生姜ちくわのぶらぶら山日記

趣味の登山を中心としたブログです。2014年11月より日本百名山登山開始、2018年9月23日全座登頂。

4月23日(日) 白金台で美術鑑賞

2006年04月27日 | 美術館・博物館巡り
この日は、前々から気になっていた「ぐるっとパス」を購入し、白金台にある松岡美術館、国立科学博物館附属自然教育園、東京都庭園美術館の3箇所に行った。

ぐるっとパスは東京都内の国公私立美術館・博物館、都立動物園・水族館の計49施設の入場券や入場割引券がつづられたパスで、使用開始日から2ヶ月間使え、値段はなんと一冊2,000円!パスを使って何箇所か回れば簡単に元が取れるので、美術館・博物館によく行く人には強くお勧めする。現に私はこの日に初めてパスを使い簡単に元が取れてしまった(松岡美術館常設展・企画展入場料:800円、自然教育園入場料:300円、東京都庭園美術館企画展入場料:1,000円 計2,100円)。ぐるっとパスの詳細は、東京都歴史文化財団ホームページをどうぞ。


松岡美術館は、実業家故松岡清次郎氏が蒐集した美術品を一般公開している。美術館の一階では、古代オリエント美術、ヘンリー・ムーアなどの現代彫刻、ガンダーラ仏教彫刻、日本では珍しいインド・ヒンドゥー教彫刻が常設展示されている。静謐なガンダーラ仏教彫刻と、官能的で泥臭いインド・ヒンドゥー教彫刻が気に入る。二階では、東洋陶磁、日本絵画、ヨーロッパ近代絵画からテーマを決め定期的に企画展が主催される。

この日の企画展は中国・朝鮮・ベトナム・ペルシアの陶磁器を展示した「東洋のやきもの展」と、江戸時代から昭和時代に描かれた美人画を集めた「美人画展-古今の女性美」。美人画展には、洋服の女性を描いた作品もあるが、やはり日本の伝統衣装、着物の女性を描いた作品の方が格段に美しく見える。絵画の中だけに限らず、街中でときどき見かける着物姿の女性も老若問わず美しく見える。彼女達を見ると着物がとても欲しくなるが、購入費用と着付けの手間と手入れのことを考えると懐さびしくものぐさな私はなかなか実行に踏み切れない。


自然教育園は、一般の公園・庭園と違い、「自然のありのままの姿を知ってもらおう」との考えを元に、自然に手を加えるのを極力控え、可能な限り本来の自然の姿を残した施設だ。広々とした園内には鬱蒼と常緑樹・落葉樹が茂り、野草が育ち、ときおり鳥のさえずりが聞こえる。都心にいるとは思えないほど自然が豊かで感激する。都会の喧騒から逃れてリフレッシュするには最適の場所だ。園内では数多くのモミジを見かけ、秋にはさぞかし紅葉がすばらしいことと思われる。ぜひ紅葉の時期に再度来園したい。


東京都庭園美術館では、企画展「北欧のスタイリッシュデザイン フィンランドのアラビア窯」展が開催されていた。アラビア窯は、1873年にフィンランドのヘルシンキ郊外アラビア地区に設立された北欧を代表する製陶所で、デザインの水準の高さで世界的に知られる。展覧会では、アラビア窯の設立当初から現代までの作品140点が展示されている。アラビア窯のデザインの変遷と多様な表現を知ることができ、非常に面白かった。展示品の中には手元に置いて日常的に使いたくなるものもあった。

庭園美術館の建物は、元は昭和8年(1933年)に建てられた朝香宮(あさかのみや)邸だ。朝香宮家は明治39年(1906年)に創立された宮家で、戦後皇室離脱した。建物は、当時フランスで流行していたアール・デコ様式で、フランス人デザイナーと宮内庁内匠寮(たくみりょう)が建築に携わった。建物自体が作品で、アンリ・ラパンの内装や正面玄関のルネ・ラリックのガラスのレリーフ等見所が多い。建物内での写真撮影は残念ながら禁止されているが、今年の7月8日(土)~10月1日(日)の非公開の1階小客間の一般公開の際に、写真撮影が特別許可されるので(詳細は東京都庭園美術館ホームページ)、その時期に写真を撮りに来館したいと考えている。



【松岡美術館】



上村松園「春宵」(昭和11年)。桜の花びらが舞う春の宵、緑色の着物の女性が赤い着物の女性にそっと何かを耳打ち、赤い女性はわずかに笑みを浮かべる。品があり柔らかさを感じる作品。上村松園(明治8年~昭和24年)は京都出身の女性画家で、格調高く凛とした女性を描き、昭和23年、女性として初めての文化勲章を受章した。




