<01月09日プレイリスト>
[「新春放談(ゲスト:大瀧詠一)」]
恋するカレン(カラオケ)/大瀧詠一 "ロング・ヴァケイション 30th Ann. Edition" 3月21日発売
君は天然色/大瀧詠一 "ロング・ヴァケイション 30th Ann. Edition" 3月21日発売
砂の女/鈴木茂 "バンド・ワゴン" '74
抱きしめたい/はっぴいえんど "風街ろまん" '71
カナリア諸島にて/大瀧詠一 "ロング・ヴァケイション 30th Ann. Edition" 3月21日発売
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■内容の一部を抜粋
「お正月気分も一段落でございまして。ハッピーマンデー、成人の日でございます。今年成人式を迎えるみなさま、おめでとうございます。今、もう本当に日本含め世界、大変な状勢が、え~、なっておりますが、お若い方の力で少しでもよい世の中にしていただきたいと思います。いろいろと夢を持ちにくい時代ですけれども、がんばって生きてください。というわけで山下達郎SUNDAY SONG BOOK。毎年お正月は大瀧詠一さんをゲストにお馴染みの新春放談。先週に引き続きまして今週はパート2でございます。今週もいろいろと濃いところをどれくらい出せるか(笑)、という感じでございますが。大瀧詠一さん、健康状態すこぶる良ろしいようで、今日もお話が弾むことと思います。今日もいろいろと濃いところをお楽しみいただければと思います」と達郎さん。
今年の3月21日に『ロンバケ』が30周年なので『
A LONG VACATION 30th Anniversary Edition』が発売となる。今回は二枚組で一枚はオリジナル・マスターにボーナス・トラックが1曲収録されるという。そしてもう一枚は初出の純生カラオケ。
大瀧「30周年に取っておいたの。どっちかというとカラオケのほうがメイン(笑)、今回はね。ふふふ。これ聴いてもらいたかった」
達郎「当時録った? カラオケって初期から全部あるんですか?」
大瀧「ナイアガラの初期のものはないですよ」
達郎「いつから録りはじめたんですか?」
大瀧「『ロングバケーション』からじゃないですかね」
達郎「『カレンダー』はないんですか、カラオケ?」
大瀧「ないんじゃないですか? 自分でマスター持ってるからいつでも作れるって思ってたの。第一、あれをバックにして歌う機会がありますか? バックにしなくても歌う機会がないにも関わらずだよ、あなた」
達郎「意外とね、純カラって、歌うだけじゃなくて、例えばアレンジャーとか、そういう人が聴きたがるの」
大瀧「全部家でやってたからさ、[ナイアガラ音頭]だけあるよ、布谷文夫用の。付けたじゃん、B面」
達郎「あそこ、どうやってるかって、歌が乗るとわかんないところがあるので、本当はカラオケってネタばれになるんだよね」
大瀧「ネタばれになるから30年になるまで取っといたの」
達郎「ははははは」
大瀧「10年ではダメで、20年のとき考えたけども、今公開してもまたネタばれになるからなぁと思って。まぁ30年経ったし、もう自分もやる予定もないから、ちょうどこのへんが潮時だなぁと思って。で、30年に純カラ出そうと。だから今まで一切出てないですから。満を持してですよ」
達郎「へへへへへ」
大瀧「自慢じゃないけれど本チャンよりもカラオケ... で、カラオケで一回終わってんのよ、実は僕は。カラオケで自分としては完成したと思っちゃった」
達郎「ははは。歌がなきゃ?」
大瀧「歌を入れるときに、前も言ったけど、[(恋する)カレン]は60点の出来だという話をしたときに、なかなか歌えなかったという話をしたけども、[カレン]に限らず、なぁんかね、歌入れはじめたらオケを邪魔してるように感じたのよ。でね、入れたくないなぁって正直思った」
達郎「歌手の人は全く逆で。大瀧さんそれは自分で作ってるからですよ。作ってる人って必ず自分で歌入れるとき、カラオケだけのほうが全然いいと思うんですよね」
大瀧「いいって。めちゃくちゃいいよ。聴いて。今度の自信作は『ロンバケ』のカラオケ」
達郎「ふふふ。し・か・た・な・い(笑)」
大瀧「僕は本当にここでね、一回終わってるわけよ。完成してるの、実は。できれば歌いたくなかった」
