この日は、前々から気になっていた「ぐるっとパス」を購入し、白金台にある松岡美術館、国立科学博物館附属自然教育園、東京都庭園美術館の3箇所に行った。
ぐるっとパスは東京都内の国公私立美術館・博物館、都立動物園・水族館の計49施設の入場券や入場割引券がつづられたパスで、使用開始日から2ヶ月間使え、値段はなんと一冊2,000円!パスを使って何箇所か回れば簡単に元が取れるので、美術館・博物館によく行く人には強くお勧めする。現に私はこの日に初めてパスを使い簡単に元が取れてしまった(松岡美術館常設展・企画展入場料:800円、自然教育園入場料:300円、東京都庭園美術館企画展入場料:1,000円 計2,100円)。ぐるっとパスの詳細は、東京都歴史文化財団ホームページをどうぞ。
松岡美術館は、実業家故松岡清次郎氏が蒐集した美術品を一般公開している。美術館の一階では、古代オリエント美術、ヘンリー・ムーアなどの現代彫刻、ガンダーラ仏教彫刻、日本では珍しいインド・ヒンドゥー教彫刻が常設展示されている。静謐なガンダーラ仏教彫刻と、官能的で泥臭いインド・ヒンドゥー教彫刻が気に入る。二階では、東洋陶磁、日本絵画、ヨーロッパ近代絵画からテーマを決め定期的に企画展が主催される。
この日の企画展は中国・朝鮮・ベトナム・ペルシアの陶磁器を展示した「東洋のやきもの展」と、江戸時代から昭和時代に描かれた美人画を集めた「美人画展-古今の女性美」。美人画展には、洋服の女性を描いた作品もあるが、やはり日本の伝統衣装、着物の女性を描いた作品の方が格段に美しく見える。絵画の中だけに限らず、街中でときどき見かける着物姿の女性も老若問わず美しく見える。彼女達を見ると着物がとても欲しくなるが、購入費用と着付けの手間と手入れのことを考えると懐さびしくものぐさな私はなかなか実行に踏み切れない。
自然教育園は、一般の公園・庭園と違い、「自然のありのままの姿を知ってもらおう」との考えを元に、自然に手を加えるのを極力控え、可能な限り本来の自然の姿を残した施設だ。広々とした園内には鬱蒼と常緑樹・落葉樹が茂り、野草が育ち、ときおり鳥のさえずりが聞こえる。都心にいるとは思えないほど自然が豊かで感激する。都会の喧騒から逃れてリフレッシュするには最適の場所だ。園内では数多くのモミジを見かけ、秋にはさぞかし紅葉がすばらしいことと思われる。ぜひ紅葉の時期に再度来園したい。
東京都庭園美術館では、企画展「北欧のスタイリッシュデザイン フィンランドのアラビア窯」展が開催されていた。アラビア窯は、1873年にフィンランドのヘルシンキ郊外アラビア地区に設立された北欧を代表する製陶所で、デザインの水準の高さで世界的に知られる。展覧会では、アラビア窯の設立当初から現代までの作品140点が展示されている。アラビア窯のデザインの変遷と多様な表現を知ることができ、非常に面白かった。展示品の中には手元に置いて日常的に使いたくなるものもあった。
庭園美術館の建物は、元は昭和8年(1933年)に建てられた朝香宮(あさかのみや)邸だ。朝香宮家は明治39年(1906年)に創立された宮家で、戦後皇室離脱した。建物は、当時フランスで流行していたアール・デコ様式で、フランス人デザイナーと宮内庁内匠寮(たくみりょう)が建築に携わった。建物自体が作品で、アンリ・ラパンの内装や正面玄関のルネ・ラリックのガラスのレリーフ等見所が多い。建物内での写真撮影は残念ながら禁止されているが、今年の7月8日(土)~10月1日(日)の非公開の1階小客間の一般公開の際に、写真撮影が特別許可されるので(詳細は東京都庭園美術館ホームページ)、その時期に写真を撮りに来館したいと考えている。
【松岡美術館】
上村松園「春宵」(昭和11年)。桜の花びらが舞う春の宵、緑色の着物の女性が赤い着物の女性にそっと何かを耳打ち、赤い女性はわずかに笑みを浮かべる。品があり柔らかさを感じる作品。上村松園(明治8年~昭和24年)は京都出身の女性画家で、格調高く凛とした女性を描き、昭和23年、女性として初めての文化勲章を受章した。
池田蕉園 「桜狩」(明治45年頃)。夫輝方の「紅葉狩」と対になった作品。屋形船で花見の宴を楽しむ人々を華やかに描く。池田蕉園・輝方は夫婦ともに日本画家で、明治・大正時代に活躍。
池田輝方「紅葉狩」(明治45年頃)。若武者と彼に見とれる三人の美女を描く。
【自然教育園】
木々が豊かに生い茂る園内。
緑がまぶしい。
水鳥の沼。鴨や鷺などの水鳥が訪れる。
水生植物園。
【東京都庭園美術館】
美術館外観。旧朝香宮邸。
日本庭園。
西洋庭園。
正面玄関にあるルネ・ラリックのガラスレリーフ。
大客間。
大客間の扉。
カイ・フランク「キルタシリーズ(後のティーマシリーズ)」(1953~75年。ティーマは1981年~)。フィンランド・デザインの第一人者カイ・フランクは、シンプルで機能的なテーブルウェア「キルタシリーズ」でアラビア窯を世界的に有名なものにした。
作者不詳「アウラ 花のカップ&ソーサー」(1906~14年)。
カティ・トゥオミネン=ニイーットゥラ「ストーリーバードのカラーエクスペリメント ピッチャー」 (1993~95年)。鳥の姿を思わせるピッチャー。
