Sunday Song Book #1459

2020年09月27日 | Sunday Song Book

2020年09月27日プレイリスト「棚からひとつかみ+リクエスト」
1. ミライのテーマ / 山下達郎 '18
2. GONE,GONE,GONE / THE EVERLY BROTHERS '64
3. SOMEBODY (SOMEWHERE) NEEDS YOU / DARRELL BANKS '66
4. LA LA (MEANS I LOVE YOU) / THE ESCORTS "3 DOWN 4 TO GO" '74
5. MY MINDS KEEP TELLING ME / EDDIE HOLMAN '72
6. I LOVE YOU (ACAPPELLA 60sec) / 山下達郎 未発売 '83
7. THANK HIM (DEMO) / BRIAN WILSON '63
8. 雨は手のひらにいっぱい (LIVE) / 山下達郎 "12/02/15 岐阜長良川国際会議場"
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■内容の一部を抜粋
・近況
サンデー・ソングブックは来週10月4日で28周年を迎えるという。番組改編の時期だが10月からも番組は存続し28周年になるそうだ。

・棚からひとつかみ+リクエスト
今週も「棚からひとつかみ+リクエスト」。

・ミライのテーマ
兵庫県明石市のリスナーからのリクエスト。2018年のシングルで映画『未来のミライ』の主題歌「ミライのテーマ」。

・GONE,GONE,GONE
CM明けの一曲目は達郎さんの選曲で景気のいいやつ。エヴァリー・ブラザーズの1964年、全米31位の「GONE,GONE,GONE」。

・SOMEBODY (SOMEWHERE) NEEDS YOU
中野区の超常連のリスナーからのリクエスト。ダレル・バンクスはゴスペル出身の大変歌の上手いシンガーだったが、1970年に女性関係のもつれか? 警官に射殺された。32歳だった。1966年、全米R&Bチャート14位、全米チャート35位の「SOMEBODY (SOMEWHERE) NEEDS YOU」。

・Hi, Everybody please listen to this
リクエストしたリスナーは達郎さんから質問魔と呼ばれていて、今回の質問はシュガーベイブの「DOWNTOWN」の最後のほうで"Hi, Everybody please"の後はなんと仰ってるのでしょうか?というもの。
「DOWNTOWN」のシングルが出たときにラジオ・スポットを打つことになり、そのときに思い付いたやつで、全然いい加減な英語なんだとか。"Hi, Everybody please listen to this"と言ってるという。昔のシュガーベイブのファンが言うと喜ぶので今でもときどき言ってるとか。

・ギロンダ
似たような質問が増えているそうだ。千葉県市川市の二十代のリスナーからライヴで「LET'S DANCE BABY」や「BOMBER」、「FUNKY FLUSHIN'」の盛り上がったところで聴ける謎の言葉「ギロンダ」とはどういう意味なんでしょうか? と言う質問。
"Get on up, Get, get, get, get on up"でジェームズ・ブラウンの"Get up, (get on up)"をマネしてやってるのだとか。本家のJBのほうは「ゲロッパ」と日本語で表記されることが多い。

・LA LA (MEANS I LOVE YOU)
世田谷区のリスナーから「達郎さんの好きなLA LA (MEANS I LOVE YOU)を」というリクエスト。デルフォニックスの「LA LA (MEANS I LOVE YOU)」はコンスタントにリクエストが来る楽曲。達郎さんがいちばん好きなのは7人組のヴォーカル・グループ、ジ・エスコーツのヴァージョン。エスコーツは全員刑務所の囚人。刑務所の中で結成されて録音されてアルバムも出して話題になった。1974年のセカンド・アルバム『3 DOWN 4 TO GO"』に入ってる「LA LA (MEANS I LOVE YOU)」が死ぬほど好きなんだとか。プロデュースはジョージ・カー。

・MY MINDS KEEP TELLING ME
神奈川県藤沢市の超常連のリスナーからのリクエスト。エディ・ホルマンは裏声のとってもきれいな人。1972年、全米ソウル・チャート20位の「MY MINDS KEEP TELLING ME」。「この曲はシングル・オンリーの曲なので、こういうのは何回でもかけます」と達郎さん。エディ・ホルマンはもともとフィリーの人で、ロニー・ベイカーの曲なのでたぶんMFSBがバックだと思われる。

・『POCKET MUSIC』と『僕の中の少年』の2020年リマスター盤
1986年のアルバム『POCKET MUSIC』と1988年のアルバム『僕の中の少年』、いちばん内省的だった時代の二作品の2020年リマスター盤が完成。11月25日に二枚同時発売が決定した。それぞれいつものようにボーナス・トラックを収録している。アナログ・レコードも同時発売することになったが、音質第一のため180グラム重量盤二枚組12インチ仕様。

・クリスマス・イブ
今年は7インチ・レコードを12月16日発売。今回は1986年に出したホワイト・ヴァイナルでの発売で完全生産限定盤。詳しくは山下達郎スペシャル・サイトにて。
https://wmg.jp/tatsuro/

・LIVE TURNTABLE
11月に予定されていたまりやさんのデビュー40周年のイベント LIVE TURNTABLE は中止になったが、当選された二千名のために代替案を検討し、オンラインでのライヴ配信が決定した。詳細は後日当選されたみなさまにメールにて通知するとのこと。詳しくは竹内まりやスペシャル・サイトにて。
https://wmg.jp/mariya/news/85608/

・ 宮里陽太クァルテット with 佐橋佳幸 生配信ライヴ
一昨日9月25日(金)に行われたBLUES ALLEY JAPANからの生配信ライヴ。
「私も観ましたけれども大変いい音でありましてですね。ああいうジャズのセッションなんかですとライヴ配信というのはひじょうに有効な伝達手段だと思います。生でご覧になるのとは、ちょっと違いますけれども、でもこうした時代ですので、そうした可能性も探っていかなければならないというアレでございます。すぅー、私もまたちょっと追加でですね、ライヴ配信考えております」と達郎さん。

・ライヴ
東京府中のリスナーから「来年はライヴはありますか?」という質問。
「予定はしております。やるつもりでおります。今年ライヴやりませんでしたので、来年のスケジュールを早めに押さえてありますのでですね。今年はみなさんライヴ、特にホールはできませんのでですね、来年ホール取り合いなんですけれどね、私は運のいいことに来年の予定を早めに立てておりましたので、もうスケジュールは立っておりますけれど、さぁ、このウイルスがどうなるか(笑)、という。それ次第でありますが、私はやる気でおります。えぇ、来年になりましたら」と達郎さん。

・I LOVE YOU (ACAPPELLA 60sec)
東京足立区のリスナーから「I LOVE YOU」のアカペラのテレビ用の60秒ヴァージョンにリクエスト。1983年のサントリーのCM。本当は「I LOVE YOU」はインスト・ヴァージョンもあるけれどマスターが劣化していて聴けないのだそうだ。当時のCMは120秒、60秒、30秒、40秒、20秒、15秒、全部別録り。テイクが違うがアカペラなのでほとんど同じだとか。

・THANK HIM (DEMO)
京都市のリスナーからのリクエスト。1963年にブライアン・ウィルソンが作ったデモから「THANK HIM (DEMO)」。

・雨は手のひらにいっぱい (LIVE)
静岡県伊東市のリスナーから「雨は手のひらにいっぱい」のライヴ・ヴァージョンにリクエスト。いちばん最後にライヴで演奏したのが2012年。この時代はまだギリギリ、テータで録ってなくてDATで録音していたため探すのが大変なのだとか。なので今日は以前かけたもので、2012年2月15日に岐阜の長良川国際会議場で行われたライヴから「雨は手のひらにいっぱい」。



■リクエスト・お便りの宛て先:
ハガキ
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
メール
https://www.tfm.co.jp/ssb/

2020年10月04日は、引き続き「棚からひとつかみ+リクエスト」
http://www.tatsuro.co.jp
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THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show #13

2020年09月25日 | Motoharu Radio Show

第13回:特別番組 佐野元春を巡るキーワードとともに
M1 佐野元春 with THE HEARTLAND「雪-あぁ 世界は美しい」
M2 佐野元春 with THE HEARTLAND「レインボー・イン・マイ・ソウル」
M3 佐野元春 & THE COYOTE BAND「純恋(すみれ)」
M4 佐野元春 with THE HEARTLAND「サムデイ」
M5 佐野元春 with THE HEARTLAND「ダウンタウンボーイ」
M6 佐野元春 with THE HEARTLAND「Sweet 16」
M7 佐野元春 & THE COYOTE BAND「君が気高い孤独なら」
M8 佐野元春 & THE COYOTE BAND「エンタテイメント!」
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■内容の一部を抜粋
・ALTERNATIVE EDITION
最終回になる今週も先週に引き続いてFM COCOLOのDJ、野村雅夫さんをゲストに迎えて10月7日に同時リリースされるベスト・アルバムの特集。

■鉄腕アトム
元春の子どもの頃のヒーローが鉄腕アトム。手塚治虫作品は少年雑誌の連載を毎月読み、テレビ放送は「リボンの騎士」とか「ジャングル大帝」、いろいろあるけれど、手塚治虫作品となると何でも見ていたそうだ。子どもの頃はアトムに自己同一視していてたとか。

