2014年01月26日プレイリスト
「極私的・青山純追悼 Part 2」
1. プラスティック・ラブ(LIVE)/ 山下達郎 "ジョイ" '89
2. BLOW / 山下達郎 "レアリティーズ" '02('92)
3. ハイティーン・ブギ / 近藤真彦 '82
4. GET BACK IN LOVE / 山下達郎 '88
5. LOVELAND, ISLAND / 山下達郎 "フォー・ユー" "オーパス" '82
6. ピンク・シャドウ(LIVE)/ 山下達郎 81/12/28 中野サンプラザ
7. メリー・ゴー・ラウンド (LIVE Drs. & Bass) / 山下達郎(青山純&伊藤広規) "ジョイ" '02
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■内容の一部を抜粋
・近況
まりやさんの新曲が入って来て今月いっぱいが締め切り。そろそろミックス・ダウン。2月にも仕事が入って来てるそうだ。
・極私的・青山純追悼 Part 2
先週に引き続いて今週も「極私的・青山純追悼」特集。
・プラスティック・ラブ(LIVE)
1989年の達郎さんのライヴ・アルバム『JOY』からまりやさんのカヴァーで「プラスティック・ラブ」。1986年7月31日、中野サンプラザでのライヴ・ヴァージョン。
「プラスティック・ラブという曲は青山純でないと、この感じが絶対に出せないというですね、彼のスタイルの中でも白眉の出来でございます。さらにまりやのヴァージョンよりアップテンポでやっておりますのでですね、神業と言っていいような(笑)、プレイが光ります」と達郎さん。
・BLOW
先週も今週もすべての演奏は青山純さん(ドラム)、伊藤広規さん(ベース)による演奏。ここに達郎さんが加わり3人で、ちょっと暇があれば練習スタジオに入って、パターンを作って練習していたのだとか。その結果できたパターンを使って3人でレコーディングするということが'80年代の半ばから増えてきたのだという。この曲もその中の一曲で1992年のレコーディング。アメリカズ・カップというヨット・レースのために作った曲。2002年のアルバム『RARITIES』でアルバム化された「BLOW」。達郎さんの大好きな曲。なかなかライヴでやれる機会がないが、またやれたらと思ってるそうだ。
「ヨットに合うサウンドとは何かと模索してたら、このビートになりましたが。ひじょうに演奏の難易度の高いんですけれども。これは青山くんと伊藤広規のですね、二人でなければ演奏できないという、このスピード感が彼らの持ち味でございます」と達郎さん。
「こうお聴きをいただきますと、先週の前半にお聴きをいただきましたロックンロール、それからプログレ系、そうしたサウンドと全然違う音楽を演奏できるという、このリズム・セクションのフレキシヴィリティ、引き出しの多さに驚愕をいたしますが。そういうものなので'80年代からスタジオ・ミュージシャンとして大活躍をはじめます。とにかく枚挙に暇がありませんですけれども。きょうはそういうものはかけません(笑)」と達郎さん。
・ハイティーン・ブギ
青山純さんのドラム、伊藤広規さんのベース、難波弘之さんのキーボード、達郎さんのギターでレコーディングされた作品で、近藤真彦さん1982年の「ハイティーン・ブギ」。達郎さんはほとんどアイドルに曲を提供してないので、ひじょうに珍しいパターン。リード・ギターは矢島賢さん。
・GET BACK IN LOVE
青山純さんはバラードを演奏するのが好きだったとか。リムショットで静かにやるバラードを延々とやるのが好きだったそうだ。バラード関係でもいかんなくテクニックが発揮される。こういうのは白眉。1988年のシングル「GET BACK IN LOVE」。このときはソナーのドラムだが、底が抜けてるセットだったのでいつもと違うチューニングの音がしている。
・LOVELAND, ISLAND
