THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show #13

2020年09月25日 | Motoharu Radio Show

第13回:特別番組 佐野元春を巡るキーワードとともに
M1 佐野元春 with THE HEARTLAND「雪-あぁ 世界は美しい」
M2 佐野元春 with THE HEARTLAND「レインボー・イン・マイ・ソウル」
M3 佐野元春 & THE COYOTE BAND「純恋(すみれ)」
M4 佐野元春 with THE HEARTLAND「サムデイ」
M5 佐野元春 with THE HEARTLAND「ダウンタウンボーイ」
M6 佐野元春 with THE HEARTLAND「Sweet 16」
M7 佐野元春 & THE COYOTE BAND「君が気高い孤独なら」
M8 佐野元春 & THE COYOTE BAND「エンタテイメント!」
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■内容の一部を抜粋
・ALTERNATIVE EDITION
最終回になる今週も先週に引き続いてFM COCOLOのDJ、野村雅夫さんをゲストに迎えて10月7日に同時リリースされるベスト・アルバムの特集。

■鉄腕アトム
元春の子どもの頃のヒーローが鉄腕アトム。手塚治虫作品は少年雑誌の連載を毎月読み、テレビ放送は「リボンの騎士」とか「ジャングル大帝」、いろいろあるけれど、手塚治虫作品となると何でも見ていたそうだ。子どもの頃はアトムに自己同一視していてたとか。

雅夫 : 今、髪型も若干、アトム化しているところもありますけれど、昔の佐野さんに比べると(笑)。ふふふ。
元春 : そうだね(笑)。あのね、年恰好が同じだったので、アトムが喜んだりとか悲しんだりするのと一緒に、自分も喜んだり悲しんだりしていたんですよね。特に鉄腕アトムが抱えてるストラグルというのは、人間になりたいんだけれど、いつまで経っても人間になれない、そこのジレンマ、ずっと抱えてるんですよね。手塚治虫さんのマンガっていうかな、作品で感心するのは、ただのサイエンス・フィクションではなく、人間が描かれてるということですよね。鉄腕アトムを巡る家族の問題とか友だちの問題とかね。そういうすごく人間的なことをテーマにして、で進んでいく。だからとても身近に感じる、と同時に未来ってどうなるんだろうっていう、そういうサイエンス・フィクション的な興味も満たしてくれる。当時いろいろとマンガ他にもありましたけれども、手塚治虫さんのマンガっていうのは僕にとって特別でした。

・雪-あぁ 世界は美しい
野村雅夫さんが初めて読んだ手塚治虫作品が「ブッダ」。元春も大人になってから「ブッダ」を読んで感銘を受け、「ブッダ」からインスパイアされて書いた曲が「雪-あぁ 世界は美しい」。手塚治虫さんに「ブッダ」が映像化されるときに使ってもらおうと思って書いたが、その年に手塚治虫さんがお亡くなりになり夢は叶わなかったという。

■夢
長いツアーがはじまる直前に見る夢があるという。ステージに出てゆくと観客が誰もいない。えっ! と思ったところで目が覚めるそうだ。今は見なくなったが40代ぐらいまでは毎回ツアーがはじまる前にその夢を見ていたとか。あるときヴァージョンが変わって、広い会場のど真ん中に双子の女の子だけがいる夢を見たこともあるという。

雅夫 : おもしろいのは寝てるときに見る夢は、これは自分でコントロールできないんだけど、起きてるときに描く夢っていうのも同じワードで、大体の言語で同じじゃないですか? こっちはまだある程度コントロールできるじゃないですか? おもしろいですよね、おんなじ言葉を使うっていう。
元春 :そうですね。現実で見る夢っていうのはあこがれなどを含んだ夢ですよね。確かにね、コントロールできないからこそ夢だという言い方もできるしね。
雅夫 : 描いても届かないし...
元春 : 届かない。だから夢ということなりますね。
雅夫 : なるほどなぁ。でも夢、その描かなったら、当然叶う叶わないっていうこと自体もないし...
元春 :そう思います。やっぱり夢を見ることができるのは僕たち人間の特権だと思うんですよね。夢見ることをあきらめてはいけないし、それを否定するのもおかしいし。夢見ることで明日にまた向かっていけるという活力にもなりますからね。
雅夫 : 迷ったときの羅針盤にもなるし。じゃあ夢からどの曲行きますか?
元春 : そうですね。ではこの曲を聴いてください。「レインボー・イン・マイ・ソウル」。

・レインボー・イン・マイ・ソウル

■パートナー
プライヴェートでも仕事上のパートナーでも共通していえるのは夢を共有して並走していける相手。人は一人ひとり完璧ではないから補いながら前進する。補いながら前進するには自分が不完全であることをどこかで認めないと相手が見つからない、と元春。バンドもそういうことで、バンドはひとつのヴィジョンに向かって音を出して、だんだんひとつにまとまってゆく。そこにはマジックがあるし、そのマジックが訪れる瞬間は必ずあるそうだ。プライヴェートのパートナーは自分が不完全であることを認めたところから関係をはじめる。何が互いに補えだえるだろうか、それで一人ではたどり着けないところに一緒に行ける。それは往々にして大人になってパートナーを得るのはそういうことだと、だんだん学習するもの。十代の多感な頃は理屈抜きで直観で相手を探すことも大事だと元春。

・純恋(すみれ)
ラジオを聴いてる十代の男の子たちに捧げたい曲。

■スタイル
スタイルは生き方に関係するもので、「君自身のスタイルを持ちなよ」と言われたときがあり、「僕自身のスタイルって何だろう?」ってことからスタイルというものが身近なものになったと元春。スタイルは意識して得られるものではなく、一所懸命やってるうちに何となく形作られてくるもの。言葉を変えると個性にもつながる。その人なりの個性を発揮するということ。

・SOMEDAY
「デビューしてこの曲でようやく僕のスタイルっていうのを世間の人たちが認めてくれたのかな」と元春。

■ルーティーン
最近の元春のルーティーンは朝起きてすぐに詩を書くこと。朝はインスピレーションが冴えているのでクリエイティヴ・ライティングに適しているのだとか。以前は夜に詩を書いていたそうだ。ルーティンを決めて生活すると楽だしごちゃごちゃ考えなくて済むけれど、反対に面白みがなく刺激もない。元春はそれを良しとせず日々は違っててほしいと思うのでルーティン化するとそれを壊すとか。

・ダウンタウンボーイ

■あこがれ
野村雅夫さんの持ち込みのトピック。あこがれの人は音楽に限らず持っているという。多感な頃にあこがれを持ち、時代が経ってもずっと変わらずに持ち続けているそうだ。「何か迷ったときには寄って立つ存在というのは心の中にあっていいと思う。それがあこがれの存在ということじゃないかな」と元春。

・Sweet 16

■孤独
このトピックも野村雅夫さんの持ち込み。「似たような言葉に孤立というのがあるんだけれど、孤立はよくないけれど孤独というのは僕は悪いものじゃないと思っている。孤独は人を強くさせる」と元春。「孤独というのは自分を強くさせるけれど、孤立というのは他を排除してしまう。だからこれはよくない。その違いがあるかな」と元春。

・君が気高い孤独なら

■ラジオ

雅夫 : ラジオの話も何度か出てきましたけれど。改めてラジオについて話したいんですよ。佐野さんはFEN聴いたりとか、リスナーでもあって熱心に。やがてDJとして、Motoharu Radio Showも正にそうですけれど。何が好きですか? ラジオは。
元春 : 自分が気に入った曲をみなさんに紹介できて、そして「みんな、どう?」って問いかけができるところが楽しい。
雅夫 : そうですよね。聴くほうはどうですか?
元春 : 聴くほうはね、何か新しい視点を投げかけてくれるとハッとしたりするし、彼がかけてくれる曲に何か刺激を受けたりするとすごくうれしい。で、そういうなんていうかな、やっぱりDJって、なんか僕にとってはかっこいい存在なんですよ。
雅夫 : はぁー。そう言っていただいただけで本当にねぇ、みんな忘れてるんじゃないかな(笑)。
元春 : ただ喋ってる人じゃなくて。僕にとってなんかかっこいい存在ですね、DJというのは。なんでそんなすごくいい曲知ってるんだろうとかね、それから日常のことをお話しするんでも、わっそんな視点は僕持ってないなぁ、楽しいなぁとかね。そういうちょっと変わったパースペクティヴを与えてくれる存在。それがDJですね。
雅夫 : NHKのときにね、佐野さんがやっていたときに、僕聴いてて。リスナーからのね、投稿に対して、遠く離れた友だちもこの放送を聴いてるっていう投稿があって、それに対して佐野さんがちょっとコメントしていたときに、それを僕も当然聴いてたわけですよ。誰かよくわかんない、例えば四国の人が。で東京から佐野さん放送してて。でメッセージ読んでて。それを僕関西で聴いてるっていう。こんなのあり得ないじゃないですか、普通だったら。テレビでもできないですよ、こんな。そんな小っちゃいこと扱えないしっていう。なんか今の話聴いてても、あの夜のことを僕は思い出したというか。
元春 : ラジオを聴くというのは、DJとすると聴き手である自分が一対一で向かい合ってるでしょ。だからそこに親密な関係というのができるはずなんですよね。しかも信頼してるDJであればなおさらのこと、自分の部屋でそのDJと向かい合って、何か時間を過ごしてるかのようなね。そうするとなぜかそのDJは僕の悩みとか僕の喜び、哀しみ、喜怒哀楽をもしかしたら感じ取ってくれて、だからこの曲をながしてくれたのかなとか。まぁ空想かもしれないんだけれども、そういう素敵な関係を結ぶことができる。それが素敵だと思う。
雅夫 : 最終回じゃないですか。
元春 : はい。
雅夫 : 最終回になぜこの話をしてるって、また戻ってきてくださいよ。ふふふ。
元春 : そうだね。この、何月からはじめた? 7月くらいからはじめたのかな? すごく楽しかった。で、Motoharu Radio Show、ずっといろいろステーションを変えてね、もう考えてみれば40年間あちこちでやってきた。しかもジングルなんかも(笑)、全くおんなじの使って。でね、すごく光栄だって思うんですよ。Motoharu Radio Showっていうかたちを認めいていただいてね、やってみないかと声をかけていただいた。なのでこの7月からの何回か、12回、13回かな? はすごく楽しかったです。リスナーのみなさん、聴いてくれてどうもありがとう。
雅夫 : ですね。やぁ、もうやっていただいてどうもありがとうです。
元春 : あぁ。
雅夫 : ふふふ。じゃあ、この話の後何聴きましょう?
元春 : そうですね。では僕の新しい、コヨーテバンドと作った、新しいこの曲を聴いてください。「エンタテイメント!」。

・エンタテイメント!

雅夫 : あぁ、終わってしまいますよ、佐野さん。
元春 : そうですね。
雅夫 : THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。ありがとうございました。なんかお邪魔させていただいて。
元春 : やぁ、こちらこそ。
雅夫 : すごい楽しかったです。
元春 : 7月からはじめて、最初はもちろん僕がDJやってたんですけれども。先週、今週とね、楽でした。
雅夫 : ははははは。そういっていただけると何よりです。でも僕は今日とそれから先週は割とざっくばらんにお話ししてますけれど、あのもっとソリッドにLess Talk, More Musicっていう感じで。しかもここっていうタイミングで曲を切り替えられていくっていうのは、僕にとってすごい刺激になりましたし、本当に楽しかったです。で、先週、今週とまぁ、選曲を僕らのトークから直接的、間接的に、リスナーの想像力、刺激できてたらよかったと思うんですけど。かけてきたのはベスト・アルバム。いよいよ10月7日ですね。同時リリースということで、今回はエピック・レーベル時代のものと、それからディジーミュージック、コヨーテバンド。コヨーテバンドとして初のベストですよね。
元春 : 1980年にレコード・アーティストとしてデビューしてますが、そこから2020年の、今までの作品の中から選んだ曲をまとめた。これがふたつのパッケージで同時に出るということになりました。
雅夫 : ジャケットも相当なこだわりですから、これ普通ならなかなかできないですよ、レーベル越えて、ねぇ。
元春 : そうなんです。僕のファンの人たち、リスナーの人たちは僕のこれまでの音楽をまとめて聴いてくれるチャンスがありますから。パッケージのほうもね、書籍で言うと上巻下巻みたいな感じで作りました。
雅夫 : 今、2020年に聴いてほしいサウンドにまたなってますし、それから並びも含めて細かく、もう今ここで全部喋れないんですけど、細かくチューニングされてますんで。是非。
元春 : これまで僕の音楽を聴いてきてくれたファンの人たちだけではなく、新しい音楽リスナーの人たちにも聴いてもらえたらいいなと思います。
雅夫 : もちろん、そうですよね。僕も自分の番組で積極的にまたオンエアしていきますんで。佐野さんこれからもよろしくお願いします。
元春 : よろしくお願いします。うれしいです。
雅夫 : じゃあ、本当に終わりだ。やぁ、また戻ってきてください。FM COCOLO、THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。ALTERNATIVE EDITIONとして先週と今週はお送りしました。僭越ながらご一緒したのは、あの、野村雅夫でした。ありがとうございました。
元春 : そして佐野元春でした。またいずれ。
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THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show #12

2020年09月18日 | Motoharu Radio Show

第12回:特別番組 佐野元春を巡るキーワードとともに
M1 佐野元春 with THE HEARTLAND「スターダスト・キッズ」(ビートルズ)
M2 佐野元春 with THE HEARTLAND「悲しきレイディオ」(渋谷)
M3 佐野元春 & THE COYOTE BAND「バイ・ザ・シー」(横浜)
M4 佐野元春 with THE HEARTLAND「シーズン・イン・ザ・サン -夏草の誘い」(ピクニック)
M5 佐野元春 with New York Session「コンプリケイション・シェイクダウン」(ニューヨーク)
M6 佐野元春 & THE COYOTE BAND「空港待合室」(アレン・ギンズバーグ )
M7 佐野元春「情けない週末」(映画)
M8 佐野元春 & THE COYOTE BAND「境界線」(詩)
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■内容の一部を抜粋
・ALTERNATIVE EDITION
今週と来週の二週はFM COCOLOのDJ、野村雅夫さんをゲストに迎えて10月7日に同時リリースされるベスト・アルバムの特集。

元春 : 今、いろいろと取材を受けていて、僕のやってきたことだよね、キャリアをお話をしてくださいという、よくあるんでね。野村さんとお話しするのであれば、ちょっと二人が関心のある共通のキーワードを設けて、そこでお話ししながら、で僕の曲を聴いていただこうという、そういう構成にしたい。

■ビートルズ
元春がビートルズを初めて聴いたのは小学校6年生くらいのとき。『Let It Be』はリアルタイムで聴いていたとか。ビートルズはどこから入っていくかで印象が違う。元春はポピュラー音楽を意識して聴き出した11歳くらいのときに、2歳年上の従姉妹がいてビートルズの大ファンだった。彼女の家に遊びに行くとビートルズのシングル盤があり、楽しそうに聴いていたという。彼女のことをこんなに喜ばせているビートルズって何なんだ、そう思って彼女がいないときに聴いてみた。それが「Rock and Roll Music」だった。それが最初だった。ビートルズのアルバムでは初期のロックンロール・アルバムが好きで、ジョン・レノンの声が大好きなので「Girl」とか「Not A Second Time」が好きなのだそうだ。中、後期の複雑なポップ・ソングも好きだが、ビートルズの持っている楽しい感じとか、彼らが表現する音楽の躍動感は理屈抜き。歌の内容も初めて恋したときのことが歌われているのも素敵だと思うそうだ。

元春 : じゃあ聴いてみる? She Loves Youって、僕の曲かけなくちゃいけないんだよね(笑)。
雅夫 : あっ、そうですね。そうだった。今日、楽しくお喋りするだけじゃないですからね。なんと言ってもベスト盤控えてますから。じゃあどうしますか?
元春 : じゃあね、僕が、まぁビートルズを意識したというわけでもないですけれども、やはりそのビートルズ的なハーモニーや、そのグルーヴ? 僕なりに表現した初期の曲聴いてください。「スターダスト・キッズ」。

・スターダスト・キッズ

■街
元春がよく遊びに行ったのは渋谷。まだ商業資本が入ってくる前の渋谷はガサツな感じだったとか。元春が初めて体験した渋谷にはまだPARCOはなかった。若い人だけではなく、いろんな人たちが入り組んだ街という印象。でも十代後半になると資本が入ってきて、渋谷は明るくて楽しくて、若い人が集まる街に変わっていったという。

雅夫 : 何を求めて渋谷に来てたんですか?
元春 : うんとね、いい質問だね。何求めていたんだろう?
雅夫 : ははははは(笑)。よくわかんないけど?
元春 : よくわかんないけど行ってたね。友達たちとつるんで。
雅夫 : 他の街とは違う?
元春 : 渋谷はね、洒落てるなと思った。当時はね。その街からひとつの文化が生まれるという、なんかそういう息吹がありましたね。渋谷を中心にミニコミが発行されたり、そういう感じですね。若い僕にとっておもしろい連中たちが集まってるし、文化発信の中心地でしたからね。
雅夫 : 今の渋谷は?
元春 : あまり行かない。もうあまり行かないです、僕は。
雅夫 : というか、今、街の景色見ても本当に渋谷か?ってわかんないくらい変わってますよね。
元春 : あぁ。chaos。
雅夫 : 確かにね(笑)。じゃあ今の混沌と昔の混沌と、ちょっと違うと思うんですけど、かける曲っていうことになると、これは昔の渋谷ですか?
元春 : そうね、覚えてる景色でいうと、教会があったんですよね。山手教会かな? そういう名前だったかな? その教会の隣が空き地で、ビルの裏に壁があって、そこの壁に女の子たちが、こう踊ったりする影が映ったりする、そういう景色を思い出す。
雅夫 : 何が行われてるんですか? その空き地で。
元春 : みんな自由に踊ったりとか、音楽聴いたりとか。その情景をちょっと詩にしたものがあって、その曲を聴いてください。「悲しきレイディオ」。

