表紙は、『廃簏詩稿』(はいろくしこう)と『波の藻屑』(なみのもくず)
『廃簏詩稿』は、垂水島津家第十代島津貴澄の漢詩集で、
寛政十一年(1799)に刊行。
貴澄の旅吟や送別の詩、四季折々の詩など。
『波の藻屑』は、時の家老伊集院氏によって編まれた、
当時の垂水人士の和歌を収めた歌集。
天保六年(1835)刊行。115名、1997首。
四季、恋歌に見られる風雅はもとよりのことながら、
ことに雑の部では、雑・離別・哀傷・釈教・雅などに分かれ、
内容が豊富で、
なかには源氏物語や平家物語、漢籍、経典に題材を求めて読んだものや、
孝行の幼な子の哀れな事実譚についても記し、
当時の垂水の教養や人々の情の程と共に、
日常生活の中に如何に深く歌の道が根付いていたかが
うかがえるものとなっているそうだ。
安永8年(1779)の櫻島噴火の記録や
西南戦争に従軍し若くして散った
郷土の士を讃えた漢詩(墓誌)などの端々に
漢籍や中国の故事などを引用してあり、
その教養を垣間見ることはできると思います。
この冊子は、
文献史料や石碑などの史料を駆使して
当時の時代考証の一端を示していて、
古代クマソの考証から、
大隅各地に残る疎水・開田の記録、
櫻島噴火の記録の石碑や墓碑銘の解読、
「竹内宿禰の実在性と出自」や
「西郷隆盛と朝鮮国」の論考等々かなり内容豊富です。
同時掲載の短歌
森山良太氏(鹿屋市在住)の
短歌「木の祭りー中津神社の鈎引き祭りー」30首
の中から6首を紹介
関八州なべてトウキョ―と呼ぶわれら熊襲の裔(すゑ)は土を耕す
ふかき皺額にきざめる老いばかり神木伐ると山に入りゆく
神木を仰ぎ居ならぶ男(おんじょ)たちまづ竹筒の芋焼酎を呑む
行司吼え舵(はな)取り吼え引き手吼え豊作得むと相つかみ合ふ
そそり立つ雄木(をぎ)の男根に太股の雌木(めぎ)乗し掛けてつくる種籾
稔りよき種籾生れぬ ひたすら蒔きひたすら植ゑて神事果てたり
他にも短歌会や俳句会の会員さんたちの作品も掲載されています。
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個人的には熊襲に関する記述が大変興味深かったです。
詳しくは、この冊子をご覧ください。
大隅史談会会長は、瀬角龍平
(瀬角さんは、大学の同級生で東洋史専攻だった)
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〒893-0064
鹿屋市西原3-8-17
白井森芳
定価2000円
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