Sunday Song Book #956

2011年01月31日 | Sunday Song Book

<01月30日プレイリスト>
[「棚からひとつかみ+リクエスト」]
MIDAS TOUCH/山下達郎 "ソノリテ" '05
WONDERFUL WORLD/SAM COOKE '60
HEAVEN MUST BE MISSING AN ANGEL/TAVARES '76
THERE WILL COME A DAY/SMOKEY ROBINSON '77
I'M YOUR PUPPET/JAMES & BOBBY PURIFY '66
MY BABE/THE UNIQUES '68
MY BABE/LITTLE WATER '55
愛してるって言えなくたって(TV SIZE)/山下達郎 3月9日発売ニュー・シングル
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■内容の一部を抜粋
・近況
3月9日発売のニュー・シングル「愛してるって言えなくたって」のマスタリングが終わって目出たく工場へと旅立っていったそうだ。一週間ほどオフがあって、次の仕事の曲書きと、ニュー・アルバムの仕上げに入るという。休みのあいだはどこにも行かず、ひたすらレコードの整理と外食にでも行こうかなという予定。久し振りに直前の収録なので、大雪と鳥インフルエンザの被害に遭われたみなさんへお見舞いのメッセージ。インフルエンザにもお気をつけくださいとのこと。

・MIDAS TOUCH
リクエストはバラついてるとか。今日は2005年のアルバムから「MIDAS TOUCH」。
「あれから6年(笑)? また結局6年ぶりかよ。ひどいな」と達郎さん。

・WONDERFUL WORLD
サム・クックの1960年のヒット・ソング。全米チャート12位、R&Bチャートは2位。

・雪の被害
リスナーから「雪で足もとが悪く、すべって転びそうになったが、なんとかふんばって転ばなかった」というお便りを読んで。
「札幌のかたは雪、もう馴れてしまってますからねぇ。なんつたって驚くのは運転手さんの運転のうまさですよね(笑)。チェーンなんかしなくても、すいすい行ってしまいますからね。大したもんですね」と達郎さん。

また、「クルマがスリップしてぶつけそうになった」というお便りを読んで。
「私も雪で一回すべりかけて、壁に激突しそうで、わー、こりゃダメだと思ったら、路肩にタイヤが引っかかって、すんでのところで助かった記憶がありますがですね。そのときもすごい雪が降っておりましたが。気をつけてください(笑)、全国のみなさん、大雪」と達郎さん。

・HEAVEN MUST BE MISSING AN ANGEL
最近、レコード屋主導でCD化が遅れてるものが企画ものでけっこう出ている。タワーレコードとHMVジャパンとディスクユニオンが共同企画で、タワーレコードが国内販売のみで販売したタバレスのカタログ4アイテム。1976年の『SKY HIGH』が初CD化。タバレスは5人組の黒人ヴォーカル・グループ。彼らの代表作の一曲「HEAVEN MUST BE MISSING AN ANGEL」は全米15位、ソウル・チャートでは3位。ミリオン・セラー。今日はシングル・ヴァージョン。邦題は「ディスコ天国」。

・THERE WILL COME A DAY
スモーキー・ロビンソンのソロ・アルバムが2イン1でVOL.1、VOL.2、VOL.3と出た。1977年の『DEEP IN MY SOUL』は初CD化。この中からシングル・カットされた「THERE WILL COME A DAY」は1977年の全米ソウル・チャート7位、全米チャート42位。昔に戻った、まるで「YOU'VE GOT A HOLD ON ME」みたいな曲、と達郎さん。

・I'M YOUR PUPPET
ジェームス&ボビー・ピューリファイは南部の黒人デュオ。「I'M YOUR PUPPET」は彼らの出世作で、1966年、全米6位、全米R&Bチャート5位。たくさんのカヴァーで有名な、今やR&Bのスタンダード・ナンバー。作曲は南部マッスルショールズのスタッフ・ライター、ダン・ペンとスプーナー・オールダム。

・新曲インフォメーション
1月16日からスタートしたTBS系日曜劇場「冬のサクラ」の主題歌。主演は草なぎ剛さん、今井美樹さん。ニュー・シングル「愛してるって言えなくたって」は3月9日発売。カップリングは「高気圧ガール」のライヴ・ヴァージョン。PERFORMANCE 2010からだが日付、会場の情報は来週発表とのこと。

・ドゥー・ワップ特集
今週2月4日が達郎さんの誕生日なので、来週2月6日は、誕生日特集ではないが、たまには誕生日には好きなことやらしてもらおうということで、来週は「ドゥー・ワップ特集」。レコード・コレクターズの「今年の収穫この一年」という企画で選んだのがドゥー・ワップだからだとか。

・MY BABE
'60年代に活躍したルイジアナのロック・バンド、ユニークスの1968年のシングル。
オリジナルはリトル・ウォーターで、ウィリー・ディクソンの書いたブルース。1955年にR&Bチャートで5週間連続1位。リトル・ウォーターはこういうときにしかかけられないので、ついでに。

・レコード・クリーナー
ユニークスをリクエストしたリスナーから「どのようなレコード・クリーナーをお使いですか?」という質問。
レイカのバランス・ウォッシャーとビスコの不繊布でCDとLPのクリーニングをしているとか。でもアナログ盤は力がいるとのこと。SPだとそれじゃないとなかなか汚れが落ちないとか。

・愛してるって言えなくたって(TV SIZE)
3月9日発売のニュー・シングル「愛してるって言えなくたって」。まだフル・ヴァージョンが上がってこないので、今日もテレビ・サイズ。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
■今後の予定
02月06日は、「ドゥー・ワップ特集」
http://www.smile-co.co.jp/tats/
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McDonald's SOUND IN MY LIFE

2011年01月30日 | 佐野元春 Radio Days

McDonald's SOUND IN MY LIFE
2011年1月29日(土) PM2:00 - 2:55 TOKTO FM系列
Personality: 小林克也
Guest: 佐野元春

Play List
佐野元春 / ヤングブラッズ
Todd Rundgren / I Saw The Light
Manassas / It Doesn't Matter
Prince / Raspberry Beret
佐野元春 / ジュジュ
佐野元春 / Someday
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■内容の一部を抜粋

番組専用ウェブサイトから引用してます。

・FLASH BACK TALK
本日のMcDonald’s SOUND IN MY LIFEはゲストに佐野元春さんをお迎えしてお送りしました!佐野元春さんが選んだフラッシュバックイヤーは1972年!その理由とは・・・「Sweet16-16歳になった年!」

この時代はロックンロールが今では考えられないくらい社会的に力を持っていましたね。当時はラジオばっかり聴いていました、お小遣いは少ないですからレコードもたくさんは買えないですから、まずラジオで情報を得て自分の買いたいレコードのベスト10を書いていましたね。どれも欲しいんだけど、どれを買おうか迷ったりそんな事をやっていました。とにかくラジオが情報源でしたね、その頃に買ったアナログ盤もまだ持っていますよ。今回のアルバム「月と専制君主」はアナログ的なサウンドを作る事を意識しました。ミュージシャンも選びましたし、要所要所に意識をしましたね。

そして、佐野元春さんのセレクトソングはTodd Rundgrenの「I Saw The Light」!
この曲はラジオで聴いて、一発で気に入っちゃいましたね。

・記念日REQUEST「SOMEDAY」
今年の3月末に、父が定年退職します。 でも、私は、まだ父のことを、きちんと「お父さん」と呼んだことがありません。
本当のお父さんは、私が中学生の時に亡くなって、母が再婚した相手が今のお父さん。
でも母とはずいぶん年の差があったし、私自身、思春期で、受け入れることができなくて、
10代の頃は、話しかけられても、無視するか、首の動きで返事をするか。
さすがに社会人になってからは、ある程度、まともな会話はできるようになりましたが、
それでも、タイミングを逃してしまって、今の今まで、父のことを「お父さん」と呼んだことは
ありませんでした。しかし、今、まさに父の定年を前にして、私をここまで育ててくれたのは
まぎれもなく、今の父と母であり、私が、受験や就職で悩んだ時も、動揺する母や悩む私を
「大丈夫。なんとかなるよ」と、包み込んでくれたのは、父でした。
だから、父が定年する時は、頑張って言いたいと思います。
「今までありがとう!お疲れ様、お父さん」って。リクエストは、父が、母と私を無理やり
カラオケに連れていって、よく歌っていた曲です。もしかしたら、父は“いつか”本当の家族に
なるんだって気持ちで、この曲を歌っていたのかもしれません。

番組専用ウェブサイトからの引用終わり。

・おそば屋さん
克也さんと元春は以前おそば屋さんであったそうだ。白金台あたりの有名店で、元春は野球帽をかぶっていたとか。

・16歳
元春: 僕はね、16歳って、とっても男の子にとっては大事な年だと思ってるんですよ。僕も16歳のときには免許取りましたし、バイクに乗って行動範囲がいっぺんに広がった。いろいろなことが、新しく知る年なんです、16というのは。だからチャック・ベリーの曲「Sweet Little Sixteen」って曲ありますでしょ。16はね、男の子にとっては、僕はマジックな年だと思ってます。

克也: 「Sweet Little Sixteen」はだけど、16歳の女の子の(笑)

元春: あっ! 女の子(笑)

二人爆笑。

・クイズ
元春: 僕がこれまでセッションした中でいちばん印象的な(感銘を受けた)ミュージシャンは誰だったでしょうか? 1番、ジョージィー・フェイム。2番、オノヨーコ。3番、ジョン・サイモン。

・I Saw The Light
元春がラジオで聴いて一発で聴いて気に入った曲。
元春: すごくロマンティックだなと思いました。そして16歳、多感ですから、まだ世の中のことあまり知らないんですが、こうしたロマンティックな音楽に惹かれましたね。

・ It Doesn't Matter
元春: 僕らはね、思い出してみると、このマナサスの前にCrosby, Stills, Nash & Young、デイヴィッド・クロスビーとか、スティーヴン・スティルスだとか、ニール・ヤングとかね、彼らが結成したバンドがあって、その音楽をよく聴いていたんですね。で、彼らが解散するということになって、独自の活動をする。スティーヴン・スティルス何やるんだっていったら、このマナサスというバンドを結成した。じゃあ聴いてみようということで聴いて、感銘を受けました。スティーヴン・スティルスはいろんな音楽要素を持ってると思うんですけれども、ラテン的な感じだとか、マイアミ・ソウル的な感じ、その部分が好きでした。当時は米国西海岸の文化が日本に紹介されていて、僕も西海岸の文化とはどういうものなのかなって興味深く見ていた頃です。

曲を聴き終えて。

元春: 2011年の今、このマナサス「It Doesn't Matter」ながれるのはいい感じですね。いい雰囲気です。今の時代に合ってると思います。

・ナレーション
元春がデビューした頃のCMでナレーションをしていたのは克也さんだったそうだ。その頃、人伝いに「佐野というのは普段大人しいのに、ステージに出るとがらっと変わっちゃうんだよ」と聞かされてたとか。

克也: 人の前でがらっと変わっちゃうというのはどういうことなんですかね? どういう化学反応が起きてるんですかね?

元春: ステージは多くのオーディエンスと楽しい気持ちを共有したいですから、僕が盛り上がってないと楽しい気持ちにならないですね。

克也: それじゃあ、説明になってない(笑)。なんか破れかぶれになるのか、それとも、役者っぽいこともやるじゃないですか、そのときの精神構造と似てる?

元春: あぁ、えーっとね、そうだね、日常からあんまり、がぁーといってると、舞台と日常と区別がつかなくなっちゃうでしょ。だから、どっかで調整つけてるかもしれないですね。区別をつけるということについてはね。

克也: あー、そうか、そうか。一応、これは自分の使命だと。表現するということのね。そのときは自分の全身全霊を使うんだという意識?

元春: そうだね。僕の中のある部分を目立たせるという感じですかね。そして僕自身をわかりやすく見てもらうという感じ(笑)。

克也: なるほどね。ホントに佐野さんは真面目。いつも恒例でゲストにプレゼントする曲があるんです。

プリンスの「Raspberry Beret」がかかる。

克也: 佐野さんと共通点があるというのは作風じゃなくてね、僕は佐野さんの音楽を聴いていてジョン・レノンだとか、プリンスだとか、レニー・クラヴィッツとかね、エフェクトのかけ方がよく似てるんですよ。おそらく自分の声、アーティストみんな大好きです。だけど同時にこの声なんとかなんないのかなっていう欲求不満みたいなものが相当あるアーティストじゃないかと思ったんですよ。

元春: あぁ、僕も自分の声、あんまり満足できてないですねぇ。だからよくエフェクトかけます。ショートディレイかけたり、フィードバックかけたり。あとシングル・ボイスじゃなくてダブル・ボイスにしたりだとか。あの、いじりますね、はい。

克也: ねえ。プリンスもそうなんです、最近は違うんですけど。で、佐野さんも最近はまたちょっと違う考え方になったみたいで、新しいアルバムを聴くと、あっ、違うよ、考え方が違ってきたよみたいな...

元春: 今回のアルバムでは自然に自分の声を響かせるというふうにしてますね。

ここで先程のクイズの答えの発表。答えはジョージィー・フェイム。

元春: ジョージィー・フェイムとセッションしたときに僕は三十いくつだったんですけれども、ジョージィー・フェイムは50過ぎてたんですよね。そしてジョージィー・フェイムが僕に示してくれことは、年齢がいっても、声がどんなふうに変わっても、ラヴ・ソングをきちんと歌えるようなれって。「Moto、五十過ぎてもラヴ・ソングをきちんと歌えるシンガーになれ」ってジョージィー・フェイムはそう言った。で、僕、もう今五十歳過ぎましたけれども、ジョージィー・フェイムのその言葉を思い出しますね。

・アルバム『月と専制君主
30周年アニバーサリーということで楽しいものをファンに送りたいという発想で作ったと元春。思いっきり遊んで作ったとか。

克也さんはiTunes Store限定で発表したシングル「月と専制君主 - Boys & Girls Version - Single - Motoharu Sano」でコラボレーションしたCoccoについて、「佐野さんの持ってないような、ちょっとマッドネスがある人でしょ?」と話した。

元春: 僕もマッドネスあります(笑)。

克也: (机をバンバン叩きながら)まいった。そういうのが呼び合ったんだマッドネスが?

