柴田典子の終活ブログ「エンディングノート知恵袋」

エンディングデザインコンサルタント柴田典子のブログ。
葬儀に関わらず「賢い老い支度」として終活全般のお話もしています。

葬式の慣習で、疑問に思う事

2013年03月05日 | 葬儀の世界
地域によっては通夜に来てくれた会葬者に食事の接待をするところがあります
私の住んでいる横浜でも通夜振舞いをします

通夜が始まり遺族親族の焼香の後に会葬者の焼香があります
会葬者は焼香が終わると席には戻らずに、そのまま会食室へ案内され
軽く食事を頂きその後は三々五々、帰路につきます
遺族に挨拶することもなく故人と対面することもなく帰ります

東京でも、お通夜の流れは同じでしたので
何の疑いもなく、通夜はそうする物だと思っていました

色々な地方に行くようになって
通夜の過ごし方に違いがあることを知りました

横浜の葬儀の現場で、ごくまれですが、「私の読経中は会食に案内せずに焼香後も着席しているように!」
と厳しく注意されるご住職がいました
その時に、「あれ?通夜の手順は決まっている訳ではないのだ」と知りました

そうなんですよね
自分たちが知っている葬式の仕方が「絶対に守るべき手順ではない」のです

考えてみれば
近所の人でも、古い友人でも、焼香後にその場を立ち去り難い人っていますね
「ここにいてもいいですか?」と会食室へ案内しようとしたときに、訪ねられた事がありました

それからはとても人望が厚い方の通夜時には、一言お伝えするようにしました
「焼香がお済になりましたら、ご遺族様がお食事をご用意されておりますので
そちらにご案内いたしますが、読経終了までお付合いいただけます方は
どうぞお席にお戻りください」

すると、何人かは焼香後にもその場にとどまっていただけます

葬儀社という、式に携わるのもの役目は
決まった通りの式を守りきることではない!と気が付きました

その式、その故人、その遺族に合わせて
一番よい別れる場を作ることです

会葬者に通夜振る舞いの無い地域では
通夜の読経後、喪主挨拶があり
そのまま式場の出口に遺族が並び
会葬者を見送るシーンをよく見かけます

送り出される会葬者は
黙々と式場を後にします
遺族に声をかける事もなく、故人と対面する事もなく
ただ、送りだされます

このことを誰も疑問に思いません
明日の告別式に来られない人は
せっかく通夜に来ていながら故人の最後の姿を見ることもできません

これが今行われている通夜の現状です

以前、自宅や寺で通夜をしていた時には
遺族が会葬者を見送る、という「しきたり」はなかったのではないでしょうか?
それなら、誰かがどこかで勝手に作った習慣でしょうか

そういえば結婚式の最後はこのスタイルですね
「より、見栄えよく より、丁寧に」でしょうか?


「それは普通はやらない」
「ここでは無理だ」
「この辺りは、この方法だ」
という言葉を、よく聞きますが
誰を基準にして言っている言葉なのでしょうか?


「100人いれば、100通りのお葬式があります」
葬儀社がよく使うフレーズです

家族の死に、いろんな人が集まってくれて惜しんでくれて嬉しい、良かった
と、遺族が感じる式を
あの人の葬儀だから、時間を都合してでも別れに来て良かった
と、会葬者が感じる式ができるのは
葬儀社の力しかありません

そろそろ
直葬や家族葬だけで勝負するのは卒業にしたいものです