・悲しきレイディオ

元春 : オリジナルはアルバム『Heart Beat』に収録されているんですけど、2020年mixで聴いていただきました。今回ベスト盤を作るにあたって、とにかく40年という中での曲を聴いてもらうわけで、時代時代ごとに、音の調子が、その時代の流行がありますから、ただ並べただけではばらつきが出てしまうので、それを一律に整えるという、マスタリングっていうんですけれどね。ずっと一緒にやってるテッド・ジャンセンという優秀なマスタリング・エンジニアに頼んで音整えました。

■街
元春は十代の頃、嫌なことがあるとよく横浜に行っていた。街から海に行く感じだったという。街から離れて一時逃避していた。元春は魚座なので水辺が好きで夏の旅行というと山より海。とにかく蚊が嫌いで蚊がいないところに行く。ただ去年、海でクラゲに刺されたとか。街を離れて海に近いところに行こうという曲、「バイ・ザ・シー」。

・バイ・ザ・シー

■ピクニック
牧歌的な雰囲気が好きだと元春。ピクニックというと周りに自然があって、日常の悩みから解き放たれたりという感じ。そこには温かい光があり悩みがないという感じ。その象徴がピクニックだと元春。イノセントの象徴。ピクニックからの選曲は「シーズン・イン・ザ・サン -夏草の誘い」。

・シーズン・イン・ザ・サン -夏草の誘い

■街
元春にとってニューヨークは思入れの強い街。'80年代にはニューヨークに住んで『Visitors』というアルバムをレコーディングした。人種、宗教、文化、そうしたものが入り混じったところで、その街に住むなら自分とは何かということをはっきりしておかないと流されてしまう。ニョーヨークでは自分がどこに立っていて、これからどこに行くんだという明確なヴィジョンを持って人と向き合わないと飲まれてしまう街。その街に暮らして、その街でソングライティングする、その街のミュージシャンと一緒にレコーディング。ここに何かリアリティーがある感じがするという。当時のマンハッタンはストリート・レベルでヒップホップ、ラップのムーブメントが炸裂していた。友だちの黒人、プエルトリカン、みんなビートに合わせて好きなように路上でラップをする、それがひとつの楽しい遊びのようでもあったとか。そういう街に身を置いて自分から何が出てくるのかそういう実験でもあったという。ニューヨークで作った曲ということで「コンプリケイション・シェイクダウン」。

・コンプリケイション・シェイクダウン
頭韻を踏んでる歌詞。当時はまだライミングで遊ぶ習慣がなかった。ときどきそれはライミングなのか、シャレなのかと言われたこともあった。「アンジェリーナ」の"今晩誰かのクルマが来るまで闇にくるまっているだけ"は、当時「シャレ言ってんじゃねえぞ」と言われたが、ライミングのつもりだったと元春。はっぴいえんどの松本隆さんのやっていた言葉遊びとはまた違って、いかに言葉がグルーヴするかというものだった。

■言葉
子どもの頃は授業中であっても教室を出たりして教師に怒られることがあったと元春。自分なりの理由があって行動していたが、教師に問い詰められたとき言葉が出てこなかったという。それが悔しくて小学校3年か4年のときに学校の図書館に行って、片っ端から本を読んで言葉のスキルを磨いて、大人たちのことを見返してやろうとした。何かあれば言葉で対抗する、そんなふうにして言葉に興味を持っていった。最初にビート文学に触れたのは14,15歳の頃で、ジャック・ケルアックの『路上』を読んでインスパイアされるものがあり、日本語ではなく原文で読んでみようと試してみたら、小説というかライミングがあって朗読するとリズムがありビートを感じたという。散文詩のような小説でご機嫌だと思ったそうだ。そこから紐解いてアレン・ギンズバーグ、グレゴリー・コーソの詩を読むようになった。有名なところで「Howl」はギンズバーグの詩というよりアメリカ文学のとても重要な作品のひとつだと思ってるという。ビート・ジェネレーションの世間に対する代弁者がアレン・ギンズバーグ。ビートの詩人は炎の人という感じなので「空港待合室」。

・空港待合室

■映画
元春が思春期のときに見た映画でショックを受けたのは『時計仕掛けのオレンジ』。超現実的な景色が描かれているので何なんだろうと思ったとか。5歳とか6歳のときに両親に連れられて観た『キングコング』。夜寝るときに寝室の窓からキングコングが顔を出して自分もことを見てるという恐怖を感じたそうだ。ロマンチックな話として、十代のときに女の子とふたりで『おもいでの夏』を観に行ったエピソードも披露した。ある戦争未亡人が避暑地でひと夏を過ごす。十代の男の子たちがその女性を憧れの目で見ているという作品。同じ年代の男の子が主人公なので元春少年もドキドキして見ていたら、隣のガールフレンドは寝ていたという。年上の女性にほんのり恋心を抱く少年。元春には思い出の作品。少年だったら誰だってあると思う、と元春。曲は「情けない週末」。

・情けない週末

■詩
雅夫 : これ佐野さんと是非話したかったんですよ。佐野さんはミュージシャン、ソングライターっていうことになるんだけれど、詩人でありたいと思います?
元春 : いや自分のこと詩人なんて思ったことない。
雅夫 : 思ってない? それはなぜですか?
元春 : う〜んとね、自分のこと、こうだって規定するとそこから逃れられなくなるので、僕はロック・ミュージシャンだとか、詩人だとか、なんとかっていうふうに、あまり自分を規定したくないんだよね。
雅夫 : はぁー、ここにも境界線があるわけですね。
元春 : そうなんです。いいこと言うね。
雅夫 : ははは。ぼやかしたほうがいいんですね。
元春 : そうだね。すべての境界線は意図的にぼやかしていく。
雅夫 : そうっすよね。
元春 : そして真理に迫って行きたいって感じ。
雅夫 : 気がつくと閉じ込められますからね、そこにね。
元春 : う〜ん、やっぱり自分の役割っていうのをこうだ!っていうふうに決めつける必要ないんじゃないかな。
雅夫 : いや、そう思いますね。その詩ね、詩って何だろうっていうときに、もともと印刷物じゃなかった頃から、印刷物がなかった頃から詩ってあるじゃないですか。そのときって日本では、琵琶法師がね、音楽を、琵琶を奏でながらですけど、声に出すものだったんですよね、もともとね。
元春 : その通りだよね。
雅夫 : それをグーテンベルク以降、紙に貼り付けちゃって文字にしたっていう。
元春 : 読む芸術にしちゃったという。
雅夫 : 僕はなんか立体であるべきだと思ってるんですよ。
元春 : 僕もそう思う。
雅夫 : 詩だったらって、いろいろ習うじゃないですか、国語の時間に(笑)。散文詩もあれば、韻律もあるし、韻の踏み方とか、俳句、短歌だったら文字数とかあるけど、僕にとって詩は立体的かどうかっていうか。
元春 : それは僕もそう思うな。学校なんかではね、詩というと読み物のひとつとして教えられるでしょ? 小説なんかと並べられて。でしかも、この詩のこの一節は何を意味してますか? なんて試験に出る。もうそれは特定できないはずなんだよね。ですので僕は詩というものは小学校の頃は嫌いだった。
雅夫 : あの今、特定できないってことで我々意見を同じくしましたけれど。国語のテストとか大丈夫でした?
元春 : うんとね、いいときと悪いときと差があった。
雅夫 : わかる(笑)。はははははははは。ひどいとき、本当にもう、その正解からすると、我々曲解してるというか、全然違う解釈してしまってたっていう。で、それに対して何が悪いんだよって意固地になってませんでした?
元春 : やっぱり、先生、教師というのは寛容じゃないですからね。こうじゃなきゃダメということで押し付けてくる、往々にしてね。僕はやっぱり反発してました。
雅夫 : そう考えると言葉が浮かび上がってくるような3Dの言葉ってか、彫刻みたいな。
元春 : うん...
雅夫 : そういう詩って本来ワクワクするものなんですよね。
元春 : そうだね。あの、やっぱりイメージの言葉化というか、普段イメージってなかなか、感じることはできるけれど、それを言葉に変換するのはなかなか難しい。
雅夫 : 難しい。
元春 : ただ言葉に敏感な人たちはどうにかその目の前で展開している、このイメージを言葉に翻訳して他の人たちとある思いを共有したいって。そういうふうに思う人たちもいるわけで、そういう人たちを詩人というのかもしれないけれどね。僕なんかもそれに近いことをやっている。
雅夫 : 曲なんですかね?
元春 : じゃあね、あらゆる境界線はぼかして行こうぜっていうことでこの曲です。「境界線」。

・境界線
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THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show #11

2020年09月11日 | Motoharu Radio Show

第11回:ノーザンソウルの魅力
01.Chuck Wood:Seven Days Too Long
02.Darrell Banks:Angel Baby
03.Jackie Moore:Both Ends Against the Middle
04.The Blossoms:That's When the Tears Start (Single Version)
05. Lainie Hill:Time Marches On
06.Bobby Sheen:Something New To Do
07.Kenny Wells: Isn't It Just a Shame
08.The Tempos:Countdown Here I Come
09.The Dynells: Call On Me
10.David & Ruben:I Love Her So Much It Hurts Me
11.佐野元春 & The Coyote Band: 君が気高い孤独なら
12.佐野元春 & The Coyote Band: 境界線
13.Stone Foundation:The Turnaround
14.Stone Foundation featuring Paul Weller:Your Balloon Is Rising
15.Barbara McNair: You're Gonna Love My Baby
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■内容の一部を抜粋
佐野元春 : こんばんは。佐野元春です。残すところあと3回の放送となりましたMotoharu Radio Show。今夜はノーザン・ソウル・ミュージックの魅力に触れてみたいと思います。THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。DJ、佐野元春でお送りします。

・Seven Days Too Long
のちにデキシーズ・ミッドナイト・ランナーズがカヴァーして注目されたチャック・ウッドの「Seven Days Too Long」。

佐野元春 : チャック・ウッド「Seven Days Too Long」。君と会うのに一週間は長すぎる。そんなふうに歌っています。Motoharu Radio Show、今夜はノーザン・ソウルの特集。このあとはダレル・バンクスのレコードに続きます。

・Angel Baby

佐野元春 : 今聴いてるのはダレル・バンクス、曲は「Angel Baby」。ソウル・ミュージックはボディとソウルで楽しむ音楽。Motoharu Radio Show、ノーザン・ソウルの特集。この後は数あるヒット・レコードの中でも特に僕が気に入ってる曲、ジャッキー・ムーア、そしてブロッサムズのレコードに続きます。

・Both Ends Against the Middle
・That's When the Tears Start

佐野元春 : う~ん、いいですね。ジャッキー・ムーア「Both Ends Against the Middle」。そしてブロッサムズ「That's When the Tears Start」。2曲聴いてみました。
今聴いてみたジャッキー・ムーア、アトランティック・レーベルからのシンガーですね。そしてブロッサムズ。このグループはフィル・スペクターのプロデュースで名前が知られた女性シンガー、ダーレン・ラヴ。彼女が在籍していたガール・グループです。このダーレン・ラヴ、ちょっと複雑な事情を抱えていました。1961年、クリスタルズのヒット曲「He's A Rebel」。全米No.1のヒットの曲ですが、実はこの曲はダーレン・ラヴが影武者としてレコーディングしています。要は歌唱力がちょっと弱かったクリスタルズに代わって強力な歌声がほしかったということだろうと思います。ちなみにこのアイディアを実行したプロデューサーは悪名高きフィル・スペクターですね(笑)。ダーレン・ラヴはのちに『バックコーラスの歌姫たち』というドキュメンタリー映画で、このときのエピソードを語っています。僕も観ましたけれどとても面白い映画。興味のある方は是非、ご覧になってみてください。Motoharu Radio Show、ノーザン・ソウルの特集。この後は数あるヒット・レコードの中でも特に僕が好きなシンガーの曲を紹介したいと思います。
一曲目はレニー・ヒルの曲。メロディもいいんですがリリックが素敵です。"一緒にいる私たち もう若いとはいえないんだから 時間を大切にしましょう"、そんなふうに歌ってます。曲は「Time Marches On」。そしてボビー・シーン。'60年代、フィル・スペクターのプロデュースでヒットしたボブ・B・ソックス&ザ・ブルージーンズのヴォーカリストですね。曲は「Something New To Do」。1972年のヒット・レコードです。そしてもうひとり、ケニー・ウェルズ。これもとってもいい曲です。1966年のレコード、「Isn't It Just a Shame」。レニー・ヒル、ボビー・シーン、そしてケニー・ウェルズのレコード、3曲続きます。

・Time Marches On
・Something New To Do
・Isn't It Just a Shame

佐野元春 : ノーザン・ソウル。サザン・ソウルと並んで人気のある米国北部のソウル・ミュージックですね。デトロイト、シカゴそうした街で生まれたR&Bです。レーベルでいうと代表的なのはチェス、そしてモータウン・レーベル。'60年代から'70年代にかけてヒット・レコードをたくさん出しました。ただこのノーザン・ソウルという言葉、実をいうと一般的に広まったのはイギリスでのことでした。'60年代後半のことです。拠点となったのは英国の北にある街、マンチェスターでした。よくサザン・ソウルはちょっと泥臭くてアーシーなサウンド、一方ノーザン・ソウルは洗練されたポップなサウンドと言われます。大雑把にいうとノーザン・ソウルは洒落たメロディ、ごきげんなダンス・ビート、そして都会的なリリックということになります。実際、このノーザン・ソウルの流行を支えたのは当時最先端のファッションや音楽に触れていた'60年代のモッズでした。この'60年代ノーザン・ソウルを聴いて育った世代の中から、のちにジャム、ブロウ・モンキーズ、アズテック・カメラ、そしてデキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ。そうした英国ブルー・アイド・ソウルのバンドが生まれました。ではレコードに戻って「Countdown Here I Come」、ザ・テンポス。「Call On Me」、ザ・ディネール。そして「I Love Her So Much It Hurts Me」、デヴィッド&ルービン。ノーザン・ソウルのレコード、3曲続きます。

・Countdown Here I Come
・Call On Me
・I Love Her So Much It Hurts Me

佐野元春 : 今夜のMotoharu Radio Show、ノーザン・ソウルのレコードを集めて聴いています。実をいうと自分のレパートリーの中にも、このノーザン・ソウルを意識した曲が何曲かあります。'80年代で言うと「Wild Hearts」、「Young Bloods」、あたりですね。編曲のスタイルで言うとストリングスのカウンター・メロディが効いている、そんなアレンジです。踊りやすいということも大事だと思います。ライヴでもこの辺の曲を演奏すると、バンドも僕もグッと気分が上がってきます。ノーザン・ソウル傾向の曲、僕のレコードから聴いてください。10月に出るベスト・アルバムから紹介します。佐野元春 & The Coyote Band、「君が気高い孤独なら」そして「境界線」、2曲続きます。

・君が気高い孤独なら
・境界線

佐野元春 :佐野元春 & The Coyote Band「君が気高い孤独なら」、 そして今聴いていただいたのは「境界線」。10月に出る僕のベスト・アルバムから2曲聴いていただきました。
さて、ここで現在活躍しているバンドの中から一組、僕が気に入ってるUKソウル・バンド、ストーン・ファンデーション。このバンドを紹介します。2011年にアルバム・デビューをしています。7人組のバンドですね。ドラム、ベース、ギターに加えてハモンド・オルガン、そしてホーン・セクションという編成です。ヴォーカルのニール・ジョーンズ、影響された音楽はスタックスのR&B、ヴァン・モリソンといったブルー・アイド・ソウルが好きだということ。最新アルバムでは、ポール・ウェラーのスタジオで収録したということ。プロデュースも含めて、現在、ポール・ウェラーが肩入れしているバンドです。ではストーン・ファンデーション、ここで2曲。「The Turnaround」、そしてポール・ウェラーをフィーチャーした曲「Your Balloon Is Rising」、2曲続きます。

・The Turnaround
・Your Balloon Is Rising

佐野元春 : ストーン・ファンデーション、2曲。1曲目は「The Turnaround」、そしてヴォーカルにポール・ウェラーをフィーチャーした「Your Balloon Is Rising」、2曲聴いてみました。DJ、佐野元春続いてます。
さて7月からはじまったTHE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show。今回の放送で11回目となります。いろいろな特集をやってきました。ミドル・オブ・60s'、60年代中盤のヒット・レコードの特集。そして日本の古いポップスを振り返るジャパニーズ・ポップスの夜明け。この特集も楽しかったです。またブルースやファンク・ミュージックの特集もありました。まぁ、僕なりの選曲で届けてきましたけれども、みなさんも楽しんでいただけたでしょうか? さて、THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show。来週、再来週と二週に渡って特別な放送を届けたいと思います。自分は今年40周年を迎えたんですが、それを記念してふたつのベスト・アルバムが出ます。ひとつがエピック・レコードと契約していたデビューから2004年までのベスト。もうひとつはそこから先ですね、自分のレーベル、DaisyMusicから出した2005年から現在までのベスト。このふたつのベスト盤が来月10月に出ます。そこで来週、再来週の放送では、なんと、FM COCOLOのスターDJ、野村雅夫さんですね。彼がゲストに来てくれることになっています。僕のベスト盤からの曲を紹介しつつ、ふたりで楽しいお話をしたいと思っています。どんな内容になるか、みなさんも是非、楽しみにしていてください。
時間も残り少なくなってきました。今夜はノーザン・ソウルの特集。特集最後の曲、バーバラ・マックネアルのレコード、「You're Gonna Love My Baby」。今夜はこの曲を聴いてお別れです。

・You're Gonna Love My Baby

佐野元春 : 今夜のMotoharu Radio Show、楽しんでいただけましたか? 来週は野村雅夫DJを迎えて、来月10月に出る僕のベスト・アルバムを特集します。僕も楽しみです。THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show。次回の放送は来週9月18日、よる9時から。同じステーション、同じ時間でみなさんとお会いしたいと思います。DJ、佐野元春。ではまた来週。
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THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show #10

2020年09月04日 | Motoharu Radio Show

第10回:サイケデリック・ポップソング ~ ちょっと奇妙で不思議な世界
01.The Beatles:I Am the Walrus
02.The Rolling Stones:She's a Rainbow
03.The Beach Boys:You Still Believe In Me
04.Kula Shaker:Tattva
05.Oasis:Who Feels Love?
06.Tomorrow:My White Bicycle (1999 Remastered Version)
07.The Zombies:Care of Cell 44
08.The Lemon Pipers:Green Tambourine
09.佐野元春 & The Coyote Band:現実は見た目とは違う
10.The Temples:The Beam
11.Tame Impala:Instant Destiny
12.The Flaming Lips:Lucy In the Sky With Diamonds (feat. Miley Cyrus & Moby)
13. Jefferson Airplane - Volunteers
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■内容の一部を抜粋
佐野元春 : こんばんは。佐野元春です。今夜はちょっと奇妙で不思議なんだけれども、その魅力には逆らえない。そんなサイケデリックなポップ・ソングを特集してみたいと思います。THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。DJ、佐野元春でお送りします。

・I Am the Walrus

佐野元春 : 今流れてるのはザ・ビートルズ「I Am the Walrus」。今夜はちょっと奇妙で不思議な世界。サイケデリックなポップ・ソングを集めてみます。続いて聴いてみたいのはこの曲、ストリングス編曲はのちにレッド・ツェッペリンのベーシストになるジョン・ポール・ジョーンズがクレジットされています。ザ・ローリング・ストーンズの曲は「She's a Rainbow」。

・She's a Rainbow
・You Still Believe In Me

佐野元春 : ザ・ビーチボーイズ「You Still Believe In Me」。アルバム『Pet Sounds』からの一曲。ザ・ビーチボーイズ名義のアルバムですが実際はブライアン・ウィルソンのソロ作品といってもいいアルバムですね。『Pet Sounds』、このアルバムはのちにビートルズの『SGT. Pepper's Lonely Heart Club Band』、このアルバムに影響を与えたと言われています。いずれも'60年代の最もクリエイティブな名盤といってもいいと思います。THE MUSIC OF NOTE。DJ、佐野元春、続いてます。
サイケデリックなポップ・ソングということでみなさんはどんなイメージを持っているでしょうか? ロックンロールの歴史を振り返ってみると1960年代の半ば頃ですね。ビーチボーイズ、ビートルズ、ザ・バーズ、そしてピンク・フロイド。そうしたバンドが一斉に奇妙な音を奏ではじめます。それまでの音楽とは違う、なにか不思議な感じの曲ですね。それは曲の歌詞にも出てました。どこか現実離れしたシュールレアリスティックな歌詞、そして不思議なサウンド。曲を聴いてると、なにか脳の変なところを刺激されているようなサウンドですね。そんなサイケデリックなポップ音楽。形を変えて現代のバンドにも受け継がれています。この後はクーラ・シェイカー、そしてオアシスのレコードに続きます。

・Tattva
・Who Feels Love?