雅夫 : 今、髪型も若干、アトム化しているところもありますけれど、昔の佐野さんに比べると(笑)。ふふふ。
元春 : そうだね(笑)。あのね、年恰好が同じだったので、アトムが喜んだりとか悲しんだりするのと一緒に、自分も喜んだり悲しんだりしていたんですよね。特に鉄腕アトムが抱えてるストラグルというのは、人間になりたいんだけれど、いつまで経っても人間になれない、そこのジレンマ、ずっと抱えてるんですよね。手塚治虫さんのマンガっていうかな、作品で感心するのは、ただのサイエンス・フィクションではなく、人間が描かれてるということですよね。鉄腕アトムを巡る家族の問題とか友だちの問題とかね。そういうすごく人間的なことをテーマにして、で進んでいく。だからとても身近に感じる、と同時に未来ってどうなるんだろうっていう、そういうサイエンス・フィクション的な興味も満たしてくれる。当時いろいろとマンガ他にもありましたけれども、手塚治虫さんのマンガっていうのは僕にとって特別でした。

・雪-あぁ 世界は美しい
野村雅夫さんが初めて読んだ手塚治虫作品が「ブッダ」。元春も大人になってから「ブッダ」を読んで感銘を受け、「ブッダ」からインスパイアされて書いた曲が「雪-あぁ 世界は美しい」。手塚治虫さんに「ブッダ」が映像化されるときに使ってもらおうと思って書いたが、その年に手塚治虫さんがお亡くなりになり夢は叶わなかったという。

■夢
長いツアーがはじまる直前に見る夢があるという。ステージに出てゆくと観客が誰もいない。えっ! と思ったところで目が覚めるそうだ。今は見なくなったが40代ぐらいまでは毎回ツアーがはじまる前にその夢を見ていたとか。あるときヴァージョンが変わって、広い会場のど真ん中に双子の女の子だけがいる夢を見たこともあるという。

雅夫 : おもしろいのは寝てるときに見る夢は、これは自分でコントロールできないんだけど、起きてるときに描く夢っていうのも同じワードで、大体の言語で同じじゃないですか? こっちはまだある程度コントロールできるじゃないですか? おもしろいですよね、おんなじ言葉を使うっていう。
元春 :そうですね。現実で見る夢っていうのはあこがれなどを含んだ夢ですよね。確かにね、コントロールできないからこそ夢だという言い方もできるしね。
雅夫 : 描いても届かないし...
元春 : 届かない。だから夢ということなりますね。
雅夫 : なるほどなぁ。でも夢、その描かなったら、当然叶う叶わないっていうこと自体もないし...
元春 :そう思います。やっぱり夢を見ることができるのは僕たち人間の特権だと思うんですよね。夢見ることをあきらめてはいけないし、それを否定するのもおかしいし。夢見ることで明日にまた向かっていけるという活力にもなりますからね。
雅夫 : 迷ったときの羅針盤にもなるし。じゃあ夢からどの曲行きますか?
元春 : そうですね。ではこの曲を聴いてください。「レインボー・イン・マイ・ソウル」。

・レインボー・イン・マイ・ソウル

■パートナー
プライヴェートでも仕事上のパートナーでも共通していえるのは夢を共有して並走していける相手。人は一人ひとり完璧ではないから補いながら前進する。補いながら前進するには自分が不完全であることをどこかで認めないと相手が見つからない、と元春。バンドもそういうことで、バンドはひとつのヴィジョンに向かって音を出して、だんだんひとつにまとまってゆく。そこにはマジックがあるし、そのマジックが訪れる瞬間は必ずあるそうだ。プライヴェートのパートナーは自分が不完全であることを認めたところから関係をはじめる。何が互いに補えだえるだろうか、それで一人ではたどり着けないところに一緒に行ける。それは往々にして大人になってパートナーを得るのはそういうことだと、だんだん学習するもの。十代の多感な頃は理屈抜きで直観で相手を探すことも大事だと元春。

・純恋(すみれ)
ラジオを聴いてる十代の男の子たちに捧げたい曲。

■スタイル
スタイルは生き方に関係するもので、「君自身のスタイルを持ちなよ」と言われたときがあり、「僕自身のスタイルって何だろう?」ってことからスタイルというものが身近なものになったと元春。スタイルは意識して得られるものではなく、一所懸命やってるうちに何となく形作られてくるもの。言葉を変えると個性にもつながる。その人なりの個性を発揮するということ。

・SOMEDAY
「デビューしてこの曲でようやく僕のスタイルっていうのを世間の人たちが認めてくれたのかな」と元春。

■ルーティーン
最近の元春のルーティーンは朝起きてすぐに詩を書くこと。朝はインスピレーションが冴えているのでクリエイティヴ・ライティングに適しているのだとか。以前は夜に詩を書いていたそうだ。ルーティンを決めて生活すると楽だしごちゃごちゃ考えなくて済むけれど、反対に面白みがなく刺激もない。元春はそれを良しとせず日々は違っててほしいと思うのでルーティン化するとそれを壊すとか。

・ダウンタウンボーイ

■あこがれ
野村雅夫さんの持ち込みのトピック。あこがれの人は音楽に限らず持っているという。多感な頃にあこがれを持ち、時代が経ってもずっと変わらずに持ち続けているそうだ。「何か迷ったときには寄って立つ存在というのは心の中にあっていいと思う。それがあこがれの存在ということじゃないかな」と元春。

・Sweet 16

■孤独
このトピックも野村雅夫さんの持ち込み。「似たような言葉に孤立というのがあるんだけれど、孤立はよくないけれど孤独というのは僕は悪いものじゃないと思っている。孤独は人を強くさせる」と元春。「孤独というのは自分を強くさせるけれど、孤立というのは他を排除してしまう。だからこれはよくない。その違いがあるかな」と元春。

・君が気高い孤独なら

■ラジオ

雅夫 : ラジオの話も何度か出てきましたけれど。改めてラジオについて話したいんですよ。佐野さんはFEN聴いたりとか、リスナーでもあって熱心に。やがてDJとして、Motoharu Radio Showも正にそうですけれど。何が好きですか? ラジオは。
元春 : 自分が気に入った曲をみなさんに紹介できて、そして「みんな、どう?」って問いかけができるところが楽しい。
雅夫 : そうですよね。聴くほうはどうですか?
元春 : 聴くほうはね、何か新しい視点を投げかけてくれるとハッとしたりするし、彼がかけてくれる曲に何か刺激を受けたりするとすごくうれしい。で、そういうなんていうかな、やっぱりDJって、なんか僕にとってはかっこいい存在なんですよ。
雅夫 : はぁー。そう言っていただいただけで本当にねぇ、みんな忘れてるんじゃないかな(笑)。
元春 : ただ喋ってる人じゃなくて。僕にとってなんかかっこいい存在ですね、DJというのは。なんでそんなすごくいい曲知ってるんだろうとかね、それから日常のことをお話しするんでも、わっそんな視点は僕持ってないなぁ、楽しいなぁとかね。そういうちょっと変わったパースペクティヴを与えてくれる存在。それがDJですね。
雅夫 : NHKのときにね、佐野さんがやっていたときに、僕聴いてて。リスナーからのね、投稿に対して、遠く離れた友だちもこの放送を聴いてるっていう投稿があって、それに対して佐野さんがちょっとコメントしていたときに、それを僕も当然聴いてたわけですよ。誰かよくわかんない、例えば四国の人が。で東京から佐野さん放送してて。でメッセージ読んでて。それを僕関西で聴いてるっていう。こんなのあり得ないじゃないですか、普通だったら。テレビでもできないですよ、こんな。そんな小っちゃいこと扱えないしっていう。なんか今の話聴いてても、あの夜のことを僕は思い出したというか。
元春 : ラジオを聴くというのは、DJとすると聴き手である自分が一対一で向かい合ってるでしょ。だからそこに親密な関係というのができるはずなんですよね。しかも信頼してるDJであればなおさらのこと、自分の部屋でそのDJと向かい合って、何か時間を過ごしてるかのようなね。そうするとなぜかそのDJは僕の悩みとか僕の喜び、哀しみ、喜怒哀楽をもしかしたら感じ取ってくれて、だからこの曲をながしてくれたのかなとか。まぁ空想かもしれないんだけれども、そういう素敵な関係を結ぶことができる。それが素敵だと思う。
雅夫 : 最終回じゃないですか。
元春 : はい。
雅夫 : 最終回になぜこの話をしてるって、また戻ってきてくださいよ。ふふふ。
元春 : そうだね。この、何月からはじめた? 7月くらいからはじめたのかな? すごく楽しかった。で、Motoharu Radio Show、ずっといろいろステーションを変えてね、もう考えてみれば40年間あちこちでやってきた。しかもジングルなんかも(笑)、全くおんなじの使って。でね、すごく光栄だって思うんですよ。Motoharu Radio Showっていうかたちを認めいていただいてね、やってみないかと声をかけていただいた。なのでこの7月からの何回か、12回、13回かな? はすごく楽しかったです。リスナーのみなさん、聴いてくれてどうもありがとう。
雅夫 : ですね。やぁ、もうやっていただいてどうもありがとうです。
元春 : あぁ。
雅夫 : ふふふ。じゃあ、この話の後何聴きましょう?
元春 : そうですね。では僕の新しい、コヨーテバンドと作った、新しいこの曲を聴いてください。「エンタテイメント!」。

・エンタテイメント!