元春: 種類の違うマッドネスが(笑)

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なにものかへのレクイエム - 戦場の頂上の芸術

2011年01月28日 | アート

1月23日(日) くもり。
兵庫県立美術館で18日から開催されてる森村泰昌展覧会「なにものかへのレクイエム」を見に行った。この日は森村泰昌のトーク・イベントが行われるということだったので、整理券が配布される時間に会場到着するつもりで出かけた。

■特別展「森村泰昌 なにものかへのレクイエム - 戦場の頂上の芸術
コレクション展III 小企画「その他」のチカラ。森村泰昌の小宇宙
トーク・イベント「自作を語る/レクイエム、それから
2011年1月18日(火) - 4月10日(日) 兵庫県立美術館
http://www.artm.pref.hyogo.jp/

ネタばれになるのでひかえめに。

1970年11月25日に三島由紀夫が盾の会を率い、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自衛隊のクーデター決起を訴えた演説をモチーフにした写真と映像による作品がメインの第一章「烈火の季節」。ほかには1960年10月12に日比谷公会堂で行われた三党党首立会演説会において、日本社会党委員長の浅沼稲次郎が17歳の右翼の学生に刺殺された一瞬をモチーフにした写真作品などがある。

トーク・イベントの中で森村は、自分の人生の中において歴史的な一日となった最初の日は三島由紀夫が割腹自殺した1970年11月25日だと話した。「二十世紀の男たち」がテーマの「なにものかへのレクイエム - 戦場の頂上の芸術」は、だからそこからはじめたのだと。三島に扮した森村の演説は日本の芸術を憂い決起を促す内容となっている。

作品はどれも森村の批評がある。個人的に胸を打ったのは第二章「荒ぶる神々の黄昏」の映像作品「独裁者を笑え/スキゾフレニック」。ヒットラーとチャップリンの『独裁者』をモチーフにしている。この中で「笑い」が重要なのだという森村の批評があった。

今回の個展 「なにものかへのレクイエム - 戦場の頂上の芸術」では新たに第三章「創造の劇場」と第四章「1945・戦場の頂上の旗」が公開された完全版。2010年度の毎日芸術賞を授賞したそうだ。

トーク・イベントの最後は最新作「海の幸・戦場の頂上の旗」の解説と上映。森村泰昌が掲げた旗の色の意味が興味深かった。「あなたなら何色の旗を掲げますか?」という問いに、僕の答えはまだない。

帰りは寄り道をして三宮へ。時間は午後5時を過ぎていた。
今年も震災のあった1月17日は(関西では)新聞もテレビもトップで震災関連のニュースだった。僕も毎年それであの日のことを思い出す。 もう十六年前の話だ。1995年1月15日は成人の日だった。もう記憶もあやふやだけれど僕はクルマに乗って三宮へ行ったはずだ。ケータイもないし、パソコンも持ってなかった。何の記録も残ってない。あの日の気持ちに戻って写真を撮った。

そごうの前から三宮センター街を臨む。



神戸国際会館。



たくさんの人でにぎわってた。人気の公演の開演前だった。僕には関係なさそうなので素通りだ。

神戸市役所の前を通って東遊園地へ。公園の向こうにはタワーマンションが完成してた。



時間が止まったままの時計。



男の子たちがその前でスケボーをしてた。なんと平和な光景だなと思った。

十六年前の僕は元町の高架下にも行ったはずだ。何か買ったのかもしれない。まだヴァージンメガストアがあって、よくCDを買っていた。確か三宮にはイエロー・ジャケットとかいう輸入盤を扱うレコード店があったはず。中古レコード店もいくつか知っていた。そうだ、ハーバーランドの西武百貨店は1994年の年末をもって閉店したんだ。1994年の春、西武に入ってたWAVEで、僕はカート・コバーンの訃報に触れた。

僕の記憶の中では三宮を訪れた四十八時間内にあの大きな揺れがあった。テレビで瓦礫になった三宮の街を見て愕然とした。震災から復興して何年か経って気がついたのだが、僕のよく知っていた店はほとんど姿を消していた。クルマを停めていた駐車場は家電店の客用パーキングだったが二度と復活することはなかった。そんな話は誰ともしない。

外国人旧居留地のあたりには古い建物が残ってる。



三井住友銀行。



旧居留地38番館。



神戸大丸のカフェラで人生を思った。



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月と専制君主 -Boys & Girls version-

2011年01月25日 | 佐野元春

個人サイトに佐野元春の「月と専制君主 -Boys & Girls version-」のレビューをアップしました。
宜しくお願い致します。

明日発売のアルバム『月と専制君主』ですが本日届きました。
今、初回盤に付いてるDVDを見終えて、CDに戻ってヘッドフォンで聴いてるところです。

明日はNHK総合で「SONGS」に出演しますね。
午後10時55分から佐野元春が出演します。
佐々木久美さんのブログによると久美さんもコーラスで2曲参加しているとのこと。
楽しみです。

「月と専制君主」のセルフ・カヴァーは"迷わない もう迷わない"のあとの"おおお~"が好きです(笑)。
コメント (2)
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Sunday Song Book #955

2011年01月23日 | Sunday Song Book

<01月23日プレイリスト>
[「棚からひとつかみ+リクエスト」]
BOMBER/山下達郎 "ゴー・アヘッド!" '78
JAMAICA SAY YOU WILL/JACKSON BROWNE "SATURATE BEFORE USING" '72
LATIN FREAK/7 MILES PER HOUR BAND '7?
THE POWER/THE APPLES '09
IT AIN'T NO FUN TO ME/GRAHAM CENTRAL STATION "GRAHAM CENTRAL STATION" '74
ANY DAY NOW/RONNIE MILSAP '82
HARLEM SHUFFLE/BOB & EARL '63
愛してるって言えなくたって(TV SIZE)/山下達郎 3月9日発売ニュー・シングル
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■内容の一部を抜粋
・近況
番組はちょいと前倒しで収録。今日あたりがニュー・シングルのマスタリングで、たぶん来週無事に工場に送られましたと報告できればいいかな、という感じだとか。

・TBS系日曜劇場「冬のサクラ」
新曲「愛してるって言えなくたって」は日曜の夜9時からのTBS系ドラマ日曜劇場「冬のサクラ」の主題歌。主演は草なぎ剛さん、今井美樹さん。
http://www.tbs.co.jp/fuyuno-sakura/

・BOMBER
リスナーからのリクエスト。今日の前半はファンク系を多めに選曲しているので、この曲からはじめるのもいいかなと思ったとか。1978年のアルバム『ゴー・アヘッド!』の収録曲。

・JAMAICA SAY YOU WILL
「今日は前半、ファンク系で攻めてみようと申しながら、いきなりジャクソン・ブラウンではじめるやつ(笑)」と達郎さん。
1972年のジャクソン・ブラウンのソロ・デビュー・アルバム『SATURATE BEFORE USING』から「JAMAICA SAY YOU WILL」。

・LATIN FREAK
番組のスタッフが若返り、最近は全員二十代で運営しているとか。その中にワーナーの宣伝でワタナベくんという二十代のコがいるそうだ。クラブDJ然とした、クラブで自分でお皿(レコード)を回している、いわゆる皿ファン。ときどき達郎さんが番組でかけてる曲について質問をする洋楽ファンの青年だとか。達郎さんもだんだん意識しはじめて、普段はあまり聴かないノーザン・ソウルとか、クラブ・ミュージック、いわゆるブレイク・ビーツに興味を持つようになったという。それで探してみると、結構いいのがあるのだとか。最近出たコンピから12インチ・シングルがリリースされてて、その中からセブン・マイルズ・パー・アワ・バンドの「LATIN FREAK」。彼らはニューヨークのバッファロー出身のファンク・バンドだという。'70年代の録音でオリジナル・シングルはオークションで900ポンドという値になっていたとか。スカパラとか好きな人には気に入っていただける、と達郎さん。

・THE POWER
もう一曲は最近のものからで、達郎さんがアメリカのラジオで聴いて気に入った曲。アップルズというイスラエルのファンク・バンド。2009年に出した12インチで「THE POWER」。スナップの'90年のヒット・ナンバーのカヴァー。

・A&R
超常連のリスナーから「ライヴのMCで"もしも表舞台に立っていなかったら、レコード会社のA&Rをやっていた"というお話がありましたが、A&Rとは何の略でしょうか?」。
「A&R。ARTISTS & REPARTORYという、日本ではディレクターという言葉が使われておりましたが、今はディレクターという言葉は死語になりまして、今はA&Rという...。もともとは歌手の人というのは人の宛行扶持(あてがいぶち)で歌を歌うので、アーティストにどういうレパートリーが合うのか、どういう歌を当てはめるのがいいかということを考える人を、ARTISTS & REPARTORY。それが発展してプロデューサーという、制作全体を統轄する考え方に進んだ経緯であります」と達郎さん。

・IT AIN'T NO FUN TO ME
「達郎さんのいう、これぞファンクをお願いします」というリクエスト。
「ファンクというのは私にとって重心の低い音楽と言いましょうか。もちろんブラック・ミュージックですが。腰重(こしおも)と言いましょうか、腰高じゃなくて腰低(こしひく)。そうなりますと、やはりスライ、それからラリー・グラハム、レイクサイド...。ベースの重い音楽にだんだんなっていくような気がしますね。やっぱり、これぞファンクと言ったらこれかな~。まぁ、星の数ほどありますが、その中のひとつ。グラハム・セントラル・ステーション。ラリー・グラハムがスライ&ザ・ファミリー・ストーンから自分のユニットになりまして、そのファースト・アルバム、1974年。頭から重重(おもおも)でございます。アカペラではじまって、いきなりこれがはじまりますと度肝を抜かれます。74年の『GRAHAM CENTRAL STATION』、ファースト・アルバムから[IT AIN'T NO FUN TO ME]」と達郎さん。

・新曲インフォメーション
先週1月16日からスタートしたTBS系日曜劇場「冬のサクラ」の主題歌。主演は草なぎ剛さん、今井美樹さん。昨年は同じ日曜劇場「新参者」の主題歌で「街物語」だったが、「それに続いて今年も日曜劇場のお世話になっております」と達郎さん。
愛してるって言えなくたって」という長いタイトルで3月9日にシングルとして発売決定。ドラマの初回放送日の16日から、テレビ・サイズ・ヴァージョンの着うたの配信がレコチョク、ほかにてスタートしている。
「これで二月からアルバムのレコーディングいけると思ってましたら、またもう一曲入ってきましてですね(笑)。それもまた作らなきゃなんないというアレでございますが。それと一緒にアルバムを平行して。しかし本当に仕事がたくさんいただけるのは、本当にうれしいんですけれど。ライヴをはじめた頃から、なんかそういう感じになってきましてですね、悲鳴をあげておりますが、本当に有り難いことであります。身体が動くうちにせいぜい一生懸命働きたいと思っております(笑)」という達郎さん。

・ANY DAY NOW
ロニー・ミルサップは盲目のカントリー・シンガー。「ANY DAY NOW」はハル・デイヴィッドとバート・バカラックの名曲。プロデューサーはトム・コリンズ。1982年、全米14位。

・HARLEM SHUFFLE
ライチャス・ブラザースとローリング・ストーンズのカヴァーで知られている「HARLEM SHUFFLE」のオリジナルにリクエスト。
オリジナルはボブ&アールという黒人デュオ。作曲もこの二人が行っている。ボブ&アールはボブ・レルフとアーリー・ネルソンのデュオ。アーリー・ネルソンは'50年代にハリウッド・フレームズというドゥーワップ・グループのリード・シンガーだった。1963年、R&Bチャート44位。ライノのコンピレーションに入ってるそうだ。

・愛してるって言えなくたって(TV SIZE)
新曲「愛してるって言えなくたって」は日曜の夜9時からのTBS系ドラマ日曜劇場「冬のサクラ」の主題歌。今日はテレビ・サイズ。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
■今後の予定
01月30日は、引き続き「棚からひとつかみ+リクエスト」
http://www.smile-co.co.jp/tats/
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Motoharu Radio Show #066

2011年01月21日 | Motoharu Radio Show

2011/01/18 OnAir - 2nd. Week - 『月と専制君主』特集
01.Ryan Adams & The Cardinals:Breakdown Into the Resolve
02.佐野元春:ヤングブラッズ
03.佐野元春:夏草の誘い
04.佐野元春:クエスチョンズ
05.佐野元春:レインガール
---------------------------------------------------
■内容の一部を抜粋
・特集『月と専制君主』
スタジオに『月と専制君主』のレコーディング・セッションに参加したホーボーキングバンドのメンバーを招いてのトーク・セッション。

・3PICKS!
「Motoharu Radio Show」では毎月番組推薦盤3枚のCDをピックアップしている。今月1月の「3PICKS!」はレイ・デイヴィス『See My Friends』、ライアン・アダムス & ザ・カーディナルズ『Cardinals III/IV』、そして佐野元春『月と専制君主』。どのレコードも心に響くよいソングライティングと素晴らしいサウンドがあると元春。この中から今週はライアン・アダムス & ザ・カーディナルズの『Cardinals III/IV』。