佐野元春 : クーラ・シェイカー、曲は「Tattva」(タトワ)、サンスクリット語で「真実」という意味だそうです。そして今聴いてるのはオエシス、曲は「Who Feels Love?」。DJ、佐野元春、続いてます。

佐野元春 : サイケデリックな音楽、はじまりは1960年代の半ば頃ですね。アルバムでいうとビーチボーイズの『Pet Sounds』、そしてビートルズの『Revolver』。そうしたレコードがヒットして、その後、世界中でこのサイケデリックのブームがやってきます。それは音楽だけではなく、生活のスタイル、ファッションにも影響を及ぼしました。フラワー・ムーブメントですね。フラワー・ムーブメント、この言葉どこかで聞いたことがあるという方もいると思います。「愛と平和の世界を」ということで当時、若い世代が団結してかなり大きな規模の社会運動がありました。ヒッピー・レボリューションですね。サイケデリックな音楽はそんな時代に流行っていました。ではその'60年代のサイケデリック・ポップ聴いてみたいと思います。トゥモロウ、「My White Bicycle」、ザ・ゾンビーズ、「Care of Cell 44」、そしてザ・レモン・パンパーズ、「Green Tambourine」。3曲聴いてみます。

・My White Bicycle
・Care of Cell 44
・Green Tambourine

佐野元春 : Motoharu Radio Show、サイケデリック・ポップ特集。トゥモロウ、「My White Bicycle」、ザ・ゾンビーズ、「Care of Cell 44」、そして今聴いたのはザ・レモン・パンパーズ、「Green Tambourine」。'60年代のレコードからサイケデリック・ポップ、3曲聴いてみました

佐野元春 : 僕の友人であるロック音楽の雑誌を出してる編集長がいて、彼がこのサイケデリック音楽にとても詳しんですね。その彼がサイケデリック音楽の条件として挙げていたのが、まず逆回転。ギターやキーボードのサウンドを逆にひっくり返した音ですね。そして楽器でいうと12弦ギターとかシタール。リズムは同じことを繰り返す、いわゆるループ・サウンド。そこにオリエンタルな音階のメロディを乗せる。確かにサイケデリックなポップというとそんな要素で出できてるようです。実をいうと僕のレパートリーにもこのサイケデリックな曲というのはよくあって、これまでにも何曲かレコードにしてきました。そうですね、ここで一曲僕の曲をみなさんにも聴いていただきたいと思います。最近のアルバム『Maniju』からの曲、聴いてください。佐野元春 & ザ・コヨーテバンド、曲は「現実は見た目とは違う」。

・現実は見た目とは違う

佐野元春 : 佐野元春 & ザ・コヨーテバンド、「現実は見た目とは違う」。聴いていただきました。Motoharu Radio Show、今夜はサイケデリック・ポップを特集しています。うん、この英国のバンド、いいですね。ザ・テンプルズ。僕も気にいってます。UK、ミッドランド出身の4人組のバンド。去年、3枚目のアルバムが出ました。アルバム・タイトルは『Hot Motion』。英国でもかなり注目されていて聞くところによるとノエル・ギャラガーとかジョニー・マーが絶賛しているということ。ではここでUKサイケデリック・ポップの最前線からザ・テンプルズ。彼らの最新レコードを聴いてみます。曲は「The Beam」。

・The Beam

佐野元春 : ザ・テンプルズ、曲は「The Beam」。いいですね。現代のサイケデリック・ポップ、ザ・テンプルズに続いて聴いてみたいのはテーム・インパラ、そしてフレーミング・リップス。テーム・インパラはオーストラリア出身のバンド。これまでに4枚のスタジオ・アルバムを出して、いずれも高い評価を受けています。今夜は新しいアルバム『The Slow Rush』から一曲聴いてみます。そしてフレーミング・リップス。ビートルズの『SGT. Pepper's Lonely Heart Club Band』、このアルバムをまるごとカヴァーしたアルバムからサイケデリック・ポップのクラシックといってもいいと思います。「Lucy In the Sky With Diamonds」のカヴァー。ビートルズへの愛情が溢れ過ぎちゃって爆発しちゃった、そんな感じのカヴァー、聴いてみてください。

・Instant Destiny
・Lucy In the Sky With Diamonds

佐野元春 : テーム・インパラ、「Instant Destiny」。そして今聴いたのはフレーミング・リップス、「Lucy In the Sky With Diamonds」。サイケデリック・ポップ、魅力的なふたつのバンドのレコードを聴いてみました。
僕も曲を作っているので、いろいろなことを感じるんですけれども、表現というのはおもしろいもので、あまり現実的になり過ぎると、なにか物事をちゃんと捉えていないんじゃないかと不安になるんですね。そんなときにこのサイケデリックな表現というのは物事の心理を見抜くにあたって、ちょっとしたカンフル剤になるような気がします。今日特集して、個人的に改めてサイケデリックなポップ音楽の魅力を再発見しました。番組をお聴きのみなさんも楽しんでいただいてるとうれしいです。ロックンロールの歴史を振り返ってみると1960年代の半ば頃ですね。ビーチボーイズ、ビートルズをはじめ、いろいろなバンドがこのサイケデリックな表現に夢中になりました。歌詞もそれまでの音楽とは違うどこか現実離れしたシュールレアリスティックな歌詞が多かったようです。当時、米国ではサンフランシスコ、ヘイト・アシュベリーを中心にヒッピー・ムーブメントが起こっていました。ヴェトナム戦争に対しての反戦運動が激しくなった頃ですね。「武器を捨てて、もっと平和にいこうよ」というラヴ&ピースの世代です。フラワー・ジェネレーションなんて呼ばれていました。そうした彼らが聴いていたのがこのサイケデリックな音楽ですね。当時のドラッグ・カルチャーとも深く結びついていました。よく知られた話としては、先ほど聴きましたビートルズの曲「Lucy In the Sky With Diamonds」。頭文字を取るとLSDということで、この曲の幻想的な感じはLSDをキメて書いた曲なんじゃないか、そんな話もありました。では米国サンフランシスコを代表するサイケデリック・バンド、ジェファーソン・エアプレイン、彼らのレコードを聴いてみます。「Volunteers」、ジェファーソン・エアプレイン。今夜はこの曲を聴きながらお別れです。

・Volunteers

佐野元春 : 今夜のMotoharu Radio Show、楽しんでいただけましたか? 「THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show」。次回の放送は来週9月11日、よる9時から。同じステーション、同じ時間でみなさんとお会いしたいと思います。DJ、佐野元春。ではまた来週。
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THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show #09

2020年08月28日 | Motoharu Radio Show

第9回 : オルタナティヴ・カントリー
M1. Counting Crows / Daylight Fading
M2. The Wallflowers / 6th Avenue Heartache
M3. Uncle Tupelo / The Long Cut
M4 Wilco / Far, Far Away
M5. Son Volt / Cemetery Savior
M6. Flying Burrito Brothers / Christine's Tune
M7. Ryan Adams / Answering Bell
M8. The Long Ryders / Looking For Lewis And Clark
M9. Steve Earle / Copperhead Road
M10. 佐野元春&THE HOBO KING BAND / 風の手のひらの上
M11. 佐野元春&THE HOBO KING BAND / ロックンロール・ハート
M12. The Jayhawks / I'd Run Away
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■内容の一部を抜粋
佐野元春 : こんばんは。佐野元春です。今夜の特集「オルタナティヴ・カントリー」のレコードを集めてみます。THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。DJ、佐野元春でお送りします。

・Daylight Fading
1曲目はカウンティング・クロウズ、1996年のレコード「Daylight Fading」。

・6th Avenue Heartache
ボブ・ディランの息子ジェイコブ・ディランのバンド、ウォール・フラワーズの1996年のレコード「6th Avenue Heartache」。

佐野元春 : カントリー・ミュージックというと日本ではあまり馴染みがありません。しかし米国ではカントリー・ミュージックというと自分たちの音楽だという、そんな思いがあると思います。日々の生活に根ざした歌ですね。アメリカ人がいちばんよく聴いてる音楽、それがカントリー・ミュージックです。そのカントリー・ミュージックは歴史の中でロック、ポップ、ジャズ、そしてブルースといった他のいろいろなジャンルの音楽と混ざり合って、今でも発展しています。中でもオルタナティヴ・カントリーと呼ばれたジャンル。'70年代のカントリー・ロック、そして'80年代のパンク・ロックを通ってきた新しい世代のカントリー・ミュージックが'90年代に出てきました。今夜のMotoharu Radio Show、そんなオルタナティヴ・カントリーのレコードを聴いています。このジャンルの音楽ということでまず聴いてみたいのはこのバンドですね。アンクル・テュペロ。後にサン・ボルトというバンドを組むジェイ・ファラー、そして後にウィルコを結成するジェフ・トゥイーディ。この二人がいたバンドです。ではそのアンクル・テュペロの曲、さっそく聴いてみたいと思います。1993年のレコードから曲は「The Long Cut」。

・The Long Cut

佐野元春 : 今聴いたアンクル・テュペロ。オルタナティヴ・カントリーというかたちを最初に見せたバンドだと言われています。そしてこのアンクル・テュペロからはふたつのバンドが生まれます。ひとつはジェイ・ファラーが作ったサン・ボルト。そしてもうひとつはジェフ・トゥイーディが作ったウィルコです。どちらも演奏力の高い素晴らしいバンドです。特にウィルコ。個人的にはソングライターのジェフ・トゥイーディの曲、好きですね。実験的なサウンドの中にもポップなひらめきがあって聴いていてとても楽しいです。ではここでバンド、アンクル・テュペロから別れたふたつのバンド、ウィルコ、そしてサン・ボルト。それぞれのレコードを聴いてみます。ウィルコ、「Far, Far Away」。そしてサン・ボルト「Cemetery Savior」。2曲続きます。

・Far, Far Away
・Cemetery Savior

佐野元春 : THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。今夜はオルタナティヴ・カントリーの特集をやってます。もともとロックンロール・ミュージックとカントリー・ミュージック、水と油のような関係でした。それらをかっこよくミックスしたミュージシャンがいます。グラム・パーソンズですね。もともと'60年代のバンド、ザ・バーズにいた二人、グラム・パーソンズ、そしてクリス・ヒルマン。この二人が中心になって結成したのがフライング・ブリトー・ブラザーズというバンドです。今夜特集しているオルタナティヴ・カントリー・ミュージックの言ってみれば土台になったような偉大なバンドですね。残念ながらグラム・パーソンズは26歳のときにオーバードーズで亡くなってしまうんですけれども、彼らが残したアルバム、その後に出てくる、例えばライアン・アダムスといった新世代のオルタナティヴ・カントリーのミュージシャンたちに大きな影響を残しました。では彼らのレコードを聴いてみたいと思います。フライング・ブリトー・ブラザーズ、曲は「Christine's Tune」。そしてライアン・アダムス、「Answering Bell」。2曲続きます。

・Christine's Tune
・Answering Bell

佐野元春 : こうして聴いてみると'80年代以降の新しい世代のオルタナティヴ・カントリーのバンドというと、世代的なものもあってパンクの要素なんかも感じます。そこがおもしろいですね。'80年代中盤、ウィルコをはじめとしたオルタナティヴ・カントリー音楽のブームがやってきます。当時僕もとても興味を持って見ていました。ではそのあたりのバンドのレコードを聴いてみたいと思います。ひとつはザ・ロング・ライダーズ、「Looking For Lewis And Clark」。そしてスティーヴ・アール、「Copperhead Road」。2曲続きます。

・Looking For Lewis And Clark
・Copperhead Road

佐野元春 : さて、ちょうど同じ時代、自分はこのアルバムを作っていました。1997年に出したアルバム『THE BARN』。アメリカ、ウッドストックでジョン・サイモン・プロデュースのもとに作った、言ってみればオルタナティヴ・カントリーのアルバムです。このアルバムでヴァッキングを務めてくれたのはザ・ホーボーキングバンドですね。ギター : 佐橋佳幸、ピアノ : Dr.kyOn、ベース : 井上富雄、ドラムスに小田原豊、そしてオルガンに西本明。当時の僕にとって最強のヴァッキング・バンドでした。その彼らを連れて僕らは米国のウッドストックに行きます。そこで待っていてくれたのはプロデューサー、ジョン・サイモンですね。知ってる方もいると思います。'60年代にザ・バンド、ジャニス・ジョップリン、そうしたアーティストをプロデュースした米国の名プロデューサーですね。彼のプロデュースのもとレコーディングしてみようということで僕らはアメリカに行くんですけれども。場所をいうとニューヨークから北にクルマで約3時間ぐらいのところ、ベアズヴィルという街があります。そこで僕らは約一ヶ月間ぐらい滞在してレコーディングしました。1997年の夏でしたね。そこで作ったこのアルバム『THE BARN』。"BARN"というのは日本語でいうと「納屋」という意味ですね。ちょうどレコーディングしていたスタジオが納屋を改造して作ったという話を聞いて、アルバム・タイトルはそのまんま"BARN"にしました。振り返ってみてこのレコーディングは本当に僕にとっていい経験になりました。レコーディングにはザ・バンドからガース・ハドソンですね、そしてラヴィン・スプーンフルからジョン・セバスチャンが参加してくれて、すごい楽しいセッションになりました。では僕とホーボーキングバンドのレコード、アルバムの代表曲といっていいこの曲を聴いてください。「風の手のひらの上」。

・風の手のひらの上

佐野元春 : ホーボーキングバンド、レコーディングしたこのとき、なんとバンドを結成してまだ一年目でしたけれども、今聴いてみるとすでにバンドの方向性はしっかりと定まっていたんだなという感じですね。当時、自分が思っていたのはとにかくリアルなバンド・サウンドを奏でたいということでした。コンピューターとかサンプリングされた音ではなく、バンドのよい演奏をみんなに楽しんでもらいたい、そんなふうに思っていました。ではアルバム『THE BARN』からもう一曲聴いてください。この曲ではラヴィン・スプーンフルのジョン・セバスチャンがハーモニカと歌で参加してくれました。彼の素晴らしいハーモニカ・ソロに耳を澄ましてみてください。「ロックンロール・ハート」。

・ロックンロール・ハート

佐野元春 : うん。佐野元春 & ザ・ホーボーキングバンド。1997年のレコード「ロックンロール・ハート」聴いていただきました。今、番組でかけたのは最新リマスタリングの音で聴いていただきました。すごくいい音ですね。マスタリング・エンジニアはテッド・ジャンセン。ここ15年くらい一緒にやっている信頼できるマスタリング・エンジニアです。来月発売される僕のベスト盤あるんですけれども。デビューして曲を長くやっているので上巻下巻みたいにふたつのセットにまとめて出します。かなりいい音になってるので、ぜひ手に取って聴いてみてください。さて、残り時間も少なくなってきました。今日特集したオルタナティヴ・カントリーの音楽。日本ではあまり紹介されないジャンルの音楽ですけれども、いろいろと聴いてみると、リリックなんかも、なかなか奥の深い人生の歌などがあったりして楽しいです。今日の特集を聴いてオルタナティヴ・カントリーの音楽、興味を持ってくれたらうれしいです。ラストの曲はザ・ジェイホークス、「I'd Run Away」。

・I'd Run Away

佐野元春 : 今夜のMotoharu Radio Show。楽しんでもらえましたか? さて来週は「サイケデリック・ポップ」ですね。楽しいレコード集めてみたいと思います。「THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show」。次回の放送は来週9月4日、よる9時から。同じステーション、同じ時間でみなさんとお会いしたいと思います。DJ、佐野元春。ではまた来週。
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THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show #08

