2016年06月26日プレイリスト
「『WARNER POP MUSIC NUGGETS』特集」
1. 希望という名の光 / 山下達郎 "レイ・オブ・ホープ"、"オーパス"
2. HIPPY HIPPY SHAKE / CHAN ROMERO "WARNER POP ROCK NUGGETS VOL.1" '59
3. LONELY GUY / THE GALLAHADS "WARNER POP ROCK NUGGETS VOL.1" '60
4. THIS BOUQUET / DAVID JONES "WARNER POP ROCK NUGGETS VOL.1" '65
5. SPANISH ARMADA / MEL TAYLOR "WARNER POP ROCK NUGGETS VOL.1" '66
6. MY BABY MADE ME CRY / JIMMY GRIFFIN "WARNER POP ROCK NUGGETS VOL.2" '64
7. CAN'T HELP LOVIN' THAT GIRL OF MINE / DANNY AND THE MEMORIES "WARNER POP ROCK NUGGETS VOL.2" '64
8. HE DON'T LOVE YOU (AND HE'LL BREAK YOUR HEART) / LEVON AND THE HAWKS "WARNER POP ROCK NUGGETS VOL.2" '65
9. GOOD LOVIN'/ THE OLYMPICS "WARNER POP ROCK NUGGETS VOL.2" '65
10. COME BACK BABY / THE STOPPERS "WARNER POP ROCK NUGGETS VOL.2" '66
11. GO AWAY LITTLE GIRL / THE HAPPENINGS "WARNER POP ROCK NUGGETS VOL.2" '66
---------------------------------------------------
■内容の一部を抜粋
・近況
先週、達郎さんは風邪を引いてしまったのだという。珍しく熱が出て一週間棒に振ってしまったそうだ。そのあいだ歌詞を書いていたとか。薬を飲んで安静にしていたおかげで良くなって、今週からまたスタジオに復帰するとのこと。締め切りが迫っているという。
・「WARNER POP MUSIC NUGGET」特集
今週来週はワーナーのコンピレーションの特集。6月22日に『WARNER GIRL GROUP NUGGET』がVOL.6とVOL.7、『WARNER POP ROCK NUGGET』がVOL.1からVOL.4、計6枚リリースされた。特に「WARNER POP ROCK NUGGET」はワーナーに最近転がり込んできたブリティッシュものなどいろんなカタログを網羅していて、かなり濃いコンピレーションになっているという。イギリスのエース・レーベルに勝るとも劣らない濃い内容になってるそうだ。今週来週の二週間でできうるかぎりやるとか。今週は『WARNER POP ROCK NUGGET』のVOL.1から、できるならVOL.3のあたままで。
・希望という名の光
病気と闘っている奥様のためにご主人から「希望という名の光」のリクエスト。
・HIPPY HIPPY SHAKE
「WARNER POP ROCK NUGGET」VOL.1のタイトルは『Magic Town』で、バリー・マンが書いたザ・ヴォーグスの名作が収録されているのでタイトルになっている。この中から「HIPPY HIPPY SHAKE」。1964年、スウィンギング・ブルージーンズのヒット曲で知られているが、そのオリジナル・ヴァージョンでヒスパニック系のチャン・ロミオ。モンタナ生まれでリッチー・ヴァレンスにかわいがられてデビューした。彼の1959年の自作。ヒットしなかったが今ではスタンダードになった。ドラムはアール・パーマー、ギターはバニー・ケッセル。
・LONELY GUY
