観菩提寺(正月堂)の本尊は秘仏で、33年目毎に開帳を繰り返して来たそうである。㍼57年(1982)がその年であったので次は4年後となる。受付で100円を払うと“秘仏本尊考”という印刷物がもらえる。「本尊は古来、厳重なる秘仏ですからこれを読んで拝観に代えて下さい」とある。本尊の写真、つくられた背景、像形などがおさめられている。その中に、白洲正子女史の言葉も出ていた。 『ほんとうに頭を下げるよりほかにないみたいな、凄まじいものがあって、鑑賞するなんておこがましいことは出来ない。異様な密教的な雰囲気があり、観音様のやさしさじゃなくて怖ろしい山の仏と云った感じがする』
「十一面観音巡礼」の中にも“木津川にそって”というところに記述がある。 『笠置から木津川にそって、十分ほど遡ると三重県に入る。そこに島ヶ原という集落がある。その北側の高台に、観菩提寺という古刹があり、一般的には「正月堂」と呼ばれている。本尊は六臂の十一面観音で、藤原初期の作ということだが、山間にある十一面の中では、もっとも古様で、重厚な姿をしている。仏教の方では、古密教とか雑密とかいうのであろうが、暗い本堂の中で拝んだ時には、何ともいえず神秘的な印象をうけた。仏像というより、神像に近い感じがした。
観菩提寺は、白鳳時代の草創で、はじめは広国寺といった。天平勝宝三年、笠置の千手窟で、十一面悔過法を感得した実忠は、翌四年の正月一日、夜明けの黎明の中に、十一面六臂の観音が出現するのを見、直ちに仏師に命じて彫刻させた。それが今に遣る観菩提寺の本尊ということだが、当初のものではないにしても、そういう感じは伝えている。毎年正月十日(今は二月十日)に、この本尊の前で「修正会」を行うので、以来「正月堂」と呼ばれるようになった。修正会や修二会が行われる寺は少なくないが、正月堂の場合は、奈良のお水取りとまったく同じで、ただ規模が小さいだけである。お水も取るし、松明もあげるし、ダッタンの火天・水天も出る。違う所は民衆の祭と結びついていることで、二月堂のお水取りも、はじめはそういう姿だったであろう。・・・』
何となく読んでいたが、現地を訪れた後読み直すと味わいが違う。鸕宮(うのみや)神社も遠敷明神が実忠和尚の夢枕に立たれた時、岩石が割け、そこから二羽の鵜が飛び出して清水が湧き出たことに由来している。鳥居前にある大きな石灯籠が印象に残った。自然石を使った石灯籠はいろいろな所で見かけるが、これほど大きいのは記憶にない。
JR島ヶ原駅前にある観光案内所でパンフレットをもらったが、大和街道・和銅の道コース、展望コース、やぶっちゃコースなどがあり歴史や自然を感じながら歩くコースがつくられているようだ。今回は寄り道であったが、もう1度じっくりと歩いてみたいと思った。
デジブック 『伊賀・島ヶ原に寄り道』
「十一面観音巡礼」の中にも“木津川にそって”というところに記述がある。 『笠置から木津川にそって、十分ほど遡ると三重県に入る。そこに島ヶ原という集落がある。その北側の高台に、観菩提寺という古刹があり、一般的には「正月堂」と呼ばれている。本尊は六臂の十一面観音で、藤原初期の作ということだが、山間にある十一面の中では、もっとも古様で、重厚な姿をしている。仏教の方では、古密教とか雑密とかいうのであろうが、暗い本堂の中で拝んだ時には、何ともいえず神秘的な印象をうけた。仏像というより、神像に近い感じがした。
観菩提寺は、白鳳時代の草創で、はじめは広国寺といった。天平勝宝三年、笠置の千手窟で、十一面悔過法を感得した実忠は、翌四年の正月一日、夜明けの黎明の中に、十一面六臂の観音が出現するのを見、直ちに仏師に命じて彫刻させた。それが今に遣る観菩提寺の本尊ということだが、当初のものではないにしても、そういう感じは伝えている。毎年正月十日(今は二月十日)に、この本尊の前で「修正会」を行うので、以来「正月堂」と呼ばれるようになった。修正会や修二会が行われる寺は少なくないが、正月堂の場合は、奈良のお水取りとまったく同じで、ただ規模が小さいだけである。お水も取るし、松明もあげるし、ダッタンの火天・水天も出る。違う所は民衆の祭と結びついていることで、二月堂のお水取りも、はじめはそういう姿だったであろう。・・・』
何となく読んでいたが、現地を訪れた後読み直すと味わいが違う。鸕宮(うのみや)神社も遠敷明神が実忠和尚の夢枕に立たれた時、岩石が割け、そこから二羽の鵜が飛び出して清水が湧き出たことに由来している。鳥居前にある大きな石灯籠が印象に残った。自然石を使った石灯籠はいろいろな所で見かけるが、これほど大きいのは記憶にない。
JR島ヶ原駅前にある観光案内所でパンフレットをもらったが、大和街道・和銅の道コース、展望コース、やぶっちゃコースなどがあり歴史や自然を感じながら歩くコースがつくられているようだ。今回は寄り道であったが、もう1度じっくりと歩いてみたいと思った。
デジブック 『伊賀・島ヶ原に寄り道』