2020年08月21日 | Motoharu Radio Show

第8回:チルアウトミュージック
Etro Anime - Summer Rain
Astrud Gilberto - Here's That Rainy Day(Koop Remix)
Gipsy Kings - Un Amor
The Beach Boys - Keep An Eyes On Summer
Jack Johnson - Sitting, Waiting, Wishing
佐野元春 & The Hobo King Band- 遠い声
Norah Jones - I'm Alive
Norah Jones - Hurts To Be Alone
Sting - Bring On The Night ~ When The World Is Running Out(LIVE)
Diana Krall - Walk On By
---------------------------------------------------
■内容の一部を抜粋
佐野元春 : こんばんは。佐野元春です。さて今夜のテーマ、「CHILL OUT MUSIC」。落ち着いた夏の夜の音楽を特集します。THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。DJ、佐野元春でお送りします。

・Summer Rain

佐野元春 : ニューヨークのエレクトロニック・バンド、エトロ・アニメ。曲は「Summer Rain」。2020年、今年の夏はちょっと奇妙な夏。バカンスという言葉が遠い昔のようです。今夜のMotoharu Radio Show、特集「CHILL OUT MUSIC」。落ち着いた夏の夜の音楽を集めています。

・Here's That Rainy Day(Koop Remix)
アストラッド・ジルベルトの「Here's That Rainy Day」。スゥエーデンのDJユニット、KoopによるRemix Version。

・Un Amor
・Keep An Eyes On Summer

佐野元春 : Motoharu Radio Show、特集「CHILL OUT MUSIC」。ジプシー・キングス「Un Amor」。そしてビーチボーイズ、今聴いたのは夏の夜のひとときにこの曲いいかなと思って選んでみました。「Keep An Eyes On Summer 」。

佐野元春 : Motoharu Radio Show、今夜のテーマはチルアウト。日本語だと落ち着くという意味でしょうか。ゆっくりリラックスするという感じだと思います。90年代にはクラブ・カルチャーの中でこのチルアウトという言葉はポピュラー音楽のジャンルのひとつとして使われました。テンポはゆるめで、聴いてきてリラックスする音楽ですね。似たようなジャンルでいうとアンビエントというのがあります。そして少し時代を遡るとクロスオーバーというのもありました。チルアウト、アンビエント、クロスオーバー。言い方はいろいろありますけれども、なにかクールダウンしたいときに聴きたい音楽。その点で共通していると思います。 Motoharu Radio Show、今夜の特集は「CHILL OUT MUSIC」。夏の夜の音楽を集めています。

・Sitting, Waiting, Wishing
・遠い声

佐野元春 : ジャック・ジョンソン「Sitting, Waiting, Wishing 」。そして今聴いていただいたのは僕のレコード、佐野元春 & The Hobo King Band、曲は「遠い声」。これは2004年に出した『The Sun』というアルバムに入ってる曲です。当時一緒にやっていたバンド、ザ・ホーボーキングバンドとのセッションですよね。久しぶりに聴きましたけれども、バンドのみんな、すごくいい演奏してくれていました。 THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。夏の夜の「CHILL OUT MUSIC」。続きます。
ノラ・ジョーンズが新譜を出しています。1979年生まれ、現在41歳。ニューヨークに住んでいるということです。お父さんはインド人のシタール奏者、ラビイ・シャンカールですね。ビートルズと親交があったことでもよく知られています。そのノラ・ジョーンズ、新しいアルバムが届いています。アルバム・タイトルはPick Me Up Off The Floor。いろいろな人とコラボレーションして作ったアルバムのようです。意外だったのはジェフ・トゥイーディと共作している曲があります。バンド、Wilcoのリーダーですね。もともとノラ・ジョーンズがジェフ・トゥイーディのファンだったということ。「一緒にコラボレーションしようよ」ということで、今回何曲か作ってみたということです。その曲後で聴いてみたいと思います。ノラ・ジョーンズの新作、僕も聴きましたけれども、とてもいいですね。ソングライティングも素晴らしいです。興味のある方は是非、アルバムも聴いてみてください。では先ほど話に出たジェフ・トゥイーディとの共作、曲は「 I'm Alive」。そしてアルバムからもう一曲「Hurts To Be Alone」。2曲続きます。

・ I'm Alive
・Hurts To Be Alone

佐野元春 : 今こうしたパンデミックの中、僕らミュージシャンはなかなかコンサートが開催できないという状況が続いています。番組最初のほうでかけたジプシー・キングス。彼らも今年のツアーは諦めて、ツアーの再開は来年の春ぐらいを考えているということ。そうですね、それまでは配信なども含めて、いろんなところで実験的にライヴが行われるだろうと思います。夏といえばサマー・フェスですよね。残念ながら今年の夏のフェスはすべて延期、または中止ということになっています。正直に言って早くライヴに行きたい、そう思っている方も多いと思います。ということで今夜はライヴのレコードを聴いてみたいと思います。これは1985年のライヴ。スティングですね。彼がポリスを解散してソロとしてキャリアをはじめたときのライヴですね。アルバムのタイトルはBring On The Night。ヴァッキング・ミュージシャンが素晴らしいです。ベース:ダリル・ジョーンズ、ドラムス:オマー・ハキム、キーボード:ケニー・カークランド、そしてサキソフォンにブランフォード・マルサリス。ジャズ系のトップ・ミュージシャンたちですね。これだけのメンツを集められたということはすごいことだと思います。ではスティング、1986年にリリースされたライヴ・アルバムから、これちょっと長いんですけれども聴き応えのある演奏、ライヴ会場にいるような感じで聴いてみたいと思います。「Bring On The Night」そして「When The World Is Running Out」のメドレー、スティング。

・Bring On The Night ~ When The World Is Running Out

佐野元春 : さて、残り時間も少なくなってきました。THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。今夜は夏の夜の「CHILL OUT MUSIC」。特集してみました。楽しんでいただけましたか? ここでちょっと僕からのお知らせです。今、僕の40周年記念のフィルムフェスティバルというのをインターネットでやっています。毎月いろいろな映像を流しているんですけれども、次回は8月26日ですね。8月26日のよる9時からやります。そのときの映像なんですけれども、自分が三十代だった頃、イギリスに行ってレコーディングをしました。『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』というレコードを作ったときのことです。そのときのレコーディング・ドキュメンタリーを公開したいと思います。これ自分で言うのも何なんですけれども、ピート・トーマスやブリンズリ―・シュワルツといったイギリスのパブロック・ミュージシャンたちとのセッションのドキュメンタリーですね。かなり貴重ではないかと思います。時間がある方は是非、今チケット売ってるので観に来てください。佐野元春40周年記念フィルムフェスティバルのお知らせでした。
CHILL OUT MUSIC、特集最後はダイアナ・クラールのレコード。スタイルはジャズ・ヴォーカルですね。バート・バカラック作曲、ディオンヌ・ワーウィックが歌ってヒットした曲をカヴァーしています。ダイアナ・クラール、「Walk On By」。今夜はこの曲を聴きながらお別れです。

・Walk On By

佐野元春 : 今夜のMotoharu Radio Show。楽しんでいただけましたか? 来週はオルタナティヴ・カントリーのレコードを特集したいと思います。THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。次回の放送は来週8月28日、よる9時から。同じステーション、同じ時間でみなさんとお会いしたいと思います。DJ、佐野元春。ではまた来週。
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THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show #07

2020年08月14日 | Motoharu Radio Show

第7回:What is HIP?
01.Stealers Wheel:Stuck In the Middle With You
02.Talking Heads:And She Was
03.R.E.M.:Stand
04.Parliament:Give Up the Funk (Tear the Roof Off the Sucker)
05.Funkadelic:Standing On the Verge of Getting It On
06.Rage Against the Machine:Take the Power Back
07.佐野元春 & The Coyote Band:キャビアとキャピタリズム
08.Sly & The Family Stone:Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin)
09.Graham Central Station:It’s Alright
10.The Meters:People Say
11.Dr. John:Right Place Wrong Time
12.James Brown:Get On The Good Foot(Part.1)
---------------------------------------------------
■内容の一部を抜粋
佐野元春 : こんばんは。佐野元春です。先週の放送、特集「ジャパニーズポップスの夜明け」。大変な反響をいただきました。楽しんでいただけたようでよかったです。どうもありがとう。さて、今夜のテーマは「What is HIP?」。ご機嫌なファンク・ミュージックのレコードを楽しみたいと思います。THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。DJ、佐野元春でお送りします。

・Stuck In the Middle With You
イギリス、グラスゴー出身のバンド、スティーラーズ・ホイールの'70年代のヒット・レコード「Stuck In the Middle With You」。
「なんとなくビートルズを思わせるような曲調ですね。作曲したジェリー・ラファティーは当時、グラスゴーのポール・マッカートニーなんて呼ばれてました」と元春。

・And She Was
・Stand
'80年代に元春が気に入っていたオルタナティヴなバンド二組。トーキング・ヘッズの「And She Was」とR.E.M.の「Stand」。

佐野元春 : さて、Motoharu Radio Show。今夜のテーマは「What is HIP?」。この後、ごきげんなファンク・ミュージックのレコードをたっぷり聴いていきたいと思います。そうですね、ファンク・ミュージックということで僕が強烈に印象に残っているのは、1983年、ニューヨーク、マンハッタンのクラブで観たあるライヴでした。ジョージ・クリントン & ザ・Pファンク・オールスターズ。当時、泣く子も黙るファンク・ミュージック界のゴッドといっていいと思います、ジョージ・クリントン。一時、音楽界から離れていたジョージ・クリントンが、久しぶりにシーンに戻ってきたということで、メディアもファンの人たちもみんな大騒ぎしていました。そのジョージ・クリントンが率いていたふたつのバンド、パーラメント、そしてファンカデリックですね。'70年代に結成されて、その後、多くのレコードを残しました。ドラムンベースに16ビートのリズム・カッティング。そこにホーン・セクションが加わったごきげんなダンス音楽ですね。その後、ソウル・ミュージックだけでなく、ロック・ミュージシャンにも大きな影響を与えました。ではここでジョージ・クリントンが率いていたふたつのバンド、パーラメント、そしてファンカデリック。それぞれのレコードを聴いてみたいと思います。パーラメント、曲は「Give Up the Funk」。そしてファンカデリック「Standing On the Verge of Getting It On」。ともに'70年代のレコード。2曲聴いてみます。

・Give Up the Funk (Tear the Roof Off the Sucker)
・Standing On the Verge of Getting It On

佐野元春 :Motoharu Radio Show。今夜のテーマは「What is HIP?」。ご機嫌なファンク・ミュージックのレコードを集めています。'80年代に僕がニューヨークのクラブで観たパーラメント、そしてファンカデリックのライヴ。夜9時ぐらいからはじまって約4時間続きました。驚いたのがほとんど曲がシームレスでつながっていたところですね。4時間ぶっ続けのライヴということで客もミュージシャンも相当タフでないとやってられないという感じでした。観客はほぼ99%黒人たち、そこに僕のような東洋人、そして僅かに白人がいるという、そんな様子でした。しかしこのパーラメント、そしてファンカデリックのサウンド。その後の音楽界に大きな影響を与えました。それはスヌープドッグ、ドクター・ドーレといった黒人ミュージシャンたちだけではなく、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、そしてレージ・アゲンスト・ザ・マシーンといった白人のバンドにも大きなインスピレーションを与えたと思います。ではここでレージ・アゲインスト・ザ・マシーンのレコードを聴いてみたいと思います。米国ロサンジェルスのバンド、1990年に結成しています。レージ・アゲインスト・ザ・マシーンの曲というとよく過激で政治的な歌詞と言われます。でも僕が聴くかぎりそれ以上にとても文学的なリリックですね。一級のビート・ポエトリーだと思います。曲は「Take the Power Back」聴いてみたいと思います。そしてもう1曲。自分のレコードにもファンク・ミュージックと言っていい曲があります。アルバム『Blood Moon』から曲は「キャビアとキャピタリズム」。2曲続きます。

・Take the Power Back
・キャビアとキャピタリズム

佐野元春 : Motoharu Radio Show、特集「What is HIP?」。今夜はごきげんなファンク・ミュージックのレコードを集めています。さて、1970年代。米国サンフランシスコ周辺で流行ったファンキーなサウンドのことをベイエリア・ファンクなんて呼んでました。よく知られているのは例えばタワー・オブ・パワーですね。ブラスセクションを使ったごきげんなファンク・バンドです。このベイエリア・ファンク。遡って行くと'60年代のこのバンドに当たります。スライ & ザ・ファミリー・ストーン。ファンク、ロックというジャンルを超えて'60年代から'70年代、本当に重要なバンドのひとつだったと思います。バンドを率いていたのはスライ・ストーン。このスライ・ストーンが作った音楽はその後、実に多くのミュージシャンたちに影響を与えたと思います。マイルス・デイヴィス、カーティス・メイフィールド、パブリック・エナミー、そしてプリンス。そうしたミュージシャンたちが彼の音楽へのリスペクトを表明しています。音楽に戻ってそのスライ & ザ・ファミリー・ストーン、1969年のレコード、曲は「Thank You」。そしてベイエリア・ファンク、もうひとグループ。スライ&ザ・ファミリー・ストーンでベースを弾いていたラリー・グラハムですね。その後、自分のバンドを作りました。グラハム・セントラル・ステーション。スラップ・ベース、チョッパー・ベースとも言われてますけれども、その名人といっていいと思います。1975年のレコード「It’s Alright」。スライ&ザ・ファミリー・ストーン、そしてグラハム・セントラル・ステーションのレコード、2曲続きます。

・Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin)
・It’s Alright

佐野元春 : Motoharu Radio Show、特集「What is HIP?」。今夜はご機嫌なファンク・ミュージックのレコードを集めています。先ほど聴いてみたスライ & ザ・ファミリー・ストーン、米国西海岸サンフランシスコのバンドです。一方、米国南部にもごきげんなファンク・バンドがいました。ザ・ミーターズ。'70年代、アラン・トゥーサンがプロデュースして素晴らしいアルバムを残しています。正にニューオリンズ・ファンク・バンドの代表といっていいと思います。ニューオリンズといえばジャズ発祥の地ですね。スペイン、フランス、カリブ、アフリカなどの文化が交じり合った独特の文化を持った街です。そんなニューオリンズの街で生まれたファンク・ミュージック。ニューオリンズ音楽独特の少しハネたリズムが楽しくて聴いていて飽きません。ミーターズ、'70年代のレコードから1曲。そしてそのミーターズのサポートで録音したDr.ジョンのレコードも一緒に聴いてみたいと思います。ザ・ミーターズ「People Say」。そしてDr.ジョン「Right Place Wrong Time」。ニューオリンズ・ファンク2曲聴いてみます。

・People Say
・Right Place Wrong Time

佐野元春 : 番組ここまで聴いてくれてありがとう。そろそろお別れの時間が来てしまいました。Motoharu Radio Show。今夜のテーマは「What is HIP?」。ご機嫌なファンク・ミュージックのレコードを集めてみましたけれども、楽しんでいただけましたか? HIPという言葉にはかっこいいとかスタイリッシュという意味がありますけれども、何がHIPかというのはたぶん時代と共に変化していくものなんじゃないかなぁと思います。時代の流行廃りに関係なく、自分なりのHIPのセンス、探していきたいと思います。Motoharu Radio Show、ファンクといえばこのシンガーを忘れちゃいけないと思います。ジェームス・ブラウン。正にファンクの神ですね。マイケル・ジャクソン、プリンス他たくさんのミュージシャンが影響されています。もちろんHIP HOPもルーツはファンク。そしてジェームス・ブラウンですね。圧倒的な個性レコードからも感じます。ジェームス・ブラウン、曲は「Get On The Good Foot(Part.1)」。今夜はこの曲でお別れです。

・Get On The Good Foot(Part.1)

佐野元春 : 今夜のMotoharu Radio Show。特集「What is HIP?」、楽しんでいただけましたか? 来週の放送は「CHILL OUT MUSIC」と題して、落ち着いた夏の夜の音楽を特集します。「THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show」。次回の放送は来週8月21日、よる9時から。同じステーション、同じ時間でみなさんとお会いしたいと思います。DJ、佐野元春。ではまた来週。
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THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show #06

2020年08月07日 | Motoharu Radio Show

第6回:ジャパニーズポップスの夜明け
M1. 笠置シヅ子 / ラッパと娘
M2. 笠置シヅ子 / ロスアンゼルスの買物
M3. ティーブ釜萢 / トーキョー・ラグ
M4. 江利チエミ / ロック・アラウンド・ザ・クロック
M5. 小坂一也とワゴンマスターズ / 冷たくしないで
M6. 雪村いづみ / 恋人になって
M7. 佐野元春&雪村いづみ / トーキョー・シック
M8. 弘田三枝子 / 寝不足なの
M9. 弘田三枝子 / 私のベイビー
M10. 弘田三枝子 / 砂に消えた涙
M11. かまやつヒロシとザ・サンダーバード / 恋の片道切符
M12. 藤木孝 / ママのツイスト
M13. 山下敬二郎とザ・コースターズ / ダイアナ
M14. 坂本九 / 花咲く街角
M15. 坂本九 / 上を向いて歩こう
M16. Nat King Cole / L-O-V-E(日本語バージョン)
M17. 佐野元春 / Bye Bye Handy Love(アルバム「トーキョー・シック」より)
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■内容の一部を抜粋
佐野元春 : こんばんは。佐野元春です。今夜のテーマは「ジャパニーズ・ポップミュージックの夜明け」と題して日本の'50年代、'60年代のポップスを特集します。THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。DJ、佐野元春でお送りします。
さて、今夜のMotoharu Radio Showはいつもとちょっと趣向を変えて日本の古いポピュラー音楽を特集してみたいと思います。日本の古いポピュラー音楽といっても範囲が広いですよね。この特集では'50年代から'60年代にかけてのレコードを取り上げてみたいと思います。これはちょっと自分の話になってしまうんですが、僕は1956年3月に生まれました。そしてこの1956年3月というのはエルヴィス・プレスリーがデビュー・アルバムをリリースした、正にその月に当たるということですね。まぁ僕の母が相当なエルヴィスのファンだったということは聞いていましたが、まさかデビュー・アルバムの発売に合わせて僕を生んだなんてことは多分ないと思いますが、この素敵な偶然? まぁ人が聞いたらそれがどうしたって話になるんでしょうけれども、ロックンロールが大好きな僕としては、ちょっと人に自慢したくなるようなエピソードです。そんなわけでエルヴィス・プレスリー、デビュー・アルバムが発売された年、そして僕が生まれた年、1956年。物の本によるとこの1956年こそロックンロール誕生の年である、そんなことが書いてありました。日本の場合は戦争が終わってほぼ10年目という節目でもありました。Motoharu Radio Show、今夜の特集は「ジャパニーズ・ポップミュージックの夜明け」と題して、戦後、日本のポピュラー音楽が欧米の音楽にどのように影響されてきたか、その辺も探ってみたいと思います。