達郎「ははははは」
大瀧「これで出したかった(笑)」
達郎「おっしゃりたいことはよ~くわかります(笑)」
大瀧「わかるでしょ。それとね、メロディ作ってからレコーディングするっていうケースは、僕は滅多にないから。で、あったとしても、そのメロディというのは自分の中のひとつのチョイスなのよ。最終チョイスでもあるけれども、One of themなわけよ。で、themがいくつあったかっていうのは、曲によるけど山のようにthemがあったんだ。で、カラオケにthemが聴こえるのよ」
達郎「ふむ。固定された途端に、弁証法的にそれがね...」
大瀧「themを聴いてほしいわけよ。そのメロディじゃなくてもよかったわけ。よかったんだけれども、なぜかそのメロディをそこで選択したということでしかないわけ。別のメロディとか、別の生き方もあったのではないかということなんだ。結構この考え方は成瀬、小津の研究に役立ってるんだよ、ものすごく」
達郎「ははははは」
大瀧「別にそこのアングルじゃなくてよかったんじゃないかとか、そこの場所じゃなくてもよかったんじゃないか、ということは取りも直さず、そこでなければいけなかったという理由もあるはずだって。そこなんかのものがね、ものすごく面白かったんだよ。だからこのカラオケは超自信作」
達郎「ふふふ。おかしい(笑)」
大瀧「これひとつでいいわ。本当に聴いてもらいたい、心底。爆音で聴いてもらいたいね」
達郎「ふふふ。おかしいなぁ(笑)」
・恋するカレン(カラオケ)
大瀧「今度の『ロングバケーション』のボーナス・トラックは[君は天然色]。2チャンネル。2チャン録音したから、録りのときに。要するに、せーので、1、2のチャンネルだけで録ったんです。一発録りというやつで」
達郎「それに歌が入ってるものなんですか?」
大瀧「結果的にはね。ダビングしたり、歌を入れしたりしたんだけど。いや、カラオケ。カラオケを2チャンネル。吉田保さんがそのときミックスしたんですよ。一発録りのそれをボーナス・トラックに入れました」
達郎「フックに行く前のSEとかないやつですね」
大瀧「なんにもない。本当に二十人くらいの連中がせーのでやったというやつ。サビは一音上がりなの。もともと一音上がりだった」
達郎「じゃあテイクが違うということですか?」
大瀧「いや同じテイク。同じテイクでサビは一音上がりなの。イントロはAではじまってるのに歌はGからなのよ。イントロはAではじまるからチューニングはA(アー)で合わしてるじゃないですか。なんだけど、ジャン、ジャン、スチャラカ、ジャンでD7に行くから一音下がった歌ではじまってるわけ。サビになると一音上がるの。サビはじまりだったのよ、[君は天然色]って」
達郎「そこはエディットしてるわけですか?」
大瀧「ううん、ハーモナイザーで一音下げてる。えっ、言ってなかったけ? 三度目ぐらいのような気がするなぁ。言うてない?」
達郎「僕はそれはじめて聞いた」
大瀧「[はいから(はくち)]とか、ああいうので、AとかさCだから、楽にAぐらい出るものだと思ってたのよ。でもはっぴいえんどから十年経ってたんだよね、考えてみたら。で、Aが出なかったの。出たんだけど詩が付いたのよ。"色を点けてくれ"という詩だったのよ。出たんだけど"色を点けてくれ"が、今は出てないけれどなんとかしてくれよ~みたいな、そういうなんかこう困った感じの歌になったのよ。それですごく悩んで。でも構成として大きくしたかったんだよね、あの曲は。AではじまってGに行って、サビがAで行ってGに戻ったら、また転調してサビになって戻ったら、というデカイ構成にしたかったから、なんとしても一音上げのサビがやりたかったんだけれども、"色を点けてくれ"が本当にもうダメになった中年が青春を懐古してるみたいな感じになっちゃって、でもしょうがないから一音下げた。で、あなたが前に僕に、トニック・サビは珍しいねって(笑)。結果的にCFGのトニック・サビになったんだけれども。で、結局、ハーモナイザーで一音下げたのよ(笑)」
達郎「あぁ、そうなんだ。なるほど」
・君は天然色
大瀧「まぁ、なんでもね、A(アー)にしたかったんだよ。[はいから]がAで、[サイダー'73]もA、で[うららか]もAで、肝心なときに、なんかやるときはAで行くのよ。これは成瀬さんが再起するときに築地に戻るとかさ、そういうあるでしょ、そういうこだわりが。なんとしてもAで行きたかったということなんだよね」
