相変わらず日曜にぐるっとパスを持って美術館・博物館巡りを続けているが、仕事等で忙しかったり、パソコンが壊れて買い換えたりとあわただしい生活を送っていたのでブログの更新をサボっていた。正直長い記事を一気に書くのはしんどいので今後は少しずつできる範囲で更新していこうと思う。
さて、9月3日(日)には、科学技術館、山種美術館、東京国立博物館の3箇所を訪れたが、今回は東京国立博物館のみ取り上げる。残り2館については余裕があるときに後で書こうと思う。
東京国立博物館の入り口で、3000円を払って「東京国立博物館パスポート」を購入した。このパスポートは、博物館入り口で提示することで、購入日から一年間、東京・京都・奈良・九州国立博物館の常設展を何回でも観覧でき、加えて上記4館の特別展のうち6つの特別展を観覧できるという優れものだ。たいてい特別展料金は1000~1500円はするので、パスポートを持って3つの特別展に行くだけで簡単に元が取れてしまう。今年の10月1日から4000円に値上げされるのでパスポートの購入を考えている人はお早めにどうぞ。
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東京国立博物館パスポート。表紙は当館所蔵の「獅子螺鈿鞍」(鎌倉時代・重要文化財)。
この日の東京国立博物館では常設展のみ開催していた。常設展では定期的に作品が入れ替わるので、目当ての作品を求めて訪れる人もいる(私もその一人)。今回のお目当ては、9月18日までの期間限定で展示中の、酒井抱一の「夏秋草図屏風」(19世紀・重要文化財)。私の大好きな作品だ。
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「夏秋草図屏風」の夏草。
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「夏秋草図屏風」の秋草。
「夏秋草図屏風」は、かつて尾形光琳の「風神雷神図屏風」(17世紀・重要文化財)の裏側に描かれていたが、現在では分離されている。光琳の華やかな金屏風とは対照的に、抱一の屏風は銀地の渋い屏風だ。雷神の裏には、雷雨にはかなげに打たれる夏草と突然の雨でできた水の流れが、風神の裏にはなすすべもなく強風にあおられる秋草と宙に舞う蔦の紅葉が描かれ、天上と地上の情景が呼応する。草花は繊細かつ洗練された美しい姿で表現され、涼しげで澄んだ空気が漂う銀色の背景によく合う。何度見ても飽きなかった。結局この作品の前で30分近く費やしてしまった。
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「風神雷神図屏風」の風神。
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「風神雷神図屏風」の雷神。
なお、尾形光琳の「風神雷神図屏風」は、東京国立博物館の所蔵品だが、現在出光美術館の「国宝 風神雷神図屏風」展に展示されている(http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html)。期間は10月1日まで。興味がある方はこちらもどうぞ。
夏秋草図屏風以外にも印象に残った作品がいくつかあった。以下で紹介。
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喜多川歌麿「婦人相学十躰 浮気之相」(18世紀・重要文化財)。「婦人相学十躰」は、自らを人相学者と気取って様々な気質の女性を描いた歌麿の代表的な大首絵の連作。この連作で歌麿は一躍人気絵師となった。手ぬぐいを絞りながら、振り返る湯上りの女性は、多情で浮かれがちな「浮気の相」の例として描かれる。
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鈴木春信「見立て菊慈童」(重要美術品・18世紀)。菊慈童は中国の仙人で、菊の露の霊薬によって童形のまま不老長寿となったとされている。春信は可憐な少女を菊児童に見立てている。
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安藤広重「名所江戸百景・大はしあたけの夕立」(19世紀)。ゴッホが油絵で模写したことで有名な作品。「大はし」は、隅田川に架かる両国橋の一つ下流にあった橋で現在の「新大橋」で、「あたけ」は新大橋付近の地名。この図では新大橋をはさみ日本橋側から対岸の深川が描かれている。驟雨に襲われ、人々は橋の上で逃げ惑う。斜めに描かれた雨脚が驟雨の激しさを物語る。
法眼円伊「一遍上人伝絵巻 巻第七」(13世紀・国宝)。時宗の開祖・一遍の生涯を描いた絵巻。一遍は鎌倉時代の僧侶で、念仏を広めるために、念仏を唱えながら鉦鼓という楽器を打ち鳴らし大勢で輪になって回る踊念仏や、「南無阿弥陀仏 決定往生六十万人」と刷られた紙札を配る賦算を行って布教した。画面には踊念仏をする一遍達と彼らの周りに群がる人々が描かれる。一遍が訪れた各地の風景や人々の生活が生き生きと表現されている。
この日は本館2階の展示品を見て終わってしまった。東京国立博物館は、本館自体も展示品数が多いが、本館以外にも見るものが多く、作品を全部鑑賞するとなると一日ではきつい。パスポートを持っているのでこれから何か見たい作品がひとつでもあったら気軽に足を運ぼうと思う。