「WARNER POP ROCK NUGGET」VOL.1のあたまのところはデルファイ・レーベルがずらりと並んでいる。デルファイといえばドゥーワップ。シアトル出身の4人組の黒人ヴォーカル・グループ、ガラハッズの1960年の「LONELY GUY」。達郎さんが高校生の18歳くらいのときに、ラジオのジム・ピューターズ・ショウ(達郎さんをドゥー・ワップの泥沼にのめり込ませたラジオ番組)でこの曲がかかっていて、「なんていい曲なんだろう」と思って、その頃はレコードなんて絶対手に入らないから、オープンリールで録ったテープを聴いていたという。ガラハッズにはワッツ・103丁目ストリート・リズム・バンドのメンバーになるチャールス・ライトが在籍していた。このレコーディングはバリー・ホワイトがドラムを叩いているという説がある。
・THIS BOUQUET
「WARNER POP ROCK NUGGET」は皆川勝さんが詳細な解説を書いているそうだ。1965年、モンキーズのデイビー・ジョーンズが、アメリカに渡る前にイギリスのコルピックス・レーベルからデイヴッド・ジョーンズ名義の作品を出している。「THIS BOUQUET」はウェスト・コーストのグループ、パレードのスモーキー・ロバーズとマレー・マクレオドの作品。アレンジとプロデュースはハンク・レヴィン。
・SPANISH ARMADA
達郎さんの好きなメル・テイラーの1966年のソロ・シングル「SPANISH ARMADA」(邦題「無敵艦隊」)。達郎さんは中学3年のときにこのシングルを買ったそうだ。もともとはレス・リード・コンボが1964年にリリース。皆川さんの解説によるとイギリスのニュース番組のテーマ・ソングだったとか。
「WARNER POP ROCK NUGGET」VOL.1には世界初CD化の作品が何曲か収録されている。ジャズ・コーラス・グループのハイロウズの「SILLY BOY」、ジェームス・ダーレンがトニー・ハッチの曲を歌った「IF I COULD ONLY TELL YOU」など4分の3以上が日本初CD化。「作ってるA&Rの宮治淳一さんのですね、高笑いが聞こえてきそうであります。どうだ!」と達郎さん。
・MY BABY MADE ME CRY
「WARNER POP ROCK NUGGET」VOL.2は『Go Away Little Girl』というタイトル。11曲目に入ってるジミー・グリフィン。デヴィッド・ゲイツと共にブレッドをやっていたジェームス・グリフィンが、ブレッドの前に出した1964年のソロ・シングル「MY BABY MADE ME CRY」。5枚目のシングルのB面。皆川さんの解説によるとオハイオ生まれでメンフィスに引っ越したら、近所に住んでたジョニー・バーネットとドーシー・バーネットの兄弟と幼馴染になって、その縁でリプリーズのデビューにこぎつけたという。
・CAN'T HELP LOVIN' THAT GIRL OF MINE
ドゥーワップのダニー&ザ・メモリーズの1964年の「CAN'T HELP LOVIN' THAT GIRL OF MINE」。このグループはクレイジー・ホースの前身として知られている。「CAN'T HELP LOVIN' THAT GIRL OF MINE」はスタンダード・ナンバー。皆川さんの解説によるとリーダーズの1956年のシングルが最初のドゥーワップ・ヴァージョンではないかと書かれている。ダニー&ザ・メモリーズの「CAN'T HELP LOVIN' THAT GIRL OF MINE」にはニール・ヤングが入ってるという噂があるけれど、皆川さんの解説ではニール・ヤングは入っていないとか。この後、ダニー&ザ・メモリーズからロケッツ、サイクルと名前を変えてクレイジー・ホースになってゆく。
・『WARNER POP ROCK NUGGET』特集
今週は時間の関係で『WARNER POP ROCK NUGGET』VOL.1とVOL.2まで。来週3と4。3週間の特集になるそうだ。
・アカペラのジングル
リスナーから「以前はCM前のジングルが数タイプありましたが、最近はアカペラのタイプしか使われてません。もしかして誤って消してしまったとか? 謎は深まるばかりです。あるようならリクエストしたいです」というお便り。
「あるそうです。そのうち使ってくれるでしょう。あのその裁量は僕にはないのでスイマセン。(番組の)ディレクターのヤマギシ女史が全部掌握しておりますので」と達郎さん。
・HE DON'T LOVE YOU (AND HE'LL BREAK YOUR HEART)