達郎「わかりますよ。(鈴木)茂さんの[砂の女]みたいに、自分が歌えない曲っていうの?(笑)。絶対にギター・コードのほうが重要だから。あれをあのキーで、僕、今ライヴであれやってますけど、僕だってキツいものね。キツいというか、あれを当時の茂さんが、それは大変だろうっていう(笑)」
大瀧「ふふふ。またえらい曲を作っちゃったんだよな、茂もな。それは俺がいつも言ってる千代の富士なんだよ、脱臼しても出し投げするっていうね。あの若いときは、最初から[キャラバン]弾くっていうね。最初からデカイものにぶつかるくらいの気概がないとダメなんだよ。フィギュアでもジュニアとか、じゃんじゃか転ぶやつのほうが大成するのよ。ジュニアのうちからこじんまりまとまってるのは大成しないの」
達郎「獲得目標は高く」
大瀧「高くしないと。若いときはそういうふうにデカくいかないとダメだね。なんて、年取ってから歌えなくなったらしょうがないけどさ(笑)」
達郎「第二のビートルズになるんだみたいなやつですね」
大瀧「まぁね。わだばゴッホになると言った棟方志功さんもいるわけだからさ。やっぱり大きく行かなきゃなダメよ(笑)」
・砂の女
達郎「よくこんな...」
大瀧「よく茂、歌ってたね。キー設定はあの頃と一緒。あそこがちょうど儚くていいんだ」
達郎「まぁ、そうですね」
大瀧「あぁ。キー設定はデカイからね。『ロングバケーション』やってはじめてわかった」
達郎「ははははは」
CM
達郎「僕の記憶でいくと、シャウターとかハイノートヒッターという印象がないなぁ...」
大瀧「ないね」
達郎「ソロ・アルバムでもファーストでもけっこう楽な歌い方というか、ゆったりとした歌い方してるシンガーだなという、僕なんかそういう印象がありますよね」
大瀧「あぁ、シャウターではないからね、もともと」
達郎「高くても、そんなに高い感じがしないという...」
大瀧「でも[春よこい]のサビとかね...」
達郎「ああいうやつはね。あれは一枚目ですもんね。あれと[抱きしめたい]と。[颱風]でもノベルティー...」
大瀧「だからさ、[春よこい]と[抱きしめたい]で終わってるんだよ」
達郎「終わってるって、また(笑)」
大瀧「あそこが絶頂期なのよ、もう。だからもうちょっと早めにはじめてなければいけなかったのよ、たぶん。僕が思うに」
達郎「二十歳ですか、あの頃?」
大瀧「二十一、二でしょうね」
達郎「意外と遅かったんですね」
大瀧「あれはヴォーカリストとしては末期なの」
達郎「ははははは」
大瀧「そっから'81年の『ロングバケーション』までどうしたと思う?」
達郎「『ロンバケ』のときって大瀧さん、おいくつだったんですか?」
大瀧「三十五、六だろうね。あなた、十違うんだから二十二、三じゃないの? あっ二十二、三ってわけないか」
達郎「五つですよ。三十三ですね、大瀧さん。今の尺度でいくと、超若いけど、あの頃だと三十三だとね」
大瀧「だから『ロングバケーション』の歌なんて超末期」
達郎「ははははは」
大瀧「ひどいもんだよ(笑)。つくづくそう思うよ。[抱きしめたい]聴いてると、あぁ、あそこがピークだったなぁって」
達郎「くくくくく」
大瀧「つくづく思うね。早めにはじめてりゃなぁ」
達郎「おかしい(笑)」
大瀧「ふふふ」
・抱きしめたい
吉野金次さんにミックスしてもらったのははっぴいえんどの「春らんまん」1曲だけだと大瀧さん。『風街ろまん』は複数のエンジニアでミックスしていて、大瀧さんはもうひとりのエンジニアでレコーディングしていたが、ビクター専属のエンジニアだったため本名が使えず、大瀧さんが「近藤武蔵」という名前を考えたのだという。達郎さんは今回初めてその事実を知ったと驚く。
『風街ろまん』で大瀧さんが書いた曲はアルバム用として録音したのではなく、先にひとりだけレコーディングしてたとか。暇なのでスタジオでごろごろしてたら、高田渡さんから写真撮りにロサンゼルスへ行かないかと誘われたとか。高田さんはカメラが趣味だったそうだ。それを三浦光紀さんが聞きつけて「みんなで行こう」という話になり、はっぴいえんどは行かないと言ったが、遊びに行くというのをビッグチャンスだと三浦さんは思ってレコーディングのほうへ結びつけたのだという。それが終わって大瀧さんは吉野さんとソロ・アルバムをレコーディングした。