・ライアン・アダムス
1974年、米国ノースキャロライナ州生まれのシンガー・ソングライター。現在37歳。十代の頃はハードコアパンクのバンドに夢中だった。その頃、ソングライティングをはじめたきっかけは、亡くなったおじいさんが聴いていたカントリー音楽のレコードだったということ。そして27歳のときに出したアルバム『Gold』が評価されてブレイクした。アルバム『Gold』はちょうどパンク・キッズがルーツ音楽と出合って作ったような、そんな新しい感覚の作品だった。ライアン・アダムスはこのアルバムでメロディ・メーカーとして、また優れたソングライターとして注目される。特にヒット曲があったというわけではなかったが、同じ年のグラミー賞で男性ロック・ヴォーカルをはじめとする三部門にノミネートされた。そんなライアン・アダムスの新しいアルバムはこれまでライヴにレコーディングに一緒に活動してきたザ・カーディナルズというバンドとのアルバム。2枚組で全21曲収録されている。ライアン・アダムスはこのアルバムをカーディナルズの最高傑作だと、そんなふうに発言している。
「僕も早速聴いてみましたが、とても楽しめました。ロックンロール、カントリー、フォーク、ブルース、そうしたルーツ音楽をベースにした演奏に、ライアン・アダムス独特の詩の世界が展開されています」と元春。
新しいアルバム『Cardinals III/IV』から「Breakdown Into the Resolve」。

・GreenPeople
環境問題に取り組むユースたちを紹介するレポート「GreenPeople」。毎週このコーナーでは環境を巡る社会活動を通じて様々なアクションを起こしている人たちを紹介。このコーナーの協力はNHKの環境特集番組「SAVE THE FUTURE」。
http://www.nhk.or.jp/savethefuture/mamoribito/index.html

今週はNPO法人「棚田ネットワーク」。年々荒れていく棚田を守ろうと1995年から活動をスタート。農作業を手伝ってほしい農家と、農作業を手伝いたい都市住民の架け橋になることを目指している。
http://www.nhk.or.jp/savethefuture/mamoribito/movie/motoharu1.html
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Motoharu Radio Show #66

2011年01月21日 | Motoharu Radio Show

・特集『月と専制君主』
1月26日にリリースされるセルフ・カヴァー・アルバム『月と専制君主』の特集。今週はレコーディングに参加したホーボーキングバンドを招いてのトーク・セッション。

・古田たかし(ドラムス)
1958年7月6日、東京生まれ。10歳の頃からドラムをはじめる。15歳のときにカルメン・マキ&オズに参加してプロ・デビュー。その後、原田真二&クライシス、佐野元春&ザ・ハートランド、ストレンジラブなどに参加して、多くのミュージシャンのサポート・メンバーとして活躍している。

元春「最近の仕事では、僕以外の仕事では、どんな仕事があるんですか?」

古田「Charと一緒に去年は『Trad Rock』という企画をやって、それはエリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ、ジミヘン、ビートルズ、ヴェンチャーズの、それぞれのカヴァー・アルバムを6枚、CDとDVDのセットで...」

元春「楽しそうな仕事だね」

古田「ええ。教則ビデオ的な色合いもちょっとある感じで、楽しい企画です。それは」

・Dr.kyOn(キーボード、ギター、ヴォーカル)
1957年生まれ。1987年からBo Gumbosのキーボード、ギタリストとして活躍。グループ解散後はザ・ホーボーキングバンドのメンバー、そしてプロデューサー、アレンジャー、セッション・ミュージシャンとして活躍している。Chabo、RIP SLIM、銀杏ボーイズといった新しい世代のレコード制作にも貢献しているし、古いところでは小坂忠さんといったベテランのミュージシャンからも信頼されているキーボードリスト。2004年からはリクオ、YANCY、斉藤有太らとピアノマンだけの音楽集団、クレイジー・フィンガーズを結成し、レコードを作ったり、ライヴを行ったりしてる。最近では3人だけのBo Gumbosのメンバーだけのライヴを行っている。

Dr.kyOn「そうですね。Bo Gumbo3という名前にして。書くと、遠くから見るとBo Gumbosにも見えるぐらいの(笑)、感じなんですけれどね(笑)。sのところが3になって。えへへへ。そうなんですよ、3人でバンドを組んだご縁を今も活かしつつ、今のBo Gumbosをやろうみたいな...」

元春「また、ホーボーキングバンドでギタリストである佐橋くんとも二人だけのユニット...」

Dr.kyOn「ダージリンというこれもまた(笑)、二人だけのユニットがあって」

・長田進(ギター)
1958年4月4日生まれ。22歳でプロとして活動をはじめた。1989年に佐野元春&ザ・ハートランドに参加して、その後、数多くのアーティストのバッキング。最近ではGRAPEVINEなど新しいアーティストのプロデュースも手掛けている。昨年、プロ活動30周年目に自分自身のソロ・アルバムを発表。

元春「僕のようにメインでやってるシンガーは、例えば30周年のアニバーサリー・ライヴなんかやったりするんだけれども、ミュージシャンなのに、なんか去年、アニバーサリー・ライヴをやったって話を聞いたけど?」

長田「(笑)。それはGRAPEVINEのメンバーのほうから、どうやら30周年みたいじゃないですかと。是非30周年記念やりましょうということで。僕は佐野くんみたいにCDデビューしてというようなアーティストじゃないので、セッション・ミュージシャンとしてはじまったので、あの30年といっても、30年くらいっていう(笑)」

元春「ほぼ30年というね...」

長田「いつだ? 出発点ということで(笑)。でも、まぁ、いいやということで。ひとつのけじめということだね」

・大井"スパム"洋輔
1974年4月1日生まれ。6歳からマリンバをはじめたことをきっかけに多様な楽器演奏をはじめる。

元春「スパムくんとは僕は4年前かな?」

スパム「そうですね」

元春「4年前に会って主にマニピュレーターとして僕の制作の下支えをしてくれてる。だから言ってみれば僕のレコード制作のABCを知ってる」

スパム「はい。そうですね」

元春「すべてのプロセスを知ってる...」

スパム「見していただきました。ヒヒヒヒヒ」

元春「はい(笑)。で、今はバンドに加入してもらってパーカッションをやってくれてるね。僕たちはスパム、スパムと言ってます」

・山本拓夫(サクソフォン、フルート)
1984年、サクソフォン奏者としてデビュー。サックス、フルート、クラリネットなどを駆使するマルチ・リード奏者。さまざまなミュージシャンのセッションにプレーヤー、アレンジャー、プロデューサーとして参加している。

元春「僕から見るといちばん忙しいミュージシャンなんじゃないかとなと感じるんだけど」

山本「そんなことないと思います(笑)。みなさん、忙しいと思います」

Dr.kyOn「いやいや忙しいよねー」

元春「最近では自分自身を表現する仕事って何かあるんですか?」

山本「自分はセッションマンなので、どこでも表現できるようにと、心がけてますけどね、どういう状態でも」

元春「とにかく驚くべきことはサクソフォンだけじゃない、様々な楽器を吹きこなすという...」

山本「いやいやなかなか難しいです」

元春「自分で吹きこなせる楽器の数は数えたことありますか?」

山本「いや~。数えたくない楽器もあるんで(笑)」

全員笑う。

元春「まぁ、吹奏楽だけではなく、ときどき僕のレコードでもストリングスのアンサンブルをね、組んでくれたり」

山本「あ、そうですね。弦は好きで。弦カルの曲とか、自分で書いたりしてるんです。実は。そのうちまとめて出せたりしたらいいかなと思ってます」

元春「いいですね。そしてここには今いないんですけれども、井上富雄、ベース。ルースターズ、ブルートニックの元メンバー。'90年よりセッション・プレーヤーとして佐野元春や福山くんとか桑田くんなどのレコーディング、ライヴに参加している。プロデューサーとして、またアレンジャーとして活躍中ということですね。ベースの井上くんとも、ちょうどkyOnと会ったアルバム『Fruits』のセッションのときに一緒して、以来、そうですね、みんなと何年やってる? もう16年目にあたる? 1995年にホーボーキングバンド結成して...」

Dr.kyOn「そうですね」

元春「かれこれ16年ということですね。あっという間な感じがしますけれど」

Dr.kyOn「ふむ」

古田「ハートランド超えたね」

Dr.kyOn「ねぇ!」

元春「そして、ここには今いませんけれど、ギターの佐橋佳幸。佐橋くんもやはり『Fruits』セッションのときに出会った仲間で、今でも音楽的な交流はもちろん続けています。で、今夜はこのメンバーで僕の新しいアルバム『月と専制君主』、このレコーディングにみんな参加してくれたわけだけれども、このアルバムを巡る四方山話をしてみたいなぁという感じです」

・ヤングブラッズ
元春「この[ヤングブラッズ]の演奏はハモンド・オルガン、すなわちkyOnのプレーを中心に組み立てようというのがひとつと、個人的な趣味としてラテンロックとか...」

Dr.kyOn「むふふふ」

元春「マイアミロック的な(笑)、ああいう感じが好きだったので、それを折衷した中でね、いい、かっこいいサウンドができないのかなっていうのが最初にあったんですよ。で、ハートランドのメンバーとホーボーキングバンドのメンバーの合体バンドのいいところが本当に上手く録音できたという点で、すごく個人的にうれしかったんですね。確かこれ一発録りだったんじゃないかな」

Dr.kyOnはスパムのカウベルをずっと聴いて演奏したそうだ。スタジオでいろんなところに立ってるマイクに共通に響いていて、音がかぶってる状態だったという。同時に録音する場合は部屋を分けたり、ちょっとだけセパレートして、何かが起こった場合のことを考えるけれど、今回はそういうことをしないで、お互いの音やグルーヴを確認しあいながら演奏したことが、貴重な体験だったし、いい結果に出たと話す。

古田たかしは音がかぶってて、直しが効かないということが、緊張感を高め、ひとつになれたのだと話す。オリジナル・アレンジとのギャップは感じなかったそうだ。自然に新しいアレンジに入れたという。

元春は全くの新曲のつもりで取り組んだとか。ただ詩の持ってる意味合いだけは、自分の中にしっかりとあるので、それは崩すことなく、アレンジしたそうだ。

元春「この[ヤングブラッズ]、一発録りで参加してくれたミュージシャンの、それぞれの楽器演奏がしっかり見えてくる録音になりました、結果的にね。さっきも言ったんだけれども、ハートランドのメンバーとホーボーキングバンドのメンバーの合体バンドが、こうして作り上げた結果というのは、僕はとてもね、何ていうのかな... できたあとレコード聴いて、幸せな気持ちになる」

全員笑う。

元春「で、これは(笑)、ライヴであってもそう。7分ある曲で僕が担当しているヴォーカルなんか最初の4分間ぐらい」

全員爆笑。

元春「自分、歌い終わると、あとみんなの演奏(笑)」

古田「お客さんとして聴いてる(笑)」

元春「すごい幸せ(笑)。いいなぁって感じだね(笑)。うん」

・夏草の誘い
元春「オリジナルは'80年代『Cafe Bohemia』というアルバムに収録した曲で、原曲はもっとアッパーなポップチューンだったんだけれども、[夏草の誘い]が持ってる詩の世界をもう一度感じてみると、もう少し牧歌的でいいのかな、それからサウンド的にもフォーキーで、そして使う楽器もエレクトリックなものじゃなくて、ストリングスとか、特にホルンとか、やわらかなエッジの丸い音を中心に組んでみたらどうかな。それで富雄くんが弾くウッドベースと...」

古田「ウッドベースが効いてますね」

元春「それとたかしくんのドラムスと、それがまずリズム隊としてあって、そして僕と長田くんが弾くアコースティック・ギターをL-Rに置いて、それぞれに違うことを弾いてるんだけれども、アコースティックがいて、そして外側に包むものとして、まずホルン、それからストリングス、これが拓ちゃんがストリングスのアンサンブルを組んでくれたし、ホルン奏者に指示してくれた...」

山本「フリューゲルですね」

元春「あっ、フリューゲル、ホルンを指示してくれた」

山本「弦もカルテットで成功したと思ってます」

スパムはある本の中で今回のレコーディング・セッションで個人的にこの[夏草の誘い]が「いちばん好き」と発言している。ヴォーカルを全て包み込む空気感、歌を完全に引き立てる演奏、サウンド、歌詞を全部プッシュしている演奏になってると話す。長音符が少ないのでストリングスやホーンが活きて、馴染んでいるようで、色分けされていて、そのトータルのものが全部、歌詞を押し出してる気がしたそうだ。

元春「すなわち、言葉と、それから演奏が本当に意味を持って合体している」

スパム「はい。その感がいちばん強いのがこの曲と思って、それでこの曲が今回の中では僕は一番好きだったっていう...」

元春「そうだね。僕もそれは同感で、出来上がりがとても自然。うん。これは確かね、ダビングで仕上げて行きましたけれども、まるで、ずっとこの曲を演奏しているバンドが、ふらっとスタジオにやってきて、レコーディングするよって、言って録ったかのような、そうした温かみとか、リラックス感とかが出てる。そして歌手が前にいて、その歌手がのびのびと歌ってる、そういう図が思い浮かびましたね」

スパム「そうですね。いちばん録音するときに、そこを心がけたっていうか、音像を録音するときに、この曲がそこにいちばん気を使ったところが、僕はあったので、エンジニアさんといろいろ話をして、その距離感作りを、いちばんこの曲は慎重にしたと思います」

中略

元春「まぁ、しかし、みんなはね、僕のレコーディングの現場では(笑)、解き放たれたようにいろんなことやるね(笑)」

Dr.kyOn「そうですね(笑)」

・クエスチョンズ
元春「今、僕たち話したんだけれども、個人的には今回のレコーディングでいちばん楽しくて、スリルがあって、いちばんクリエイティブだったと思いますね。最初、自分のスタジオで考えてたのはこんなのじゃなかった(笑)」