雅夫 : あぁ、終わってしまいますよ、佐野さん。
元春 : そうですね。
雅夫 : THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。ありがとうございました。なんかお邪魔させていただいて。
元春 : やぁ、こちらこそ。
雅夫 : すごい楽しかったです。
元春 : 7月からはじめて、最初はもちろん僕がDJやってたんですけれども。先週、今週とね、楽でした。
雅夫 : ははははは。そういっていただけると何よりです。でも僕は今日とそれから先週は割とざっくばらんにお話ししてますけれど、あのもっとソリッドにLess Talk, More Musicっていう感じで。しかもここっていうタイミングで曲を切り替えられていくっていうのは、僕にとってすごい刺激になりましたし、本当に楽しかったです。で、先週、今週とまぁ、選曲を僕らのトークから直接的、間接的に、リスナーの想像力、刺激できてたらよかったと思うんですけど。かけてきたのはベスト・アルバム。いよいよ10月7日ですね。同時リリースということで、今回はエピック・レーベル時代のものと、それからディジーミュージック、コヨーテバンド。コヨーテバンドとして初のベストですよね。
元春 : 1980年にレコード・アーティストとしてデビューしてますが、そこから2020年の、今までの作品の中から選んだ曲をまとめた。これがふたつのパッケージで同時に出るということになりました。
雅夫 : ジャケットも相当なこだわりですから、これ普通ならなかなかできないですよ、レーベル越えて、ねぇ。
元春 : そうなんです。僕のファンの人たち、リスナーの人たちは僕のこれまでの音楽をまとめて聴いてくれるチャンスがありますから。パッケージのほうもね、書籍で言うと上巻下巻みたいな感じで作りました。
雅夫 : 今、2020年に聴いてほしいサウンドにまたなってますし、それから並びも含めて細かく、もう今ここで全部喋れないんですけど、細かくチューニングされてますんで。是非。
元春 : これまで僕の音楽を聴いてきてくれたファンの人たちだけではなく、新しい音楽リスナーの人たちにも聴いてもらえたらいいなと思います。
雅夫 : もちろん、そうですよね。僕も自分の番組で積極的にまたオンエアしていきますんで。佐野さんこれからもよろしくお願いします。
元春 : よろしくお願いします。うれしいです。
雅夫 : じゃあ、本当に終わりだ。やぁ、また戻ってきてください。FM COCOLO、THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。ALTERNATIVE EDITIONとして先週と今週はお送りしました。僭越ながらご一緒したのは、あの、野村雅夫でした。ありがとうございました。
元春 : そして佐野元春でした。またいずれ。
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Sunday Song Book #1458

2020年09月20日 | Sunday Song Book

2020年09月20日プレイリスト「棚からひとつかみ+リクエスト」
1. RIDE ON TIME / 山下達郎 '80
2. GIVE ME JUST A LITTLE MORE TIME / THE CHAIRMEN OF THE BOARD '70
3. NOW THAT YOU'VE GONE / PETULA CLARK '65
4. I'VE GOT DREAMS TO REMEMBER / OTIS REDDING '68
5. OH LET ME KNOW IT / SPECIAL DELIVERY '77
6. IT WAS YOU / THE NATURALS '64
7. いつか (LIVE) / 山下達郎 "14/10/10 名古屋ボトムライン"
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■内容の一部を抜粋
・近況
4連休だが達郎さんは曲書きに勤んでいるという。2曲かけたとか。ついに達郎さんの家のCDがパンクして、棚を新しく吊ることになり業者を呼んで採寸したりして、もうちょっと収納できるようにするそうだ。「そのうちにまたパンクするのかな? まあもう今回の棚の増築で終わりかなという感じが致しますけれども」と達郎さん。

・棚からひとつかみ+リクエスト
番組は今週も「棚からひとつかみ+リクエスト」。先週は前倒しだったため二週間分のリクエストがあり、特にメールは唖然とするほどたくさん届いてるという。全部チェックするのに丸一日では済まなかったとか。

・RIDE ON TIME
今から40年前の1980年9月19日がアルバム『RIDE ON TIME』の発売日。シングルの「RIDE ON TIME」は1980年5月1日にリリースされ、それが達郎さんの初めてのヒット・シングルになり、それから5ヶ月後の9月にアルバムが発売された。この頃から全国ツアーがコンスタントにできるようになったという。40年目の「RIDE ON TIME」にリクエストがたくさん届いてるそうだ。

・GIVE ME JUST A LITTLE MORE TIME
チェアメン・オブ・ザ・ボードのデビュー・ヒット、1970年全米3位、R&Bチャート8位のミリオンセラー「GIVE ME JUST A LITTLE MORE TIME」。ヴォーカルのジェネラル・ジョンソンは2010年に亡くなってしまった。

・NOW THAT YOU'VE GONE
ペトラ・クラークの1965年のデビュー・アルバムに入ってる名作「NOW THAT YOU'VE GONE」。もともとは1964年にフランス語ヴァージョンでペトラ・クラークがレコーディング。それに英語詞を付けて1965年のアルバム『DOWNTOWN』に収録。その後、コニー・スティーヴンスがアメリカでカヴァーした。歌はどちらも甲乙がつけがたいが、トニー・ハッチのアレンジの秀逸さは今でも全く遜色がないと達郎さん。

・I'VE GOT DREAMS TO REMEMBER
大阪市のリスナーから「9月9日生まれのオーティス・レディングの曲を」というリクエスト。「I'VE GOT DREAMS TO REMEMBER」は達郎さんがいちばん好きなオーティス・レディングの曲で、1968年、全米ソウル・チャート6位、全米チャート48位。死後に出たアルバム『THE IMMORTAL』の1曲目に入ってる悲しい恋の歌。"ゆうべ君が他の男と抱き合ってるのを見た/ただの友だちだと君は言う/でも何度も彼にキスしてたじゃない/どうしてあいつは君を優しく抱けたんだ"と歌っている。

・OH LET ME KNOW IT
横浜市のリスナーからのリクエスト。南部のヴォーカル・グループのスペシャル・デリヴァリー。テリー・ハフというナマズ髭みたいな人がいて、この人がリード・ヴォーカルで、スペシャル・デリヴァリー・フィーチャリング・テリー・ハフとして何曲かヒットがある。テリー・ハフと袂を分かちヴォーカル・グループとして独立し、出したシングルが隠れた名作。1977年、全米ソウル・チャート11位の「OH LET ME KNOW IT」。日本でシングルが出たのは桜井ユタカさんがRCAレコードをせっついたから。当時、達郎さんはレコード屋に月一回訪れて、新譜のシングルを全部あたって、良さそうなのを片っ端から買ってた時代があって、その経験がなければこの曲を番組でかけるチャンスもなかったとか。
曲をかけ終えて。新宿にコタニレコード店があって、今はバルト9とマルイになっているが、そこにコタニという大きなレコード店があって、そこがいちばんシングル盤の品揃えが多かった。達郎さんは毎月そこに行って、日本盤のシングル盤を端から端まで見て目ぼしいのを物色していたとか。

・『POCKET MUSIC』と『僕の中の少年』の2020年リマスター盤
ようやく『POCKET MUSIC』と『僕の中の少年』の2020年リマスター盤が完成し、来週の番組内で発売日等を発表するとのこと。

・TATSURO YAMASHITA SPECIAL ACOUSTIC LIVE展
「山下達郎 SPECIAL ACOUSTIC LIVE展」が仙台のPARCOにて開催中。明後日22日まで。ここ数年間、アコースティック・ライヴという名前で、山下達郎、難波弘之、伊藤広規の3人で続けている3人ライヴ。ここ数年間の過去の映像の上映、そこでしか観られない映像の上映とか、ライヴのいろいろな機材、衣装の展示をしている。次は来月10月3日から福岡PARCOにて。チケットは23日から販売する。詳しくは山下達郎オフィシャルサイトにて。
https://www.tatsuro.co.jp

・ 宮里陽太クァルテット with 佐橋佳幸 生配信ライヴ
達郎さんのツアーにサックスで参加している宮里陽太くん。9月25日(金)に生配信ライヴを行う。MUSIC/SLASHからの配信で、今回は宮里陽太クァルテットに佐橋佳幸さんが加わり、宮里陽太クァルテット with 佐橋佳幸、宮里陽太くんのサックス、佐橋佳幸くんのギター、ドラムが小笠原拓海くん、あとは宮里陽太くんのレギュラー・メンバーで、ベースが川村竜さん、キーボードは成田祐一さん。このクインテットでの生配信ライヴ。目黒BLUES ALLEY JAPANからの生配信ライヴで、ログイン開始時間が18時、配信スタートが19時。視聴チケット料金は4000円(税込み)で、本日20日の23時59分まで受け付けている。詳しくは宮里陽太オフィシャル・サイトにて。
http://yotamiyazato.com/index.html

・IT WAS YOU
横浜市の超常連のリスナーからのリクエスト。ザ・ナチュラルズはイギリスのエセックス出身の5人組のビート・グループ。1964年のシングルのB面で、ピート・タウンジェントのペンになる「IT WAS YOU」。

・親知らず
北九州市のリスナーから抜歯のお便りを読んで。
「小学生の頃に何本か抜きました。先日、親知らずを。えっと右ないんです、それは23のときに抜きました。2本目の親知らず、ちょっとはつれてる歯なので、先々考えて抜きました。だからと言って別に痛くも何ともなかったという(笑)。不思議なアレでございます。歯はみなさん大事にいたしましょう。私一応、まだ全部大丈夫です。ハイ。8020目指して」と達郎さん。

・いつか (LIVE)
『RIDE ON TIME』のアルバム40周年なのでA面の一曲目「いつか(SOMEDAY)」にリクエストが来ている。今日は2014年10月10日、名古屋ボトムラインでのライヴ・ヴァージョン。



■リクエスト・お便りの宛て先:
ハガキ
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
メール
https://www.tfm.co.jp/ssb/
2020年09月27日は、引き続き「棚からひとつかみ+リクエスト」
http://www.tatsuro.co.jp
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THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show #12

