山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

クコ(枸杞)の花

2011-10-24 21:56:13 | 双子葉合弁花

クコは平安時代に中国から薬用として渡来した史前帰化植物と考えられていますが
具体的な渡来の経緯について書かれた史料は残されていないのでよく判っていません。

現在では果実を乾燥させたものを中華食材、または薬用として利用する目的で栽培され
ているものもありますが、大きな川の土手などに普通に生えています。

花期は8~11月で葉腋に画像のような紫色の直径1㌢ほどの花を2~4個束生します。
画像では一部、結実しているのが見えていますが、果実は長さ1.5~2.5㌢の液果で
橙紅色に熟し、食べるとほんのり甘い味がします。

果実を乾燥させたものは、そのままドライフルーツとして食べる他、氷砂糖を加えて
ホワイトリカーに漬けこみリキュールを楽しむこともできます。

一応、全草が薬用とされていますが、葉には少ないながらも有害なアルカロイドが含まれ
ているので、用法や適量については充分な知識を持った専門家による指導が必要です。

クコ <ナス科 クコ属>  落葉低木クコの花

 

 

 

 

 

 




クコの花

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アケボノソウ(曙草)

2011-10-05 17:52:13 | 双子葉合弁花

10月の声を聞くと、どうしても気になって仕方がないのがこの花です。

リンドウ科センブリ属の2年草で、和名は「曙草」。花冠の黄緑色と濃紫色の斑点を
夜明けの星空に見立てた命名だそうです。

そんなことは兎も角として、秋になるとこの花を一度は見ておかなければ気が治まらない
という人は結構多いのではないでしょうか。

私にとってもこの花は特別の存在で、何とか上手く撮ろうと苦心惨憺しているつもりなのですが
未だ、1枚として納得のいく写真は撮れていません。

まあ、所詮素人の自己満足の域を出ることはないので、この程度で楽しんでおくのが
妥当かもしれません。

しかし、それにしても一度くらいは鳥肌の立つほど美しい写真にしてみたいものです

アケボノソウ <リンドウ科 センブリ属>  2年草アケボノソウ

 

 

 

 

 






アケボノソウ







 

 




花冠は5裂し、各裂片の中ほどには黄緑色の蜜腺が2個あって、よく虻や蝿が吸蜜に訪れて
いるのが観察されます。
この様な位置に蜜腺を持つ植物は少ないのですが、雄蕊から近い位置なので昆虫の体に
花粉が付きやすくするための特殊な構造かも知れません。
アケボノソウ














アケボノソウ

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ツリガネニンジン(釣鐘人参)

2011-10-01 18:18:02 | 双子葉合弁花

山の花としてよく紹介されるツリガネニンジンです。
植物学上はサイヨウシャジンの変種とされていますが、日本全国 の山野、高原で最も
普通に見られるのはむしろ本種の方です。

環境は必ずしも山岳地帯というわけではなく、大きな河川の土手や里山の麓でも見る
ことができます。
画像のものは城陽市内の木津川河川敷で撮影したものです。

若芽は山菜として食用に、根は薬用に利用されます。

ツリガネニンジン <キキョウ科 ツリガネニンジン属>  多年草

ツリガネニンジン

 

 













ツリガネニンジン

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ガガイモ(鏡芋)

2011-08-18 06:42:27 | 双子葉合弁花

ガガイモは農地周辺の藪や道路の法面に生える蔓性の多年草です。
横に這う地下茎で繁殖しますが、刈り取りには耐性がないのか、あまり
刈り取り作業の行われない場所での繁殖が目立ちます。

8月に淡紫色の花を総状花序に咲かせますが、花冠は5裂し裂片に
著しい毛を密生させていることから、全体に柔らかい雰囲気を醸し出しています。
花には両生花と雄花があり、ほとんどは両性花でそれに比べ、雄花は一回り
小さいと言われていますが、形はほぼ同じで見分けるのは困難です。

和名は「鏡芋」と書かれるようですが、根には芋らしきものは見当たらず、葉や
蔓の外見がヤマノイモなどと似ているためなのかも知れません。
「ガガ」はスッポンのことで、葉がスッポンの甲羅に似ていることからとする説も
あるようですが、何れにしても名前の由来は定かではないようです。