達郎さん、青山純さん、伊藤広規さんの3人で作ったパターン・ミュージックのパターンは3人でアイディアを出しあって作って、難波弘之さんが、椎名和夫さんが後から加わってひとつの曲に出来上がるというシステムだった。その時代のいちばん充実していた時代は1980年から'80年代の中期にかけての諸作品で、なかでもそれが結晶となって現れたのが1982年のアルバム『FOR YOU』。「LOVELAND, ISLAND」はラテンフレーバーの曲なのだが、キックのちょっとしたパターンの工夫、ベースのちょっとした工夫を5人で考えてひとつの曲にする、アレンジの原案は達郎さんだが、みんなが少しずつ手を加えて行って完成度が高くなって行くという時代だった。1981年のレコーディングなので青山純さんはまだ24歳。「恐るべきテクニックでございます(笑)」と達郎さん。
・スケジュール帳
サンデー・ソングブックは昨年2013年11月10日に放送1100回を突破。本日で1111回。ここからまた22年目に向かって躍進中。そこでリスナーのみなさんの日頃のご愛顧に感謝してプレゼントを用意している。「サンデー・ソングブック」の新しいロゴが入った文庫本サイズのスケジュール帳。50名にプレゼント。2014年の4月スタートの年度スケジュール帳。締め切りは2月28日の金曜日。
・プレゼント
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」プレゼント係
http://www.tatsuro.co.jp
・ピンク・シャドウ(LIVE)
青山純さんの追悼特集も時間がなくなってきたのでベスト・オブ・ベスト・プレーを選曲。ライヴ・レコーディングの中から番組では何度かかけてるものの公式には製品化されてない「ピンク・シャドウ(LIVE)」。1981年12月28日に中野サンプラザでのライヴ・ヴァージョン。1982年のアルバム『FOR YOU』の発売前で、5人のリズム・セクションによるライヴのベスト・オブ・ベスト。次のライヴ・アルバム『JOY 2』に収録予定。ライヴ・アルバム『IT'S A POPPIN' TIME』のテイクよりもこちらのほうが優れていると達郎さん。ブレッド&バターのカヴァーで、このときのツアーはEPOがトップ・コーラスで参加している。
山下達郎 : 彼は左利きなんですが、普通の右利きと同じスタイルでドラミングをしますので、左がひじょうに強い人なので、ライヴをご覧になった方よくご存知ですけれども、カウベル叩きながらスネアを叩くという曲芸みたいな技をできるのは左利きならではでございます。あとは野球部出身なので足腰がひじょうに強い。小柄なんですけれども脚力がひじょうにあるので、ああいうキックが実現できたということであります。ここ十年くらい身体の状態が今イチだったので、私の3時間半のライヴに体力的になかなか耐えられないので、ここ十年間くらい私のライヴから遠ざかっておりました。そういうこととは関係なしに'80年代、'90年代、2000年代、日本を代表するトップ・ドラマーであり続けました。心より冥福をお祈り申し上げます。
今までですね、まぁ、いろいろなお便りをいただいているんですけれども。何度か演奏メンバーを替えてまいりました。その度に先週もちょっと申しましたが、スタッフに反対されましたし、以前の方がよかったという保守的なお客様も大勢いらっしゃいました。現在ではですね、押しも押されぬトップ・ドラマーであります青山純という人ですら、彼を私が起用した当時ですね、スタッフや聴衆から「なぜそんな無名のミュージシャンを使うのか?」と反対されたり、抗議されたりもしました。お客さんの中には文句を言ってですね、それ以来来なくなるという方もいらっしゃいました。同じようなことがもう何度か繰り返されて現在に至っております。今もそうした情勢はあまり変わりありません。ボブ・ディランのあの『NO DIRECTION HOME』という映画を観るまでもなくですね、芸事に対してのお客さんの保守性というものがですね、大昔から存在しました。それはまぁ、芸事というのは観る側にとっては自分の歴史の投影、自分史ですね、自分史の投影、自分史の対象化、そうした結果であります。