日本初CD化。リボン&ザ・ホークスは後のザ・バンド。ザ・バンドがロニー・ホーキンスと別れたあとでアトコから数枚シングルを出している。1964年のシングル「HE DON'T LOVE YOU (AND HE'LL BREAK YOUR HEART)」はロビー・ロバートソンの作品。「これライナーにはフィリップ・サイド、B面だとなってますが、1968年に再発されるんですね、アトコから。バンドの「THE WEIGHT」のヒットを受けてですね。そのときにこの曲を書いてますが、こっちがA面じゃないかというふうに僕は思いますが。いずれにせよ、これ誰が歌ってるんでしょうね。リボン&ザ・ホークスですからリボン・ヘルムなんでしょうけれど、なんかリチャード・マニュエルのように聴こえますがね(笑)。この掠れた感じ。まだバンドがいろいろと探ってる時代の作品でございます」と達郎さん。
・GOOD LOVIN'
オリンピックスの「GOOD LOVIN'」はラスカルズの1966年のNO.1ソング。ラスカルズがウェスト・コーストでライヴをやってるときにラジオからこの曲がかかってきて、それをカヴァーしたらラスカルズのヴァージョンがヒットしたという。オリンピックスのヴァージョンは1965年、全米81位。実はこの曲には更に前があって、アラバマ出身のR&Bシンガーのリミー・スネルがLemme B. Goodという変名でリリースしたのが「GOOD LOVIN'」の本当のオリジナル・ヴァージョン。
・COME BACK BABY
『Go Away Little Girl - Warner Pop Rock Nuggets Vol. 2』に入ってる世界初CD化の作品。歌っているのはザ・ストッパーズという黒人ヴォーカル・グループ。「COME BACK BABY」は1966年の作品で、イギリスのノーザン・ソウルではめちゃくちゃ高い一枚。オリジナルはニューヨークの女性黒人シンガーのロディ・ジョイ。レッド・バード・レーベルで1965年にリリースされた。どちらもヒットはしていない。ザ・ストッパーズのレコードは何回もオークションで落とし損ねて達郎さんはまだ持ってないのだという。「ザ・ストッパーズの作品はこれ一枚でありますが。1番から2番に移ると1番のメロディがファルセット、オクターブ上がるというのがなかなか渋いアレでございます。レーベルがジュビリーなのでたぶんニューヨーク近辺のグループだと思われますが全くわかりません」と達郎さん。
・ポップコーン
リスナーから「ジェームス・ブラウンが1969年から1970年にかけてリリースした曲に"POPCORN"を含むタイトルが複数あるのは何故なんでしょうか? この頃"POPCORN"というダンスがあったと聞いたことがありますが、JBはそのダンスがお気に入りだったのでしょうか?」という質問。
「あの"POPCORN"というダンスです。で"POPCORN"という曲が流行ったら、もうそれで二番煎じといいましょうかですね。そういうの好きなんです、あの人。"HOT PANTS"とかですね。あのダンス・ミュージックです。ドッグとかバードとかですね、ペンギンとかモンキーとかですね、いろんなものがあります。ハッスル、ランバダ、今でも変わりません。ダンス、なんか流行ったらもう全部それになります。驚くには値しません」と達郎さん。
・GO AWAY LITTLE GIRL
達郎さんの青春の一曲。先ほどのメル・テイラーの「無敵艦隊」と同時期の1966年の作品。ハプニングスの「SEE YOU IN SEPTEMBER」に続くセカンド・ヒットが「GO AWAY LITTLE GIRL」で全米12位。スティーブ・ローレンスの1966年の全米NO.1「GO AWAY LITTLE GIRL」をカヴァー。キャロル・キングとジェリー・ゴフィンの名作。この時期いわゆる8ビート・ミュージックがミドル・オブ・ザ・ロードにどっと流れ込んできた時代で、それまでのスウィングしたもの、それからハチロク、そういうものからロッケンロールな8ビートでミドル・オブ・ザ・ロードを展開する西の雄がリック・グラッサーがプロデュースしたザ・ヴォーグス。メル・テイラーもリック・グラッサーがプロデースした。そして東の雄がトーケンズがプロデュースしたハプニングス。スティーブ・ローレンスの「GO AWAY LITTLE GIRL」はのんびりしたものだったが、8ビートでハーブ・バーンスティンのアレンジする展開するロッケンロールなヴァージョンに変身させている。
■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
2016年07月03日は、引き続き「『WARNER POP MUSIC NUGGETS』特集」
http://www.tatsuro.co.jp