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さて、9月3日(日)には、科学技術館、山種美術館、東京国立博物館の3箇所を訪れたが、今回は東京国立博物館のみ取り上げる。残り2館については余裕があるときに後で書こうと思う。
東京国立博物館の入り口で、3000円を払って「東京国立博物館パスポート」を購入した。このパスポートは、博物館入り口で提示することで、購入日から一年間、東京・京都・奈良・九州国立博物館の常設展を何回でも観覧でき、加えて上記4館の特別展のうち6つの特別展を観覧できるという優れものだ。たいてい特別展料金は1000~1500円はするので、パスポートを持って3つの特別展に行くだけで簡単に元が取れてしまう。今年の10月1日から4000円に値上げされるのでパスポートの購入を考えている人はお早めにどうぞ。
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東京国立博物館パスポート。表紙は当館所蔵の「獅子螺鈿鞍」(鎌倉時代・重要文化財)。
この日の東京国立博物館では常設展のみ開催していた。常設展では定期的に作品が入れ替わるので、目当ての作品を求めて訪れる人もいる(私もその一人)。今回のお目当ては、9月18日までの期間限定で展示中の、酒井抱一の「夏秋草図屏風」(19世紀・重要文化財)。私の大好きな作品だ。
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「夏秋草図屏風」の夏草。
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「夏秋草図屏風」の秋草。
「夏秋草図屏風」は、かつて尾形光琳の「風神雷神図屏風」(17世紀・重要文化財)の裏側に描かれていたが、現在では分離されている。光琳の華やかな金屏風とは対照的に、抱一の屏風は銀地の渋い屏風だ。雷神の裏には、雷雨にはかなげに打たれる夏草と突然の雨でできた水の流れが、風神の裏にはなすすべもなく強風にあおられる秋草と宙に舞う蔦の紅葉が描かれ、天上と地上の情景が呼応する。草花は繊細かつ洗練された美しい姿で表現され、涼しげで澄んだ空気が漂う銀色の背景によく合う。何度見ても飽きなかった。結局この作品の前で30分近く費やしてしまった。
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「風神雷神図屏風」の風神。
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「風神雷神図屏風」の雷神。
なお、尾形光琳の「風神雷神図屏風」は、東京国立博物館の所蔵品だが、現在出光美術館の「国宝 風神雷神図屏風」展に展示されている(http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html)。期間は10月1日まで。興味がある方はこちらもどうぞ。
夏秋草図屏風以外にも印象に残った作品がいくつかあった。以下で紹介。
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喜多川歌麿「婦人相学十躰 浮気之相」(18世紀・重要文化財)。「婦人相学十躰」は、自らを人相学者と気取って様々な気質の女性を描いた歌麿の代表的な大首絵の連作。この連作で歌麿は一躍人気絵師となった。手ぬぐいを絞りながら、振り返る湯上りの女性は、多情で浮かれがちな「浮気の相」の例として描かれる。
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鈴木春信「見立て菊慈童」(重要美術品・18世紀)。菊慈童は中国の仙人で、菊の露の霊薬によって童形のまま不老長寿となったとされている。春信は可憐な少女を菊児童に見立てている。
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安藤広重「名所江戸百景・大はしあたけの夕立」(19世紀)。ゴッホが油絵で模写したことで有名な作品。「大はし」は、隅田川に架かる両国橋の一つ下流にあった橋で現在の「新大橋」で、「あたけ」は新大橋付近の地名。この図では新大橋をはさみ日本橋側から対岸の深川が描かれている。驟雨に襲われ、人々は橋の上で逃げ惑う。斜めに描かれた雨脚が驟雨の激しさを物語る。
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法眼円伊「一遍上人伝絵巻 巻第七」(13世紀・国宝)。時宗の開祖・一遍の生涯を描いた絵巻。一遍は鎌倉時代の僧侶で、念仏を広めるために、念仏を唱えながら鉦鼓という楽器を打ち鳴らし大勢で輪になって回る踊念仏や、「南無阿弥陀仏 決定往生六十万人」と刷られた紙札を配る賦算を行って布教した。画面には踊念仏をする一遍達と彼らの周りに群がる人々が描かれる。一遍が訪れた各地の風景や人々の生活が生き生きと表現されている。
この日は本館2階の展示品を見て終わってしまった。東京国立博物館は、本館自体も展示品数が多いが、本館以外にも見るものが多く、作品を全部鑑賞するとなると一日ではきつい。パスポートを持っているのでこれから何か見たい作品がひとつでもあったら気軽に足を運ぼうと思う。
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