ペッカ・パイッカリ「トイ ソルト&ペッパー入れ」(1994~2004年)。カラフルなおもちゃのよう。
ぐるっとパスは東京都内の国公私立美術館・博物館、都立動物園・水族館の計49施設の入場券や入場割引券がつづられたパスで、使用開始日から2ヶ月間使え、値段はなんと一冊2,000円!パスを使って何箇所か回れば簡単に元が取れるので、美術館・博物館によく行く人には強くお勧めする。現に私はこの日に初めてパスを使い簡単に元が取れてしまった(松岡美術館常設展・企画展入場料:800円、自然教育園入場料:300円、東京都庭園美術館企画展入場料:1,000円 計2,100円)。ぐるっとパスの詳細は、東京都歴史文化財団ホームページをどうぞ。
松岡美術館は、実業家故松岡清次郎氏が蒐集した美術品を一般公開している。美術館の一階では、古代オリエント美術、ヘンリー・ムーアなどの現代彫刻、ガンダーラ仏教彫刻、日本では珍しいインド・ヒンドゥー教彫刻が常設展示されている。静謐なガンダーラ仏教彫刻と、官能的で泥臭いインド・ヒンドゥー教彫刻が気に入る。二階では、東洋陶磁、日本絵画、ヨーロッパ近代絵画からテーマを決め定期的に企画展が主催される。
この日の企画展は中国・朝鮮・ベトナム・ペルシアの陶磁器を展示した「東洋のやきもの展」と、江戸時代から昭和時代に描かれた美人画を集めた「美人画展-古今の女性美」。美人画展には、洋服の女性を描いた作品もあるが、やはり日本の伝統衣装、着物の女性を描いた作品の方が格段に美しく見える。絵画の中だけに限らず、街中でときどき見かける着物姿の女性も老若問わず美しく見える。彼女達を見ると着物がとても欲しくなるが、購入費用と着付けの手間と手入れのことを考えると懐さびしくものぐさな私はなかなか実行に踏み切れない。
自然教育園は、一般の公園・庭園と違い、「自然のありのままの姿を知ってもらおう」との考えを元に、自然に手を加えるのを極力控え、可能な限り本来の自然の姿を残した施設だ。広々とした園内には鬱蒼と常緑樹・落葉樹が茂り、野草が育ち、ときおり鳥のさえずりが聞こえる。都心にいるとは思えないほど自然が豊かで感激する。都会の喧騒から逃れてリフレッシュするには最適の場所だ。園内では数多くのモミジを見かけ、秋にはさぞかし紅葉がすばらしいことと思われる。ぜひ紅葉の時期に再度来園したい。
東京都庭園美術館では、企画展「北欧のスタイリッシュデザイン フィンランドのアラビア窯」展が開催されていた。アラビア窯は、1873年にフィンランドのヘルシンキ郊外アラビア地区に設立された北欧を代表する製陶所で、デザインの水準の高さで世界的に知られる。展覧会では、アラビア窯の設立当初から現代までの作品140点が展示されている。アラビア窯のデザインの変遷と多様な表現を知ることができ、非常に面白かった。展示品の中には手元に置いて日常的に使いたくなるものもあった。
庭園美術館の建物は、元は昭和8年(1933年)に建てられた朝香宮(あさかのみや)邸だ。朝香宮家は明治39年(1906年)に創立された宮家で、戦後皇室離脱した。建物は、当時フランスで流行していたアール・デコ様式で、フランス人デザイナーと宮内庁内匠寮(たくみりょう)が建築に携わった。建物自体が作品で、アンリ・ラパンの内装や正面玄関のルネ・ラリックのガラスのレリーフ等見所が多い。建物内での写真撮影は残念ながら禁止されているが、今年の7月8日(土)~10月1日(日)の非公開の1階小客間の一般公開の際に、写真撮影が特別許可されるので(詳細は東京都庭園美術館ホームページ)、その時期に写真を撮りに来館したいと考えている。
【松岡美術館】
上村松園「春宵」(昭和11年)。桜の花びらが舞う春の宵、緑色の着物の女性が赤い着物の女性にそっと何かを耳打ち、赤い女性はわずかに笑みを浮かべる。品があり柔らかさを感じる作品。上村松園(明治8年~昭和24年)は京都出身の女性画家で、格調高く凛とした女性を描き、昭和23年、女性として初めての文化勲章を受章した。
池田蕉園 「桜狩」(明治45年頃)。夫輝方の「紅葉狩」と対になった作品。屋形船で花見の宴を楽しむ人々を華やかに描く。池田蕉園・輝方は夫婦ともに日本画家で、明治・大正時代に活躍。
池田輝方「紅葉狩」(明治45年頃)。若武者と彼に見とれる三人の美女を描く。
【自然教育園】
木々が豊かに生い茂る園内。
緑がまぶしい。
水鳥の沼。鴨や鷺などの水鳥が訪れる。
水生植物園。
【東京都庭園美術館】
美術館外観。旧朝香宮邸。
日本庭園。
西洋庭園。
正面玄関にあるルネ・ラリックのガラスレリーフ。
大客間。
大客間の扉。
カイ・フランク「キルタシリーズ(後のティーマシリーズ)」(1953~75年。ティーマは1981年~)。フィンランド・デザインの第一人者カイ・フランクは、シンプルで機能的なテーブルウェア「キルタシリーズ」でアラビア窯を世界的に有名なものにした。
作者不詳「アウラ 花のカップ&ソーサー」(1906~14年)。
カティ・トゥオミネン=ニイーットゥラ「ストーリーバードのカラーエクスペリメント ピッチャー」 (1993~95年)。鳥の姿を思わせるピッチャー。
ペッカ・パイッカリ「トイ ソルト&ペッパー入れ」(1994~2004年)。カラフルなおもちゃのよう。