歌舞伎とか伝統芸能、落語なんかの世界ですとですね、必ず先代はよかったと、オマエの芸なんて先代に比べればと、そういう昔はよかったという、正に自分史の反映としての芸事の評価というのが昔からございます。ですが古い世代というのは新しい世代に対する寛容さというものを常に持ってなければならないと僕は常に考えております。若い世代がですね、いつの時代でも続々と生まれてきます。我々古い世代はそれらの若い新しい才能を見出して、抜擢し、助けて、日の当たる場所に引っぱり出してあげなければなりません。然るに多くの業界人、それからまた耳の肥えた聴衆とか、お客さんですらも、自分に馴染みのある、自分たちにとっての、すなわち自分史の反映としてのですね、一流、有名ミュージシャン、そうしたブランドを金科玉条と崇めまして、昔はよかった、俺たちの時代はよかった、それにひきかえ今の若いものは、しばしばそういうことを口にします。私のライヴに関しましても、ここ十年間、青山くんがいませんので、そんな青山純がいないライヴなんてという方々が、少なからずおられることを私はよく承知しております。別にそういう方々に再び来ていただこうと思いませんが、ただひとつはっきりさせておかなければならないことが、今まで私を手伝ってもらったドラマー、上原裕、村上秀一、そして青山純、そして現在のパートナーであります小笠原拓海という、みな優れて卓越したドラマーであります。他にもスタジオやライヴで縁のあった林立夫さん、高橋幸宏さん、知己はないけれども最近ですと吉田佳史さんとか玉田豊夢さんとか、素晴らしいドラマー、今も昔もたくさーん存在します。彼らひとり一人の誰もがプレーヤーしての個性や特出性というものを有しておりまして、それらはもとより優劣の比較対象になどならないものであります。従ってファンの贔屓、あるいは贔屓の引き倒し、何度も申しております、自分史の反映、そうした次元でのですね、誰が誰より優れてるとか、劣ってるとか、そうした無意味な評論家の多くには、もとより私は何の興味も持っておりません。友だちの死というのは大変に悲しいし、残念な現実ですけれども、それでも我々は生きて行かなければならないし、音楽を続けて行かなければなりません。青山純の数多の名演というのはしっかり記録に残されております。残されたものは去って行った人々の思いを受け継ぎながら音楽を続けて行かなければならないと思っております。
近いうちに大滝さんの追悼特集も企画する予定でおりますけれども。大滝さんが亡くなってから後ですね、番組宛に早く追悼特集やれとか、追悼特集は誰も知らないレアアイテムをたくさんかけろとかですね、最低半年はやれと、そのような類いのハガキが少なからず舞い込んでまいります。ツイッター等のネットでも、私興味ありませんから見ませんけれども、そういう発言があると聞きます。そうしたファンとかですね、マニアとか仰る人々の、ある意味独善性というものが、大滝さんが最も忌み嫌ったものでありました。親とか兄弟の関係を他人に説明できないように、僕と青山くん、僕と大滝さん、そうした個人的関係もまた第三者に説明できるものではないし、説明したいとも思いません。従って追悼特集の迅速性とか密度とかいうものに、私もとより全く感心がございません。そこのところ予めご了承いただきたいと思います。時期が来たら大滝さんの追悼特集やってみたいと思います。
・メリー・ゴー・ラウンド (LIVE Drs. & Bass)
1985年2月24日に神奈川県民会館大ホールで行われたアルバム『BIG WAVE』のツアーの千秋楽から「メリー・ゴー・ラウンド」の青山純さんと伊藤広規さんのソロ・バトルをピック・アップ。左利きならではのカウベルのトリック・プレーが堪能できるドラム・ソロ。1989年の達郎さんのライヴ・アルバム『JOY』から。
■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
2014年02月02日は、レギュラープログラム「棚からひとつかみ」
http://www.tatsuro.co.jp