岡林信康さんの「自由への長い旅」のイントロでマーティンのアコースティック・ギターを弾いたのが大瀧さん。岡林さんはビクター所属だったため、ビクター専属のエンジニアの梅津さんが担当した。そのギターの鳴りがよくてはっぴいえんどのレコーディングに来てもらったのだとか。岡林さんとはっぴいえんどはディランとザ・バンドに例えられるから、達郎さんは岡林さんがギターを弾いてはっぴいえんどがバックを務めるという姿のレコーディングをやっていたと思っていたとか。実際ははっぴいえんどと岡林さんのレコーディングでは岡林さんはギターを弾かなかったそうだ。
達郎「このオリジナル・マスター・ボックス(
NIAGARA CD BOOK I)はなかなか。いよいよ『レッツ・オンド・アゲイン』がいい音で聴けるという、この...」
大瀧「『デビュー』とかね、弦が多いから。[外はいい天気だよ]とか、山下くんのアレンジのアレがグッと...」
達郎「そればっかり(笑)」
大瀧「ソリーナがね、グッーと鳴ってますからね」
達郎「いや~、恥ずかしいなぁ。もう時代違うからなぁ」
大瀧「ようやくこれでね、日の目を見てみなさんに聴いていただけるということで、ホント、長い間、山下くんにお待たせ致しました」
達郎「ふふふふふ。それ考えてきたんでしょ、どうせ。知ってんだから、もう(笑)」
大瀧「ふふふ」
達郎「楽しみです、これは。ええ。3月21日ですから」
大瀧「まぁ、聴きたい人だけ聴いてもらえれば」
達郎「ははは」
大瀧「『ロンバケ』はとにかくカラオケが自信作です、こればっかりは」
達郎「なるほど。みなさん、どうぞ。で、今年一年はまた『長屋紳士録』に続く...」
大瀧「どうなりますかねぇ。だからあみだくじですからね、僕の人生、昨今.....」
達郎「また突然、どっかにベクトルが行くかもしれませんね」
大瀧「なんかねぇ、あんまり代わり映えしないと思いますよ、今年は。それはまた来年の新春放談のお楽しみということでどうですかね、何があったんだって」
達郎「で、来年はどうなさります?」
大瀧「来年は『トライアングル VOL.2』ですね」
達郎「あぁ、そうかそうか」
大瀧「そろそろVOL.3やりませんかね」
達郎「これは(『
NIAGARA CD BOOK I』に)入ってないんですね」
大瀧「『ロンバケ』以降はね。『ロンバケ』から今度は『CD BOOK II』ですから」
達郎「2013年はどうされます?」
大瀧「'13年が問題なんだよ。空白の時期だから」
達郎「『イーチタイム』のあいだどうするかですね」
大瀧「これ問題ですね。何したらいいんですかね。出てないから休むのがいいんじゃないの」
達郎「くくくくく」
大瀧「そろそろiTunesで解禁してもらいたいですね。どのネットでも買えるようになるといいんじゃないでしょうか。まぁ、とはいってもね...」
達郎「普通はそうなんですけどね。普通の人はどのネットでも買えるんですけど、ソニーの人はソニーの企業戦略でmora以外は買えないという...」
大瀧「また因果な会社と契約したもんだね、ホントに」
達郎「ははは。最古参の一人ですからね」
大瀧「二番目ですがね。NO.2」
達郎「でも最年長ですからね。ふふふ」
大瀧「最年長ね(笑)。こればっかりは終わらないだよね、勝てないんだよ、抜かれないから」
達郎「若い会社だから特にそうですよね」
大瀧「もうみんな知らないからね。あの廊下で会っても」
達郎「でも'60年代の後期からできた会社だから、それ以上の人がいないじゃないですか。いわゆる歌手の人でも」
大瀧「入口で守衛さんに毎日止められるしね(笑)、あんた誰?ってね。ふふふ」
達郎「ふふふ」
大瀧「みなさん、会ってもね、誰なのかって、このおじさんはみたいな感じで」
達郎「ふふふ」
大瀧「娘どころじゃないですからね、もう今の人たちは」
達郎「孫ですね」
大瀧「その辺の人たちばっかりだから」
達郎「へへへ」
大瀧「まぁ、いいんじゃないですか。ディランも自分のコンサートで入口で止められたって話もありますから、まぁ、そういう時代ですよ」
達郎「人んちのライヴ行って歌うとか、そういうことないんですか?」
大瀧「だって誰も呼んでくれないもの」