全員笑う。

元春「こんなんなっちゃいましたっていう感じだね(笑)」

スパムはこの曲に関して、みんなで、あーでもない、こーでもないと、ワイワイがやがやとした雰囲気が印象に残ってるという。最終的にピアノとギターの合わさったときの感じにグッときたのだそうだ。最後に上がっていくところが、抑揚して、我慢した感じがすごく出てて、解き放たれたときの開放感にもグッきたという。

元春「基本はこれはブルースですけれども、ビートがツービートでずっーとやっていくという、バース、コーラスが禁欲的な感じなんだけれども、最後にたかしくんのドラムが倍で叩き出すところから、少し解放されて、で、最後に向かって、どんどん解放していくっていう、バンド演奏の醍醐味がちゃんと録音されたなという感じがありますよね」

スパム「その最後の抑揚感がこの曲もまた歌詞を押し出していくっていうか、そこが僕もういちばん...」

元春「スパムの視点は面白いと思う。歌詞と演奏のマッチングというのは、僕もプロデューサーとしてよく思うんだけれども、この楽曲でいうと、"希望ー 絶望ー"とくるんですよ。で"希望ー"まではそれまでの長調なんだけれども、"絶望ー"でちょっと転調感を出すんですね。このときに"希望ー"でターンタ、ターンタタと受けてくれる、ギターとピアノが。次の"絶望ー"でも受けてくれるんだけれども、そこを少し半音でクラッシュさせてたのを覚えてる。そのときに(笑)、この"希望ー 絶望ー"の詩の感じが、あっ、ちゃんと表現できたなって思った瞬間があって、すごくうれしかったんだけれども。あれ、どうだった(笑)」

古田「おもしろかった(笑)」

長田「この曲の持ってるリフが、ありそうで、ないというか、すごくワクワクしたのを覚えてる」

元春「うん。しかも譜面では表せないタイミングというか、だから僕も口で伝えるしかない、フレーズを。ちょっと三連を含むような。で、これは、このレコーディング・セッションにスタジオ・ミュージシャンのかたがやってきて、その人がひじょうにスキルの高い人であっても、そのセンス、その感覚を持ってない人だったら言いにくいよね。こうやってくださいというのは言いにくい。長年一緒に演奏してるみんなだから、気楽にこんなタイミングでやってみたらはどうかって提案できる。で、それに応えてくれる。というのが僕にとってはいちばんうれしいことだね」

長田進はテイクワンの素晴らしさについて話す。テイクワンは不完全で、テイクをいくつか重ねると完成度は上がるけれど、失うものもあると。

元春「その通りだね。インスピレーションの全てはテイクワンにあると、こういう言い方でいいと思うんだね。だから自分もテイクワンは絶対捨てないで、必ず迷ったときに戻る指針としてね、テイクワンはいつも取っておくんですけれどね。[クエスチョンズ]、とにかくこの曲は、今回のレコーディング・セッションでいちばん楽しかったのを覚えてます」

・レインガール
元春「これもライヴ・レコーディングの良さが本当によく出てるよね。フレーズも繰り返しが多いんだけれども、バンド演奏に感情がこもってるので、ちっとも飽きないというか、繰り返しが逆にドラマを作ってるというかね、kyOnの弾いてくれてるピアノのソロなんて、タタタンタン、ターン、ターン、ターンの繰り返しでしょ。だけれども単調に聴こえないというか、それを包んでる和音は違うんだけれども、なんかそこに感情が感じられる。だから何というか、聴いていて飽きないんだよね。[レインガール]はオリジナルは'90年代、ハートランド、ストレート、エイトビートのロックンロールだよね」

古田「そうですよね。全然違いますよね」

元春「4拍子が3拍子になっちゃった。これは(笑)、ホーボーキングバンドの時代、やったんだよ、それを(笑)」

長田「あっ、そうなんだ」

元春「うん。だから長田くんや、たかしくんが知らないあいだに(笑)、[レインガール]は3拍子になってた。覚えてるのは20周年記念のツアーのときに[レインガール]をやろうということになって、僕がアレンジに困っていたときに、kyOnが3拍子にしたらどうですか(笑)」

Dr.kyOn「へへへへへ」

元春「で、スタジオの隅に行きまして、ギターを持って。本当に3拍子になるのかどうか。特に歌ですよね。4拍子でハマってる歌を3拍子にして本当にハマるのかよ、思いながらやったら、見事にすっと3拍子でも歌えるんだよね」

山本「知らないと4拍子のが想像つかないですよね」

全員笑う。

長田「逆に自然だよね、すごく」

元春「僕はそのとき学びましたね。4拍子でちゃんと言葉が機能している曲は何拍子でもいけるんだ(笑)」

全員笑う。

元春「僕が思い浮かんだフレーズ、言っちゃっていい?(笑)。あの、ドイツ人がビール飲んで、ソーセージ食ってるような(笑)」

全員爆笑。

古田「はいはいはい(笑)」

元春「なんかシング・アロングな感じ。みんなで肩組んで歌っちゃうみたいな、左右に揺れちゃうみたいなね。それは例えだけれども、そういうなんというか、ユニティ、団結感というか、温かい団結感っていうか、それをね、僕はこの3拍子にときどき感じますね。こうしてホーボーキングバンドとセッションする喜びというのは、これはかけがえのないものだし、僕はソングライターとしては、僕の言葉をみんな大事にして演奏してくれるというのが有り難いし、また小さなライヴハウスから大きな球場まで、僕たちは経験を共有しているということですね、これはほとんど人生を共有してるのと同じ感覚。その仲間たちが長い時を経て奏でる音というのは、必ずそこに滋味というか、何かがあるはずだって信じてるんですね、だから、その喜びを今年もまたライヴで分かち合えることが、僕は本当にミュージシャンとして幸せだなぁという感じですね。今夜本当にどうもありがとう。また、今年さ、30周年でいま僕たちツアーを続けてるけれども、これが終わったら新作レコード作るつもりなんで、またよろしくお願いします。どうも、ありがとうございました」

全員拍手。

・番組ウェブサイト
「番組ではウェブサイトを用意しています。是非ご覧になって曲のリクエスト、番組へのメッセージを送ってください。待ってます」と元春。
http://www.moto.co.jp/MRS/

・次回放送
2月1日オンエア。
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Sunday Song Book #954

2011年01月16日 | Sunday Song Book

<01月16日プレイリスト>
[「棚からひとつかみ+リクエスト」]
家に帰ろう/竹内まりや "クワイエット・ライフ" '92 "エクスプレッションズ" '08
SQUARE BIZ/TEENA MARIE '81
RIDING HIGH/FAZE-O '78
LOOKS LIKE RAIN/ALZO "ALZO" '72
LET LOVE STAND/MASTER FLEET '74
MOVIE STAR/HARPO '75
ヘロン/山下達郎 "コージー" '98
---------------------------------------------------
■内容の一部を抜粋
・近況
今週はTBS系日曜劇場「冬のサクラ」の主題歌「愛してるって言えなくたって」のミックス・ダウン。

・TBS系日曜劇場「冬のサクラ」
新曲「愛してるって言えなくたって」は今夜1月16日の夜9時からスタートのTBS系日曜劇場「冬のサクラ」の主題歌。主演は草?剛さん、今井美樹さん。
http://www.tbs.co.jp/fuyuno-sakura/

3月9日にシングルとして発売予定。目下、シングルのミックスを行ってるところ。今回の主題歌もバラード。カップリングは何かのライヴ・ヴァージョンの予定で、それについては一週間か二週間してから発表するとのこと。とりあえず来週あたりにテレビ・サイズのオンエアができたらと考えてるそうだ。
9ヶ月ぶりシングル・リリースで「街物語」以来。今回も「街物語」同様、TBS系日曜劇場、ドラマの主題歌。ドラマの初回放送日の本日から、テレビ・ヴァージョンの着うたの配信がレコチョク、ほかにてスタート。

・家に帰ろう(マイ・スイート・ホーム )
1月2日から三菱地所レジデンスのCM曲として使用されているので超常連のリスナーからリクエストが殺到した。
http://www.mecsumai.com/

もともとは1992年のシングル・カット・ナンバー。

・棚つか+リクエスト
相変わらずレコーディングでスタジオ入りしているので、いつものようにレギュラー・プログラムの「棚からひとつかみ」。そして昨年末の「年忘れリクエスト」でかけらけないで残ったリクエストがまだたくさんあるので、今週と来週は「棚つか+リクエスト」。
「少し暇になってきましたら、特集など今年何やろうかなぁなんて思っておりますが、とにかく今年の前半は私、アルバムのレコーディングでございます。出なかったアルバムを(笑)、一刻も早く仕上げなければなりませんので、当分こうした[棚つか+リクエスト]というかたちでいってみたいと思っております」と達郎さん。

・SQUARE BIZ
12月26日にティナ・マリーの訃報が届いた。享年54歳。ティナ・マリーは'80年代を代表する白人女性R&Bシンガー。白人が作る音楽と、黒人が作る音楽がどんどんどんどん分かれていく中で、最もシンパシーを抱いたブルー・アイド・ソウルのシンガー。本当は特集したかったそうだが、時間がないので追悼の意味で一曲目。「SQUARE BIZ」は1981年、全米ソウル・チャート3位、全米チャートで50位。ティナ・マリーの代表作の一曲で「まじぃ!?」という意味だとか。

・リスナーのお子さんからの質問
リスナーのお子さんからの質問で「達郎さんは最高何時間寝ますか?」
年とってだんだん寝られなくなったそうだが、9時間ぐらい寝るとすごく調子がいいそうだ。

「ケイタイでメールを送ったりしますか?」
「します」と達郎さん。

「好きなおせちは? 僕は伊達巻きが好きです」
「僕も伊達巻きだな、うん」と達郎さん。

「誕生日プレゼントでうれしかったものはなんですか?」
「難しいですね。昔、親からもらったX-15のプラモデルですかね」と達郎さん。

・RIDING HIGH
FAZE-Oは5人組のシカゴ出身のヴォーカル・インストゥルメンタル・グループ。デビュー作の「RIDING HIGH」が全米ソウル・チャートで9位。オハイオ・プレイヤーズの肝いりで、オハイオ・プレイヤーズをプロデューサーに迎えた1978年のアルバムがようやくCD化された。今回はアトランティックのライノから出たアメリカ盤の紙ジャケ。いわゆるパターン・ミュージックで延々と続く。アルバム・ヴァージョンは7分近くと長いので、アルバム・ヴァージョンに沿ったエディットを行った音源でかけたそうだ。イントロだけアルバム・ヴァージョンで、長さはシングル・ヴァージョンという感じだとか。

・LOOK LIKE RAIN
アルゾはアルゾ・フロンテという12弦ギターを弾きなから歌うシンガー・ソングライター。1972年のソロ・アルバムから。
「当時の四谷にありましたロック喫茶でよくかかっておりました。そっから大体このCD化まで来たというですね、我々の仲間の口コミで広まったという、そういうような音楽でございます。今は亡きアルゾ・フロンテの素晴らしい一曲。プロデュースド・バイ・ボブ・ドロー。1972年のアルバムから[LOOK LIKE RAIN]」と達郎さん。

・LET LOVE STAND
スイート・ソウル系で達郎さんが最近買ったレコード。マスター・フリートはカリフォルニア、コンプトン出身の4人組の黒人ヴォーカル・グループ。1974年にアルバムを一枚出した切りだが、このアルバムがひじょうに作品的に出来がいいそうだ。そこからのシングル・カットが二枚、そのうちの一枚がこの「LET LOVE STAND」で、これが一番いい曲でしょうと達郎さん。

・MOVIE STAR
ハーポの「MOVIE STAR」にリクエスト。達郎さんは持ってなかったらしく友だちかに借りてきたとか。1975年の作品。ヨーロッパやオーストラリアでヒットした曲。

・ヘロン
1998年のシングル。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
■今後の予定
01月23日は、引き続き「棚からひとつかみ+リクエスト」
http://www.smile-co.co.jp/tats/
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5000 SONGS

2011年01月15日 | 佐野元春

個人サイトに「5000 SONGS」を取り上げました。

「5000 SONGS」は正月休みにチャスカ茶屋町のMARUZEN & ジュンク堂へ行って買ってきました。
チャスカ茶屋町は安藤忠雄さんの設計。その地下一階から七階までがMARUZEN & ジュンク堂で、昨年の12月22日に開店しました。
開店したときは安藤忠雄さんも訪れて、
「ネットで本が買える時代に、こんな無謀とも思える大型書店を開店したそのチャレンジを称えたい」
というような話をしていました。

上の写真はオープンしたばかりの頃、昨年年末ですね。
ちょうど近くを通りがかったので寄ってみましたが、そのときは時間がなくて上から下まで見られませんでした。
それで正月休みに行ってみたんですが、全部のフロアに行ってみたら一時間半くらい時間が経ってました。
児童書や絵本のフロアが最上階の七階で、昨年亡くなった「佐野洋子追悼フェア」が開催されてました。
僕も持ってる『100万回生きたねこ』は七階だけではなく、あちこちにディスプレーされてたのが印象に残ってます。
洋書のフロアでは村上春樹の海外本がずらりと並べてありましたし、
パティ・スミスの写真集がセール価格で売り出されてました。
五階の芸術書のコーナーで「5000 SONGS」を見つけかごに入れて。
そうそうフォトグラファーの写真集にはサイン本もいくつかありました。
鷲尾和彦さんの『極東ホテル』のサイン本は買おうかどうしようか迷いました。
この人の撮った佐野元春の写真とインタビューがウェブで公開されてますよ。
二階には神戸三宮NAGASAWAが出店してましたので仕事で使う文房具を買ったりしました。
地下のコミックのフロアでは手塚治虫のコーナーをチェック(笑)。
レジが一階しかないので行列ができてましたが、それほど待たずに清算できましたね。
そんなわけでMARUZEN & ジュンク堂ではじめた買った本は「5000 SONGS」でした。
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Motoharu Radio Show #065

