義の崩壊はすぐそこにあると感じる。 ではネットで繋がった個人、グループが如何に経済をリーディングできるか。例として既存店舗ではなくアマゾンからの購入と口コミかもしれない。それとメルカリのような個人売買。今後店舗としての販売はあらゆる商品、てんや物を含めた食品から人的サービスまでネット販売経由で伸びるのは間違いない。そこに生まれるのは「民衆」による出資・融資・投資になるだろう。 今までの銀行の役割もそろそろ終焉を迎える。

『1冊で学び直せる哲学の本』小川仁志

  • 古代ギリシアやローマの哲人たちから近代のデカルトやフロイト、さらには、現代のマルクス・ガブリエルなど、百花繚乱尾の哲学史を噛み砕いて、わかりやすく紹介する。図版や図表も用いて、「見るだけで頭に入る」哲学が学び直せる一冊。
  • 「哲学とは」
    • 知(ソフィア)を愛する(フィロス)=深く、理詰めで考えていく
  • 「哲学・思想の概略」
    • 自然哲学ギリシャの3代哲学者
      • 倫理学 ソクラテス 無知の知 善く生きる事
      • 存在論 プラトン 理想主義とイデア論(理性によって認識)
      • 論理学 アリストテレス 複数の命題から結論を導く
    • ブッタ 縁起(すべての事物は他の事物との関係によってこそ存在する)
      • 「般若心経」「色即是空、空即是色」
      • この世の全ては他との関係の中で一時的に成立しているだけの、空なるものだ。だが逆に考えると、宇宙の様々な関係がここに集約され、物質という形で現象している
    • 儒教 仁や礼による徳治主義 (礼儀・精度・上下関係の規則)
      • 5常=仁・礼・義・智・信
    • 老荘思想 老子・荘子 
      • 無為自然 自然の道に従って生きる
      • 万物斎同 あらゆるものの価値は等しい
    • 大乗仏教の成立
    • キリスト教の成立
      • メシア願望(救世主への期待)
      • 隣人愛(民族を超えた普遍宗教)
    • イスラーム教の成立
      • ムハマンドが預言者となる(唯一神アッラー)
    • 奈良・平安仏教
      • 八百万の神 精霊信仰「古事記」「日本書紀」
      • 最澄(天台宗)と空海(真言宗) 即身成仏
    • 鎌倉仏教・神道
      • 浄土宗の法然(阿弥陀仏)他力に頼る事
      • 浄土真宗の親鸞 (悪人正機説=悪人も救われる)
      • 時宗の一遍 札を配る賦算と踊り念仏
      • 日蓮宗の日蓮 法華経
      • 禅宗系の仏教 臨済宗と曹洞宗 (座禅・自力)
    • 朱子学・国学
      • 江戸時代の藤原惺窩 (理念) 林羅山 (敬・礼・序)
      • 陽明学の中江藤樹
      • 国学の本居宣長と平田篤胤 (復古神道)
    • 大陸合理論 認識論 デカルト 理性によって心理はわかる
      • 我思う、ゆえに我あり 神の存在
    • イギリス経験論 ベーコン
    • ドイツ観念論 
      • 認識論 カント 物自体の心理はわからない
      • ヘーゲル
    • 分析哲学 論理学 フレーゲ
    • フロイト
    • ニーチェ
    • 認識論 フッサール 心理はわからないが本質は感じ取れる
    • 存在論 ハイデッガー
    • 最先端の哲学者の考え
      • アガンベン 利権と尊厳が奪われた後、人間むき出しの生
      • ネグリとハート グローバルの資本主義からグローバルな民衆主義
      • ジジックとフィッシャー いずれ資本主義は崩壊する 加速主義
      • クリステバとバトラー 性差2元論の解体 
      • サンデルのコミュニタニズム (個人自由最優先)
      • 「負荷なき自己はありえない」個人は共同体から価値を受ける
      • AIに心はいつまでの宿らない

迷いは人生の良い経験になる『大阿闍梨酒井雄哉の遺言』

2019-11-03 07:57:54 | 人生を「生かす」には

「信心」を持つことで救われる、とはどの宗教でも言う。しかしその通りである。ここにはいつくかの単純な問答に多くの意味が隠されておりそれを理解するのは自分自身の経験(知識は実践して理解でき意味が解る・迷いは経験)が必要になるとある。それは「我欲」ではなく「利他行」と言い他人のためにかける欲である。「人の役に立つ生き方が自分を生かす」という「行い」が価値を生み出すのだ。 気になったもう一つは虎の意を借りる狐」(聞いたことを他人にひけらかす風潮)。現代のSNS/Twitterでこのことが多数発生しており、嘘(フェイク)も真実に化ける可能性も出てきている現象が怖い。

『大阿闍梨酒井雄哉の遺言』玄秀盛

  • 新宿歌舞伎町で拠点を構え、5万人以上の社会弱者を救済してきた「日本駆け込み寺」代表の玄秀盛氏が、千日回峰行を二度満行した大阿闍梨・酒井雄哉師(2013年9月23日に遷化)と交わした師弟問答を振り返る。師と交わした会話や問答について多くを語ってこなかった著者が、悩み苦しみ、自他の命を軽んじる事件の絶えない現代社会の実情を受け、「今こそ、オレに遺してくれた阿闍梨サンの言葉を伝えたい」と師匠との逸話を紹介する。

・「お経で人が救えますか」救えへん。自分自身の信じる心が救う、お経じゃない

・「悪人を救う意味があるんですか」当たり前や。善人なんかこの世におらん。命は善悪で見るものではない 悩むから悟ことができて、悟から悩みが出て来る、悩みと悟りを行き来しながら生きていくのがええのや

・「命って何ですか」命は作られへんのや。自然に止まるまで止めるな 命はお返しすることで意味がある。それは生かされているからや

・「『生き仏』ってなんですか」学んだことは詰め込んでおくものと違う。実践していって意味がある

・「欲って、持ったらあかんのですか」は必要や。欲が無かったら生きていかれへんから。問題は欲のかけ方や

・「その話を他人に言うてもええですか」同じ言葉が別の人に通じるとも限らん 理解でけへんことを鵜呑みにして、誤解も生まれやすい

虎の意を借りる狐」(聞いたことを他人にひけらかす風潮)

・「金儲けは悪いことですか」いや、使い方の問題や。価値を何倍にも高めた使い方をしないとダメ

・「『一日一生』ってどういうことですか」良きにつけ、悪しきにつけ、全て今日で終わり、明日に持ち越す必要がない 囚われない心。執着しない心

朝の挨拶をすることで変わる

・「生きる意味ってなんですの」人間の生きる価値は「行い」や 奪うから与える生きたかに変えると心の不安がなくなって安寧がやって来る

・「右手と左手はどう違うんですか」清と濁、欲と無欲、光と影、前と悪、両方持っているから人間

・「なぜ答えを教えないんですか」生身を持って生きている自分にふさわしい答えは、その都度変わるものや 迷いは経験になる。足場が定まらんから経験が身にならん

・「生まれてきてよかったんかなあ」人を助けるということはその人の代わりにやってあげることでは無い 自力を奪い取るようなのは人助けでは無い

・「なんで、きついのに歩くんですか」「念」は今の心、「忍」は刀の心、 心のコントロールの仕方が違う

「人間にとって迷いや苦しみがあるのは悪いことではない、迷いや苦しみがあるから悟りもあるんだ」