達郎「ははははは」
大瀧「目立っちゃってまずいでしょ。そりゃ、ちょっと止めたほうがいいと思う、俺は。呼びたいって人がいたら止めといたほうがいいと僕はいうと思うよ(笑)」
達郎「僕、次のライヴ、なんか、はっぴいえんどか大瀧さんの曲やりたいんですけどね」
大瀧「やってくださいよ。何やんの」
達郎「[十二月の雨の日]がいいかなと思うんですけど」
大瀧「[君は天然色]をDのキーで歌ってよ。カラオケのときに歌ってたじゃない?」
達郎「歌ってましたね。[君は天然色]だってライヴで再現するの大変ですよ。ファイブ・リズムであれをやるって..... 大体これアナログじゃなきゃ、このグワシができないし.....」
大瀧「聴いてんの、みんな歌なんだし、いいじゃん。だってさ、Dのキーでちゃんと歌えるつうとあなたぐらいしかいないんだもん」
達郎「『ロンバケ』で何か一曲やれって言ったら[カナリア諸島]だな」
大瀧「え~、そこでちょっと日よっちゃまずいでしょ」
達郎「曲が好きなんだもん」
大瀧「[君は天然色]、俺カラオケで歌ったの聴いたよ。合ってたよ」
達郎「ふふふふふ」
大瀧「あのときに、あぁ、サビ一音上げたら歌えんのになぁと思ったんだよねぇ」
達郎「声質が似てるからそれはしょうがないですよ。家のお袋は今でも.....」
大瀧「家のお袋も間違ってたからね、お互いに。ふふふ」
達郎「ふふふ。最近は回転落とすと女房に似るとかいろんなこと言う人がいましてね。知りませんよ、そんなの(笑)。誰だって似るでしょ、そんなの」
大瀧「回転落とすと女房に似るって何それ?(笑)」
達郎「そういうのあるんですよ。[クリスマスイブ]の回転落とすとね、竹内まりやの声になるっていう.....」
大瀧「そおおう? 昔、タモリさんだっけ? 男の声が女の声になるとか。なんかやってたね。なるんだ?」
達郎「知りませんよ!」
大瀧「なるだろう。長い間一緒にいるからね。同居のパーセンテージは親より長いもんね、夫婦のほうが」
達郎「ふふふ。確かにね」
大瀧「いたら似てくるよ、そりゃ」
達郎「この年になると細野さんと大瀧さんが一緒に会った時間と、僕が大瀧さんと一緒にいた時間と、数年しか違わない.....」
大瀧「彼と実質、全部突き詰めたら一年ないと思う。だって仕事のときだけだから、僕の場合は特に」
達郎「ははは。そういう経年考えるともう、年を取ると.....」
大瀧「毎年一年必ず会ってるのつうのは、ホント、あなただけだね」
達郎「そうですか?」
大瀧「じゃないですかね、'73年以降.... だと思いますよ。'80年か'79年か一回会わなかった年が一年くらいあったかないか.....」
達郎「いや、会ってます。萩原健太の番組とか、そういうので」
大瀧「でも『ライド・オン・タイム』の年が一番忙しかったからね」
達郎「『ライド・オン・タイム』の年、一回僕、大瀧さんのお家うかがった記憶ありますよ?」
大瀧「僕、西武球場観に行きましたよ。それで芸能レポーターに追いかけられたっていう、時代だなと思ったという.....」
達郎「ふふふ。時代ですね、まだ二十代ですもん、だって」
大瀧「ふふふ」
達郎「新春放談ももう二十六年なんですよ。'84年の正月が最初ですから。四半世紀超えましたから、遂に。おそろしいですね。まさかそんなにやってるとは思わなかった(笑)」
大瀧「あのときはね。あなたは第一線でずっとご活躍だから。で、あなたがそうやって第一線で活躍してくれるので、僕はなんにもしなくて音楽の業界からきっぱり足を洗って悠々自適で暮らせると、これがありがたい」
達郎「ふふふ。そうやって十数年、毎回同じことをおっしゃってますが.....」
大瀧「ひじょうにありがたい。感謝しておりますよ」
達郎「ふふふ」
大瀧「じゃんじゃんがんばってください。陰ながら応援してますよ」
達郎「ふふふ。それはちょっと上から目線じゃないですか(笑)」
大瀧「なんですか(笑)。陰ながら上からですか(笑)」
達郎「しょうがない(笑)」
・カナリア諸島にて
■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
■今後の予定
2011年01月16日は、レギュラー・プログラム「棚からひとつかみ」
http://www.smile-co.co.jp/tats/