2011年01月12日 | Motoharu Radio Show

2011/01/11 OnAir - 1st. Week
01.Pretenders:Brass In Pocket
02.Wilco:You and I
03.Georgie Fame:Sitting in the Park
04.Ray Davies:All Day and All of the Night / Destroyer (feat. Billy Corgan)
05.Ray Davies:Victoria (feat. Mando Diao)
06.Paul McCartney:Get Back (Live at CitiField, NYC)
07.Bob Dylan, Eric Clapton, George Harrison, Neil Young, Roger McGuinn & Tom Petty:My Back Pages (Live)
08.Buddy Holly:Peggy Sue
09.Rod Stewart:Have You Ever Seen the Rain
10.James Taylor & Carole King:You've Got a Friend (Live)
11.John Lennon:(Just Like) Starting Over
12.佐野元春:君がいなければ
---------------------------------------------------
■内容の一部を抜粋
「あけましておめでとうございます。Motoharu Radio Show、今年もいつも通り素晴らしい音楽で、くつろいだ夜のひとときを、みなさんと一緒に過ごしていきたいと思います。今夜の特集はMotoharu Radio Show、2010年ベストトラック集。専用ウェブサイトで毎回実施しているリスナー投票の結果をもとに、昨年2010年番組でエアプレイした曲の中からベストトラックを特集したいと思います」と元春。

・Brass In Pocket
「プリテンダーズ。いいですね。僕もこのバンドの曲、大好きです。番組2010年リスナー投票では第37位にランクインです」と元春。

・You and I
昨年来日公演が開催された。Motoharu Radio ShowではWilcoをフォローしている。リスナー投票では第15位にランクイン。

・2011年1月11日夜11時
リスナーから「新年第一回目の放送は2011年1月11日夜11時からですね。7回も1が続くととてもおめでたい感じです」というコメント。
「あぁ、確かにそうですね。これはかなり珍しいことなんじゃないでしょうか。いわゆるぞろ目というやつですね。まぁ、電話番号とかナンバープレートとか、結構オークションの対象になったりします。特にこれは本当に珍しいと思います。Motoharu Radio Show、新年第一回目の放送が2011年1月11日夜11時からのスタートとのこと。ぞろ目の中でも特にラッキーなピンぞろというやつですよね。まっ、英語ではスネークアイズ、蛇の目というそうです。確かに蛇の目は目の瞳孔の部分なんでしょうか、よく見ると数字の1のように見えます。まっ、そんなラッキーな数字ではじまったこの番組。今年もリスナーのみなさんと音楽で繋がって、みんなハッピーになれたらいいなと思います。今年もよろしくお願いします」と元春。

・Sitting in the Park
「僕も大好きな曲です。リスナー投票では第16位にランクイン」と元春。

・3PICKS!
「Motoharu Radio Show」では毎月番組推薦盤3枚のCDをピックアップしている。今月1月の「3PICKS!」はレイ・デイヴィス『See My Friends』、ライアン・アダムス & ザ・カーディナルズ『Cardinals III/IV』、そして佐野元春『月と専制君主』。どのレコードも心に響くよいソングライティングと素晴らしいサウンドがあると元春。この中から今週は『See My Friends』。

・レイ・デイヴィス
レイ・デイヴィスはフーやストーンズと並ぶUKのバンド。キンクスのリード・ヴォーカルであり、素晴らしいソングライター。現在67歳ということだが、見た目にはそんな年には見えない若々しいルックス。そのレイ・デイヴィスがバンドを離れソロ・アルバムを出した。アルバム・タイトルは「See My Friends」。レイ・デイヴィスがキンクスの時代に書いたロックンロールの名曲を、いろいろなアーティストを迎えてコラボレーションしたセルフ・カヴァー・アルバム。このアルバムに参加しているのはブルース・スプリングスティーン、ジョン・ボンジョヴィ、メタリカ、ジャクソン・ブラウン、ビリー・コーガン、他にも新しい世代のアーティストを含め全部で14曲、キンクスのクラシックスを新たな解釈のもとカヴァーしている。そのレイ・デイヴィスのバンド、キンクスはビートルズやストーンズほど評価されてないけれど、歴史に残るロックバンド。特にキンクスの曲で素晴らしいのはギターのリフ。「You Really Got Me」はロック史上最も有名なリフといわれている。シンプルなんだけれど、パワーのある、ガッツのあるリフ。「All Day and All of the Night」もギターのリフが印象的。ロックの曲にとってリフというのがいかに重要かを証明する名曲。レイ・デイヴィスは常にマイペースで自分の世界を築いていく、そんなかっこよさを感じる。新しいアルバム『See My Friends』からキンクスの代表曲2曲、スマッシング・パンプキンズのビリー・コーガンをゲストに迎えた「All Day and All of the Night / Destroyer 」と、新世代のアーティスト、マンド・ディアオを迎えた「Victoria」。

・ツイッター
「さて、Motoharu Radio Showでは今番組を聴いてくれている全国リスナーのみなさんがインターネット上で楽しくコミュニケーションできるツイッターという仕組みを採用しています。ここに参加したいという方は今からURLをお知らせするので是非書き取ってください。番組からツイッターのお知らせでした」と元春。
http://www.moto.co.jp/MRS/

・GreenPeople
環境問題に取り組むユースたちを紹介するレポート「GreenPeople」。毎週このコーナーでは環境を巡る社会活動を通じて様々なアクションを起こしている人たちを紹介。このコーナーの協力はNHKの環境特集番組「SAVE THE FUTURE」。
http://www.nhk.or.jp/savethefuture/mamoribito/index.html

今週は「根っこネット」という市民団体。自分たちができる範囲で環境問題について考えようと1999年から東京都を中心に活動してきた。今一番人気がある取り組みはダンボール・クッキングというもの。楽しく料理しながらエコについて学ぶ。
http://www.nhk.or.jp/savethefuture/mamoribito/movie/motoharu1.html

・Get Back (Live at CitiField, NYC)
リスナー投票では第6位にランクイン。
「2009年、ニューヨーク、シティ・フィールドで収録されたライヴから。曲は[Get Back]。マッカートニーが天国にいるレノンに戻ってこいよ、そんなふうに呼びかけてるような演奏でした」と元春。

・My Back Pages (Live)
リスナー投票では第5位にランクイン。
「ボブ・ディラン30周年アニバーサリー・ライヴから、エリック・クラプトン、ジョージ・ハリスン、ニール・ヤング、ロジャー・マッギン、トム・ペティが参加した[My Back Pages]」と元春。

・Peggy Sue
リスナー投票では第4位にランクイン。
「昨年は番組でバディ・ホリーの命日に特集を組んでみました。聴いてくれた方もいると思います。曲は[Peggy Sue]」と元春。

・Have You Ever Seen the Rain
ロッド・スチュワートのカヴァー・ヴァージョン。リスナー投票では第3位にランクイン。

・You've Got a Friend (Live)
リスナー投票では第2位にランクイン。
「ジェームス・テイラーとキャロル・キング。この二人のミュージシャン・シップ溢れるライヴ。心が温かくなる、とてもいいレコードだと思います」と元春。

・(Just Like) Starting Over
リスナー投票では第1位にランクイン。
「昨年末はジョン・レノン没後30周年ということで話題も豊富でした。曲は[(Just Like) Starting Over]」と元春。

・君がいなければ
「さて来週、再来週のMotoharu Radio Showですが、僕の新作の特集を組んでみたいと思います。アルバム・タイトルは『月と専制君主』。今回の作品はセルフ・カヴァーのアルバムなんですが、とてもいい仕上がりになりました。いち早くこの番組のリスナーのみなさんに聴いてもらいたいと思います。特集に先駆けて今夜はそのアルバムから1曲紹介させてください。[君がいなければ]。今夜はこの曲を聴きながらお別れです」と元春。

・番組ウェブサイト
「番組ではウェブサイトを用意しています。是非ご覧になって曲のリクエスト、番組へのメッセージを送ってください。待ってます」と元春。
http://www.moto.co.jp/MRS/
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DOWN TOWN

2011年01月11日 | 山下達郎

個人サイトを更新しました。

今週の水曜日、12日に佐野元春がCoccoとコラボレーションしたiTunes Store限定シングル「月と専制君主 -Boys & Girls version-」が発売されます。MWSがアルバム『月と専制君主』のWebページを公開していて「月と専制君主 -Boys & Girls version-」の試聴ができます。

・アルバム『月と専制君主』のWebページ
http://www.moto.co.jp/sidewalktalk/

しばらくiTunes Storeで楽曲のダウンロードをしてなかったので、久し振りに出物がないかチェックしてみました。そうしたところ、SSBで達郎さんが紹介していた坂本真綾の「DOWN TOWN」を見つけました。

坂本真綾のマキシシングル『DOWN TOWN/やさしさにつつまれたなら』(2010年10月20日発売)にシュガーベイブの「DOWN TOWN」のカヴァー・ヴァージョンが収録されてます。iTunes Storeでは『DOWN TOWN / やさしさに包まれたなら - EP - 坂本 真綾』がダウンロード販売されていて、「DOWN TOWN」は200円で配信されています。

昨年のSUNDAY SONG BOOKの11月7日放送から情報を引用します。

アレンジは服部隆之さん。キーボードは難波弘之さんで、コーラスは三谷泰弘さん。
「ふたりから聴きましたが、あのアレンジはすごいというですね。僕もそれで聴かしていただきましたが、(服部)隆之くん力が入ったやつでございましてですね。素晴らしいカヴァーになりました」と達郎さん。
10月からはじまったTBS系のアニメ「それでも町は廻っている」のオープニング・テーマに使われている。

●それでも町は廻っている OP



スタッフ・クレジットで名前が出てきますね。(^^)

思わず購入してしまいましたが、これが今年はじめて買った音楽ということになり、「オマエはそれでいいのか?」と自分に問いかけてしまいました(苦笑)。まぁ、ネットでナイアガラとかを予約してるんですけどね。ちなみに初買いDVDというのがありまして、それはコーエン兄弟監督作品の『オー・ブラザー!』でした。

コーエン兄弟といえば新作『シリアスマン』がまもなく公開されますね。

●『シリアスマン』 予告編



ところで、『シリアスマン』を検索していて見つけた、この「監督主義プロジェクト」ってなんでしょうか?
http://ddp-movie.jp/index_ddp.html

第一弾の『ウッドストックがやってくる!』はロック映画といってもよさそうですね。
http://ddp-movie.jp/woodstock/index.html
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Sunday Song Book #953

2011年01月10日 | Sunday Song Book

<01月09日プレイリスト>
[「新春放談(ゲスト:大瀧詠一)」]
恋するカレン(カラオケ)/大瀧詠一 "ロング・ヴァケイション 30th Ann. Edition" 3月21日発売
君は天然色/大瀧詠一 "ロング・ヴァケイション 30th Ann. Edition" 3月21日発売
砂の女/鈴木茂 "バンド・ワゴン" '74
抱きしめたい/はっぴいえんど "風街ろまん" '71
カナリア諸島にて/大瀧詠一 "ロング・ヴァケイション 30th Ann. Edition" 3月21日発売
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■内容の一部を抜粋
「お正月気分も一段落でございまして。ハッピーマンデー、成人の日でございます。今年成人式を迎えるみなさま、おめでとうございます。今、もう本当に日本含め世界、大変な状勢が、え~、なっておりますが、お若い方の力で少しでもよい世の中にしていただきたいと思います。いろいろと夢を持ちにくい時代ですけれども、がんばって生きてください。というわけで山下達郎SUNDAY SONG BOOK。毎年お正月は大瀧詠一さんをゲストにお馴染みの新春放談。先週に引き続きまして今週はパート2でございます。今週もいろいろと濃いところをどれくらい出せるか(笑)、という感じでございますが。大瀧詠一さん、健康状態すこぶる良ろしいようで、今日もお話が弾むことと思います。今日もいろいろと濃いところをお楽しみいただければと思います」と達郎さん。

今年の3月21日に『ロンバケ』が30周年なので『A LONG VACATION 30th Anniversary Edition』が発売となる。今回は二枚組で一枚はオリジナル・マスターにボーナス・トラックが1曲収録されるという。そしてもう一枚は初出の純生カラオケ。
大瀧「30周年に取っておいたの。どっちかというとカラオケのほうがメイン(笑)、今回はね。ふふふ。これ聴いてもらいたかった」

達郎「当時録った? カラオケって初期から全部あるんですか?」

大瀧「ナイアガラの初期のものはないですよ」

達郎「いつから録りはじめたんですか?」

大瀧「『ロングバケーション』からじゃないですかね」

達郎「『カレンダー』はないんですか、カラオケ?」

大瀧「ないんじゃないですか? 自分でマスター持ってるからいつでも作れるって思ってたの。第一、あれをバックにして歌う機会がありますか? バックにしなくても歌う機会がないにも関わらずだよ、あなた」

達郎「意外とね、純カラって、歌うだけじゃなくて、例えばアレンジャーとか、そういう人が聴きたがるの」

大瀧「全部家でやってたからさ、[ナイアガラ音頭]だけあるよ、布谷文夫用の。付けたじゃん、B面」

達郎「あそこ、どうやってるかって、歌が乗るとわかんないところがあるので、本当はカラオケってネタばれになるんだよね」

大瀧「ネタばれになるから30年になるまで取っといたの」

達郎「ははははは」

大瀧「10年ではダメで、20年のとき考えたけども、今公開してもまたネタばれになるからなぁと思って。まぁ30年経ったし、もう自分もやる予定もないから、ちょうどこのへんが潮時だなぁと思って。で、30年に純カラ出そうと。だから今まで一切出てないですから。満を持してですよ」