池田蕉園 「桜狩」(明治45年頃)。夫輝方の「紅葉狩」と対になった作品。屋形船で花見の宴を楽しむ人々を華やかに描く。池田蕉園・輝方は夫婦ともに日本画家で、明治・大正時代に活躍。




池田輝方「紅葉狩」(明治45年頃)。若武者と彼に見とれる三人の美女を描く。



【自然教育園】



木々が豊かに生い茂る園内。




緑がまぶしい。




水鳥の沼。鴨や鷺などの水鳥が訪れる。




水生植物園。



【東京都庭園美術館】



美術館外観。旧朝香宮邸。




日本庭園。




西洋庭園。




正面玄関にあるルネ・ラリックのガラスレリーフ。




大客間。




大客間の扉。




カイ・フランク「キルタシリーズ(後のティーマシリーズ)」(1953~75年。ティーマは1981年~)。フィンランド・デザインの第一人者カイ・フランクは、シンプルで機能的なテーブルウェア「キルタシリーズ」でアラビア窯を世界的に有名なものにした。




作者不詳「アウラ 花のカップ&ソーサー」(1906~14年)。




カティ・トゥオミネン=ニイーットゥラ「ストーリーバードのカラーエクスペリメント ピッチャー」 (1993~95年)。鳥の姿を思わせるピッチャー。




ペッカ・パイッカリ「トイ ソルト&ペッパー入れ」(1994~2004年)。カラフルなおもちゃのよう。



4月13日(木)~15日(土) 金沢旅行(三日目)

2006年04月25日 | 国内旅行
いよいよ金沢旅行最終日。コースは以下の通り。

【コース】

尾山神社~足軽資料館~旧加賀藩士高田家跡~武家屋敷跡野村家~長町武家屋敷跡~老舗記念館~にし茶屋町~西茶屋資料館~寺町~石川近代文学館~石川県庁広坂庁舎~歴史博物館~兼六園


尾山神社は、歴代藩主が住んでいた旧金谷御殿跡に明治6年(1873年)に建立された神社で、初代加賀藩主・前田利家と正室お松の方が祀られている。明治8年に建てられ国の重要文化財の正面の神門は、和洋折衷した竜宮城のような外観で、最上層に5色のギヤマンがはめ込まれたユニークな建物。

足軽資料館は、藩政時代の足軽屋敷2棟を移築した資料館で、足軽に関する資料を展示。旧加賀藩士高田家跡は、旧藩士の屋敷跡に長屋門・土塀・門・池泉回遊式庭園などを再現したもの。武家屋敷跡野村家は、代々奉行職を歴任してきた野村家の屋敷跡で、長町武家屋敷のなかで、唯一公開されている。長町武家屋敷跡は、加賀藩士の中・下級武士の屋敷跡で、黄土色の土塀や用水が張り巡らされた落ち着いたたたずまいは、藩政時代を思い起こさせる。老舗記念館は、藩政時代からの薬種商「中屋」の建物を移築したもので、一階には当時の店先が再現され、二階には金沢の老舗に伝わる生活道具などが展示されている。

にし茶屋街は藩政時代からの歴史を持つ茶屋街。その一角の西茶屋資料館は、茶屋の建物を再現したもので、一階には大正時代に一世を風靡した作家、島田清次郎に関する資料が展示され、二階には茶屋の座敷が再現されている。寺町は文字通り「寺の町」で、忍者寺で有名な妙立寺や、樹齢400年近い山桜がある松月寺(残念ながら開花しておらず)などの寺院が数多く集まっている。

寺町を散策後、兼六園近くの近代建築を見に行く。石川近代文学館は明治24年(1889年)に建てられた赤レンガのハイカラな建物で、旧第四高校の校舎として使用された。隣の石川県庁広坂庁舎は、元は石川県庁舎で、石川県で最初の鉄筋コンクリート建築で、大正13年(1924年)に建てられた。石川県立歴史博物館は、戦前には陸軍兵器庫として使用された3棟のレンガ造りの建物で、第1棟は大正3年、第2棟は大正2年、第3棟は明治42年に建てられた。近代建築を見た後は、兼六園を散歩し、瓢池のそばの茶室で池を眺めながら抹茶を飲んで一服した。以上で観光は終了。