2020年09月18日 | Motoharu Radio Show

第12回:特別番組 佐野元春を巡るキーワードとともに
M1 佐野元春 with THE HEARTLAND「スターダスト・キッズ」(ビートルズ)
M2 佐野元春 with THE HEARTLAND「悲しきレイディオ」(渋谷)
M3 佐野元春 & THE COYOTE BAND「バイ・ザ・シー」(横浜)
M4 佐野元春 with THE HEARTLAND「シーズン・イン・ザ・サン -夏草の誘い」(ピクニック)
M5 佐野元春 with New York Session「コンプリケイション・シェイクダウン」(ニューヨーク)
M6 佐野元春 & THE COYOTE BAND「空港待合室」(アレン・ギンズバーグ )
M7 佐野元春「情けない週末」(映画)
M8 佐野元春 & THE COYOTE BAND「境界線」(詩)
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■内容の一部を抜粋
・ALTERNATIVE EDITION
今週と来週の二週はFM COCOLOのDJ、野村雅夫さんをゲストに迎えて10月7日に同時リリースされるベスト・アルバムの特集。

元春 : 今、いろいろと取材を受けていて、僕のやってきたことだよね、キャリアをお話をしてくださいという、よくあるんでね。野村さんとお話しするのであれば、ちょっと二人が関心のある共通のキーワードを設けて、そこでお話ししながら、で僕の曲を聴いていただこうという、そういう構成にしたい。

■ビートルズ
元春がビートルズを初めて聴いたのは小学校6年生くらいのとき。『Let It Be』はリアルタイムで聴いていたとか。ビートルズはどこから入っていくかで印象が違う。元春はポピュラー音楽を意識して聴き出した11歳くらいのときに、2歳年上の従姉妹がいてビートルズの大ファンだった。彼女の家に遊びに行くとビートルズのシングル盤があり、楽しそうに聴いていたという。彼女のことをこんなに喜ばせているビートルズって何なんだ、そう思って彼女がいないときに聴いてみた。それが「Rock and Roll Music」だった。それが最初だった。ビートルズのアルバムでは初期のロックンロール・アルバムが好きで、ジョン・レノンの声が大好きなので「Girl」とか「Not A Second Time」が好きなのだそうだ。中、後期の複雑なポップ・ソングも好きだが、ビートルズの持っている楽しい感じとか、彼らが表現する音楽の躍動感は理屈抜き。歌の内容も初めて恋したときのことが歌われているのも素敵だと思うそうだ。

元春 : じゃあ聴いてみる? She Loves Youって、僕の曲かけなくちゃいけないんだよね(笑)。
雅夫 : あっ、そうですね。そうだった。今日、楽しくお喋りするだけじゃないですからね。なんと言ってもベスト盤控えてますから。じゃあどうしますか?
元春 : じゃあね、僕が、まぁビートルズを意識したというわけでもないですけれども、やはりそのビートルズ的なハーモニーや、そのグルーヴ? 僕なりに表現した初期の曲聴いてください。「スターダスト・キッズ」。

・スターダスト・キッズ

■街
元春がよく遊びに行ったのは渋谷。まだ商業資本が入ってくる前の渋谷はガサツな感じだったとか。元春が初めて体験した渋谷にはまだPARCOはなかった。若い人だけではなく、いろんな人たちが入り組んだ街という印象。でも十代後半になると資本が入ってきて、渋谷は明るくて楽しくて、若い人が集まる街に変わっていったという。

雅夫 : 何を求めて渋谷に来てたんですか?
元春 : うんとね、いい質問だね。何求めていたんだろう?
雅夫 : ははははは(笑)。よくわかんないけど?
元春 : よくわかんないけど行ってたね。友達たちとつるんで。
雅夫 : 他の街とは違う?
元春 : 渋谷はね、洒落てるなと思った。当時はね。その街からひとつの文化が生まれるという、なんかそういう息吹がありましたね。渋谷を中心にミニコミが発行されたり、そういう感じですね。若い僕にとっておもしろい連中たちが集まってるし、文化発信の中心地でしたからね。
雅夫 : 今の渋谷は?
元春 : あまり行かない。もうあまり行かないです、僕は。
雅夫 : というか、今、街の景色見ても本当に渋谷か?ってわかんないくらい変わってますよね。
元春 : あぁ。chaos。
雅夫 : 確かにね(笑)。じゃあ今の混沌と昔の混沌と、ちょっと違うと思うんですけど、かける曲っていうことになると、これは昔の渋谷ですか?
元春 : そうね、覚えてる景色でいうと、教会があったんですよね。山手教会かな? そういう名前だったかな? その教会の隣が空き地で、ビルの裏に壁があって、そこの壁に女の子たちが、こう踊ったりする影が映ったりする、そういう景色を思い出す。
雅夫 : 何が行われてるんですか? その空き地で。
元春 : みんな自由に踊ったりとか、音楽聴いたりとか。その情景をちょっと詩にしたものがあって、その曲を聴いてください。「悲しきレイディオ」。

・悲しきレイディオ

元春 : オリジナルはアルバム『Heart Beat』に収録されているんですけど、2020年mixで聴いていただきました。今回ベスト盤を作るにあたって、とにかく40年という中での曲を聴いてもらうわけで、時代時代ごとに、音の調子が、その時代の流行がありますから、ただ並べただけではばらつきが出てしまうので、それを一律に整えるという、マスタリングっていうんですけれどね。ずっと一緒にやってるテッド・ジャンセンという優秀なマスタリング・エンジニアに頼んで音整えました。

■街
元春は十代の頃、嫌なことがあるとよく横浜に行っていた。街から海に行く感じだったという。街から離れて一時逃避していた。元春は魚座なので水辺が好きで夏の旅行というと山より海。とにかく蚊が嫌いで蚊がいないところに行く。ただ去年、海でクラゲに刺されたとか。街を離れて海に近いところに行こうという曲、「バイ・ザ・シー」。

・バイ・ザ・シー

■ピクニック
牧歌的な雰囲気が好きだと元春。ピクニックというと周りに自然があって、日常の悩みから解き放たれたりという感じ。そこには温かい光があり悩みがないという感じ。その象徴がピクニックだと元春。イノセントの象徴。ピクニックからの選曲は「シーズン・イン・ザ・サン -夏草の誘い」。

・シーズン・イン・ザ・サン -夏草の誘い

■街
元春にとってニューヨークは思入れの強い街。'80年代にはニューヨークに住んで『Visitors』というアルバムをレコーディングした。人種、宗教、文化、そうしたものが入り混じったところで、その街に住むなら自分とは何かということをはっきりしておかないと流されてしまう。ニョーヨークでは自分がどこに立っていて、これからどこに行くんだという明確なヴィジョンを持って人と向き合わないと飲まれてしまう街。その街に暮らして、その街でソングライティングする、その街のミュージシャンと一緒にレコーディング。ここに何かリアリティーがある感じがするという。当時のマンハッタンはストリート・レベルでヒップホップ、ラップのムーブメントが炸裂していた。友だちの黒人、プエルトリカン、みんなビートに合わせて好きなように路上でラップをする、それがひとつの楽しい遊びのようでもあったとか。そういう街に身を置いて自分から何が出てくるのかそういう実験でもあったという。ニューヨークで作った曲ということで「コンプリケイション・シェイクダウン」。

・コンプリケイション・シェイクダウン
頭韻を踏んでる歌詞。当時はまだライミングで遊ぶ習慣がなかった。ときどきそれはライミングなのか、シャレなのかと言われたこともあった。「アンジェリーナ」の"今晩誰かのクルマが来るまで闇にくるまっているだけ"は、当時「シャレ言ってんじゃねえぞ」と言われたが、ライミングのつもりだったと元春。はっぴいえんどの松本隆さんのやっていた言葉遊びとはまた違って、いかに言葉がグルーヴするかというものだった。

■言葉
子どもの頃は授業中であっても教室を出たりして教師に怒られることがあったと元春。自分なりの理由があって行動していたが、教師に問い詰められたとき言葉が出てこなかったという。それが悔しくて小学校3年か4年のときに学校の図書館に行って、片っ端から本を読んで言葉のスキルを磨いて、大人たちのことを見返してやろうとした。何かあれば言葉で対抗する、そんなふうにして言葉に興味を持っていった。最初にビート文学に触れたのは14,15歳の頃で、ジャック・ケルアックの『路上』を読んでインスパイアされるものがあり、日本語ではなく原文で読んでみようと試してみたら、小説というかライミングがあって朗読するとリズムがありビートを感じたという。散文詩のような小説でご機嫌だと思ったそうだ。そこから紐解いてアレン・ギンズバーグ、グレゴリー・コーソの詩を読むようになった。有名なところで「Howl」はギンズバーグの詩というよりアメリカ文学のとても重要な作品のひとつだと思ってるという。ビート・ジェネレーションの世間に対する代弁者がアレン・ギンズバーグ。ビートの詩人は炎の人という感じなので「空港待合室」。

・空港待合室

■映画
元春が思春期のときに見た映画でショックを受けたのは『時計仕掛けのオレンジ』。超現実的な景色が描かれているので何なんだろうと思ったとか。5歳とか6歳のときに両親に連れられて観た『キングコング』。夜寝るときに寝室の窓からキングコングが顔を出して自分もことを見てるという恐怖を感じたそうだ。ロマンチックな話として、十代のときに女の子とふたりで『おもいでの夏』を観に行ったエピソードも披露した。ある戦争未亡人が避暑地でひと夏を過ごす。十代の男の子たちがその女性を憧れの目で見ているという作品。同じ年代の男の子が主人公なので元春少年もドキドキして見ていたら、隣のガールフレンドは寝ていたという。年上の女性にほんのり恋心を抱く少年。元春には思い出の作品。少年だったら誰だってあると思う、と元春。曲は「情けない週末」。