達郎「へへへへへ」

大瀧「自慢じゃないけれど本チャンよりもカラオケ... で、カラオケで一回終わってんのよ、実は僕は。カラオケで自分としては完成したと思っちゃった」

達郎「ははは。歌がなきゃ?」

大瀧「歌を入れるときに、前も言ったけど、[(恋する)カレン]は60点の出来だという話をしたときに、なかなか歌えなかったという話をしたけども、[カレン]に限らず、なぁんかね、歌入れはじめたらオケを邪魔してるように感じたのよ。でね、入れたくないなぁって正直思った」

達郎「歌手の人は全く逆で。大瀧さんそれは自分で作ってるからですよ。作ってる人って必ず自分で歌入れるとき、カラオケだけのほうが全然いいと思うんですよね」

大瀧「いいって。めちゃくちゃいいよ。聴いて。今度の自信作は『ロンバケ』のカラオケ」

達郎「ふふふ。し・か・た・な・い(笑)」

大瀧「僕は本当にここでね、一回終わってるわけよ。完成してるの、実は。できれば歌いたくなかった」

達郎「ははははは」

大瀧「これで出したかった(笑)」

達郎「おっしゃりたいことはよ~くわかります(笑)」

大瀧「わかるでしょ。それとね、メロディ作ってからレコーディングするっていうケースは、僕は滅多にないから。で、あったとしても、そのメロディというのは自分の中のひとつのチョイスなのよ。最終チョイスでもあるけれども、One of themなわけよ。で、themがいくつあったかっていうのは、曲によるけど山のようにthemがあったんだ。で、カラオケにthemが聴こえるのよ」

達郎「ふむ。固定された途端に、弁証法的にそれがね...」

大瀧「themを聴いてほしいわけよ。そのメロディじゃなくてもよかったわけ。よかったんだけれども、なぜかそのメロディをそこで選択したということでしかないわけ。別のメロディとか、別の生き方もあったのではないかということなんだ。結構この考え方は成瀬、小津の研究に役立ってるんだよ、ものすごく」

達郎「ははははは」

大瀧「別にそこのアングルじゃなくてよかったんじゃないかとか、そこの場所じゃなくてもよかったんじゃないか、ということは取りも直さず、そこでなければいけなかったという理由もあるはずだって。そこなんかのものがね、ものすごく面白かったんだよ。だからこのカラオケは超自信作」

達郎「ふふふ。おかしい(笑)」

大瀧「これひとつでいいわ。本当に聴いてもらいたい、心底。爆音で聴いてもらいたいね」

達郎「ふふふ。おかしいなぁ(笑)」

・恋するカレン(カラオケ)

大瀧「今度の『ロングバケーション』のボーナス・トラックは[君は天然色]。2チャンネル。2チャン録音したから、録りのときに。要するに、せーので、1、2のチャンネルだけで録ったんです。一発録りというやつで」

達郎「それに歌が入ってるものなんですか?」

大瀧「結果的にはね。ダビングしたり、歌を入れしたりしたんだけど。いや、カラオケ。カラオケを2チャンネル。吉田保さんがそのときミックスしたんですよ。一発録りのそれをボーナス・トラックに入れました」

達郎「フックに行く前のSEとかないやつですね」

大瀧「なんにもない。本当に二十人くらいの連中がせーのでやったというやつ。サビは一音上がりなの。もともと一音上がりだった」

達郎「じゃあテイクが違うということですか?」

大瀧「いや同じテイク。同じテイクでサビは一音上がりなの。イントロはAではじまってるのに歌はGからなのよ。イントロはAではじまるからチューニングはA(アー)で合わしてるじゃないですか。なんだけど、ジャン、ジャン、スチャラカ、ジャンでD7に行くから一音下がった歌ではじまってるわけ。サビになると一音上がるの。サビはじまりだったのよ、[君は天然色]って」

達郎「そこはエディットしてるわけですか?」

大瀧「ううん、ハーモナイザーで一音下げてる。えっ、言ってなかったけ? 三度目ぐらいのような気がするなぁ。言うてない?」

達郎「僕はそれはじめて聞いた」

大瀧「[はいから(はくち)]とか、ああいうので、AとかさCだから、楽にAぐらい出るものだと思ってたのよ。でもはっぴいえんどから十年経ってたんだよね、考えてみたら。で、Aが出なかったの。出たんだけど詩が付いたのよ。"色を点けてくれ"という詩だったのよ。出たんだけど"色を点けてくれ"が、今は出てないけれどなんとかしてくれよ~みたいな、そういうなんかこう困った感じの歌になったのよ。それですごく悩んで。でも構成として大きくしたかったんだよね、あの曲は。AではじまってGに行って、サビがAで行ってGに戻ったら、また転調してサビになって戻ったら、というデカイ構成にしたかったから、なんとしても一音上げのサビがやりたかったんだけれども、"色を点けてくれ"が本当にもうダメになった中年が青春を懐古してるみたいな感じになっちゃって、でもしょうがないから一音下げた。で、あなたが前に僕に、トニック・サビは珍しいねって(笑)。結果的にCFGのトニック・サビになったんだけれども。で、結局、ハーモナイザーで一音下げたのよ(笑)」

達郎「あぁ、そうなんだ。なるほど」

・君は天然色

大瀧「まぁ、なんでもね、A(アー)にしたかったんだよ。[はいから]がAで、[サイダー'73]もA、で[うららか]もAで、肝心なときに、なんかやるときはAで行くのよ。これは成瀬さんが再起するときに築地に戻るとかさ、そういうあるでしょ、そういうこだわりが。なんとしてもAで行きたかったということなんだよね」

達郎「わかりますよ。(鈴木)茂さんの[砂の女]みたいに、自分が歌えない曲っていうの?(笑)。絶対にギター・コードのほうが重要だから。あれをあのキーで、僕、今ライヴであれやってますけど、僕だってキツいものね。キツいというか、あれを当時の茂さんが、それは大変だろうっていう(笑)」

大瀧「ふふふ。またえらい曲を作っちゃったんだよな、茂もな。それは俺がいつも言ってる千代の富士なんだよ、脱臼しても出し投げするっていうね。あの若いときは、最初から[キャラバン]弾くっていうね。最初からデカイものにぶつかるくらいの気概がないとダメなんだよ。フィギュアでもジュニアとか、じゃんじゃか転ぶやつのほうが大成するのよ。ジュニアのうちからこじんまりまとまってるのは大成しないの」

達郎「獲得目標は高く」

大瀧「高くしないと。若いときはそういうふうにデカくいかないとダメだね。なんて、年取ってから歌えなくなったらしょうがないけどさ(笑)」

達郎「第二のビートルズになるんだみたいなやつですね」

大瀧「まぁね。わだばゴッホになると言った棟方志功さんもいるわけだからさ。やっぱり大きく行かなきゃなダメよ(笑)」

・砂の女

達郎「よくこんな...」

大瀧「よく茂、歌ってたね。キー設定はあの頃と一緒。あそこがちょうど儚くていいんだ」

達郎「まぁ、そうですね」

大瀧「あぁ。キー設定はデカイからね。『ロングバケーション』やってはじめてわかった」

達郎「ははははは」

CM

達郎「僕の記憶でいくと、シャウターとかハイノートヒッターという印象がないなぁ...」

大瀧「ないね」

達郎「ソロ・アルバムでもファーストでもけっこう楽な歌い方というか、ゆったりとした歌い方してるシンガーだなという、僕なんかそういう印象がありますよね」

大瀧「あぁ、シャウターではないからね、もともと」

達郎「高くても、そんなに高い感じがしないという...」

大瀧「でも[春よこい]のサビとかね...」

達郎「ああいうやつはね。あれは一枚目ですもんね。あれと[抱きしめたい]と。[颱風]でもノベルティー...」

大瀧「だからさ、[春よこい]と[抱きしめたい]で終わってるんだよ」

達郎「終わってるって、また(笑)」

大瀧「あそこが絶頂期なのよ、もう。だからもうちょっと早めにはじめてなければいけなかったのよ、たぶん。僕が思うに」

達郎「二十歳ですか、あの頃?」

大瀧「二十一、二でしょうね」

達郎「意外と遅かったんですね」

大瀧「あれはヴォーカリストとしては末期なの」

達郎「ははははは」

大瀧「そっから'81年の『ロングバケーション』までどうしたと思う?」

達郎「『ロンバケ』のときって大瀧さん、おいくつだったんですか?」

大瀧「三十五、六だろうね。あなた、十違うんだから二十二、三じゃないの? あっ二十二、三ってわけないか」

達郎「五つですよ。三十三ですね、大瀧さん。今の尺度でいくと、超若いけど、あの頃だと三十三だとね」

大瀧「だから『ロングバケーション』の歌なんて超末期」

達郎「ははははは」

大瀧「ひどいもんだよ(笑)。つくづくそう思うよ。[抱きしめたい]聴いてると、あぁ、あそこがピークだったなぁって」

達郎「くくくくく」

大瀧「つくづく思うね。早めにはじめてりゃなぁ」

達郎「おかしい(笑)」

大瀧「ふふふ」

・抱きしめたい

吉野金次さんにミックスしてもらったのははっぴいえんどの「春らんまん」1曲だけだと大瀧さん。『風街ろまん』は複数のエンジニアでミックスしていて、大瀧さんはもうひとりのエンジニアでレコーディングしていたが、ビクター専属のエンジニアだったため本名が使えず、大瀧さんが「近藤武蔵」という名前を考えたのだという。達郎さんは今回初めてその事実を知ったと驚く。

『風街ろまん』で大瀧さんが書いた曲はアルバム用として録音したのではなく、先にひとりだけレコーディングしてたとか。暇なのでスタジオでごろごろしてたら、高田渡さんから写真撮りにロサンゼルスへ行かないかと誘われたとか。高田さんはカメラが趣味だったそうだ。それを三浦光紀さんが聞きつけて「みんなで行こう」という話になり、はっぴいえんどは行かないと言ったが、遊びに行くというのをビッグチャンスだと三浦さんは思ってレコーディングのほうへ結びつけたのだという。それが終わって大瀧さんは吉野さんとソロ・アルバムをレコーディングした。

岡林信康さんの「自由への長い旅」のイントロでマーティンのアコースティック・ギターを弾いたのが大瀧さん。岡林さんはビクター所属だったため、ビクター専属のエンジニアの梅津さんが担当した。そのギターの鳴りがよくてはっぴいえんどのレコーディングに来てもらったのだとか。岡林さんとはっぴいえんどはディランとザ・バンドに例えられるから、達郎さんは岡林さんがギターを弾いてはっぴいえんどがバックを務めるという姿のレコーディングをやっていたと思っていたとか。実際ははっぴいえんどと岡林さんのレコーディングでは岡林さんはギターを弾かなかったそうだ。

達郎「このオリジナル・マスター・ボックス(NIAGARA CD BOOK I)はなかなか。いよいよ『レッツ・オンド・アゲイン』がいい音で聴けるという、この...」

大瀧「『デビュー』とかね、弦が多いから。[外はいい天気だよ]とか、山下くんのアレンジのアレがグッと...」

達郎「そればっかり(笑)」

大瀧「ソリーナがね、グッーと鳴ってますからね」

達郎「いや~、恥ずかしいなぁ。もう時代違うからなぁ」

大瀧「ようやくこれでね、日の目を見てみなさんに聴いていただけるということで、ホント、長い間、山下くんにお待たせ致しました」

達郎「ふふふふふ。それ考えてきたんでしょ、どうせ。知ってんだから、もう(笑)」

大瀧「ふふふ」

達郎「楽しみです、これは。ええ。3月21日ですから」

大瀧「まぁ、聴きたい人だけ聴いてもらえれば」

達郎「ははは」

大瀧「『ロンバケ』はとにかくカラオケが自信作です、こればっかりは」

達郎「なるほど。みなさん、どうぞ。で、今年一年はまた『長屋紳士録』に続く...」

大瀧「どうなりますかねぇ。だからあみだくじですからね、僕の人生、昨今.....」

達郎「また突然、どっかにベクトルが行くかもしれませんね」

大瀧「なんかねぇ、あんまり代わり映えしないと思いますよ、今年は。それはまた来年の新春放談のお楽しみということでどうですかね、何があったんだって」

達郎「で、来年はどうなさります?」

大瀧「来年は『トライアングル VOL.2』ですね」

達郎「あぁ、そうかそうか」

大瀧「そろそろVOL.3やりませんかね」

達郎「これは(『NIAGARA CD BOOK I』に)入ってないんですね」

大瀧「『ロンバケ』以降はね。『ロンバケ』から今度は『CD BOOK II』ですから」

達郎「2013年はどうされます?」

大瀧「'13年が問題なんだよ。空白の時期だから」

達郎「『イーチタイム』のあいだどうするかですね」

大瀧「これ問題ですね。何したらいいんですかね。出てないから休むのがいいんじゃないの」

達郎「くくくくく」

大瀧「そろそろiTunesで解禁してもらいたいですね。どのネットでも買えるようになるといいんじゃないでしょうか。まぁ、とはいってもね...」

達郎「普通はそうなんですけどね。普通の人はどのネットでも買えるんですけど、ソニーの人はソニーの企業戦略でmora以外は買えないという...」

大瀧「また因果な会社と契約したもんだね、ホントに」

達郎「ははは。最古参の一人ですからね」

大瀧「二番目ですがね。NO.2」

達郎「でも最年長ですからね。ふふふ」

大瀧「最年長ね(笑)。こればっかりは終わらないだよね、勝てないんだよ、抜かれないから」

達郎「若い会社だから特にそうですよね」

大瀧「もうみんな知らないからね。あの廊下で会っても」

達郎「でも'60年代の後期からできた会社だから、それ以上の人がいないじゃないですか。いわゆる歌手の人でも」

大瀧「入口で守衛さんに毎日止められるしね(笑)、あんた誰?ってね。ふふふ」

達郎「ふふふ」

大瀧「みなさん、会ってもね、誰なのかって、このおじさんはみたいな感じで」

達郎「ふふふ」

大瀧「娘どころじゃないですからね、もう今の人たちは」

達郎「孫ですね」

大瀧「その辺の人たちばっかりだから」

達郎「へへへ」

大瀧「まぁ、いいんじゃないですか。ディランも自分のコンサートで入口で止められたって話もありますから、まぁ、そういう時代ですよ」

達郎「人んちのライヴ行って歌うとか、そういうことないんですか?」

大瀧「だって誰も呼んでくれないもの」

達郎「ははははは」

大瀧「目立っちゃってまずいでしょ。そりゃ、ちょっと止めたほうがいいと思う、俺は。呼びたいって人がいたら止めといたほうがいいと僕はいうと思うよ(笑)」

達郎「僕、次のライヴ、なんか、はっぴいえんどか大瀧さんの曲やりたいんですけどね」

大瀧「やってくださいよ。何やんの」

達郎「[十二月の雨の日]がいいかなと思うんですけど」

大瀧「[君は天然色]をDのキーで歌ってよ。カラオケのときに歌ってたじゃない?」

達郎「歌ってましたね。[君は天然色]だってライヴで再現するの大変ですよ。ファイブ・リズムであれをやるって..... 大体これアナログじゃなきゃ、このグワシができないし.....」