短期間の金沢滞在だったが、加賀百万石の歴史と伝統に触れることができて非常に充実した旅だった。そして、あいにくの天気だったが、美しい満開の桜を満喫できた旅だった。



【写真】



尾山神社のエキゾチックな神門。夜にはライトアップされる。




尾山神社拝殿。




尾山神社庭園。




旧加賀藩士高田家跡の長屋門。




武家屋敷跡野村家の内部。




武家屋敷跡野村家の庭園。




長町武家屋敷跡。




長町武家屋敷跡を流れる大野庄用水。




老舗記念館。




にし茶屋街。




西茶屋資料館。




西茶屋資料館の内部。




石川近代文学館。




石川県庁広坂庁舎。両脇の巨大な木はスダジイ。思わず「♪この~木 何の木 気になる木~」と歌いたくなる。




石川県立博物館。



4月13日(木)~15日(土) 金沢旅行(二日目)

2006年04月21日 | 国内旅行
金沢旅行二日目は、兼六園周辺を観光。コースは以下の通り。

【コース】

兼六園~金沢城公園~西田家庭園・玉泉園~成巽閣(せいそんかく)~石川県立美術館~金沢21世紀美術館


最初は日本三名園の一つで名高い兼六園へ。兼六園への入園には通常入園料がかかるが、桜の開花時期にはなんと無料になる。ほとんどの観光地ではオンシーズンには有料のままもしくは入場料が値上げされるのを考えると、兼六園を管理する石川県は芸術・文化に理解の深い加賀藩の伝統を受け継ぐ故にそのような計らいをするのだろうか・・・単に商売っ気がないだけかもしれないが、入場無料の措置は観光客にはとてもありがたいことだ。

兼六園は、延宝四年(1676)5代藩主・前田綱紀(つなのり)が作庭を始め、歴代藩主が受け継ぎ、幕末の13代藩主斉泰(なりやす)の時代にほぼ現在の姿になった。また「兼六園」の名称もそのころ付けられた。広い園内には、池、曲水、築山、林、茶屋などが巧みに配され、絵になる場所が多く、散策の喜びが尽きない。さらにそこに満開の桜が加わると本当に美しい。ぜひ、かきつばたの咲く初夏、紅葉の秋、一面銀世界の冬に訪れて兼六園のさまざまな表情を楽しんでみたい。


兼六園のそばにある、加賀藩主の居城跡を整備した金沢城公園を観光後、西田家庭園・玉泉園へ。西田家庭園・玉泉園は、朝鮮人から帰化した加賀藩士脇田一族が4代にわたって築いた池泉回遊式庭園で、金沢で最も古い茶室がある。

成巽閣は13代藩主前田斉泰が母眞龍院のために、文久3年(1863年)に兼六園の一隅に建てた邸宅で、一階は書院造り、二階は数寄屋風書院造りと二つの様式が採用されている。一階の部屋の障子の腰板には、蝶、タンポポ、水仙などの部屋ごとに異なった動植物が描かれ、当時非常に珍しかったオランダからのギヤマンがはめ込まれるなど細部まで凝った造りの邸宅だ。写真撮影禁止なのが残念。

石川県立美術館では常設展のみを観覧。国宝「色絵雉香炉」がすばらしかった。「色絵雉香炉」は、江戸時代前期の京焼の陶工、野々村仁清の傑作で、ほぼ等身大の雄雉をかたどった香炉。色彩が鮮やかで美しく、雄雉が飛び立つ前の迫力ある姿にしばしひきつけられる。「色絵雉香炉」はほぼ等身大の雌雉を形にした「色絵雌雉香炉」とペアで展示されている。

平成16年に開館したばかりの金沢21世紀美術館は、「まちに開かれた公園のような美術館」の建築コンセプト通り、公園のようにふらっと気軽に立ち寄れる雰囲気の美術館だった。家の近くにあれば、散歩がてら何度も足を運んでしまいそうだ。

ホテルへの帰り道に、歴史的に貴重な建物がライトアップされているのを何度か見かけた。金沢市では、日没後建物がライトアップされ、観光客の目を楽しませてくれる。毎週土曜夜には市内のライトアップスポットを巡るライトアップバスが運行される(詳細は金沢市観光協会ホームページ)。日程の関係で利用できなかったが、土曜夜に金沢に滞在する人には利用価値があると思う。



【兼六園】



兼六園のシンボル、琴柱灯篭と霞ヶ池。池に浮かぶのは蓬莱島。




花見橋。擬宝珠(ぎぼし)の欄干がある木橋。




曲水。両側にはかきつばた。




梅園。種類によっては咲いている梅もある。




瓢池(ひさごいけ)。




翠滝。水量が多く、涼しげな音を立てて瓢池に流れ落ちる。




北陸の気候の影響か、兼六園の苔は鮮やかな緑色で美しい。


【その他】



金沢城公園・石川門の一部と桜。




西田家庭園・玉泉園




西田家庭園・玉泉園にある、金沢最古の茶室。




石川県立美術館にある、野々村仁清「色絵雉香炉」。




金沢21世紀美術館。




アルゼンチン出身レアンドロ・エルリッヒの「スイミングプール」。美術館の中庭に設置されている当作品は、近くで見ると水泳用プールとそっくりだが、実は透明ガラスの上に深さ約10cmの水が張られているだけで、その下が水色の部屋。部屋へは人が出入りできる。部屋の中に人がいると、上から見下ろした時に人がプールの底にいるように見えて面白い。部屋から水面を見上げても面白い。