・情けない週末

■詩
雅夫 : これ佐野さんと是非話したかったんですよ。佐野さんはミュージシャン、ソングライターっていうことになるんだけれど、詩人でありたいと思います?
元春 : いや自分のこと詩人なんて思ったことない。
雅夫 : 思ってない? それはなぜですか?
元春 : う〜んとね、自分のこと、こうだって規定するとそこから逃れられなくなるので、僕はロック・ミュージシャンだとか、詩人だとか、なんとかっていうふうに、あまり自分を規定したくないんだよね。
雅夫 : はぁー、ここにも境界線があるわけですね。
元春 : そうなんです。いいこと言うね。
雅夫 : ははは。ぼやかしたほうがいいんですね。
元春 : そうだね。すべての境界線は意図的にぼやかしていく。
雅夫 : そうっすよね。
元春 : そして真理に迫って行きたいって感じ。
雅夫 : 気がつくと閉じ込められますからね、そこにね。
元春 : う〜ん、やっぱり自分の役割っていうのをこうだ!っていうふうに決めつける必要ないんじゃないかな。
雅夫 : いや、そう思いますね。その詩ね、詩って何だろうっていうときに、もともと印刷物じゃなかった頃から、印刷物がなかった頃から詩ってあるじゃないですか。そのときって日本では、琵琶法師がね、音楽を、琵琶を奏でながらですけど、声に出すものだったんですよね、もともとね。
元春 : その通りだよね。
雅夫 : それをグーテンベルク以降、紙に貼り付けちゃって文字にしたっていう。
元春 : 読む芸術にしちゃったという。
雅夫 : 僕はなんか立体であるべきだと思ってるんですよ。
元春 : 僕もそう思う。
雅夫 : 詩だったらって、いろいろ習うじゃないですか、国語の時間に(笑)。散文詩もあれば、韻律もあるし、韻の踏み方とか、俳句、短歌だったら文字数とかあるけど、僕にとって詩は立体的かどうかっていうか。
元春 : それは僕もそう思うな。学校なんかではね、詩というと読み物のひとつとして教えられるでしょ? 小説なんかと並べられて。でしかも、この詩のこの一節は何を意味してますか? なんて試験に出る。もうそれは特定できないはずなんだよね。ですので僕は詩というものは小学校の頃は嫌いだった。
雅夫 : あの今、特定できないってことで我々意見を同じくしましたけれど。国語のテストとか大丈夫でした?
元春 : うんとね、いいときと悪いときと差があった。
雅夫 : わかる(笑)。はははははははは。ひどいとき、本当にもう、その正解からすると、我々曲解してるというか、全然違う解釈してしまってたっていう。で、それに対して何が悪いんだよって意固地になってませんでした?
元春 : やっぱり、先生、教師というのは寛容じゃないですからね。こうじゃなきゃダメということで押し付けてくる、往々にしてね。僕はやっぱり反発してました。
雅夫 : そう考えると言葉が浮かび上がってくるような3Dの言葉ってか、彫刻みたいな。
元春 : うん...
雅夫 : そういう詩って本来ワクワクするものなんですよね。
元春 : そうだね。あの、やっぱりイメージの言葉化というか、普段イメージってなかなか、感じることはできるけれど、それを言葉に変換するのはなかなか難しい。
雅夫 : 難しい。
元春 : ただ言葉に敏感な人たちはどうにかその目の前で展開している、このイメージを言葉に翻訳して他の人たちとある思いを共有したいって。そういうふうに思う人たちもいるわけで、そういう人たちを詩人というのかもしれないけれどね。僕なんかもそれに近いことをやっている。
雅夫 : 曲なんですかね?
元春 : じゃあね、あらゆる境界線はぼかして行こうぜっていうことでこの曲です。「境界線」。

・境界線
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Sunday Song Book #1457

2020年09月13日 | Sunday Song Book

2020年09月13日プレイリスト「棚からひとつかみ+リクエスト」
1. 悲しみのJODY / 山下達郎 "メロディーズ" '83
2. SOULFUL STRUT / YOUNG-HOLT UNLIMITED '63
3. SEPTEMBER RAIN / FRANKIE VALLI "TIMELESS" '67
4. THE STUMBLE / JOHN MAYALL & THE BLUES BREAKERS "A HARD ROAD" '67
5. JUST MY IMAGINATION / THE TEMPTATIONS '71
6. VALERIE / JACKIE & THE STARLITES '60
7. AM I BLUE / DINAH WASHINGTON "TEARS & LAUGHTER" '62
8. コンポジション / 山下達郎 '93
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■内容の一部を抜粋
・近況
この一、二週間は仕事が立て込んでいるので、番組は前倒しで収録しているそうだ。台風10号が通過した後くらいに録ってるという。達郎さんの台風の記憶は、まだ高校生くらいのときに、練馬の実家の雨戸が吹っ飛んだことがあった。お父様と二人で雨戸を追っかけて五寸釘で打ちつけて改修したことを思い出したとか。

・棚からひとつかみ+リクエスト
仕事でここ一週間は忙しい日々。今週予定していた「リクエスト大会」だが、ハガキを半分、家に忘れてきたそうだ。急遽、選曲を変えて、今週は「棚からひとつかみ+リクエスト」。そんなわけでリクエストはメールの方が多めに採用されているとか。

・悲しみのJODY
夏の終わりなので「悲しみのJODY」。この曲も発表されてから37年になるそうだ。1983年のアルバム『MELODIES』収録曲。

・SOULFUL STRUT
ヤング・ホルト・アンリミテッドの「SOULFUL STRUT」。1968年、全米ソウル・チャート3位、全米チャートも3位。神奈川県横浜市のリスナーから「高校生の頃に聴いてアレンジが印象的。曲名が最近になってようやくわかりました。達郎さんはタイトルも歌詞もわからないけど、忘れられないアレンジってありましたか?」というお便り。リクエストは「AM I THE SAME GIRL」だったが、若い世代だとスウィング・アウト・シスターで知られているけれど、年齢を見ると還暦だったので、達郎さんが忖度して「SOULFUL STRUT」をオンエア。
ヤング・ホルト・アンリミテッドはエルディック・ヤング(ベース)とアイザック・ホルト(ドラムス)のユニット。ラムゼイ・ルイスのバックで活躍していた人たちで、「SOULFUL STRUT」の作曲はユージン・レコード。1969年にバーバラ・アクリンが全く同じオケに歌を入れた「AM I THE SAME GIRL」が全米ソウル・チャート23位、このヴァージョンをスウィング・アウト・シスターが1992年にカヴァーした。

・とんこつラーメン
埼玉県の17歳のリスナーから「達郎さんはラーメンはお好きですか? ラーメンは醤油ラーメン、塩ラーメン、味噌ラーメン系が好きですか?」という質問。
達郎さんは博多のとんこつラーメンが好物なんだとか。

・SEPTEMBER RAIN
この季節になるといつもかけたくなるやつ。4,5年に一度オンエアしている。達郎さんの大好きなフランキー・ヴァリの1967年のセカンド・アルバム『TIMELESS』に収められている「SEPTEMBER RAIN」。アルバム・ヴァージョンとシングル・ヴァージョンは違うが、アルバム・ヴァージョンの方がいい出来だと達郎さん。
曲をかけ終えて。「フランキー・ヴァリという人は不思議な人でソロ・レコードの場合はですね、裏声使わないんですよね。でフォー・シーズンズになると裏声が出てくる。不思議なアレですけど(笑)。そういう人なかなか珍しんですけど。まぁ比類なきヴォーカリストですから」と達郎さん。

・THE STUMBLE
7月の末にフリートウッド・マックの創設メンバーのピーター・グリーンが亡くなった。ギタリスト、またソングライターとして卓越した才能があった。ずっとウイルス騒ぎで触れられなかったので遅ればせながら一曲、と達郎さん。ピーター・グリーンはエリック・クラプトンがジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズを脱退した後に入ってきた人。当然ながらエリック・クラプトンと比較されて、一歩間違えれば酷評なんだけれど、クラプトンに勝るとも劣らないテクニックで高い評価を得た。1967年のジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズのアルバム『A HARD ROAD』から「THE STUMBLE」。エインズレー・ダンバーのドラムス、ジョン・マックヴィのベース、ジョン・メイオールのキーボード、そしてピーター・グリーンのギター。

・JUST MY IMAGINATION
東京都港区のリスナーからのリクエスト。テンブテーションズの1971年、全米ソウル・チャートNO.1、全米チャートもNO.1のミリオンセラー「JUST MY IMAGINATION」。ノーマン・ホイットフィルードのプロデュース。バレット・ストロングとノーマン・ホイットフィールドのコンビの名曲。「エディ・ケンドリックスのリード・ヴォーカルで、途中でデニス・エドワーズと一瞬絡むところがいい緊張感です」と達郎さん。

・TATSURO YAMASHITA SPECIAL ACOUSTIC LIVE展
「山下達郎 SPECIAL ACOUSTIC LIVE展」が仙台のPARCOにて開催中。会期の後半が明日14日からスタート。ここ数年間、アコースティック・ライヴという名前で、山下達郎、難波弘之、伊藤広規の3人で続けている3人ライヴ。ここ数年間の過去の映像の上映、そこでしか観られない映像の上映とか、ライヴのいろいろな機材、衣装の展示をしている。福岡、札幌、東京と巡回する。現在、名古屋、大阪会場も調整中。この先、もっと他の地域にもお邪魔する計画があるそうだ。
「まぁ、のんびり行くしかありません(笑)。こういう時代ですから」と達郎さん。
詳しくは山下達郎オフィシャルサイトにて。
https://www.tatsuro.co.jp

番組には展覧会の感想のお便りも届いている。
「秋田とか岩手のみなさん、県越えができないというお便りをいただいております。検討中でございます。よろしくお願いします」と達郎さん。