・ラッパと娘
・ロスアンゼルスの買物
笠置シヅ子の1939年のレコード「ラッパと娘」と1948年の「ロスアンゼルスの買物」はいずれも服部良一のプロデュース。服部良一は洋楽のビートをはじめて歌謡曲に持ち込んだ日本のポップ音楽の先駆者。日本のポップス界の最大の功労者といってもいい。

・トーキョー・ラグ
戦後初期のスター、日系二世のティーヴ釜萢はかまやつひろしさんのお父さん。この方はのちにジャズの学校を作って雪村いづみ、平尾昌晃、ミッキー・カーチスなど多くのシンガーを育てた。

・ロック・アラウンド・ザ・クロック
1955年にアメリカでビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツは世界初のロックンロールのヒットを飛ばした。「Rock Around The Clock」。その曲を日本で真っ先にカヴァーしたのは江利チエミだった。

・冷たくしないで
小坂一也とワゴンマスターズがエルヴィス・プレスリーの「Don't Be Cruel」を日本語でカヴァー。1955年のレコード。このあとにやってくるロカビリー・ブームの火付け役になったレコード。

・恋人になって
1953年、一人の天才的歌手がデビューする。雪村いづみ。彼女は当時美空ひばり、江利チエミと共に三人娘と呼ばれて一世を風靡した。三人の中では一番垢抜けていて都会的な印象がある。アメリカをずっと巡業していたこともあってシンガーとしてもパフォーマーとしてもその表現力はずば抜けている。「この曲はまるでラップのように歌ってますね」と元春。

佐野元春 : そうですね、雪村いづみさん。僕のレーベルからレコードを出しました。作詞作曲プロデュースは僕。そして編曲は前田憲男さんが担当してくれました。ビックバンドには戦後の名だたるジャズ・ミュージシャンたちが集結してくれました。これは東京の歌ですね。二人で踊りながら歌ってレコーディングしたのを、とても楽しかったです。聴いてください、雪村いづみ佐野元春、曲は「トーキョー・シック」。

・トーキョー・シック

佐野元春 : 残念なニュースがありました。先日、歌手の弘田三枝子さんがお亡くなりになったということ。ぼくはちびっ子の頃、ちょうど6歳ぐらいでしたか、最初に憧れた女性シンガーが弘田三枝子さんでした。とにかく圧倒的な声とリズム感ですね。テレビの中で歌っている弘田三枝子さんにくぎ付けになりました。今思うと太陽のように明るいイメージ。子ども心に見ているだけで楽しい気持ちになった、そんな思い出があります。その頃学校の音楽の時間というと、なんか童謡のような退屈な音楽ばかり? 「金魚のお昼寝」とかそんな音楽ばかりでしたね。そんな中、弘田三枝子さんの歌は本当に僕のことを楽しい気持ちにさせてくれました。あの頃に戻って「どうもありがとう」そう言いたいですね。深くご冥福をお祈りいたします。弘田三枝子さん追悼。僕が選んだ3曲です。「寝不足なの」、「私のベイビー」そして「砂に消えた涙」。弘田三枝子3曲続きます。

・寝不足なの
・私のベイビー
・砂に消えた涙

佐野元春 : 弘田三枝子さん追悼。僕が選んだ3曲です。1曲目は「寝不足なの」、そしてこれはザ・ロネッツのヒット曲ですね。「Be My Baby」のカヴァー、もうこの時代に遡って僕がプロデュースしたかったですよね、「私のベイビー」。そして「砂に消えた涙」。弘田三枝子3曲聴いてみました。Motoharu Radio Show、 「ジャパニーズ・ポップミュージックの夜明け」続いてます。

佐野元春 : 1958年、東京で第一回目の日劇ウエスタン・カーニバルが開催されます。場所は東京・有楽町にあった元日劇ミュージック・ホールです。年に二回、当時のロカビリーのスターが集まってライヴをやりました。ロカビリー三人男といえば平尾昌晃、山下敬二郎、そしてミッキー・カーチスの三人ですね。それぞれバンドを持っていて熱狂的なライヴをやりました。当時このイベントは大盛況となってメディアは大きくこの様子を伝えました。空前のロカビリー・ブームですね。Motoharu Radio Show、 特集「ジャパニーズ・ポップミュージックの夜明け」。ではそのウエスタン・カーニバルに出演していたシンガー、かまやつ ヒロシ、藤木孝、そして山下敬二郎、3人のレコードを聴いてみます。

・恋の片道切符
・ママのツイスト
・ダイアナ

佐野元春 : さて、日本人アーティストでたった一人、アメリカ、ビルボード・ホット100で1位を獲得した歌手がいます。そう坂本九。1961年に出した「上を向いて歩こう」。この曲が「SUKIYAKI」というタイトルで海外でもヒットしました。ではその坂本九の曲を2曲。「花咲く街角」そして「上を向いて歩こう」。

・花咲く街角
・上を向いて歩こう

佐野元春 : 坂本九。1曲目、オリジナルはデル・シャノン、1961年のレコード「花咲く街角」。今聴いたのが「上を向いて歩こう」。
'60年代に入ると洋楽の日本語カヴァーは益々盛んになってきます。その動きを一気に加速させたのが草野昌一(しょういち)、またの名前を漣健児(さざなみけんじ)という訳詞家でした。'60年代ポップスの日本語カヴァーのオリジネイターといっていいと思います。当時、アメリカン・ポップスを中心に、なんと400曲以上の訳詞を手掛けたということです。特集した中でも弘田三枝子「私のベイビー」、「砂に消えた涙」ですね。そして坂本九、今聴いた「花咲く街角」。これは全部が漣健児さんの訳詞です。ではここで草野昌一、またの名を漣健児、彼が手掛けた曲を聴いてみます。「L-O-V-E」、ナット・キング・コール。

・L-O-V-E

佐野元春 : 「L-O-V-E」、ナット・キング・コール。今夜のMotoharu Radio Show、特集 「ジャパニーズ・ポップミュージックの夜明け」と題して'50年代から'60年代にかけての日本のポップスを特集しました。こうして聴いてみると新しい発見があっておもしろいですね。僕の興味はやはり自分がソングライターということもあって曲の中の言葉ですね。日本語がどんなふうにビートにフックしているのか、それを歌手がどう歌ってるか。そこに興味を持ちました。その点でいうと今日特集した中では二人の女性シンガー、雪村いづみと弘田三枝子、この二人のシンガーの歌は本当に素晴らしいなと思いました。そして訳詞家の漣健児さんですね。日本語を使ったポップソングの表現、日本語をどうビートに乗せていくか。いろいろな試行錯誤が見えてとても興味深かったです。さて特集最後に僕の歌も聴いてみてください。僕は'50年代ロカビリーの世代ではないんですがこんな曲を書きました。時が時ならもしかしたら僕もあの日劇ウエスタン・カーニバルのステージに立っていたのかもしれません。前田憲男さんの編曲でレコーディングしたオーケストラ・ヴァージョン。この曲を聴きながらお別れです。Bye Bye Handy Love。

・Bye Bye Handy Love

佐野元春 : 今夜のMotoharu Radio Show。楽しんでもらえましたか。特集「ジャパニーズ・ポップミュージックの夜明け」。どうでしょうか。どの曲もエレガント、そしてイノセント。懐かしいけれどモダン、そんな感じでした。素敵ですね。さて来週のテーマは「What is HIP?」、ファンキーでご機嫌な曲を集めてみます。THE MUSIC OF NOTE、Motoharu Radio Show。次回の放送は来週8月14日、よる9時から。同じステーション、同じ時間でみなさんとお会いしたいと思います。DJ、佐野元春。ではまた来週。
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THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show #05

2020年07月31日 | Motoharu Radio Show

第5回:「BLUESが聴きたい」
M1. The Black Crowes / Come On
M2. The Allman Brothers Band / Wasted Words
M3. Tedeschi Trucks Band / Midnight in Harlem
M4. John Lee Hooker / I Want to Hug You
M5. Tim Hardin / Soft Summer Breeze
M6. The Staple Singers / I Want to Thank You
M7. Keb' Mo'/ The Worst Is Yet To Come
M8. Taj Mahal & Keb' Mo / Shake Me In Your Arms
M9. 佐野元春 & THE COYOTE BAND / あつさのせい
M10. Janis Joplin / Maybe
M11. The Edgar Winter Group / Free Ride
M12. Al Kooper / Fly On
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■内容の一部を抜粋
佐野元春 : こんばんは佐野元春です。今夜のテーマ、ブルースが聴きたい。毎日の生活の中でやりきれない気持ちあると思います。色にたとえればブルー。今夜はそんなブルーな音楽を集めてみたいと思います。「THE MUSIC OF NOTE -Motoharu Radio Show」。DJ、佐野元春でお送りします。

・Come On
ブラック・クロウズの2001年のレコード「Come On」。ヴォーカルのクリス・ロビンソンとギターのリッチー・ロビンソンの二人の兄弟を中心としたバンド。「バンドは一時活動休止中でしたが、再結成して今年10月からツアーが予定されてるとのこと。無事開催できるといいですね」と元春。

・Wasted Words
ブラック・クロウズのロビンソン兄弟が尊敬するバンド、オールマン・ブラザーズ・バンドの「Wasted Words」。ツイン・リード・ギター、ツイン・ドラムスというダイナミックなバンド編成で、サザン・ロックの代表的なバンドのひとつ。何度か解散と再結成を繰り返して現在に至っている。

・Midnight in Harlem
オールマン・ブラザーズ・バンドにギタリストとして参加していたデレク・トラックスのレコード。テデスキ・トラックス・バンドの「Midnight in Harlem」。

佐野元春 : テデスキ・トラックス・バンド、「Midnight in Harlem」。演奏素晴らしいですね。デレク・トラックスとスーザン・テデスキ。この夫婦を中心としたバンド。二人ともいいシンガーであり、素晴らしいブルース・ギタリストです。僕からもお勧めのバンドですね。興味のある方は是非、ネットでDigしてみてください。Motoharu Radio Show、今夜のテーマはブルースが聴きたい。この後はジョン・リー・フッカーのレコードに続きます。

・I Want to Hug You
・Soft Summer Breeze

佐野元春 : Motoharu Radio Show、ジョン・リー・フッカーのレコードに続いて聴いたのはティム・ハーディン。'60年代、コンテンポラリー・フォークのムーブメントの中でも一際音楽性が高いミュージシャンのひとりです。ジョン・リー・フッカーのブルースをジャズ的に解釈したという素晴らしいレコード。アルバム『Bird On A Wire』からティム・ハーディン、曲は「Soft Summer Breeze」。聴いてみました。今夜はブルースを聴きたい気分ですね。僕はまぁはっきり言ってブルースのない音楽には興味がありません。前から思っていましたけれども、いつだったか西アフリカに旅行したときにそれを確信しました。アフリカ。それはブルースが生まれた場所です。そこで出会ったミュージシャンたちが教えてくれました。歌いたい理由があるから歌う。それが音楽を続ける理由。うん。ジャズ、R&B、ロックンロール、ヒップホップ。ジャンルはいろいろありますが、ブルース音楽、それは今あるポピュラー音楽全ての源。そういっていいと思います。次に聴いてみたいレコードはザ・ステイプル・シンガーズ、曲は「I Want To Thank You」に続きます。

・I Want To Thank You

佐野元春 : Motoharu Radio Show、今夜のテーマ、ブルースが聴きたい。一言でブルースといっても、いろいろなスタイルがあるようです。古くはアメリカの南部からはじまって、セントルイス、シカゴ、ニューヨーク、そうした街の中でいろいろなジャンルの音楽と混じりあいながら、だんだんと洗練されてきたということです。そうですね。聴きたいブルースのレコードいろいろとありますけれども、個人的に好きなブルース・シンガーといえばこの二人ですね。タジ・マハール、そしてケヴ・モ。二人とも素晴らしいソングライター、そして素晴らしいギタリストです。タジ・マハールは60年代から活躍しているミュージシャン。ブルースをベースにレゲエやカリプソといったいろいろなジャンルの音楽をミックスしています。もう一人はケヴ・モ。彼もまたブルースをベースにしてロックやソウル、ジャズ、フォーク。そうした音楽をミックスした個性的な音楽を作っています。ではここで彼らの曲2曲聴いてみたいと思います。まずケヴ・モ。「The Worst Is Yet Come」。まだ最悪ってわけじゃないよ、そんなふうに歌ってますけれども。このパンデミックの中ケヴ・モのこの曲リスナーのみなさんと分かち合いたいと思います。もう一曲はちょっと珍しいレコード。タジ・マハールとそのケヴ・モが一緒に作ったアルバムがあります。3年前に出たアルバム『TAJMO』つうんですけれども。この『TAJMO』から二人の素晴らしいセッションですね。曲は「Shake Me In Your Arms」2曲続きます。

・The Worst Is Yet Come
・Shake Me In Your Arms

・あつさのせい

佐野元春 : Motoharu Radio Show、僕のレコード。ちょっと珍しい曲ですね。大瀧詠一さんのカヴァー。佐野元春&ザ・コヨーテバンドで曲は「あつさのせい」。聴いてもらいました。
季節柄ちょっとこの曲聴きたくなって紹介させてもらいました。「あつさのせい」。オリジナルはドラムス林立夫、ベース細野晴臣、ギター鈴木茂、そしてキーボード松任谷正隆ですね。できるだけオリジナルに忠実にカヴァーしてみました。佐野元春&ザ・コヨーテバンド「あつさのせい」。
さて、Motoharu Radio Show、今夜は、ブルースを感じたい夜ということで何曲かレコードを持ってきています。僕がはじめてブルースという音楽を意識したのは十代の頃でした。その頃は海外のポップ音楽に興味を持つようになって、ラジオのチャート番組なんかもよく聴いていました。そんな中、ラジオから聴こえてきたあるシンガーの歌声に心が奪われます。それは米国の女性シンガー、ジャニス・ジョップリンでした。その声はしわがれていて、ちょっと苦しそうに聴こえるんですが、とても力強い歌声でした。よくある女性シンガーの歌とは全然違う、何か訴えかける力のある声でした。そのジャニス・ジョップリンのレコード、69年のレコードですね、聴いてみたいと思います。曲は「Maybe」、ジャニス・ジョップリン。

・Maybe
「ブルースを歌うのに年齢は関係ないですね。当時、ジャニス・ジョップリン27歳くらいだったと思います。残念ながらこの後に続くアルバム『Pearl』ですね、このアルバムの収録中にオーバードーズで亡くなっています」と元春。

・Free Ride
エドガー・ウインター・グループの'70年代のレコードから曲は「Free Ride」。

佐野元春 : Motoharu Radio Show、今夜はブルースを感じたい夜、そんな気分でやってます。ここでちょっと僕からのお知らせです。インターネットに新しいサイトを立ち上げました。テーマは「Save It For A Sunny Day」。Save It For A Sunny Day。新しい日のために今ある夢や計画を大事にしておこうという、そんなテーマでやってます。ここでは映像の配信があったり、Tシャツとかマーチャンダイジングですね、そんなのもあってみなさんが楽しく集えるようなそんな工夫をしています。いま音楽関係の仲間たち、みんな仕事がなくて困ってます。どうにかみんなでがんばっていこうということで、このイベントの収益は音楽制作者支援の基金として役立てたいと思ってます。イベントは今年いっぱいですね、12月までやってるので、もしよかったらSave It For A Sunny Day。どっかで検索して、みなさんも是非立ち寄ってみてください。
https://ms40th.moto.co.jp/Save-it-for-a-Sunny-Day

さて、残りの時間も少なくなってきました。今夜のラストはアル・クーパーのレコード。この曲、実はフォー・トップスに書いた曲だったんですが、採用されなかったという、そんな裏話があります。曲の中ではこんなふうに歌っています。僕らきっと以前みたいにうまくできるよ、最初に飛び立とう。アル・クーパー、「Fly On」。

・Fly On

佐野元春 : 今夜のMotoharu Radio Show。楽しんでいただけましたか? 来週のテーマなんですけどね、「ジャパニーズ・ポップスの夜明け」と題して、日本の50年代、60年代のポップスを特集します。まぁ自分で言うのも何なんですけれども、かなりおもしろい特集になります。お聴き逃しなく。「THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show」。次回の放送は来週8月7日、よる9時から。同じステーション、同じ時間でみなさんとお会いしたいと思います。DJ、佐野元春。ではまた来週。
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THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show #04

2020年07月24日 | Motoharu Radio Show

第4回: 「Nothing But Pop ~何はともあれポップ~」
M1: Stevie Wonder/ My Cherie Amour
M2: The Bangles/ Manic Monday
M3: Prince/ Take Me with U
M4: Bette Midler/ Teach Me Tonight
M5: Bette Midler/ Mr. Sandman
M6: Wonder Girls/ Nobody (English Ver.)
M7: Bananarama/ Shy Boy
M8: Fine Young Cannibals/ She Drives Me Crazy
M9: 佐野元春/ 君がいなくちゃ
M10: Jamie Cullum/ These Are The Days
M11: Ben Sidran/ Song For A Sucker Like You
M12: The Blow Monkeys/ It Doesn't Have To Be This Way
---------------------------------------------------
■内容の一部を抜粋
佐野元春 : こんばんは佐野元春です。そろそろ梅雨が明けて夏。楽しく行きたいですね。今夜のテーマはNothing But Pop。何はともあれポップ。この夏に向けてみなさんの体温がちょっぴり上昇する、そんなポップ・チューンを集めてみます。「THE MUSIC OF NOTE -Motoharu Radio Show」。DJ、佐野元春でお送りします。