ガガイモ<ガガイモ科 ガガイモ属>  蔓性多年草

  ↓ 画像はクリックで大きくなります
ガガイモ

 

 

 










ガガイモ







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ガガブタ(鏡蓋)

2011-07-07 06:57:43 | 双子葉合弁花

ガガブタは池や沼に生える浮葉植物で、7~9月に葉柄の基部から多数の花茎をのばし、
先端に白色の小さな花を付けます。

花冠は2㌢ほどで深く5裂し、さらに裂片の縁は糸状に細かく裂けます。
開花しているのは午前中だけで、昼過ぎには水中に沈んで見えなくなります。

比較的、岸辺の浅い所で繁殖し、特に水深の浅い所では水底の泥に根を下ろして定着しますが
水深の深い所では根を下ろさず、水面を浮遊しています。

絶滅危惧種ではありませんが、最近は生息できる環境が少なくなったこともあり
見る機会はかなり少なくなったように思います。

和名は「鏡蓋」で、丸く艶のある葉を鏡に見立てたものですが、ガガはスッポンの別名でもあり
何らかの関連があるかもしれません。

ガガブタ <リンドウ科またはミツガシワ科 アサザ属>  多年性浮葉植物

  ↓ 画像はクリックで大きくなりますガガブタ

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デワノタツナミソウ?

2011-06-27 22:04:28 | 双子葉合弁花

24日の記事で取り上げたタツナミソウの仲間です。
タツナミソウの仲間は種類が多くて同定が難しいのですが、唇形の花の下唇片にタツナミソウや
コバノタツナミソウなどに見られる紫色の斑紋がほとんどない特徴から近畿地方の日本海側に多い
デワノタツナミソウではないかと思われます。

デワノタツナミソウ <シソ科 タツナミソウ属>    

 ↓ 画像はクリックで大きくなりますデワノタツナミソウ?

 

 

 

 

 

  

 



デワノタツナミソウ?















デワノタツナミソウ?

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タツナミソウ(立波草)

2011-06-24 17:32:09 | 双子葉合弁花

タツナミソウは6月頃になると山地の谷筋など、水が流れて少しジメジメとしたような

場所でよく見かけるシソ科の多年草で、和名は穂状に咲く花を打ち寄せる波の波頭に見立てたもの。

花は青紫色の唇形で、基部で曲がって立ちあがり、少し招き猫の手のような雰囲気があります。

下の唇弁は広く、特徴のある濃い紫色の斑点が見られます 。

一部は既に結実しているので、花期はそろそろ終わりに近いのでしょう。

タツナミソウ <シソ科 タツナミソウ属>  多年草  

    ↓ 画像はクリックで大きくなります
タツナミソウ                    















タツナミソウ















タツナミソウ

 

 











タツナミソウ

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オカトラノオ (陸虎の尾)

2011-06-19 20:15:29 | 双子葉合弁花

花の雰囲気はかなり違いますがサクラソウの仲間で、山野の日当たりのよい草むら に生える
オカトラノオです。

6~7月に白い小さな花を総状に咲かせますが、先端に向かって長く伸びる花序の繊細さも
さることながら個々の花の端正で清楚な姿にも人気があります。

花穂は一方に片寄って花が咲き、先端を垂れる特徴がありますが、よく似た花のヌマトラノオ
の花穂は直立し全体にまんべんなく小花を付けます。

和名は長く伸びた花穂を虎のしっぽに見立てたもので、湿地に生えるヌマトラノオと区別する
意味でオカトラノオと呼んでいます。

オカトラノオ <サクラソウ科 オカトラノオ属>  多年草 

    ↓ 画像はクリックで大きくなりますオカトラノオ
















オカトラノオ

 

 

 

 

 

 





オカトラノオ

 

 

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ホタルブクロ (蛍袋)

2011-06-17 19:30:13 | 双子葉合弁花

都市化が著しいと言われる城陽市ですが、全体的には、まだまだ田園都市の性格が強く、市の
中心を少し離れて山沿いの道を歩くと、道端で、こんな花にも出会える自然が残っています。