・アコースティック・ギターの弦
TATSURO YAMASHITA SPECIAL ACOUSTIC LIVE展に行ったという千葉市のリスナーから、アコースティック・ギターについての質問。
達郎さんのアコースティック・ギターの弦はライヴではD'Addario(ダダリオ)を使っていて、12から54のミディアム・ライトの特殊仕様のもの。レコーディングの場合は13を張ってるそうだ。アコースティック・ギターは不調法なので、アコースティック・ギター使いの人からは粗いとか汚いと言われるという。エレキのカッティングも実際は粗くてロッケンロール、全然繊細さがないとか。「アコーステッィク・ギターに関して語れるような、全然アレをありませんけれども、ギルドのギターを使っておりますのは、ギルドはひじょうに低音が重いギターなので、ロッケンロールな音がするんです。それでギルドのD50というのをずっと使っております。もうちょっと練習しないといけないんですけど、なかなかこの、えぇ。モゴモゴ言っておりますが」と達郎さん。

・VALERIE
奈良県天理市のリスナーから、'80年代にNHKでやってたレギュラー番組のドゥー・ワップ特集で聴いた記憶がある曲にリクエスト。その曲はリード・ヴォーカルが歌いながらしくしくと泣き出し、次第にしゃくり上げ号泣しながらフェイドアウトするという。その曲はジャッキー&ザ・スターライツの「VALERIE」(1960年)という曲で、リード・シンガーのジャッキー・ルーがバレリーに振られて泣きじゃくる。ドゥー・ワップのヒストリーでは有名な曲。
曲をかけ終えて。
「大仰の極地。もうちょっと涼しくなりましたらドゥー・ワップ特集をやってみたいと思います。久しぶりに」と達郎さん。

・AM I BLUE
この番組をはじめた頃は全然なかったが、最近は'40年代、'50年代、'60年代初期のジャズとかジャンプ・ブルースへのリクエストが多くなったという。「時代なんでしょうかね、やわらかい音楽が好まれるかもしれません」と達郎さん。
千葉県船橋市のリスナーからのリクエスト。デルズのドキュメンタリーで、彼らがダイナ・ワシントンのバック・ヴォーカルを務めていたというエピソードがあったとか。ジャズの大御所、ダイナ・ワシントンはゴスペル出身だけあって、リズム&ブルース的なのも大変うまいシンガー。逆にそれが日本のジャズ・ファンには評価が低かった。亡くなる直前の1962年のアルバム『TEARS & LAUGHTER』はクインシー・ジョーンズがオーケストレーションをやっているアルバム。ここにデルズが参加していて、特にB面はデルズのフィーチャリング曲がたくさんある。A面に入ってる「AM I BLUE」という曲もデルズのマーヴィン・ジュニアが掛け合いをしている大変貴重な作品。今日はリアル・ステレオ・ヴァージョンでオンエア。

・コンポジション
2013年のシングルのカップリングでNHKのドラマの主題歌「コンポジション」。埼玉県久喜市のリスナーからのリクエスト。

■リクエスト・お便りの宛て先:
ハガキ
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
メール
https://www.tfm.co.jp/ssb/

2020年09月20日は、引き続き「棚からひとつかみ+リクエスト」
http://www.tatsuro.co.jp
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THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show #11

2020年09月11日 | Motoharu Radio Show

第11回:ノーザンソウルの魅力
01.Chuck Wood:Seven Days Too Long
02.Darrell Banks:Angel Baby
03.Jackie Moore:Both Ends Against the Middle
04.The Blossoms:That's When the Tears Start (Single Version)
05. Lainie Hill:Time Marches On
06.Bobby Sheen:Something New To Do
07.Kenny Wells: Isn't It Just a Shame
08.The Tempos:Countdown Here I Come
09.The Dynells: Call On Me
10.David & Ruben:I Love Her So Much It Hurts Me
11.佐野元春 & The Coyote Band: 君が気高い孤独なら
12.佐野元春 & The Coyote Band: 境界線
13.Stone Foundation:The Turnaround
14.Stone Foundation featuring Paul Weller:Your Balloon Is Rising
15.Barbara McNair: You're Gonna Love My Baby
---------------------------------------------------
■内容の一部を抜粋
佐野元春 : こんばんは。佐野元春です。残すところあと3回の放送となりましたMotoharu Radio Show。今夜はノーザン・ソウル・ミュージックの魅力に触れてみたいと思います。THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。DJ、佐野元春でお送りします。

・Seven Days Too Long
のちにデキシーズ・ミッドナイト・ランナーズがカヴァーして注目されたチャック・ウッドの「Seven Days Too Long」。

佐野元春 : チャック・ウッド「Seven Days Too Long」。君と会うのに一週間は長すぎる。そんなふうに歌っています。Motoharu Radio Show、今夜はノーザン・ソウルの特集。このあとはダレル・バンクスのレコードに続きます。

・Angel Baby

佐野元春 : 今聴いてるのはダレル・バンクス、曲は「Angel Baby」。ソウル・ミュージックはボディとソウルで楽しむ音楽。Motoharu Radio Show、ノーザン・ソウルの特集。この後は数あるヒット・レコードの中でも特に僕が気に入ってる曲、ジャッキー・ムーア、そしてブロッサムズのレコードに続きます。

・Both Ends Against the Middle
・That's When the Tears Start

佐野元春 : う~ん、いいですね。ジャッキー・ムーア「Both Ends Against the Middle」。そしてブロッサムズ「That's When the Tears Start」。2曲聴いてみました。
今聴いてみたジャッキー・ムーア、アトランティック・レーベルからのシンガーですね。そしてブロッサムズ。このグループはフィル・スペクターのプロデュースで名前が知られた女性シンガー、ダーレン・ラヴ。彼女が在籍していたガール・グループです。このダーレン・ラヴ、ちょっと複雑な事情を抱えていました。1961年、クリスタルズのヒット曲「He's A Rebel」。全米No.1のヒットの曲ですが、実はこの曲はダーレン・ラヴが影武者としてレコーディングしています。要は歌唱力がちょっと弱かったクリスタルズに代わって強力な歌声がほしかったということだろうと思います。ちなみにこのアイディアを実行したプロデューサーは悪名高きフィル・スペクターですね(笑)。ダーレン・ラヴはのちに『バックコーラスの歌姫たち』というドキュメンタリー映画で、このときのエピソードを語っています。僕も観ましたけれどとても面白い映画。興味のある方は是非、ご覧になってみてください。Motoharu Radio Show、ノーザン・ソウルの特集。この後は数あるヒット・レコードの中でも特に僕が好きなシンガーの曲を紹介したいと思います。
一曲目はレニー・ヒルの曲。メロディもいいんですがリリックが素敵です。"一緒にいる私たち もう若いとはいえないんだから 時間を大切にしましょう"、そんなふうに歌ってます。曲は「Time Marches On」。そしてボビー・シーン。'60年代、フィル・スペクターのプロデュースでヒットしたボブ・B・ソックス&ザ・ブルージーンズのヴォーカリストですね。曲は「Something New To Do」。1972年のヒット・レコードです。そしてもうひとり、ケニー・ウェルズ。これもとってもいい曲です。1966年のレコード、「Isn't It Just a Shame」。レニー・ヒル、ボビー・シーン、そしてケニー・ウェルズのレコード、3曲続きます。

・Time Marches On
・Something New To Do
・Isn't It Just a Shame

佐野元春 : ノーザン・ソウル。サザン・ソウルと並んで人気のある米国北部のソウル・ミュージックですね。デトロイト、シカゴそうした街で生まれたR&Bです。レーベルでいうと代表的なのはチェス、そしてモータウン・レーベル。'60年代から'70年代にかけてヒット・レコードをたくさん出しました。ただこのノーザン・ソウルという言葉、実をいうと一般的に広まったのはイギリスでのことでした。'60年代後半のことです。拠点となったのは英国の北にある街、マンチェスターでした。よくサザン・ソウルはちょっと泥臭くてアーシーなサウンド、一方ノーザン・ソウルは洗練されたポップなサウンドと言われます。大雑把にいうとノーザン・ソウルは洒落たメロディ、ごきげんなダンス・ビート、そして都会的なリリックということになります。実際、このノーザン・ソウルの流行を支えたのは当時最先端のファッションや音楽に触れていた'60年代のモッズでした。この'60年代ノーザン・ソウルを聴いて育った世代の中から、のちにジャム、ブロウ・モンキーズ、アズテック・カメラ、そしてデキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ。そうした英国ブルー・アイド・ソウルのバンドが生まれました。ではレコードに戻って「Countdown Here I Come」、ザ・テンポス。「Call On Me」、ザ・ディネール。そして「I Love Her So Much It Hurts Me」、デヴィッド&ルービン。ノーザン・ソウルのレコード、3曲続きます。

・Countdown Here I Come
・Call On Me
・I Love Her So Much It Hurts Me

佐野元春 : 今夜のMotoharu Radio Show、ノーザン・ソウルのレコードを集めて聴いています。実をいうと自分のレパートリーの中にも、このノーザン・ソウルを意識した曲が何曲かあります。'80年代で言うと「Wild Hearts」、「Young Bloods」、あたりですね。編曲のスタイルで言うとストリングスのカウンター・メロディが効いている、そんなアレンジです。踊りやすいということも大事だと思います。ライヴでもこの辺の曲を演奏すると、バンドも僕もグッと気分が上がってきます。ノーザン・ソウル傾向の曲、僕のレコードから聴いてください。10月に出るベスト・アルバムから紹介します。佐野元春 & The Coyote Band、「君が気高い孤独なら」そして「境界線」、2曲続きます。