・My Cherie Amour
スティービー・ワンダーの60年代の名曲「My Cherie Amour」。「泣く子も黙る名曲というのはこんな曲のことを言うんじゃないでしょうか」と元春。

・Manic Monday
80年代のガール・グループ、バングルス。1986年の「Manic Monday」。"月曜日の朝起きて、あぁ、まだ日曜日の朝だったらいいのになぁ"、と歌っている。

・Take Me With U
バングルスの「Manic Monday」を書いたのはプリンスで同時期にヒットしていたのが「Take Me With U」。

佐野元春 : 僕は実を言うとカヴァー曲というのはあまり興味がないんです。やはりオリジナルを超えるというのは相当大変なことではないかと思うんですね。ただこのシンガーのカヴァー・レコードはちょっとまいってしまいました。ベッド・ミドラー。歌のうまさには定評のある実力派のシンガーです。そのベッド・ミドラーが往年のガール・グループのヒット曲だけを集めたカヴァー・レコードを出しました。タイトルが『It's The Girls』。「これが女の子というものよ」、そんなニュアンスでしょうか。アルバムではロネッツ、シュレルズ、エクサイターズ、そしてシュープリームスといった50年代、60年代に活躍したガール・グループのヒット曲がたくさんカヴァーされています。正にNothing But Pop。今夜のテーマにぴったりのレコード。ベッド・ミドラーの歌声、さっそくここで2曲聴いてみたいと思います。この曲はスタンダード・ナンバーですね。これまで何人ものシンガーが歌ってきました。50年代の曲です。「Teach Me Tonight」。そしてこの曲オリジナルは50年代のガール・グループ、ザ・コーデッツ。1954年のヒット。曲は「Mr.Sandman」。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の中で使われていました。あっこの曲知ってるという人もいると思います。ベッド・ミドラーのレコード、2曲続きます。

・Teach Me Tonight
・Mr.Sandman

佐野元春 : Motoharu Radio Show、今夜のテーマはNothing But Pop。いつ聴いても心が舞い上がる、そんなポップ・ヒッツを集めています。そうですね、今夜こうして特集して感じるのは女の子たちの歌、ガール・ポップですね。時代に関係なくこれまで多くのガール・グループが活躍しました。ガール・ポップの凄いところ、それは男性だけでなく同性の女性をも元気にさせるパワーがあるところです。そうなんですよね、大半の男性アーティストは男性にしかアピールしないんですが、女性アーティストは全員に語りかけます。そうして見てみると、ポップ・ソングの歴史を支えてきたのはガールズ・グループ。僕はそんなふうに感じます。これまで多くのガールズ・グループが活躍してきました。男の子たちが求めるイメージを演じるようなグループ、それとか女性のパワーを最高にアピールするようなグループ、みんなそれぞれにメッセージを持っています。いずれにしても男性アーティストにはできない感情が豊かな表現ですよね、それがガールズ・グループの魅力だと思います。今夜の特集、Nothing But Pop。ここでガールズ・グループが歌う最高にポップなレコードを2曲用意しました。韓国5人組のガールズ・グループ、ワンダー・ガールズ。彼らがアメリカで活躍するようになったそのときのデビュー曲ですね、「Nobody」。そして当時とても人気のあったイギリスのガールズ・グループ、バナナラマ。日本でも80年代の後半、よくディスコ、クラブでこの曲がかかっていました。ワンダー・ガールズ「Nobody」、そしてバナナラマ「Shy Boy」、2曲続きます。

・Nobody
・Shy Boy
曲をかけ終えて。「2曲とも60年代モータウン・ヒッツを意識したリズムとメロディですね。いい感じです」と元春。

・She Drives Me Crazy
1989年のファイン・ヤング・キャニバルズの「She Drives Me Crazy」。"もうどうしようもないくらい彼女に夢中"そんなふうに歌ってる。

・君がいなくちゃ

佐野元春 : 今聴いてもらったのは僕の曲です。「君がいなくちゃ」。自分の曲の中でもポップかなぁと思って聴いていただきました。去年出した『或る秋の日』というアルバムに入ってます。この曲なんですけれども作曲してレコードになるまで随分時間がかかりました。この曲を書いたのは僕が16歳のときだったのでレコードになるまでなんと47年という、時間がかかるにも程があるという感じですね。当時僕は高校生で学校の中に学生寮があったんですけれど、そこの放送研究部の友だちがこの曲のデモテープをガンガンかけて、終いには寮の中で大ヒットするという、そんな出来事がありました。その後、自分はこの曲のことをすっかり忘れていたんですが、当時の同級生が地元でこの曲をずっと歌い続けてくれて、その街ではちょっとした人気曲になっていたということ。そしてある日、その友だちから連絡をもらって久しぶりにこの曲を聴いてみたんですが、なんかとてもいい曲だなと思ったんですよね。まぁそんなことからレコーディングしてみようという気になった曲、それが「君がいなくちゃ」ですよね。自分で書いて40年以上忘れていた曲ということなんですけれども、本当にね、この曲の存在を教えてくれた友だちに感謝しています。
「THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show」。今夜のテーマはNothing But Pop。何はともあれポップ。続いてます。さてこの後はちょっと気分を変えたいですね。ちょっと気分を変えてポップというよりどっちかというとジャズ・オリエンテッドな音楽。僕が好きなピアノマンのレコードを紹介します。ジェイミー・カラム「These Are The Days」、そしてベン・シドラン「Song For a Sucker Like You」。2曲続きます。

・These Are The Days
・Song For a Sucker Like You
曲をかけ終えて。「今聴いたのがベン・シドランですよね。歌ってる内容はかなり辛辣、皮肉な歌です。ポップでシニカルという感じ。洒落てますね」と元春。

佐野元春 : 今夜のテーマはNothing But Pop。何はともあれポップ。思わず楽しくなってスマイルしてしまう、そんなポップ・チューンを集めてみました。そうですね、自分の場合は、自分が演奏するときはフォークやブルース、そしてR&Bに近いロックなんか好きなんですけれども、ラジオから音楽を聴くというときには、やはりポップ・チューンですね。クルマの中で聴いたりしてると思わず体が揺れてくるような、そんな楽しい曲を聴くのが好きです。Motoharu Radio Show、今夜、ラストの曲もポップ・チューンでお別れしたいと思います。リスナーのみなさんとはまた次回、お会いできるのを楽しみにしています。この曲、ちょっと歌詞が複雑ですね。僕もわからないんですけれども、何かイギリス人らしい皮肉、ユーモアを感じます。一見ラヴ・ソングに聴こえるんだけれども実はかなりポリティカルな意味にも取れます。ブロウ・モンキーズ「It Doesn’t Have To Be This Way」。

・It Doesn’t Have To Be This Way

佐野元春 : 今夜のMotoharu Radio Show。楽しんでいただけましたか? さて来週のテーマは「ブルーズが聴きたい」。今日のテーマ、ポップとは真逆ですけれどもブルーズ音楽の魅力、みなさんと分かち合いたいと思います。「THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show」。次回の放送は来週7月31日、よる9時から。同じステーション、同じ時間でみなさんとお会いしたいと思います。DJ、佐野元春。ではまた来週。
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THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show #03

2020年07月17日 | Motoharu Radio Show

第三回:日本のポップ・ロック1976年
伊藤銀次 - 日射病
鈴木慶一とムーンライダーズ - あの娘のラブレター
吉田美奈子 - ラムはお好き?
憂歌団 - お政治オバチャン
高田渡 - 魚つりブルース
細野晴臣 - 北京ダック
久保田麻琴と夕焼け楽団 - ディキシー・フィーバー
小坂忠 - ふうらい坊
山下達郎 - CIRCUS TOWN
大貫妙子 - 時の始まり
矢野顕子 - 電話線
佐野元春 - ふたりの理由、その後
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■内容の一部を抜粋
佐野元春 : こんばんは佐野元春です。さて、今夜のテーマはこれです。「日本のポップ・ロック1976年」。'70年代の中でも特に1976年、この年は日本のロック&ポップスにとって貴重な年になりました。この年には今聴いてもいいなと思える素晴らしいレコードが続々とリリースされました。今夜のMotoharu Radio Showは、1976年、国内でリリースされたクリエイティブなロック&ポップスを特集します。「THE MUSIC OF NOTE -Motoharu Radio Show」。DJ、佐野元春でお送りします。

佐野元春 : 今夜の一曲目は僕の友人のレコードですね。1976年、大瀧詠一、山下達郎、伊藤銀次の3人で作った『Niagara Triangle Vol.1』からの曲、「日射病」。

・日射病

佐野元春 : 伊藤銀次、曲は「日射病」。銀次らしいチャンキーなギターが楽しい曲ですね。1976年、大瀧詠一、山下達郎、伊藤銀次の3人で作った『Niagara Triangle Vol.1』からの曲でした。このあとは鈴木慶一とムーンライダーズ。ファースト・アルバム『火の玉ボーイ』から一曲聴いてみます。

・あの娘のラブレター

佐野元春 : 鈴木慶一とムーンライダーズ。曲は「あの娘のラブレター」。1976年に出た彼らのファースト・アルバム『火の玉ボーイ』からの曲です。バンドはムーンライダーズの前ははちみつぱいと名乗ってました。はっぴいえんどと並んで日本のロックの先駆者です。さて、ここまで聴いて気づいた方もいると思います。今夜のMotoharu Radio Showは'70年代の日本のミュージシャンを特集してみます。'70年代の中でも特に1976年。この年は日本のロック&ポップスにとって貴重な年となりました。この年には今聴いてもいいなと思える素晴らしいレコードが続々とリリースされています。今夜のMotoharu Radio Showは1976年、国内でリリースされたクリエイティブなロック&ポップスを特集しています。

・ラムはお好き?

佐野元春 : う~ん、いいですね。ラム・アンド・コカ・コーラとか言ってます。吉田美奈子、曲は「ラムはお好き?」。1976年に出たファースト・アルバム『FLAPPER』からの曲。今でこそ国内のR&Bの女性ヴォーカリスト、歌の上手なディーバはたくさんいます。その先駆的な存在といっていいのが吉田美奈子さんですね。もちろん今でも活躍なさっています。以前、コンサート(風街レジェンド2015)の楽屋で久しぶりにお会いしましたけれども、とても元気、そしてステージでは相変わらず素晴らしいパフォーマンスをやられていました。

佐野元春 : さて、Motoharu Radio Show。今夜は1976年、国内でリリースされたロック&ポップスを特集しています。'70年代に入ると日本ではシンガー・ソングライターの時代になります。自分で作った歌を欧米のロック音楽のスタイルで表現するという新しい音楽が出てきました。ジャンルでいうとブルース、フォーク、ロック、そしてR&B。特に米国のルーツ音楽を研究するミュージシャンたちが多くいました。では1976年のレコードから米国のブルースやフォーク音楽に影響を受けたミュージシャンたちのレコードを聴いてみます。憂歌団「お政治オバチャン」、そして高田渡「魚つりブルース」。2曲続きます。

・お政治オバチャン
・魚つりブルース

佐野元春 : 憂歌団「お政治オバチャン」、そして今聴いたのは高田渡。ごめんなさい。曲紹介のとき僕は「うおつりブルース」なんて言ってしまいました。「魚(さかな)つりブルース」でした。憂歌団の内田勘太郎さん、そして高田渡さん。ギター演奏の技術がとても素晴らしい尊敬できるミュージシャンです。またリリックがおもしろいですよね。憂歌団「お政治オバチャン」。実は彼らのレパートリーに「お掃除オバチャン」という曲があるんですが、これが職業差別だということで放送禁止になります。そこで面白く切り返したのがこの「お政治オバチャン」ですね。これには誰も文句は言えなかったんじゃないかと思います。ユーモアのセンスも抜群です。DJ、佐野元春、続いてます。

佐野元春 : Motoharu Radio Show、今夜は1976年、国内でリリースされたロック&ポップスを特集しています。 今夜こうして特集して感じるのは、音楽がとてもいい感じでゆるいですよね。当時、レイドバックなんていう言葉もありました。この時代、外国ではどうだったかというと、ちょうどこの頃、セックス・ピストルズがデビューしています。そろそろ世界的にパンク、ニュー・ウェイブのムーブメントがはじまろうとしていた時期でした。そうして見てみると、この日本の'70年代レイドバックの音楽というのはエアポケットにいるような状態? 嵐の前の穏やかな時代の音楽。そんなふうに聞えます。もうひとつ聴いて面白いなぁと思うのはリズムのバリエーションが多国籍なんですよね。例えばニューオリンズやカリブの音楽、そしてハワイ、ポリネシア、沖縄といった非欧米のリズムなんかも取り入れてユニークなサウンドになっていました。ではここでそうした試みをすごく洗練したかたちでやってた二組ですね、細野晴臣、そして久保田麻琴。彼らのレコードを聴いてみます。「北京ダック」、細野晴臣。そして「ディキシー・フィーバー」、久保田麻琴と夕焼け楽団。2曲続きます。

・北京ダック
・ディキシー・フィーバー

佐野元春 : 一曲目は細野晴臣、ヴァン・ダイク・パークスの音楽を思い出す、そんな音の風景ですね。「北京ダック」。そして今聴いたのは久保田麻琴と夕焼け楽団。曲は「ディキシー・フィーバー」、2曲聴いてみました。
「THE MUSIC OF NOTE -Motoharu Radio Show」。1976年の日本のロック&ポップス特集しています。 細野晴臣、久保田麻琴に続いて聴いてみたいのは小坂忠ですね。自分の若いころ、ちょっとお世話になったということもあって、今でもときどき声をかけてもらっています。そうですね、思い出深いのは先日、自分のアルバム『Cafe Bohemia』というのがあるんですけれども、このアルバムのセッション・コンサートがありました。いろいろなシンガーが僕の曲をカヴァーしてくれたんですけれども、中でも特に小坂忠さんですね、彼が僕の「Rock'n'Roll Heart」という曲をカヴァーしてくれて、それが本当に素晴らしく、また光栄に思って、僕はとても感動しました。この後は小坂忠のレコード、アルバム『ほうろう』からの曲、プロデュースそして作詞作曲は細野晴臣、曲は「ふうらい坊」に続きます。

・ふうらい坊

佐野元春 : 小坂忠、曲は「ふうらい坊」。ヴァッキング・コーラスは吉田美奈子さんですね。ソングライターとしても素晴らしいアーティストです。山下達郎の初期の曲でもリリックを書いていました。「THE MUSIC OF NOTE -Motoharu Radio Show」。この後は山下達郎、そして吉田美奈子の曲に続きます。

・CIRCUS TOWN

佐野元春 : 山下達郎、1976年のリリース、シュガーベイブを解散した後の初のスタジオ・アルバムですね。この曲のリリックは吉田美奈子。プロデュースはチャーリー・カレロ。ニューヨークのミュージシャンとレコーデングしています。曲は「CIRCUS TOWN」を聴いてみました。
「THE MUSIC OF NOTE -Motoharu Radio Show」。今夜は1976年、国内でリリースされたロック&ポップスを特集しています。 1976年、ちょっと調べてみるとこの年は女性シンガー・ソングライターの曲が結構ヒットしています。イルカ「なごり雪」、丸山圭子「どうぞこのまま」、そして荒井由実「あの日に帰りたい」あたりですね。海外ではキャロル・キング、ジョニ・ミッチェル、マリア・マルダー、そしてローラ・二―ロ。そうした女性シンガー・ソングライターが活躍していました。それまで女性シンガーというと自分で曲を書いて歌う人というと、それほど多くはなかったんですけれども、'70年代中盤になると、そうした海外の影響もあって日本でも素晴らしい女性シンガー・ソングライターが出てきました。ではここで1976年にデビューした二人の素晴らしい女性シンガー・ソングライターの曲を聴いてみたいと思います。大貫妙子「時の始まり」、そして矢野顕子「電話線」。2曲続きます。

・時の始まり
・電話線

佐野元春 : 山下達郎シュガーベイブのメンバーだった大貫妙子。曲は「時の始まり」。続いて聴いたのは矢野顕子「電話線」ですね。二人とも今日特集している1976年のデビューです。そうですね、矢野顕子さん。彼女とはこれまでレコードやライヴで何回かご一緒しました。とてもクリエイティブで、ユーモアのセンスが抜群の女性です。ここのところちょっとご無沙汰していますけれど、またどっかでご一緒できたらいいなと思っています。
さて、「THE MUSIC OF NOTE -Motoharu Radio Show」。今夜は日本のポップ・ロック、1976年のレコードを特集してきました。番組の中では最初に紹介した僕も'80年代に参加したんですけれども大瀧詠一プロデュース『Niagara Triangle』ですね。山下達郎、伊藤銀次、そして大瀧詠一。この3人で作った『Niagara Triangle Vol.1』。このレコードも1976年この年に出ていました。今日特集した音楽はちょうど自分でいうと、僕が十代の頃でしたね、中学生高校生の頃聴いていた音楽です。まぁ、今自分がこうして歌っているのも彼らの音楽を聴いてきたおかげだと思っています。今日特集できてよかったと思います。改めて感謝したいですね。ということで番組、残り時間も少なくなってきました。今夜最後は僕の曲を聴いてください。アルバム『自由の岸辺』から曲は「ふたりの理由、その後」。

・ふたりの理由、その後

佐野元春 : Motoharu Radio Show。今夜は「日本のポップ・ロック1976年」と題して1976年に国内でリリースされたロック&ポップスを特集してみました。楽しんでもらえましたか? 来週は「Nothing But Pop!」、何はともあれポップ、みなさんの体温がちょっと上昇するそんなポップ・チューンを集めてみます。お楽しみに。「THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show」。次回の放送は来週7月24日、よる9時から。同じステーション、同じ時間でみなさんとお会いしたいと思います。DJ、佐野元春。ではまた来週。
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THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show #02