大瀧「聴いてんの、みんな歌なんだし、いいじゃん。だってさ、Dのキーでちゃんと歌えるつうとあなたぐらいしかいないんだもん」

達郎「『ロンバケ』で何か一曲やれって言ったら[カナリア諸島]だな」

大瀧「え~、そこでちょっと日よっちゃまずいでしょ」

達郎「曲が好きなんだもん」

大瀧「[君は天然色]、俺カラオケで歌ったの聴いたよ。合ってたよ」

達郎「ふふふふふ」

大瀧「あのときに、あぁ、サビ一音上げたら歌えんのになぁと思ったんだよねぇ」

達郎「声質が似てるからそれはしょうがないですよ。家のお袋は今でも.....」

大瀧「家のお袋も間違ってたからね、お互いに。ふふふ」

達郎「ふふふ。最近は回転落とすと女房に似るとかいろんなこと言う人がいましてね。知りませんよ、そんなの(笑)。誰だって似るでしょ、そんなの」

大瀧「回転落とすと女房に似るって何それ?(笑)」

達郎「そういうのあるんですよ。[クリスマスイブ]の回転落とすとね、竹内まりやの声になるっていう.....」

大瀧「そおおう? 昔、タモリさんだっけ? 男の声が女の声になるとか。なんかやってたね。なるんだ?」

達郎「知りませんよ!」

大瀧「なるだろう。長い間一緒にいるからね。同居のパーセンテージは親より長いもんね、夫婦のほうが」

達郎「ふふふ。確かにね」

大瀧「いたら似てくるよ、そりゃ」

達郎「この年になると細野さんと大瀧さんが一緒に会った時間と、僕が大瀧さんと一緒にいた時間と、数年しか違わない.....」

大瀧「彼と実質、全部突き詰めたら一年ないと思う。だって仕事のときだけだから、僕の場合は特に」

達郎「ははは。そういう経年考えるともう、年を取ると.....」

大瀧「毎年一年必ず会ってるのつうのは、ホント、あなただけだね」

達郎「そうですか?」

大瀧「じゃないですかね、'73年以降.... だと思いますよ。'80年か'79年か一回会わなかった年が一年くらいあったかないか.....」

達郎「いや、会ってます。萩原健太の番組とか、そういうので」

大瀧「でも『ライド・オン・タイム』の年が一番忙しかったからね」

達郎「『ライド・オン・タイム』の年、一回僕、大瀧さんのお家うかがった記憶ありますよ?」

大瀧「僕、西武球場観に行きましたよ。それで芸能レポーターに追いかけられたっていう、時代だなと思ったという.....」

達郎「ふふふ。時代ですね、まだ二十代ですもん、だって」

大瀧「ふふふ」

達郎「新春放談ももう二十六年なんですよ。'84年の正月が最初ですから。四半世紀超えましたから、遂に。おそろしいですね。まさかそんなにやってるとは思わなかった(笑)」

大瀧「あのときはね。あなたは第一線でずっとご活躍だから。で、あなたがそうやって第一線で活躍してくれるので、僕はなんにもしなくて音楽の業界からきっぱり足を洗って悠々自適で暮らせると、これがありがたい」

達郎「ふふふ。そうやって十数年、毎回同じことをおっしゃってますが.....」

大瀧「ひじょうにありがたい。感謝しておりますよ」

達郎「ふふふ」

大瀧「じゃんじゃんがんばってください。陰ながら応援してますよ」

達郎「ふふふ。それはちょっと上から目線じゃないですか(笑)」

大瀧「なんですか(笑)。陰ながら上からですか(笑)」

達郎「しょうがない(笑)」

・カナリア諸島にて

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
■今後の予定
2011年01月16日は、レギュラー・プログラム「棚からひとつかみ」
http://www.smile-co.co.jp/tats/
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大阪天満宮

2011年01月04日 | 佐野元春

3日は午後から大阪天満宮へ行った。初詣といっていいだろう。



入場規制が行われていて入るのに二十分。さらに参拝するのに十分くらいかかった。

今年、大阪天満宮に参拝したのは佐野元春が大阪キャンペーンのとき、
ここの本殿で30周年アニバーサリー・ツアー Part.3 「All Flowers In Time」の成功祈願をしたから。
この模様は元日の夜、YTVのエンタテイメント情報番組「キューン!」で放送された。

下の写真は昨年の夏に参拝したとき撮影したもの。



お賽銭の防護ネットがない本殿。



今回の佐野元春大阪キャンペーンは昨年の12月8日、9日頃に行われたようだ。
おそらく「All Flowers In Time」ファイナル大阪城ホール公演の主催がFM802と読売テレビなのだろう、
802の近くの大阪天満宮でロケが行われたようだ。
本殿で成功祈願をしたとき、巫女さんが鈴をシャンシャンと鳴らしてた。
こんな感じ。



成功祈願を受けた印象を問われた佐野元春は
「幸運のティンカーベルから金色の粉をいただいた感じ」と話していた。
巫女さんが鈴をシャンシャンと鳴らしてたのを見てそう思ったとか(笑)。

佐野元春は絵馬を奉納していたので、探してみたが見つからなかった。



番組から画像を拝借。



帰り際に境内の北側にある星合の池にも寄った。



言い伝えのある池にかかった橋を渡ると梅が咲いてた。



[おまけ]

番組の中のインタビューは802で行われたようで、
30年を振り返って何かに例えてほしいという質問がありました。

デビューからの10年、'80年代はキャリアのスタートなので「初」。

'90年代はアーティスト活動も波に乗って、無事に10周年を迎えられた、
でも成熟するにまだ早いということで「若」。

'00年代はデビューして3年持てばいいと思っていたが、
気がつけばなんと20周年を迎えていたということで「驚」。

これからについては、30年もやってると、
自分がかつてどこに立っていて、今どこにいて、これからどこに向かおうとしてるのか、
そのあたりがぼんやりとしてきてしまうと話し、もう好きなことやったれみたいな、
過去がどうあれ、現在がどうあれ、未来に向かってやるだけやるぞみたいな、
過去の文脈から切り離してかっ飛んでいくというような気持ちなので「飛」と、そう話してました。
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Sunday Song Book #952

2011年01月03日 | Sunday Song Book

<01月02日プレイリスト>
[「新春放談(ゲスト:大瀧詠一)」]
BE MY BABY/THE RONETTES '63
SHAKE, RATTLE & ROLL/BILL HALEY & HIS COMETS '54
青空のように/大瀧詠一"ナイアガラ・カレンダー '78" '77
FUN × 4/大瀧詠一"ロング・ヴァケイション" '81
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■内容の一部を抜粋
・新年のご挨拶
「みなさん、新年あけましておめでとうございます。山下達郎です。わたくし、山下達郎が毎週日曜日午後2時からお届けしております、JACCS CARD SUNDAY SONG BOOK。え~、おかげさまで今年も恙無く年を越しまして、新年のご挨拶をさせていただくことができております。今年はいよいよこのSUNDAY SONG BOOK、二十周年を迎えることになります。今年の年末に千回という、ひとつの区切りがございます。これもひとえにリスナーのみなさまのご愛顧の賜物と厚く厚く御礼申し上げます。SUNDAY SONG BOOK、今年も何卒よろしくお願い申し上げます。さて、え~、今年は一月三ヶ日のど真ん中でございます。え~、正月気分真っ只中のなかのSUNDAY SONG BOOKでございます。いろいろ内外ですね、情勢が大変でございます。お家でお過ごしのみなさま、海外へお出かけのみなさま、そういう方はリアルタイムでお聞きになれませんのでアレですが。いろいろと正月、いろいろ様々なシチュエーションでお過ごしの方たくさんいらっしゃると思います。どうぞゆっくり(笑)、お正月をお過ごしいただきまして、また一所懸命英気を養われてお仕事に向かわれるようお祈り申し上げております。今年も何卒よろしくお願い申し上げます」と達郎さん。

・新春放談
毎年恒例、ゲストに大瀧詠一さんを迎えての新春放談。
「この新春放談も昔から続けておりましてですね、このSUNDAY SONG BOOKは皆勤でございますが、その前からやっておりまして今年で二十六年目。四半世紀を過ぎてしまいました。まさか二十六年も続けているとは夢にも思いませんでしたが。大瀧詠一さん、なかなか最近は表に出られないですね、この私の新春放談、ファンの方楽しみにされてる方たくさんいらっしゃると思います。今年は『ロンクバケーション』が三十周年でございますので、『ロンクバケーション』の30th Anniversary Edition、それから『ナイアガラCDブック』、シュガーベイブの『ソングス』からはじまって'80年の『ロングバケーション』までまとめたCDブック、3月21日に発売でございます。そうしたお話を含めまして、またこの一年間大瀧さんの、いろいろと道楽について、いろいろと伺ってまいりたいと思います」と達郎さん。

オーディオの話。最近、大瀧さんはデジタル(ADDA)を通して聴いてるという。ファイル化しなきゃいけないのでと。CDもDAを使ってアナログでDAADDA。

達郎「iPodは使ってるんですか?」

大瀧「後発のものに簡単に手に染めるのはアレなので、ずっとウォークマン以来、ソニー製品を愛用してきて...」

達郎「くっくくく(笑)、ははははは」

大瀧「たんだけれども、万やむを得ず昨年より...」

達郎「万やむを得ず(笑)。今年のキーワードは万やむを得ずですね(笑)」

大瀧「万やむを得ずなのよ。世代交代ということもある。それも万やむを得ずというところがあるので」

達郎「なるほどね」

大瀧「え~、iPhoneなるものをついに購入したのですよ。うん」

達郎「なるほど。ふむ」

大瀧「ひじょうに情けない(笑)。忸怩たる思いがあるんだよ、自分としては」

達郎「忸怩たる思いがある(笑)。よ~くわかります」

大瀧「わかるでしょ?」

達郎「ええ」

大瀧「で、そこの中にiPodなるものがなんか入ってるので」

達郎「なるほど」

大瀧「それは使っておりますよ」

達郎「ははははは」

大瀧「ふふふふふ」

大瀧さんは以前からネットラジオでアメリカのラジオ放送を聴いてたそうだ。それがiPhoneでうまく受信できたとか。アメリカ車を購入したのはアメリカのラジオ放送の音楽が再現されるということだったから。でも最近のアメリカ車のカーオディオはデジタル・オーディオなのだが、精度が上がったけれどカーオーディオらしさがなくなったという。それがiPhoneのネットラジオでアメリカのFM局を聴いたところ、ラインアウトでカーオーディオの中にダイレクトに入れ込んだらばっちりだったとか。今はそれで聴いてるそうだ。

・BE MY BABY

アナログを聴くときも全てデジタルを通して聴いてると大瀧さん。
達郎さんはこの番組が日曜日に移ってきたとき、前がキムタクで後ろがドリカムだった。彼らは新譜オンリーなので達郎さんがエディ・コクランをかけるとショボさで悩んだとか。そのおかげでリマスタリングに意識が向って勉強できたという。それがあってチャック・ベリーのSPでもきちんと音圧あってできるようになったと。
FM局は今、音源を圧縮してMP3のフォーマットにして放送している。普通の音をMP3にするとオリジナルよりも途中が抜けてる音になるとか。だから極端にいうとハイとミッドとローの3ポイントがポンポンポンと聴ける。割とミッドがぐっと出るような音作りになってる。これがビル・ヘイリーの音にちょうど合ってて笑ったと大瀧さん。

・SHAKE, RATTLE & ROLL

達郎「ところで、コンピュータの話で終始しましたけれど、一頃の苔とかそういうようなもの、全く関係ない新しい興味の対象とか趣味の対象とか、そういうのは最近は何かありますか?」