キキョウ科で、ホタルブクロと呼ばれていますが、一般的には、昔、子供達がこの花の中に
蛍を入れて遊んだことから名付けられたと言われています。

しかし、蛍の飛び交うの時間帯は夜で、暗闇の中でそんなに上手く花の中に蛍を入れられるのだろうか?
それに、そんなに都合良く、近くにこの花が咲いているのかも少し疑問に感じます。

ただ時期的にこの花が咲くのは、蛍の飛び交う時期に合致するので、こういう遊び方もできるかなという
憶測だけのような気がしないでもありません。

ホタルブクロ <キキョウ科 ホタルブクロ属>  多年草

 ↓ 画像はクリックで大きくなりますホタルブクロ

 

 

 

 

 

  

 

ホタルブクロ


 雌蕊の柱頭は成熟すると3裂
  しますが、開花直後は閉じて
   います。
 

 

 

 




ホタルブクロ

 
   花冠の底部では開花時には
  すでに雄蕊の葯が開いていて、
  萎れたようになっています。
  雌蕊と熟する時期をずらすことで
  自家受粉を回避しているのかも
  しれません。

 

 

 

 

ホタルブクロ


 花冠の内部はこのように
 無数の毛に覆われています

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キキョウソウ(桔梗草)

2011-06-10 18:11:41 | 双子葉合弁花

キキョウソウは北アメリカ原産の帰化植物で、河川敷や荒れ地に生える1年草です。
6月頃に咲くキキョウに似た形の花は、小型ながらも中々美しい花です。

春から5月始め頃までは、閉鎖花によって種子を作りますが、その後6月頃に咲く通常の
花は、昆虫を介して他の個体と花粉の交換(遺伝子の交換)する役割を担っています。

つまり、閉鎖花で確実に子孫(種子)を残し、その後、花を開いて遺伝子交換を図るという
2段構えの繁殖システムで、この辺りにも帰化植物の逞しさというか、したたかさを感じさせます。

良く似た遺伝子交換のシステムは、スミレ科にもみられますが、スミレの場合は通常の花で
遺伝子交換を行った後に閉鎖花を付けるので、順序としては全く逆です。


キキョウソウ <キキョウ科 キキョウソウ属>  帰化植物


  ↓ 画像はクリックで大きくなります
キキョウソウ















キキョウソウ

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セイヨウヒキヨモギ(西洋引蓬)

2011-06-01 06:46:11 | 双子葉合弁花

セイヨウヒキヨモギはヨロッパ地中海沿岸原産のゴマノハグサ科の植物で、1973年に千葉県で
最初に生息が確認された比較的、新しい帰化植物です。

その後、全国の大きな河川堤防の法面などを中心に爆発的な広がりを見せていますが、
楽観的な見方をすれば、一部の侵略的外来種を除いて、こういった新参の帰化植物は、
最初に大きな広がりを見せても、その後、在来の植物と数の上での折り合いをつけて
ある程度の数で落ち着くことが多いようです。

何れにしても、今後の成り行きが注目される帰化植物のひとつです。

このヒキヨモギの仲間は、セイヨウヒキヨモギを含め、半寄生植物で、葉緑素を持ち、自ら
光合成によって、養分を作り出す一方、根を他の植物の根に吸着させ、そこからも栄養を吸収
する性質があります。

  セイヨウヒキヨモギ <ゴマノハグサ科 ヒキヨモギ属>

   ↓ 画像はクリックで大きくなりますセイヨウヒキヨモギ

 

 

 

 

 

 

 

セイヨウヒキヨモギ

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ミゾコウジュ(溝香需)

2011-05-22 11:03:57 | 双子葉合弁花

ミゾコウジュ

 


  ミゾコウジュ <シソ科 アキギリ属> 越年草

  昨日、宇治川へ野薔薇を撮りに行って、そこで見付けた
 シソ科のミゾコウジュです。
 環境省RDBで準絶滅危惧種(NT)に指定されていますが
 淀川上流域の宇治川や、木津川の岸辺では比較的
 よく見かける植物です。
 
 近似種のアキノタムラソウやアキギリなど、他のアキギリ属の
 花が秋に咲くのに対して、晩春から初夏に花を咲かせます。

 和名に「香需」と付くので、同じシソ科のナギナタコウジュなど
 の仲間と 思われそうですが、香需はシソ科全般をさす
 中国語で本種はアキギリ属に分類されています。 

     ※ 画像はクリックで大きくなります




ミゾコウジュ

 

