徳沢から蝶ケ岳に登る長塀尾根(ながかべおね)は、取り付いてすぐコメツガ、トウヒ、シラビソなど
亜高山性針葉樹が混生する急な登りになります。
この辺りは薄暗く、湿った林下には、目立った花の咲く植物は見られませんが、そんな環境の
恩恵を受けて生きる植物の姿がみられます。
このギンリョウソウは、そういった植物の典型的なもので、明るく開けた場所では到底生きる
ことのできない生態をもっています。
分類上はイチヤクソウ科になりますが、ご覧いたいておりますように、葉緑素をはじめとする
色素がないために、根を除いては全て真っ白で、光合成は全くおこなっていません。
そのため、必要な養分は林床に落葉が積もってできた腐植土から得ています。
樹木から落葉の提供を受けて生きているので、一見、半寄生植物のようですが、落葉が
吸収可能な養分となるには菌類による分解が必要です。
このため、このギンリョウソウのような生態をもつ植物は腐生植物と呼ばれています。
しかし、自身からはほとんど何も提供せず、樹木と菌類によって保たれている森の再生機能に
ちゃっかり便乗するしたたかさ・・・
一見、弱々しくも見える奴こそ、実はもっとも強い生き方をしているような気がします。
つまらぬ見栄や外見に囚われて生きる者が、はたして本当に強い生き物と言えるのでしょうか?
それでは今日はここまで、皆様ごきげんよう
ギンリョウソウ <イチヤクソウ科 ギンリョウソウ属> 腐生植物