2020年07月10日 | Motoharu Radio Show

第二回:Middle of 60' -1966年のヒットレコード
The Monkeys - Last Train to Clarksville
The Beatles - Paperback Writer
The Byrds - Eight Mails High
The Supremes- My World Is Empty Without You
Jimmy Ruffin- What Becomes Of The Brokenhearted
The Four Seasons- I've Got You Under My Skin
The Beach Boy - God Only Knows
The Beatles - Rain
Bob Dylan - Rainy Day Women #12 & 35
The Temptations - Ain't Too Proud to Beg
Martha and The Vandellas - My Baby Loves Me
The Walker brothers - The Sun Ain't Gonna Shine Anymore
佐野元春 with The Heartland - Someday
Simon & Garfunkle - I Am a Rock
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■内容の一部を抜粋
佐野元春 : こんばんは佐野元春です。さて、今夜のMotoharu Radio Show、ポップ音楽の歴史の中で僕が個人的にいちばん気になってる時代。それは'60年代です。特にミドル・オブ・シックスティーズといわれる'60年代中盤のヒット・レコード。それはまるで魔法がかかったかのようにきらめいてます。番組今夜の特集はミドル・オブ・シックスティーズ。1966年のヒット・レコードを集めてみます。「THE MUSIC OF NOTE -Motoharu Radio Show」。DJ、佐野元春でお送りします。

・Last Train to Clarksville
ザ・モンキーズの「Last Train to Clarksville」。「恋の終列車」という邦題がついていた。当時人気絶頂だったビートルズに対抗しようということでオーディションによって作られたグループ。ザ・モンキーズ・ショーというテレビ番組もはじまってたちまち全米で人気ものになった。

・Paperback Writer
「Last Train to Clarksville」を作るときに参考にしたというビートルズの「Paperback Writer」。

佐野元春 : 確かにギターのリフの感じとか似てますよね。この曲を参考にしたというモンキーズの「Last Train to Clarksville」という曲。作詞作曲はソングライター・チーム、ボイス&ハート。モンキーズのスタッフ・ライターです。どうにかビートルズの人気を超えたいということで当時このモンキーズには一流のソングライターたちが曲を提供していました。

・Eight Miles High
ザ・バーズの「Eight Miles High」。日本では「霧の8マイル」という邦題がついていた。1966年、ザ・バーズの3枚目のスタジオ・アルバム『Fifth Dimension』からの曲。「それにしてもロジャー・マッギンの弾くリッケンバッカーの12弦ギターの音ですよね。このレコード、僕は何回も聴いていますけれども、このギター・サウンドいつ聴いても魅力的です」と元春。

・My World Is Empty Without You
モータウン・レーベルといえばシュープリームス。1966年の「My World Is Empty Without You」。

・What Becomes of the Brokenhearted
モータウン・レーベルの1966年のヒット曲からもう1曲、ジミー・ラフィン「What Becomes of the Brokenhearted」。

・I've Got You Under My Skin
以前、クリント・イーストウッドが監督した映画『ジャージー・ボーイズ』という映画も公開されたフランキー・ヴァリ & フォー・シーズンズ。「僕も観ましたけれども、とっても感動的ないい映画でした」と元春。フォー・シーズンズの1966年の「I've Got You Under My Skin」。曲をかけ終えて。「う~ん、最高にロマンティックな曲。フォー・シーズンズ、I've Got You Under My Skin」と元春。

佐野元春 : 今夜の特集はミドル・オブ・シックスティーズ。1966年のヒット・レコードを集めています。ポップ音楽の歴史の中で僕が個人的にいちばん気になってる時代、それは'60年代ですね。特にミドル・オブ・シックスティーズと呼ばれる'60年代中盤のヒット・レコード。素晴らしいレコードがたくさんあります。ロックンロール音楽を人間の成長に例えるとしたら、'50年代に生まれたロックンロール音楽が、'60年代の中盤になってちょうど思春期を迎えたという感じです。とにかく音楽が今聴いても新鮮なんですね。そして何よりもなにか新しいことをやってみようという実験の精神に溢れていた時代だったと思います。ではそんな自由でハッピーな時代に革命を起こした三組のアーティストです。ビートルズ、ビーチボーイズ、そしてボブ・ディラン。それぞれが1966年に出したレコードを聴いてみたいと思います。ビーチボーイズ、アルバム『Pet Sounds』から「God Only Knows」。ビートルズ、『Revolver』から「Rain」。そしてボブ・ディラン。アルバム『Blonde On Blonde』から「Rainy Day Women」。3曲続きます。

・God Only Knows
・Rain
・Rainy Day Women #12 & 35

佐野元春 : 今夜特集している'60年代中盤のポップ音楽。個人的に僕が魅力的に感じるのは米国デトロイトに本拠地があったモータウン・レコードですね。マイケル・ジャクソンがいたジャクソン5、ダイアナ・ロスとシュープリームス、テンプテーションズ、フォー・トップス、そしてスティービー・ワンダー。すごいスターが揃っていました。ベリー・ゴーディー・ジュニアという腕利きのプロデューサーのもとに、レーベルには専属の作詞作曲家、ミュージシャン、そしてアレンジャーがいました。このモータウン・レーベルが成功して'60年代中盤以降、R&Bが注目されます。ではここで'66年のR&Bヒット聴いてみたいと思います。テンプテーションズ、「Ain't Too Proud to Beg」。そしてマーサ & ヴァンデラス、「My Baby Loves Me」。2曲続きます。

・Ain't Too Proud to Beg
・My Baby Loves Me

・The Sun Ain't Gonna Shine Anymore
ザ・ウォーカー・ブラザーズの「The Sun Ain't Gonna Shine Anymore」。曲をかけ終えて。「 "君を失くしてしまった。太陽はもう輝いていないよ"そんなふうに歌ってます。すごくスケール感を感じる曲ですよね」と元春。

佐野元春 : '60年代には音楽プロデューサー、フィル・スペクターがウォール・オブ・サウンドといって、まるでオーケストラのようなスケールの大きいポップ・サウンドを発明しました。今聴いたこのザ・ウォーカー・ブラザーズの太陽はもう輝かない。この曲もたぶん、このフィル・スペクターのサウンドを意識していたと思います。日本では今は亡き大瀧詠一さんですね。大瀧さんがフィル・スペクター・サウンドについては本当によく研究していました。そうですね、これは名盤ですね。大瀧さんのアルバム『ロング・バケーション』。このアルバムが正に大瀧さん流のウォール・オブ・サウンドの完成形ではないかと思います。大瀧さん、天国で楽しくやってるんでしょうか。ときどき会いたいなって思います。そしてこの曲。この曲のサウンドも大瀧さんなくしては生まれませんでした。自分の曲でSomedayですね。あれは大瀧さんの『ロング・バケーション』のレコーディングだったと思います。伊藤銀次と二人、大瀧さんのスタジオに行ってレコーディングの様子を見ました。ドラム、ベースのほかにピアノが2台、ギターが4台、そしてパーカッション4人という、かなり多人数のレコーディングでしたね。それらの楽器がいっぺんに鳴ることによって独特のウォール・オブ・サウンドができたわけです。これは僕自身もかなりヒントになりました。さっそく僕もそれを参考にしてレコーディングしました。その曲がSomedayです。

・Someday
曲をかけ終えて。「この9月にソニーと僕のレーベルから二組のベスト盤が出ます。この曲、Somedayはソニーからのベスト盤に入ります。今夜は2020年最新リマスタリングの音で聴いていただきました」と元春。

佐野元春 : Motoharu Radio Show。この番組は大阪のFMステーション、FM COCOLOから放送しています。レコードのキャンペーンなどで僕もこちらFM802そしてFM COCOLO、よく来ますけれども、いつも活気があって素敵なステーションですね。しかし便利になりました。最近ではradikoというアプリケーションを使って日本全国どこでもこの番組が聴けるようになっています。そうなんですよね、まぁ、有料なんですけれどもradiko premium というオプションに登録すれば、関西以外の方でも番組が聴けます。是非、音楽好きの友だちや仲間にも知らせてください。
さて、そろそろお別れの時間が来てしまいました。今夜は'60年代中盤のヒット・レコードを特集してきました。僕が好きなソングライターのひとりにポール・サイモンがいます。そうですね、ポール・サイモンの曲、今夜特集している1966年のレコード何かないか探してみたらありました。正確にはサイモン&ガーファンクルのレコードですね。「I Am a Rock」という曲。歌の中ではこんなこと言ってます。"僕には本がある 僕にはポエトリーがある それが僕を守ってくれる たとえ僕が岩のように孤独だとしても" 今夜最後の曲はサイモン&ガーファンクルのレコードから「I Am a Rock」。この曲を聴いてお別れです。

・I Am a Rock

佐野元春 : 今夜のMotoharu Radio Show。「Middle of 60'」と題して1966年のヒット・レコードを集めてみました。楽しんでもらえましたか? 来週は70年代の日本のロックを特集します。ムーンライダーズ、吉田美奈子、細野晴臣ほか、素晴らしい70年代国内アーティストたちのレコードを用意します。お楽しみに。「THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show」。次回の放送は来週7月17日、よる9時から。同じステーション、同じ時間でみなさんとお会いしたいと思います。DJ、佐野元春。ではまた来週。
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THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show #01

2020年07月03日 | Motoharu Radio Show

2020/07/03 OnAir 僕のレコード・ラックから
M1 Take It Easy - Eagles
M2 Domino - Van Morison
M3 Dirty Work - Steely Dan
M4 Stupidly Happy - XTC
M5 You Never Know - Wilco
M6 Shoegaze - Alabama Shakes
M7 Made to break your heart - Los Lobos
M8 Beautiful Day - U2
M9 Rocks Off - Rolling Stones
M10 Tell Me Where It Hurts - Garbage
M11 Human - Pretenders
M12 エンタテイメント! - 佐野元春 & THE COYOTE BAND
---------------------------------------------------
■内容の一部を抜粋
佐野元春 : こんばんは佐野元春です。今月7月から9月までの三ヶ月間、「THE MUSIC OF NOTE」でDJ担当することになりました。FM COCOLOでのDJは今回がはじめて。ちょっと緊張していますけれども「THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show」。これからの三ヶ月間どうぞよろしくお願いします。さて、今夜のテーマはこれです。「僕のレコード・ラックから」。十代の頃から慣れ親しんだレコードをみなさんに紹介したいと思います。「THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show」。DJ、佐野元春でお送りします。

・Take It Easy
今夜のテーマは「僕のレコード・ラックから」。1曲目は1972年に発表されたイーグルスの名曲「Take It Easy」。"どんなときも気楽にいこうぜ"と歌っている。

・Domino
ヴァン・モリソンの'70年代のヒット・レコード「Domino」。キャリアの長いヴァン・モリソンも「ちょうどこの時期、70年代に出したレコードはどれも素晴らしいです」と元春。"今は変化のとき。少し休んでまた進んでいこう"そんなふうに歌っている。

・Dirty Work
スティーリー・ダンの「Dirty Work」。「いつ聴いてもモダンなバンド・サウンド、スティーリー・ダン。70年代のヒット・レコード。"もうあんたのために汚れた仕事はしたくないよ"、そんなふうに歌っています。まぁ、世の中そんなふうに思ってる方、きっとたくさんいるんじゃないでしょうか?」と元春。

佐野元春 : そうですね。この番組は特に新しい世代のリスナーに広く聴いていただけるといいなと思っています。新しい世代というと、例えば15歳から25歳くらいのみなさんでしょうか。まぁ、自分が振り返ってみると音楽にいちばん敏感に反応したのがこの15歳から25歳くらいの頃でした。音楽だけではなく、映画や本、ラジオやテレビ番組など、この頃に触れたものはその先の人生にとても大きな影響を与えたと思います。まぁ、そんなわけでこの番組では広い世代のみなさんとロック音楽を通じて楽しい時間を分かち合えるとうれしいです。ここでアメリカ、イギリス、僕がクリエィティブだなと思うバンド、ふたつ紹介します。ひとつはXTC。80年代、ニューウェイブ、パンク・ムーブメントの中で、一際クリエイティブな音を出していたバンドでした。詩の世界もとても英国的でちょっと一筋縄でいかないといったバンドです。現在はバンドは解散状態で、リーダーのアンディ・パートリッジが自分のレーベルを作って活動を続けているようです。そしてアメリカのバンドではWilco。とても個性的なソングライティング。音楽的にはロックの正統派のようなサウンドなんですが、よく聴いてみると実にクリエイティブで、とてもいい感じですね。ではここで彼らのレコードを聴いてみます。

・Stupidly Happy
・You Never Know

佐野元春 : ここで比較的最近のレコードから、ちょっと僕が気になってるレコードを聴いてみたいと思います。ひとつがアラバマ・シェイクス、そしてもうひとつがロス・ロボス。アラバマ・シェイクスは10年ぐらい前にデビューしたバンドですけれども、演奏がとてもしっかりしていて個人的にとても好きなバンドのひとつです。ソングライターでギタリストの女性、ブリトニー・ハワードを中心とした5人編成のバンド。ブルーズを基本にした渋い音楽なんですが、2013年のグラミー賞で新人賞と最優秀ロック演奏賞で候補にあがりました。もうひとつのバンド、ロス・ロボスも魅力的です。メンバーはメキシコ系アメリカ人で5人編成のバンド。基本的にアメリカのルーツ音楽やメキシコの音楽が土台にあるんですけれども、ときどき新しい試みも入れたりして、ちょっと不思議なバンドです。ではここで彼らのレコードを聴いてみます。

・Shoegaze
・Made To Break Your Heart

曲をかけ終えて。
「あぁ、こういう音楽を聴くとライヴやりたくなりますね。そうですね。今はだいぶ収まったように見えますが新型コロナウイルス、まだまだ油断はできない状態です。こんなときに聴く音楽はやはり希望を感じるような曲がいいですね。この後はU2のレコード、曲はBeautiful Dayに続きます」と元春。

・Beautiful Day

・Rocks Off

佐野元春 : ローリング・ストーンズ、曲は「Rocks Off」。そうですね、ローリング・ストーンズも本当にキャリアの長いバンド。スタジオ・アルバムもたくさん出していますけれども、僕が個人的に好きなのはストーンズ70年代のアルバムですね。今聴いていただいた「Rocks Off」。この曲が収録されているのは『Exile on Main St.』。邦題は「メイン・ストリートのならず者」。1972年のレコードです。数あるストーンズのアルバムの中で、僕は個人的にはこのアルバムがいちばん好きです。

佐野元春 : さて、ロック音楽というともちろん男性だけではなく、女性にも素晴らしいミュージシャンたちがたくさんいます。ここで聴いてみたいのは二人の女性ロック・ヴォーカリスト。クリッシー・ハインドとシャーリー・マンソン。それぞれプリテンダーズ、そしてガベージというバンドのヴォーカリストです。これが不思議なことに二人の声が本当によく似てるんです。調べてみたらこの二人、2006年アトランティック・シティでのライヴで共演して、それがレコードにもなってるようです。やはり似た者同士。自然に引き合うということでしょうか。プリテンダーズにガベージ。僕はどちらのバンドも好きです。どちらも踊りたくなるようなパワー・ポップが魅力ですね。ではここで彼らのレコードを聴いてみます。ガベージ「Tell Me Where It Hurts」、そしてプリテンダーズ「Human 」。2曲続きます。

・Tell Me Where It Hurts
・Human

曲をかけ終えて。
「かっこいい二人の女性ロッカー。ガベージのシャーリー・マンソン、そして今聴いたのがプリテンダーズのクリッシー・ハインド。そうですね。トッド・ラングレンとホール&オーツのダリル・ホール。この二人とも声とヴォーカル・スタイル似てますけれども、女性ヴォーカリストではこの二人ですね、まるで兄弟のようです」と元春。

佐野元春 : さて、「THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show」。三ヶ月という期間限定のプログラム。どんなレコードを紹介していこうか、不安が半分、楽しみが半分という感じです。これだけ音楽が溢れていてみなさんがどんな曲が聴きたいのか。正直言って僕自身はわかってないので悩みますね。ただはっきりしているのは、この番組ではグッド・ミュージックをできるだけたくさん届けていきたいということです。時代に関係なく流行り廃りに関係なく、僕の胸をヒットした曲を紹介していきたいと思います。
さて、これはちょっと自分の話になりますけれども、今年は自分がデビューして40周年目を迎えました。これまで続けられたのもファンのみなさんのおかげだと思っています。この場を借りて、本当にどうもありがとうと伝えたいです。ということで今年はファンのみなさんへの感謝を込めて、全国ツアー、夏のロック・フェスといろいろと計画していたんですけれども、残念ながらこの新型コロナウイルスの影響でなかなか思うように動けていません。ちょっと肩透かしを食らったような感じになっています。まぁ、こういうときなので本当にエンターテイメントって大事だなって思ってる方もいると思います。関西地区でも僕が知ってる限り、プロモーターのみなさん本当に熱心にがんばってます。新たな危機を迎えてるエンターテイメント。どうにかこの試練を乗り越えて復活してほしいなと思っています。さて時間も残り少なくなってきました。この9月に僕のベスト・アルバム(『THE ESSENTIAL TRACKS MOTOHARU SANO & THE COYOTE BAND 2005 - 2020』)が出るんですけれども、そのアルバムに入ってる僕の新曲を聴いてください。佐野元春 & コヨーテバンド、曲は「エンターテイメント!」。

・エンターテイメント!