 

 

 

 

 

 

 

ミゾコウジュ















ミゾコウジュ

 

花の形を見ると、なるほどアキギリの
 仲間かと思わせる形ですが、
 大きさは3~4㍉のごく小さな花です。

 

 

 

 

 

ミゾコウジュ

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オオカワジシャ (大川萵苣)

2011-04-27 06:46:17 | 双子葉合弁花

カワジシャは環境省のRDBに記載されている絶滅危惧種ですが、こちらはそのカワジシャに似て
姿が大きいことからオオカワジシャと呼ばれています。

4~9月にオオイヌノフグリにそっくりの花を付けますが、草丈は大きいものでは1㍍近くにも
なります。画像の個体は成長過程のようで、まだ約20㌢ほどの高さでした。

このオオカワジシャはヨーロッパからアジア北部原産の帰化植物で、カワジシャと交雑して雑種の
ホナガカワジシャを形成し、その雑種は種子を生産することが人為的交配実験や野外観察で確認され、
在来種の遺伝子撹乱が危惧されています。

 このため、オオカワジシャは、外来生物法の特定外来生物に指定され、栽培や移動が法的に
禁止されています。

これまで関東や中部地方での繁殖が報告されていますが、この京都府南部の木津川でも
確実に生息域を広げているようです。

オオカワジシャ <ゴマノハグサ科 クワガタソウ属> 越年性1年草

   ↓ 画像はクリックで大きくなりますオオカワジシャ

 

 

 

 

 

 

 


オカワジシャ(花詳細)

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タチイヌノフグリ(立ち犬の陰嚢)

2011-04-19 23:19:48 | 双子葉合弁花

イヌノフグリの仲間、タチイヌノフグリです。
ヨーロッパ原産の帰化植物ですが、同じくヨーロッパ原産のオオイヌノフグリが柔らかく湿った場所に
生えるのに対して、こちらはそれよりやや固く乾燥した場所に繁殖します。 

オオイヌノフグリに比べ、目にする機会が少ないのは、絶対数がやや少ないこともありますが、花が小さいうえに、
午前中の限られた時間にしか花を開かないこともその原因のひとつです。

 茎はオオイヌノフグリが地面を這って伸びるのに対して、垂直に立ち上がるところからタチイヌノフグリと呼ばれます。
花弁は小さく、先端が尖っているのが特徴です。

何れにしても、現在私達が目にするこの種の草の殆んどは帰化植物ですが、在来種のイヌノフグリが最近見られなく
なったのは、これらの帰化植物に駆逐されたとするのは誤りで、生息環境の変化による影響が大きいように思います。

元々、 在来種のイヌノフグリは土の少ない石垣などに繁殖していた種類で、それらの構築物が最近では隙間のない
コンクリートに取って代ったことが最大の原因ではないかと考えられます。

タチイヌノフグリ <ゴマノハグサ科 クワガタソウ属> ヨーロッパ原産帰化植物

  ↓ 画像はクリックで大きくなりますタチイヌノフグリ

 

 

 

 

 






 

 



 「フグリ」は睾丸の古い呼び方だそう
 です。
 首を傾げたくなるようなこの名前も、
 この果実の形を見れば納得です。
 確かに似ています。

 

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ヒメオドリコソウ (姫踊り子草)

2011-03-22 20:15:26 | 双子葉合弁花

ヒメオドリコソウはヨーロッパ原産で、シソ科の帰化植物です。
東アジアや北米にも帰化して分布を広げましたが、日本では明治26年東京の駒場で初めて
生息が確認されています。現在では本州の関東以西、四国、九州の各地で雑草化しています。

和名は、オドリコソウを1㌢ほどに縮めたような花が咲くことによります。
茎の高さは10~15㌢程で、上部の葉は画像のように紅紫色に染まります。

花は葉の付け根から数個づつ輪状に付き、葉の間から顔をのぞかせます。
雰囲気は同じシソ科のホトケノザに似ていますが、頭頂部には花を付けません。

ヒメオドリコソウ <シソ科 オドリコソウ属>  越年草 帰化植物

  ↓ 画像はクリックで大きくなります

 

 

 

 

 

 

 







 

 

 

 

 

 





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