・君が気高い孤独なら
・境界線

佐野元春 :佐野元春 & The Coyote Band「君が気高い孤独なら」、 そして今聴いていただいたのは「境界線」。10月に出る僕のベスト・アルバムから2曲聴いていただきました。
さて、ここで現在活躍しているバンドの中から一組、僕が気に入ってるUKソウル・バンド、ストーン・ファンデーション。このバンドを紹介します。2011年にアルバム・デビューをしています。7人組のバンドですね。ドラム、ベース、ギターに加えてハモンド・オルガン、そしてホーン・セクションという編成です。ヴォーカルのニール・ジョーンズ、影響された音楽はスタックスのR&B、ヴァン・モリソンといったブルー・アイド・ソウルが好きだということ。最新アルバムでは、ポール・ウェラーのスタジオで収録したということ。プロデュースも含めて、現在、ポール・ウェラーが肩入れしているバンドです。ではストーン・ファンデーション、ここで2曲。「The Turnaround」、そしてポール・ウェラーをフィーチャーした曲「Your Balloon Is Rising」、2曲続きます。

・The Turnaround
・Your Balloon Is Rising

佐野元春 : ストーン・ファンデーション、2曲。1曲目は「The Turnaround」、そしてヴォーカルにポール・ウェラーをフィーチャーした「Your Balloon Is Rising」、2曲聴いてみました。DJ、佐野元春続いてます。
さて7月からはじまったTHE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show。今回の放送で11回目となります。いろいろな特集をやってきました。ミドル・オブ・60s'、60年代中盤のヒット・レコードの特集。そして日本の古いポップスを振り返るジャパニーズ・ポップスの夜明け。この特集も楽しかったです。またブルースやファンク・ミュージックの特集もありました。まぁ、僕なりの選曲で届けてきましたけれども、みなさんも楽しんでいただけたでしょうか? さて、THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show。来週、再来週と二週に渡って特別な放送を届けたいと思います。自分は今年40周年を迎えたんですが、それを記念してふたつのベスト・アルバムが出ます。ひとつがエピック・レコードと契約していたデビューから2004年までのベスト。もうひとつはそこから先ですね、自分のレーベル、DaisyMusicから出した2005年から現在までのベスト。このふたつのベスト盤が来月10月に出ます。そこで来週、再来週の放送では、なんと、FM COCOLOのスターDJ、野村雅夫さんですね。彼がゲストに来てくれることになっています。僕のベスト盤からの曲を紹介しつつ、ふたりで楽しいお話をしたいと思っています。どんな内容になるか、みなさんも是非、楽しみにしていてください。
時間も残り少なくなってきました。今夜はノーザン・ソウルの特集。特集最後の曲、バーバラ・マックネアルのレコード、「You're Gonna Love My Baby」。今夜はこの曲を聴いてお別れです。

・You're Gonna Love My Baby

佐野元春 : 今夜のMotoharu Radio Show、楽しんでいただけましたか? 来週は野村雅夫DJを迎えて、来月10月に出る僕のベスト・アルバムを特集します。僕も楽しみです。THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show。次回の放送は来週9月18日、よる9時から。同じステーション、同じ時間でみなさんとお会いしたいと思います。DJ、佐野元春。ではまた来週。
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Sunday Song Book #1456

2020年09月06日 | Sunday Song Book

2020年09月06日プレイリスト「残暑リクエスト大会」
1. SEPTEMBER / 竹内まりや "ラヴ・ソングス" "エクスプレッションズ" '79
2. COME ON, LET'S GO / THE ROGUES '65
3. DON'T ASK ME WHY / ALZO "ALZO" '72
4. LOVE AIN'T GONNA RUN ME AWAY / LUTHER INGRAM '73
5. SEPTEMBER WHEN I FIRST MET YOU / BARRY WHITE "THE MAN" '78
6. I WISH YOU LOVE / BLOSSOM DEARIE "MAY I COME IN ?" '64
7. さよなら夏の日 / 山下達郎 '91
---------------------------------------------------
■内容の一部を抜粋
・近況
台風は今日がピークのような気がして、と達郎さん。番組の収録は前日なので状況がまだ読み切れてないそうだ。

・残暑リクエスト大会
今年の夏はいつものようにリクエスト大会ができなかったので、今日は残りものには福で「残暑リクエスト大会」。台風が心配なので、本当は残暑なのでイケイケで行こうと思っていたそうだが、ちょっと大人しめに、心が休まる感じを目指して今日は選曲したとか。

・SEPTEMBER
9月に入ったので「SEPTEMBER」へのリクエストがたくさん来ている。先週はまだ8月だったのでかけられなかった。「毎年恒例9月になりましたら竹内まりや、セプテンバー」と達郎さん。

・COME ON, LET'S GO
ザ・ローグスはブルース・ジョンストンとテリー・メルチャーの幽霊グループ。ブルース&テリーと同時期で、この当時はでっち上げグループで少しでもヒットを狙って乱発。粗製ではないが乱造していた。「COME ON, LET'S GO」はリッチー・ヴァレンスの1958年のヒット曲のカヴァー。プロデュースはテリー・メルチャー。テリー・メルチャーは2004年に亡くなっている。ハル・ブレインのドラムが炸裂している。

・DON'T ASK ME WHY
アルゾはアルゾ・フランテというシンガー・ソングライター。いろいろ曲折を経て1972年にアルバムを出した。12弦ギターを弾きながら歌う素敵なアルバムだったが、全くヒットしなかった。達郎さんの仲間内みんなで聴いていて、みんなの努力で日本でCD化されて、日本ではかなりの名盤として知られている。この人も2004年に亡くなっている。1972年のアルバム『ALZO』から「DON'T ASK ME WHY」。プロデュース&アレンジはボブ・ドロー。

・LOVE AIN'T GONNA RUN ME AWAY
ルーサー・イングラムは南部出身だがデトロイト、シカゴあたりでキャリアをはじめて、また南部に戻って、名作がたくさんある。1973年、全米ソウル・チャート23位の「LOVE AIN'T GONNA RUN ME AWAY」。「ひじょうに特徴のある歌い方をする人であります」と達郎さん。

・SEPTEMBER WHEN I FIRST MET YOU
9月の楽曲へのリクエスト。バリー・ホワイトの1978年のアルバム『THE MAN』はプラチナ・アルバム。その中から「SEPTEMBER WHEN I FIRST MET YOU」。

・今後の予定
来週も引き続き「残暑リクエスト大会」。仕事が立て込んでいて番組は前倒しで収録する予定。間の悪いことに来週は聴取率週間だが全く対応できないとのこと。「今更、んなもんねぇ、アレなんですよ、あの聴取率がどうたらこーたら、いいっすよ、んなもん(小声)。どうせカットされるんだ、これな」と達郎さん。

・TATSURO YAMASHITA SPECIAL ACOUSTIC LIVE展
「山下達郎 SPECIAL ACOUSTIC LIVE展」が昨日9月5日(土)から仙台のPARCOにてスタート。ここ数年間、アコースティック・ライヴという名前で、山下達郎、難波弘之、伊藤広規の3人で続けている3人ライヴ。ここ数年間の過去の映像の上映、そこでしか観られない映像の上映とか、ライヴのいろいろな機材、衣装の展示をしている。詳しくは山下達郎オフィシャルサイトにて。
https://www.tatsuro.co.jp

・ 宮里陽太クァルテット with 佐橋佳幸 生配信ライヴ
達郎さんのツアーにサックスで参加している宮里陽太くん。9月25日(金)に生配信ライヴを行う。MUSIC/SLASHからの配信で、今回は宮里陽太クァルテットに佐橋佳幸さんが加わり、宮里陽太クァルテット with 佐橋佳幸、宮里陽太くんのサックス、佐橋佳幸くんのギター、ドラムが小笠原拓海くん、あとは宮里陽太くんのレギュラー・メンバーで、ベースが川村竜さん、キーボードは成田祐一さん。このクインテットでの生配信ライヴ。目黒BLUES ALLEY JAPANからの生配信ライヴで、ログイン開始時間が18時、配信スタートが19時。視聴チケット料金は4000円(税込み)で絶賛発売中。視聴チケットの受付はもうはじまっていて、9月20日(日)の23時59分まで。詳しくは宮里陽太オフィシャル・サイトにて。
http://yotamiyazato.com/index.html

なお、ミュージックスラッシュの方針として、見逃し配信はしない、アーカイヴも残さない。リアル・ライヴに近づけるという思想で、そのための高音質になってる。チケット販売実数に合わせて最適な音質を構築する必要があるとのことで、前売り券のみで当日券の販売はしない。ネットでの視聴のためご自身の視聴環境を必ず確認してチケットをお求めくださいとのこと。
https://musicslash.jp

・I WISH YOU LOVE
ブロッサム・ディアリーはニューヨーク生まれだがフランスでの活動が長い人。「たいへん、ジャズの人なんですけれども、かわいい声をしている方でですね。あの、和みます」と達郎さん。1964年にキャピトルから出たアルバム『MAY I COME IN ?』、その中から「I WISH YOU LOVE」。この曲もフランス製のスタンダード・ナンバーで英語詞が付いている。

・ウォーキング
千葉市のリスナーから「昔からウォーキングを定期的にしているとのことですが、ウォーキングしているときは何か音楽を聴きながらしてるのですか?」という質問。
「聴いてません。景色眺めながら行きます。歌詞考えるときだけですね。そのときはウォーキングしながら(笑)、聴いてます。疲れます」と達郎さん。

・さよなら夏の日
先週のオンエアで最後にとしまえんでの思い出とともにかけた「さよなら夏の日」は東京だけ途中で地震速報が入ったそうだ。リスナーからのリクエストでアンコール。

番組の終わりに
「台風、大きな台風でございます。みなさまくれぐれもお気をつけください。防災に携わるみなさま、くれぐれも安全に。その上で引き続きですね、ウイルス関係で従事されてる方々、引き続きよろしくお願いします。みんなで力を合わせて」と達郎さん。