佐野元春 : 今夜のMotoharu Radio Show。「僕のレコード・ラックから」と題して十代の頃から慣れ親しんだレコードをみなさんに紹介しました。楽しんでいただけましたか? 来週はミドル・オブ 60'Sのレコード、ビートルズ、バーズ、シュープリームスほか、ご機嫌な曲たくさん集めてみます。お楽しみに。「THE MUSIC OF NOTE - Motoharu Radio Show」。次回の放送は来週7月10日、よる9時から。同じステーション、同じ時間でみなさんとお会いしたいと思います。DJ、佐野元春。ではまた来週。
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RADIO SWITCH スペシャル・エディション ~ MOTOHARU RADIO SHOW

2020年05月10日 | Motoharu Radio Show

2020/05/09 OnAir パンデミックの夜を穏やかに過ごす
01.Stevie Wonder:Don't You Worry 'bout A Thing
02.Jimmy Cliff:I Can See Clear Now
03.Sheryl Crow:Everyday Is A Winding Road
04.Bill Withers:Lean On Me
05.Bill Withers:Don't It Make It Better
06.Bill Withers:Lovely Day
07.Tahiti 80:Soul Deep
08.Richard Ashcroft:Music Is Power
09.Tama Impala:Patience
10.佐野元春 & The Coyote Band:エンターテイメント!
11.Todd Rundgren:Chance For Us feat. Daryl Hall & Bobby Strickland
---------------------------------------------------
■内容の一部を抜粋
佐野元春 : こんばんは佐野元春です。この番組は東京六本木J-WAVEのスタジオから届けています。RADIO SWITCHの編集長、新井敏記さん。先日彼から連絡をもらって「番組やってみないか?」ということで一時間いただきました。うれしいですね。マイクロフォンの前に座るのは久しぶり。ちょっと緊張していますけれども。RADIO SWITCH特別編、Motoharu Radio Show。今夜のテーマはこれです。「パンデミックの夜を穏やかに過ごす」。不安な毎日が続いてますけれども、私たちの心に寄り添ってくれる音楽。そしてソングライターたちの声ですね。そこに耳を傾けてみたいと思います。これからの一時間お付き合いください。DJ、佐野元春でお送りします。

・Don't You Worry 'bout A Thing
「とにかく心配するなよ」そんなふうに歌っているスティービー・ワンダーの名曲「Don't You Worry 'bout A Thing」。

・I Can See Clear Now
ジミー・クリフの'70年代の名曲「I Can See Clear Now」。ジョニー・ナッシュのヒット曲のカヴァー。「そうさ、みんなこれから明るくなるんだ」と歌っている。

・Everyday Is A Winding Road
アメリカのシンガー・ソングライター、シェリル・クロウの'90年代のヒット・レコード「Everyday Is A Winding Road」。「毎日は曲がりくねった道のよう。よいときもあれば悪いときもある」そんなふうに歌っている。

佐野元春 : 残念なニュースがありました。今年の四月、ソウル・ミュージックのレジェンド、ビル・ウィザースが亡くなりました。'70年代に活躍したアーティストです。「Lean On Me」、「Lovely Day」、「A'int No Sunshine」、本当に多くの名曲を残しました。アメリカ、ウェスト・ヴァージニア州出身のシンガー・ソングライター。グラミー賞三回受賞しています。話によるとブッカーT.ジョーンズが彼のデモ・テープを聴いて気にいったということ。それがきっかけでデビューしたということです。デビュー・アルパムは『Just As I Am』。ブッカーT.ジョーンズのプロデュースということで彼のバンド、MG'Sのメンバーがバックアップしています。ドナルド"ダック"ダン、アル・ジャクソン、そしてギターにはこのときスティーヴン・スティルスが参加しています。1971年のリリース、このデビュー・アルバムがヒットして注目されました。その後、順調にツアー、そしてレコーディングと続けていたんですけれども、残念ながら'80年代に入ってから引退をしています。そして今年の四月ですよね、ビル・ウィザース、彼が亡くなったというニュースが入りました。当時、ソーシャル・メディアでも追悼のコメントがたくさん出ていました。ビーチボーイズのブライアン・ウィルソン、レニー・クラヴィッツ、ポール・マッカートニーほか、本当に多くのミュージシャンたちが悲しみの追悼をしていました。それだけリスペクトされていたということだと思います。ではここでビル・ウィザースの曲を3曲。「くじけそうなときは僕のことを頼ってくれ」そんなふうに歌う「Lean On Me」、続いて「Don't It Make It Better」、そして「Lovely Day」。ビル・ウィザース、3曲続きます。

・Lean On Me
・Don't It Make It Better
・Lovely Day

佐野元春 : 先日、誰かが書いたコラムにこんなタイトルを見つけました。「世界の都市の大気汚染、ロックダウンで異例の改善」。確かCNNの記事だったと思います。その記事によると世界の主要都市でかつてないほど大気がきれいになったというそういうレポートでした。まっ、そりゃそうですよね。世界中、飛行機も工場もみんなお休みしている。大気が元に戻ってまるで地球が息を吹き返したかのようなそんなイメージだろうと思います。僕はこの記事を読んだとき、「あっ、物事っていうのは悪いことの反面、いいことも同時に起こってるんだなぁ」と、そう思いました。どうしても暗くなりがちな毎日ですけれども、見方によってはちょっとうれしいことがある。そんな感じでしょうか。ただこれは事態が収束した後どうなるんだというと、正直ちょっと心配ですよね。また元に戻ってしまうのかもしれません。ですので、僕は今この瞬間ですね、地球が正に一瞬ですけれども息を吹き返しているという、これ言ってみればひとつの経験ですよね。この貴重な経験を決して忘れないようにしておこう、そんなふうに思っています。みなさんはどう思いましたか?

・Soul Deep
・Music Is Power
タヒチ80「Soul Deep」、リチャード・アシュクロフト「Music Is Power」2曲続けて。

佐野元春 : パンデミックの夜、今みなさんはどんなふうにして過ごしていますか? そうですね、もちろん我慢しなくっちゃいけないことはわかっていますが、正直に言って早く元の日常に戻りたいですよね。Motoharu Radio Show。この後はテーム・インパラのレコードを紹介します。このタイトルは「忍耐」と訳していいんでしょうか? 曲は「Patience」に続きます。

・Patience

佐野元春 : ちょっと自分のことになるんですけれども、今一緒にやってるバンド、コヨーテバンドですよね。今年で結成15年目を迎えました。この前のバンドがホーボーキングバンド、そしてその前がハートランドというバンドでした。前のバンド、それぞれ15年やりましたから、いよいよこれでコヨーテバンドも歴代のバンドと肩を並べたなぁという感じですね。メンバーを紹介します。ドラムス小松シゲル、ベース高桑圭、ギター深沼元昭と藤田顯、そしてキーボードは渡辺シュンスケ。彼らとはライヴにレコードに活動をずっと一緒にやってきました。まぁ、本当にみんな仲がいいですね。それぞれのミュージシャンたち、お互いにリスペクトし合ってるという、それがバンドを長くやっていくにあたって、いちばん大事なことなのかなぁって思います。まぁ、この話はどうなんでしょうか。僕も後から聞いてちょっとびっくりしたんですけれども。血液型ですね。自分はB型なんですけれども、コヨーテバンド他のメンバーは5人とも全員O型ということ。これちょっと珍しくないですか? よく血液型O型の人はB型の面倒を見るという、そんな話も聞きました。ということはコヨーテバンドの場合、5人が束になって僕の面倒を見てくれてると、そういうことになります。これはもうありがたいですよね。世の中には世話の焼ける人というのがいます。誰かがちゃんと面倒を見てあげないと、とっ散らかっちゃうというね。みなさんの周りにもそういう人いるんじゃないでしょうか。面倒くさい人ですよね。僕がそうなのかどうかちょっとわかりませんけれども、気がつくとレコーディングでもライヴでもうまくいってるんですよね。きっと見えないところで僕のことをリカバリーしてくれてるという、そう考えるとバンドのみんなに本当に15年間どうもありがとう、そういう感じですね。ここにきて本当に感謝が絶えません。そんな佐野元春 & コヨーテバンド。結成15周年を記念してベスト・アルバムが出ます。タイトルは『THE ESSENTIAL TRACKS MOTOHARU SANO & THE COYOTE BAND 2005 - 2020』。2枚組になっていて全部で34曲収録しています。ただ曲を集めただけじゃなくてミックスが違うヴァージョンとか、編集したヴァージョンとか、新しく聴いてもらう曲も何曲かあります。そうですね、'80年代から僕の音楽を聴いてくれてる人たちだけではなく、最近聴いて気に入ってくれたという新しいファンの人たちまで、みんな楽しんでもらえるベスト・アルバムだと思うので、是非、パッケージを手にして聴いてみてください。ではここでそのベスト・アルバムにも収録する僕らの新曲を紹介させてください。こういうときなので本当にエンターテイメントってのは大事だなぁっと思ってる方もいると思います。今、新たな危機を迎えているエンターテイメント。どうにかこの試練を乗り越えて復活してほしいなぁと思っています。では聴いてください。佐野元春 & コヨーテバンド、曲は「エンターテイメント!」。

・エンターテイメント!

佐野元春 : さて残りの時間も少なくなってきてしまいました。いろいろと世の中にはエンターテイメントがありますけれども、やはりラジオは特別ですね。今、音楽の聴き方、楽しみ方っていうのは本当に様々だと思います。アップルミュージックとかスポティファイ、そのほかいろいろな配信サービスも出てきています。、でもやっぱり僕はラジオの魅力というのはかけがえのないものだと思っています。全国DJのみなさん、是非これからも僕らに素敵な音楽をいっぱい届けてください。よろしくお願いします。RADIO SWITCH特別編、Motoharu Radio Show。今夜最後の曲はトッド・ラングレン。「僕らにもチャンスはあるよね」そんなふうに歌っています。ヴォーカルにダリル・ホール、そしてボビー・ストリックランドがフィーチャーされています。「Chance For Us」、トッド・ラングレン。

・Chance For Us

佐野元春 : 今夜のMotoharu Radio Show。「パンデミックの夜を穏やかに過ごす」。そんなテーマで進めてきました。いかがでしたか? RADIO SWITCHの編集長、新井敏記さん、そして彼が立ち上げたマガジンのほうのSWITCHですね。今年で創刊35周年目ということ。おめでとうございます。ひとつの雑誌がこれだけ長続きするというのは本当に大変なことです。心からお祝いしたいと思います。今回はRADIO SWITCHの枠を借りて、一夜限りのMotoharu Radio Show。久しぶりのDJとても楽しくできました。番組スタッフのみなさん、そしてリスナーのみなさん、お付き合いどうもありがとう。まぁ、今回に限らず、また声が掛かるのを待ってます。是非、また呼んでください。DJ、佐野元春。ではまたいずれ。
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「THIS! 2016」OTONANOスペシャル 第二回

2016年07月29日 | Motoharu Radio Show

2016/07/27 OnAir - 「THIS! 2016」OTONANOスペシャル 第二回
1. SPF / GRAPEVINE
2. Big tree song / GRAPEVINE
3. 迷信 / GRAPEVINE
4. Down Town Boy(LIVE) / 佐野元春 and THE COYOTE GRAND ROCKESTRA
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■内容の一部を抜粋
佐野元春 : Motoharu Radio Show、「THIS! 2016」OTONANOスペシャルをお聴きのみなさん、こんにちは佐野元春です。この番組は東京乃木坂、ソニー・スタジオからお届けしています。OTONANOのネット・ラジオ。今回はこの夏に行われる音楽イベント「THIS! 2016」を記念して特別番組をお届けしています。Motoharu Radio Show、「THIS! 2016」OTONANOスペシャル。前回の中村一義くんに続いて今回はGRAPEVINEの特集です。これからの30分、リスナーのみなさんと楽しい時間を過ごしていきたいと思います。詳しいことはまた番組の中で。Motoharu Radio Show、DJ、佐野元春でお送りします。
http://www.110107.com/mob/pageShw.php?site=OTONANO&ima=4233&cd=motoharu_radio

佐野元春 : さて、2016年この夏、東京国際フォーラムでライヴ・イベント「THIS!」が開催されます。このイベントは僕、佐野元春がナビゲートするロックンロール・ショーケース。国内第一級のロック・クリエイターを紹介しています。今回このライヴ・イベント「THIS!」に出演してくれるのは中村一義、そしてGRAPEVINE。いずれも世代を超えて熱い支持を得ている二組です。この番組ではコンサートに先立って彼らの音楽の魅力に触れてみたいと思います。一曲目聴いてみたいのはGRAPEVINEのレコード、最新アルバム『BABEL,BABEL』から曲は「SPF」。

・SPF

佐野元春 : さて、今聴いていただいてるのはGRAPEVINE。最新アルバム『BABEL,BABEL』から曲は「SPF」ですね。1993年に大阪でバンドを結成して、これまで14枚のスタジオ・アルバムを出しています。ヴォーカル、ギター、田中和将、ギター、西川弘剛、そしてドラムス、亀井亨。GRAPEVINEの音楽はとても魅力的です。特に同じソングライターとして、バンドのフロント・マン、田中くんの書くリリックが興味深いです。言葉のリズムを捉えながら、同時にメッセージも込めているという、かなり高度なソングライティングを感じます。そして作曲を担当しているのがドラムスの亀井くん。素晴らしいメロディメイカーです。GRAPEVINEの音楽は主に田中くんと亀井くんという完璧なソングライティング・チームによってできてるわけです。

・Big tree song

佐野元春 : 今聴いていただいてる曲はGRAPEVINE、サウンドのデザインがとても美しいですよね。曲は「Big tree song」。GRAPEVINE、実は僕にとって近いところにいるバンドです。というのは一時期、ギタリストの長田進くんがGRAPEVINEのプロデュースを担当していました。長田進くんといえば'80年代、僕のバッキングを務めてくれたザ・ハートランドのオリジナル・メンバーです。ということもあってGRAPEVINEのことはよく長田くんから話を聞いていました。その長田進くんから番組リスナーのみなさんにコメントが届いています。プロデューサーの視点でGRAPVINEの魅力を語ってくれました。

長田進 : こんにちは長田です。GRAPVINEの魅力というのはですね、まず彼らの持ってるメロディに対するセンスというのですかね、それは洋楽邦楽問わずいろんな様々なジャンルからの引き出しを持っているということですよね。それを彼らなりに消化して表現できるということでしょうか。二つ目としては、田中くんの詩とか、バンドのアレンジの表現手段とか、物事をこう裏側からきちっと見れるというか、ありきたりの表現を一回排して、ちゃんと裏側から見て、そして表現できる、センスを持っているということでしょうかね。三つ目としてはあくなき音楽への好奇心を持続しているというか、そういうバンドであるということでしょうかね。四つ目としてはお酒を飲ますとそれぞれおもしろいということでしょうか。今回ライヴを一緒に参加するということで楽しんでください。僕も機会があったら、なんか聴けたらいいなと思ってます。それではバイバイ。

佐野元春 : 長田くん、どうもありがとう。なんかぶっきらぼうですけれどもGRAPEVINEへの愛情を感じるいいコメントでした。そうですね、GRAPEVINEがデビューした'90年代後半、他にもアナログフィッシュ、トライセラトップス、くるり、ピロウズ、そしてメロウヘッド、そうしたクリエイティヴでご機嫌なバンドたくさん活躍していました。もちろん彼らは現在でも質の高い音楽を作り続けています。機会があったら是非、彼らの音楽を楽しんでみてください。

佐野元春 : さて、8月10日水曜日、東京国際フォーラムで行われる「THIS! 2016」。出演は中村一義、GRAPEVINE、そして僕、佐野元春 and THE COYOTE BAND。もちろんお互いによく知っているんですけれども、同じステージに立つというのは今回が初めてとなります。どんなライヴになるのか今から楽しみです。番組リスナーのみなさんに、そのGRAPEVINE田中くんからコメントが届いているので聴いてみたいと思います。

田中和将 : Motoharu Radio Show、「THIS! 2016」OTONANOスペシャルをお聴きのみなさん、そして佐野さん、こんにちはGRAPEVINEです、ヴォーカルの田中です。今回このライヴ・イベント「THIS! 2016」、佐野さんからお声をいただきましてですね、出ることが決定しました。ひじょうに光栄に極みであります。佐野さんのことは僕も古くからのヘヴィ・リスナーのひとりなんですけれども、『No Damage』以前の佐野さんはもちろん、そしてそれ以降の佐野さんのほうが僕の心にグッときまして、それ以来ずっと聴き続けておるわけでございます。実を言うとハートランド時代のギタリスト長田進さんとも我々一緒にやってた時期もありまして、長田さんからも佐野さんの人となりや音楽のこといろいろと教わったこともありまして、個人的にはそんなに遠い存在だと感じておりません。ひじょうに身近な存在とおこがましいながら感じていただいてる次第でございます。なので今回の「THIS!」ひじょうに楽しみにしております。我々も気合入れていきたいと思いますが。何気に中村一義さんともですね、我々初めてでございまして、中村一義さんとはおそらくデビューした時期も近くてですね、同じ時期を過ごしてると思うんですが、これが不思議なことに全く会ったことがなくてですね、これまで一緒になったことほぼないので、そちらのほうも楽しみにしております。というわけで我々GRAPEVINEにとってはこの「THIS! 2016」ひじょうにこの夏の一大イベントなのでですね、ものすごく楽しみにしておりますので、観に来てくれるお客さんも是非、楽しみにしといてください。はい、というわけでGRAPEVINEでした。

佐野元春 : 田中くん、どうもありがとう。当日のライヴ楽しみにしています。ではここでGRAPEVINEのレコードで、曲は「迷信」。

・迷信

佐野元春 : さて、今聴いていただいてる曲はGRAPEVINE。これもサウンドのデザインがとても美しいですよね、僕は好きです。曲は「迷信」聴いています。8月10日水曜日、東京国際フォーラムで行われる「THIS! 2016」。出演は中村一義、GRAPEVINE、そして僕、佐野元春 and THE COYOTE BAND。そうですね、中村一義くん、GRAPEVINEの素晴らしいレコードを聴いてもらったので、ここで僕の曲も一曲聴いてください。先日、東京国際フォーラムで行った35周年記念ライヴからこの曲です。「Down Town Boy」。

・Down Town Boy(LIVE)

佐野元春 : Motoharu Radio Show、「THIS! 2016」OTONANOスペシャル。8月10日水曜日、東京国際フォーラムで行われる「THIS! 2016」。出演は中村一義、GRAPEVINE、そして僕、佐野元春 and THE COYOTE BAND。確か翌日は国民の祝日だったかと思います。ゆっくり楽しんでいただけるのではないかと思います。チケット発売中です。是非、夏のひととき僕らとご機嫌な時間を過ごしましょう。待ってます。専用のFacebookも用意してるので、チェックしてみてください。さて、18歳選挙権。今年の参院選から18歳19歳の十代も選挙に参加できるようになりました。これをお祝いして8月10日、東京国際フォーラムで行われる音楽イベント「THIS! 2016」では18歳19歳の学生・社会人のみなさんを無料で招待したいと思います。当日、年齢を証明するものを窓口で提示していただければ入場できます。8月10日水曜日、18歳19歳の学生・社会人のみなさんは是非、東京国際フォーラムで素晴らしいロックンロール体験をしてみてください。祝18歳選挙権無料招待のお知らせでした。番組を聴いてくれたみなさん、どうもありがとう。では東京国際フォーラムの会場でお会いしましょう。DJ、佐野元春でした。
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