日中までは夏日であったが、夜遅く降りだした雨を境に、10℃近くも気温が下がった。これまで支配していた太平洋高気圧が大陸からの高気圧と入れ替わったためだ。服装や寝具の切り替えがついていかない。
いつも通りの布団でも、風呂上りの温もりが体に残っている寝入りばなは問題なかったが、草木も眠る丑三つ時にもなると体が冷えて目が覚めた。「寝冷えをしないように気をつけてください。」という気象予報士の忠告通り気温がグッと下がったことを実感した。
30代から40代前半まで裸足で1年中過ごしたぐらいだから寒暖については元来鈍い方であった。ひょっとしたら小学生の頃に父親に「火の玉小僧」と呼ばれ、体温が高いと刷り込まれたせいかもしれない。当時、冬の時期父親が布団に入る前に、私が20分ばかり父の布団に入り暖めておくというのが仕事だった。冷たい布団に入ると、負けじと体が熱を帯びてくる感じがした。やがて心地よい暖かさになりウトウトしかけた頃「ご苦労やった」と声がかかり、二段ベッドの自分の布団に戻るという具合だった。「さすが火の玉小僧は違う」と言われると役に立っているのやなあと誇らしげな気分にもなった。
大きくなってからも冷たい布団というものは苦にならない。小さい時の刷り込みは大したものである。そんな私でもこの温度変化にはついていけない。急いで少し厚めの布団を取り出した。夏日からいきなり晩秋になったみたいで、秋らしい秋が年々短くなっていくような気がする。
元来、日本の季節はひそかに、しのびやかに移り変わる。というのが一般的であった。中でも、秋の訪れは、平安時代前期の貴族・歌人・書家である 藤原敏行の「秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる」に代表されるように細やかなものだった。
サトウハチローの「小さい秋見つけた」もその流れを汲んだものだろう。
(一)誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
めかくし鬼さん 手のなる方へ 澄ましたお耳に
かすかにしみた 呼んでる口笛 もずの声
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
(二)誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
お部屋は北向き くもりのガラス うつろな目の色
とかしたミルク わずかなすきから 秋の風
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
(三)誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
昔の昔の 風見の鳥の ぼやけたとさかに
はぜの葉ひとつ はぜの葉あかくて 入日色
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
体調管理に気をつけて、短い秋を楽しみたいものだ。
いつも通りの布団でも、風呂上りの温もりが体に残っている寝入りばなは問題なかったが、草木も眠る丑三つ時にもなると体が冷えて目が覚めた。「寝冷えをしないように気をつけてください。」という気象予報士の忠告通り気温がグッと下がったことを実感した。
30代から40代前半まで裸足で1年中過ごしたぐらいだから寒暖については元来鈍い方であった。ひょっとしたら小学生の頃に父親に「火の玉小僧」と呼ばれ、体温が高いと刷り込まれたせいかもしれない。当時、冬の時期父親が布団に入る前に、私が20分ばかり父の布団に入り暖めておくというのが仕事だった。冷たい布団に入ると、負けじと体が熱を帯びてくる感じがした。やがて心地よい暖かさになりウトウトしかけた頃「ご苦労やった」と声がかかり、二段ベッドの自分の布団に戻るという具合だった。「さすが火の玉小僧は違う」と言われると役に立っているのやなあと誇らしげな気分にもなった。
大きくなってからも冷たい布団というものは苦にならない。小さい時の刷り込みは大したものである。そんな私でもこの温度変化にはついていけない。急いで少し厚めの布団を取り出した。夏日からいきなり晩秋になったみたいで、秋らしい秋が年々短くなっていくような気がする。
元来、日本の季節はひそかに、しのびやかに移り変わる。というのが一般的であった。中でも、秋の訪れは、平安時代前期の貴族・歌人・書家である 藤原敏行の「秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる」に代表されるように細やかなものだった。
サトウハチローの「小さい秋見つけた」もその流れを汲んだものだろう。
(一)誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
めかくし鬼さん 手のなる方へ 澄ましたお耳に
かすかにしみた 呼んでる口笛 もずの声
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
(二)誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
お部屋は北向き くもりのガラス うつろな目の色
とかしたミルク わずかなすきから 秋の風
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
(三)誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
昔の昔の 風見の鳥の ぼやけたとさかに
はぜの葉ひとつ はぜの葉あかくて 入日色
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
体調管理に気をつけて、短い秋を楽しみたいものだ。