■リクエスト・お便りの宛て先:
ハガキ
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
メール
https://www.tfm.co.jp/ssb/

2020年09月13日は、引き続き「残暑リクエスト大会」
http://www.tatsuro.co.jp
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THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show #10

2020年09月04日 | Motoharu Radio Show

第10回:サイケデリック・ポップソング ~ ちょっと奇妙で不思議な世界
01.The Beatles:I Am the Walrus
02.The Rolling Stones:She's a Rainbow
03.The Beach Boys:You Still Believe In Me
04.Kula Shaker:Tattva
05.Oasis:Who Feels Love?
06.Tomorrow:My White Bicycle (1999 Remastered Version)
07.The Zombies:Care of Cell 44
08.The Lemon Pipers:Green Tambourine
09.佐野元春 & The Coyote Band:現実は見た目とは違う
10.The Temples:The Beam
11.Tame Impala:Instant Destiny
12.The Flaming Lips:Lucy In the Sky With Diamonds (feat. Miley Cyrus & Moby)
13. Jefferson Airplane - Volunteers
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■内容の一部を抜粋
佐野元春 : こんばんは。佐野元春です。今夜はちょっと奇妙で不思議なんだけれども、その魅力には逆らえない。そんなサイケデリックなポップ・ソングを特集してみたいと思います。THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。DJ、佐野元春でお送りします。

・I Am the Walrus

佐野元春 : 今流れてるのはザ・ビートルズ「I Am the Walrus」。今夜はちょっと奇妙で不思議な世界。サイケデリックなポップ・ソングを集めてみます。続いて聴いてみたいのはこの曲、ストリングス編曲はのちにレッド・ツェッペリンのベーシストになるジョン・ポール・ジョーンズがクレジットされています。ザ・ローリング・ストーンズの曲は「She's a Rainbow」。

・She's a Rainbow
・You Still Believe In Me

佐野元春 : ザ・ビーチボーイズ「You Still Believe In Me」。アルバム『Pet Sounds』からの一曲。ザ・ビーチボーイズ名義のアルバムですが実際はブライアン・ウィルソンのソロ作品といってもいいアルバムですね。『Pet Sounds』、このアルバムはのちにビートルズの『SGT. Pepper's Lonely Heart Club Band』、このアルバムに影響を与えたと言われています。いずれも'60年代の最もクリエイティブな名盤といってもいいと思います。THE MUSIC OF NOTE。DJ、佐野元春、続いてます。
サイケデリックなポップ・ソングということでみなさんはどんなイメージを持っているでしょうか? ロックンロールの歴史を振り返ってみると1960年代の半ば頃ですね。ビーチボーイズ、ビートルズ、ザ・バーズ、そしてピンク・フロイド。そうしたバンドが一斉に奇妙な音を奏ではじめます。それまでの音楽とは違う、なにか不思議な感じの曲ですね。それは曲の歌詞にも出てました。どこか現実離れしたシュールレアリスティックな歌詞、そして不思議なサウンド。曲を聴いてると、なにか脳の変なところを刺激されているようなサウンドですね。そんなサイケデリックなポップ音楽。形を変えて現代のバンドにも受け継がれています。この後はクーラ・シェイカー、そしてオアシスのレコードに続きます。

・Tattva
・Who Feels Love?

佐野元春 : クーラ・シェイカー、曲は「Tattva」(タトワ)、サンスクリット語で「真実」という意味だそうです。そして今聴いてるのはオエシス、曲は「Who Feels Love?」。DJ、佐野元春、続いてます。

佐野元春 : サイケデリックな音楽、はじまりは1960年代の半ば頃ですね。アルバムでいうとビーチボーイズの『Pet Sounds』、そしてビートルズの『Revolver』。そうしたレコードがヒットして、その後、世界中でこのサイケデリックのブームがやってきます。それは音楽だけではなく、生活のスタイル、ファッションにも影響を及ぼしました。フラワー・ムーブメントですね。フラワー・ムーブメント、この言葉どこかで聞いたことがあるという方もいると思います。「愛と平和の世界を」ということで当時、若い世代が団結してかなり大きな規模の社会運動がありました。ヒッピー・レボリューションですね。サイケデリックな音楽はそんな時代に流行っていました。ではその'60年代のサイケデリック・ポップ聴いてみたいと思います。トゥモロウ、「My White Bicycle」、ザ・ゾンビーズ、「Care of Cell 44」、そしてザ・レモン・パンパーズ、「Green Tambourine」。3曲聴いてみます。

・My White Bicycle
・Care of Cell 44
・Green Tambourine

佐野元春 : Motoharu Radio Show、サイケデリック・ポップ特集。トゥモロウ、「My White Bicycle」、ザ・ゾンビーズ、「Care of Cell 44」、そして今聴いたのはザ・レモン・パンパーズ、「Green Tambourine」。'60年代のレコードからサイケデリック・ポップ、3曲聴いてみました

佐野元春 : 僕の友人であるロック音楽の雑誌を出してる編集長がいて、彼がこのサイケデリック音楽にとても詳しんですね。その彼がサイケデリック音楽の条件として挙げていたのが、まず逆回転。ギターやキーボードのサウンドを逆にひっくり返した音ですね。そして楽器でいうと12弦ギターとかシタール。リズムは同じことを繰り返す、いわゆるループ・サウンド。そこにオリエンタルな音階のメロディを乗せる。確かにサイケデリックなポップというとそんな要素で出できてるようです。実をいうと僕のレパートリーにもこのサイケデリックな曲というのはよくあって、これまでにも何曲かレコードにしてきました。そうですね、ここで一曲僕の曲をみなさんにも聴いていただきたいと思います。最近のアルバム『Maniju』からの曲、聴いてください。佐野元春 & ザ・コヨーテバンド、曲は「現実は見た目とは違う」。

・現実は見た目とは違う

佐野元春 : 佐野元春 & ザ・コヨーテバンド、「現実は見た目とは違う」。聴いていただきました。Motoharu Radio Show、今夜はサイケデリック・ポップを特集しています。うん、この英国のバンド、いいですね。ザ・テンプルズ。僕も気にいってます。UK、ミッドランド出身の4人組のバンド。去年、3枚目のアルバムが出ました。アルバム・タイトルは『Hot Motion』。英国でもかなり注目されていて聞くところによるとノエル・ギャラガーとかジョニー・マーが絶賛しているということ。ではここでUKサイケデリック・ポップの最前線からザ・テンプルズ。彼らの最新レコードを聴いてみます。曲は「The Beam」。

・The Beam

佐野元春 : ザ・テンプルズ、曲は「The Beam」。いいですね。現代のサイケデリック・ポップ、ザ・テンプルズに続いて聴いてみたいのはテーム・インパラ、そしてフレーミング・リップス。テーム・インパラはオーストラリア出身のバンド。これまでに4枚のスタジオ・アルバムを出して、いずれも高い評価を受けています。今夜は新しいアルバム『The Slow Rush』から一曲聴いてみます。そしてフレーミング・リップス。ビートルズの『SGT. Pepper's Lonely Heart Club Band』、このアルバムをまるごとカヴァーしたアルバムからサイケデリック・ポップのクラシックといってもいいと思います。「Lucy In the Sky With Diamonds」のカヴァー。ビートルズへの愛情が溢れ過ぎちゃって爆発しちゃった、そんな感じのカヴァー、聴いてみてください。

・Instant Destiny
・Lucy In the Sky With Diamonds

佐野元春 : テーム・インパラ、「Instant Destiny」。そして今聴いたのはフレーミング・リップス、「Lucy In the Sky With Diamonds」。サイケデリック・ポップ、魅力的なふたつのバンドのレコードを聴いてみました。
僕も曲を作っているので、いろいろなことを感じるんですけれども、表現というのはおもしろいもので、あまり現実的になり過ぎると、なにか物事をちゃんと捉えていないんじゃないかと不安になるんですね。そんなときにこのサイケデリックな表現というのは物事の心理を見抜くにあたって、ちょっとしたカンフル剤になるような気がします。今日特集して、個人的に改めてサイケデリックなポップ音楽の魅力を再発見しました。番組をお聴きのみなさんも楽しんでいただいてるとうれしいです。ロックンロールの歴史を振り返ってみると1960年代の半ば頃ですね。ビーチボーイズ、ビートルズをはじめ、いろいろなバンドがこのサイケデリックな表現に夢中になりました。歌詞もそれまでの音楽とは違うどこか現実離れしたシュールレアリスティックな歌詞が多かったようです。当時、米国ではサンフランシスコ、ヘイト・アシュベリーを中心にヒッピー・ムーブメントが起こっていました。ヴェトナム戦争に対しての反戦運動が激しくなった頃ですね。「武器を捨てて、もっと平和にいこうよ」というラヴ&ピースの世代です。フラワー・ジェネレーションなんて呼ばれていました。そうした彼らが聴いていたのがこのサイケデリックな音楽ですね。当時のドラッグ・カルチャーとも深く結びついていました。よく知られた話としては、先ほど聴きましたビートルズの曲「Lucy In the Sky With Diamonds」。頭文字を取るとLSDということで、この曲の幻想的な感じはLSDをキメて書いた曲なんじゃないか、そんな話もありました。では米国サンフランシスコを代表するサイケデリック・バンド、ジェファーソン・エアプレイン、彼らのレコードを聴いてみます。「Volunteers」、ジェファーソン・エアプレイン。今夜はこの曲を聴きながらお別れです。

・Volunteers

佐野元春 : 今夜のMotoharu Radio Show、楽しんでいただけましたか? 「THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show」。次回の放送は来週9月11日、よる9時から。同じステーション、同じ時間でみなさんとお会いしたいと思います。DJ、佐野元春。ではまた来週。
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