インド出身アニッシュ・カプーアの「物体としての空間」。透明なアクリルの立方体の中に空気を入れて空間を作った作品。空間は空中を浮遊する物体のようで、見る角度によって形が変わり見ていて飽きない。



4月13日(木)~15日(土) 金沢旅行(一日目)

2006年04月19日 | 国内旅行
4月13日~15日に二泊三日で金沢を旅行した。金沢ではちょうど桜が見ごろで、幸運だった。ただ、旅行期間中の半分以上は小雨に見舞われ、青空の下で桜を楽しめなかったのが残念。一日目は東山・尾張町を中心に観光。コースは以下の通り。

【コース】

ひがし茶屋街(志摩・懐華樓)~浅野川~大樋美術館~寺島蔵人邸~主計町(かずえまち)茶屋街~尾張町


ひがし茶屋街は、加賀藩が文政3年(1820)にこの近辺に点在していた茶屋を集めて整備した茶屋街で、国の重要伝統的建造物保存地区に選定されている。石畳の通りの両脇には紅殻格子の茶屋が軒を連ね、藩政時代の面影を残した風情ある街並みだった。ここの茶屋は「一見さんお断り」で、茶屋の内部を見る機会を得るのは非常に難しいが、「志摩」と「懐華樓」では有料で内部の見学が可能だ。

志摩は文政3年(1820)に建てられた茶屋で、藩政時代の状態で残された貴重な建物だ。一階は茶屋の主人達の日常生活の場で、二階は客間。薄暗い二階の客間の壁は赤く塗られ、舞や遊芸が披露される控えの間には金屏風や赤い毛氈が置かれ、妖しい雰囲気が漂う。絵画や文学作品で見聞きしていた茶屋の内部を見るのは初めてで、想像以上の美しい空間だった。懐華樓も志摩と同時期に建てられた茶屋だが、モダンな内装に修復されている。古い建築好きの私には志摩の方が好みだ。

ひがし茶屋街近くの浅野川の土手にはところどころ桜並木があった。延々と続く桜並木を期待していた私はちょっとがっかりしたが、桜は満開で美しかったので良しとする。


大樋美術館は、加賀藩の御用窯を務め、およそ340年の歴史を持つ大樋焼を初代から現代にわたって展示している。美術館見学後、寺島蔵人邸へ。寺島蔵人邸は、江戸末期の加賀藩士で画人でもあった寺島蔵人の邸宅跡で、座敷の一部と庭園が公開されている。茶室で抹茶を頂いた後、縁側に座ったり、飛び石の上を歩きながら思い思いに庭園を鑑賞する。庭園はこじんまりとした池泉回遊式庭園(池に水がないが)で、ビロードのような苔と鮮やかな椿の花が印象的だった。

主計町茶屋街は浅野川沿いにある茶屋街。川に面する路地に植えられた桜は満開で、昔ながらお茶屋の建物と浅野川に桜を加えると非常に絵になる。主計町茶屋街を散策後、宿泊先のホテルのある金沢駅方面へ歩く。途中、金沢藩の城下町だった尾張町を中心に江戸~明治時代の木造家屋や昭和初期のモダンな建物を何度も目にする。地元の人達の建物への愛着と誇りが感じられた。



【写真】



ひがし茶屋街。




志摩の客間。




志摩の中庭。




懐華樓の客間




懐華樓の客間




浅野川。




寺島蔵人邸。




寺島蔵人邸の庭園。




主計町茶屋街。




主計町茶屋街と桜並木と浅野川。




昭和初期に建てられた洋館建築。現在はギャラリー。




幕末に建てられた木造家屋。




金沢に行ってきます。

2006年04月12日 | 国内旅行
こんにちわ。週末はいかがおすごしでしたか? 私は9日(日)に散歩に行ってきましたが、現在多忙なためブログを更新できません。来週更新しますのでしばしお待ちを。

さて、明日から二泊三日で金沢に行ってきます。金沢は初めてです。桜がちょうど見ごろと聞いていますのでとても楽しみです。こちらの旅行記も来週掲載しますのでお楽しみに(?)。