大瀧「あぁ、ああいうパターンのね。三年ぐらいで終わるであろう周期のものは、まぁ自転車ぐらいなもんですか(笑)」

達郎「自転車?」

大瀧「自転車で散歩するとかね」

達郎「自転車のハード自体に結構、やっぱりこだわってるんですか?」

大瀧「大したことないけど、まぁ組み立ての、あの電動っていう(笑)」

達郎「あの忌野清志郎さんが結構...」

大瀧「いや、あの人は本格的だもん」

達郎「そういうなんかヘルメット被ってっいう...」

大瀧「例えばここから北海道行くとか九州行くとか全然全然」

達郎「そういうんじゃないんですか」

大瀧「家の周りをぐるっと回ってくだけだから」

達郎「自転車にしようと思ったのはどうしてなんですか?」

大瀧「う~んとね、あれなんですよ。ロケ地巡り」

達郎「はぁ。ははははは」

大瀧「歩いてるとホント疲れるのよ」

達郎「ほぉ~」

大瀧「それと昔の風景と今の風景は違ってるので、なかなか、以前は通れた道が通れないとか、そういうようなこともあるので、歩いてるとホント大変」

達郎「それでその後、引き続きロケ地巡りはやってらっしゃるんですか?」

大瀧「やってますよ。で~ニューメンバーが五六人増えました」

達郎「ふはははは」

大瀧「新たに」

達郎「おかしい(笑)」

大瀧「去年も夏の暑い時分に五六人引き連れてツアーをやりましたね」

達郎「ふふふ」

大瀧「ふふふ」

達郎「作家、中心で行くんですか? それとも場所で何かっていう...」

大瀧「作品と場所ですかね。たまたま、そういう、まぁ巡り会ったという...」

達郎「この次はどこにしようかってそういう...」

大瀧「何もなしですね。去年の暮にやったのは小津安二郎の『長屋紳士録』の東京ロケ地の全貌」

達郎「ふははははは」

大瀧「あの東京ロケ地の全貌をやってる人がいなくてね」

達郎「『長屋紳士録』というのはオールロケなんですか?」

大瀧「オールロケです」

達郎「オールロケなんですか。へぇ~」

大瀧「あの長屋以外はね」

達郎「長屋はセットですよね。あの表出るやつはロケなんですか?」

大瀧「もちろん長屋はセットで表出るやつはロケなんです」

達郎「そうなんですか。へえ~(笑)」

大瀧「そのロケ地を全部、全シーン解明したの」

達郎「ふ~ん。それはどっかに書かれたりしたんですか?」

大瀧「『長屋紳士録』観た? 子どもが寝しょんべん布団を干すでしょ? あそこ一個ずつ違うのよ、場所(笑)」

達郎「へぇ~。そういうこと調べてる人いないんだ?」

大瀧「いや~僕が探したときはなかったなぁ」

達郎「ああ、そうなんですか。それって何? どっかの文書に出てるんですか? 大瀧さん調べたそのリサーチ...」

大瀧「だから自分で作っただけだよ。ほら版権があるから公にできないのよ」

達郎「へぇ~ばかにできない...」

大瀧「自分で作っただけ」

達郎「だってこのあいだDVD、小学館か何かでサイレント一本『東京物語』にくっついてみたいな十作出て、なんか解説付きとか書いてあったけど、ああいうとこに出しゃいいのにね」

大瀧「あー。それで助監督が寝しょんべん布団を持って歩いたのよ(笑)」

達郎「へぇ~」

大瀧「なんだけれどわかんないように作ってあるわけ(笑)」

達郎「なんで一個一個違えなきゃいけないんですか?」

大瀧「それがその...」

達郎「小津さんの美学っていうか、要するに...」

大瀧「僕は結論的にはあのときに廃墟というか、空襲のあとが残ってるんですよ。あの時期は。場所をね、転々とすることによって、結局築地の辺りからはじまるんだけれど、宝町、茅場町、八丁堀というふうに、八丁堀、茅場町っていうふうに次々場所をうつしてんのよ。で、しょんべん布団があるので同じように見えちゃうんだけど(笑)、そのへんが小津さんのトリックなわけ。広範囲に茅場町の辺りは空襲のあとがすごかったの。しょんべん布団を場所をうつしかえることによって(笑)、空襲のあとの残ってる残骸とかいうのを、ところどころで全部見して」

達郎「狙うわけね」

大瀧「おそらくそうじゃないかな~と思う」

達郎「場所が違うっていうのはどうしてわかったんですか?」

大瀧「調べたの」

達郎「そういう資料があるんですか?」

大瀧「ない。自分で」

達郎「ふふふ(笑)。歩いて調べたわけ?」

大瀧「だから成瀬巳喜男をやったみたいに小津安二郎もやったの。歩いてじゃないよ」

達郎「自転車で?」

大瀧「いやいや自分で画像を見てだよ。画像解析。それを当時助手の川又昂さんという人に見てもらったの。研究発表。で、これはすごい発見だっていうふうにお世辞を言われて(笑)...」

達郎「それ、どれくらいかかりました?」

大瀧「これは早かったね一ヶ月かかんなかったな、二十日間ぐらい...」

達郎「毎日行ったんですか?」

大瀧「現場は全部解明してから。現場は行かずに。でも成瀬巳喜男をやったときにあの近辺は大体歩いているので...」

達郎「成瀬さんのあたりから解釈できるレべルになってきた?」

大瀧「できたんだけど、結構高級(笑)。で成瀬さんは素直だから、小津さんみたいにしょんべん布団をトリックに使って、場所をうつしてみたいなことはやらないの。成瀬さんは必ず新富橋なら新富橋の四方から映すとか。だから本当に丁寧にドキュメンタリーのようなアングルで見してくれるわけ」

達郎「なんか、それってアレですよね。例えばAメロとサビでギター変えるようなものですよね」

大瀧「まぁ、おっしゃる通り。そういうことやる人とやらない人と、そのままやる人とそういうふうにやる人と。小津さんと成瀬さんは似てるようで全く違っていて。なんでわかったかというと、そのときにね、そこの現場にいる小津さんになるのよ。自分が」

達郎「ふふふ」

大瀧「憑依って言ってしまえばちょっと大袈裟なんだけど。成瀬さんのときに『銀座化粧』のロケ地を全部解明したときの最終ポイントは、最早成瀬は自分であるっていう(笑)」

達郎「同化するわけですね」

大瀧「同化するわけ。成瀬さんはそこでどういうふうなことを狙って、どういうふうにアングルを撮ったか、どうやったかっていうことを考えるのはもう自分だから。僕がどう考えるかがイコール成瀬はどう考えたかっていうようなこと。その手法を今度小津さんでやってみたら、うまい具合に...」

達郎「布団が実は主役じゃないわけ?」

大瀧「そんなん見せかけ。あれがレッドへリング、トリックなの」

達郎「あぁ~」

大瀧「みんな布団のほうにいくから、同じ場所で、切り返したりしても、同じ場所だっていうふうに思うんだけど場所変えてるのよ。これがなかなか味がある...」

達郎「ただでは起きないてか...すごいですね」

大瀧「さすがだね。すごかった。最初出だしが暗闇なのよ。次が朝のシーンになるわけ。だから明け方と思うんだよ。最初真っ暗ではじまるの。ツーショットなの。ふたつのシーンがあるの。AとB。次朝になる。だからあれは明け方と思うんだよね。ところが当時照明なんかないから。助手の川又さんの話では照明なんて持って歩けないから。夕焼けのギリギリ暗くなる寸前を狙ったっていうんだよ(笑)。だからあれは暗くなる寸前なのよ。ところがそのシーンのあとに明け方のシーンがドーンとくるから、翻って自分の記憶の中で、あれは夜明けなんだっていうふうに自分の中で作るんだろうね。きっとね」

達郎「なるほどね。まぁ、でも夕日背にっていうシーンを朝日で撮る人いますから」

大瀧「いるね」

達郎「変な話ですけど『RIDE ON TIME』ってあれ夕日なんですよ(笑)」

大瀧「あれね」

達郎「あのサイパンで撮ったやつ。なぜかっていうと東がマリアナ海峡だから撮れないんですよ、砂浜ないから。だからあれは騙して夕日を朝日って言って。へへへ」

大瀧「あのジャケットね(笑)。そういうふうなアレがあって。暗闇はねツーシーンなんだけど、それが切り返しだったのよ。暗闇なのに。同じ家の東側と西側っていう(笑)。真っ暗なんだからさ、同じ場所で切り返さなくてもいいと思うんだけど。そういうようなことを真っ暗でやるんだ」

達郎「それは小津さんの意図なんですかね? 厚田さんのアレじゃないんですか?」

大瀧「違う。全部小津さん。機関車とか鉄道以外は全部小津さんだと(笑)。厚田さんは鉄道マニアだったらしくって、鉄道に関するものはなんか厚田さんの意見のものがかなりあったっていう...」

達郎「電柱とかああいうのそうですね(笑)」

大瀧「池上線の駅の下のあのアングルで、ガードの下で狙うとか、ああいうようなものはおそらく厚田さんだと思うんだけど。例えば切り返すのをどう切り返すとか、カメラ・アングルとか何かは、完璧100%小津さん」

達郎「へぇ~。なるほど」

大瀧「とにかくおもしろいだよ。で街灯があったりね、丸の内になさそうな街灯が置いてあったりするんだけど。それもね、僕は持って歩いたっていうふうに推測したわけ。なぜわかったかっていうと他の映画にないんだよ、そこの場所に街灯が。ましてや丸の内にあんなに古臭い街灯があるはずないと思って。これはおそらく持って歩いたなって思って。他の小津さんの観たらあちこちに使ってんだよ。で川又さんに訊いたら常に違う種類の三種類くらい街灯持って歩いてたって話でね。やっぱりそういうことしてた人なんだな」

達郎「変わってるんですね、やっぱりね」

大瀧「変わりもんじゃないの?」

・NIAGARA CD BOOK I
今年は『NIAGARA CD BOOK I 』がリリースになる。12枚組のボックスセット。『ロンバケ』は『NIAGARA CD BOOK II』に入るとか。達郎さんはアマゾンをチェックしたところ『【LPサイズジャケット絵柄カレンダー付き】NIAGARA CD BOOK I』も発売されるという情報を仕入れてきた。値段はどちらも同じ価格だそうだ。大瀧さんは【LPサイズジャケット絵柄カレンダー付き】は知らなかったみたいでソニーが考えた商品だとか。達郎さんは【LPサイズジャケット絵柄カレンダー付き】を予約したという。

大瀧「あなたにはちゃんとあげますから」

達郎「見本盤のシールが嫌いなんです、僕」

大瀧「ふはは。音はなんにも印刷してないやつがいちばんいいんですから」

達郎「ふふふ」

1981年に『ロンバケ』が出たときにAH1234というの番号で『NIAGARA CD BOOK I』のレコードが出たのでそれと同じようにしようと思ったと大瀧さん。今回の『NIAGARA CD BOOK I 』は『ロンバケ』と『EACH TIME』以外のオリジナル・アルバムが入ってて、オリジナル準拠のノー・ボーナスだということ。ファースト・ミックスを採用してリマスタリングは今回新たにやったそうだ。9月から毎週二回乃木坂のソニーのスタジオに通って制作したとか。今回の詳しいデータはレコード・コレクターズ誌に掲載される予定という。CDのブックレットはオリジナルのまま。本来の発売日は1981年の4月1日だが、今回は3月21日発売。これがファイナル・リマスターになるそうだ。

・青空のように
達郎さんがストリングス・アレンジで活躍した1977年のアルバム『カレンダー』のオリジナル・ヴァージョンから。

達郎「ほかの番組行きますと、どうして新譜を出さないんですかとかね、そういう質問になりますからね」

大瀧「最近はさすがに教育効果が現れて、もう言う人は日本中で三人くらいしかいない」

達郎「まだ三人いるんですか、それでも」

大瀧「それがね、真田の残党みたいにどっかのところで巣食ってるという噂を聞いたね(笑)。期待は断ち切れないんだね。岸壁の母だね、それは。かわいいっちゃかわいいけどね」

達郎「ははははは。カラオケ屋さん行かないでしょ?」

大瀧「行かないねぇ。君と一緒に行って以来だよ」

達郎「家で声を出して歌われることは?」

大瀧「ない!」

達郎「もったいない、歌わないのはもったいない感じがするなぁ、僕」

大瀧「いや~、声出ないもの」

達郎「ははは。それは嘘だな。大瀧さん、いわゆるバリバリのテノールじゃないから、どっちかっていうとバリトン系だから全然大丈夫ですよ」

大瀧「いや、普通に歌ったら、なんか鼻歌だっていわれちゃうしね(笑)。ふふふ」

達郎「ふふふ。だからもともとどっちかっていうとクルーナータイプの曲が多いから...」

大瀧「いや~、ねぇ、歌いたいっていう欲求が起きないから。あなたと丸っきり正反対なんだよね~。朝から晩まで歌っていたい人でしょ? 僕ねぇ、朝から晩まで全然黙っていたって平気なんだよ」

達郎「ふふふ。おっしゃりたいことはよくわかります」

大瀧「そう?」

達郎「もう、だってアレですよ。大瀧さんとはじめて会って三十七年ですからね」

大瀧「今年平成二十三年なんだよ」

達郎「えぇ」

大瀧「僕の年なんだな。昭和二十三年生まれだから。昭和二十三年から平成二十三年まで生きたわけよ。大したことじゃないけどね(笑)。ただ一応事実を述べただけなんだけどね。ふふふ。まさかこういう年がくるとは思わなかったね」

達郎「ふふふ。じゃあ昭和二十三年から平成二十三年まで六十三年経ってるわけなんですね。要するに」

大瀧「そうだね。振り返るとそういうことになってるわけらしいんだよね。なぜか」

達郎「僕、変な話ですけどペリーが黒船で来たの1853年なんですね。僕1953年生まれなんでペリーから百年なんですよ」

大瀧「ペリーから百年の人なんだ」

達郎「ええ」

以下略。

・FUN × 4
3月21日にリリースされる『A LONG VACATION 30th Anniversary Edition』から。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
■今後の予定
2011年01月02日・07日は、恒例「新春放談(ゲスト:大瀧詠一)」
http://www.smile-co.co.jp/tats/
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