フランス語読解教室 II

 多様なフランス語の文章を通して、フランス語を読む楽しさを味わってみて下さい。

Lecon 124 注釈と試訳

2007年10月03日 | Weblog
 [注釈]
* s'il est vrai que le passe' y laisse des traces... : ここは、物質というものがあくまで現在にとどまるものだ、という文章を受けるところですから、この si は「譲歩」を意味します。つまり、「なるほど…だが」
* elle, retient ce passe', l'enroule sur lui-m^me... : la conscience enroule le passe' sur lui-me^me <--> le temps se de'roule この対立に注意して下さい。
* l'objet me^me de la vie humaine : obljet は、「対象、的、目的」を意味する言葉です。ですから、ここは「人間の命の目標そのもの」。

 [試訳]
 時間についてはどうでしょうか。身体は物質ですが、物質というものは、今現在あるものですね。ところで、確かに過去が物質に何らかの痕跡を残すことはありますが、そうした過去の痕跡も、それに気づき、気づいたものをその記憶の光に照らして解釈する意識にとってのみ存在するのです。つまり、流れる時間の中で過去を押しとどめるのは意識であり、やがてその過去とともに、意識は未来を創造することになるのです。同様に、先程話題にした意思的な行為も、それ以前の経験の中で学んだ運動の総体に他なりません。その運動はまた、この意思の力によってそのつど新たな方向に向かうのですが、世界に常に新しい何かをもたらすことが、その意思の役割であるかのようです。そうです。この力はそれ自身の外に新たなものを創造するのです。なぜなら、意思の力は空間において、思いがけない、予測できない運動を描き出すからです。さらに意思の力は、それ自身の内部においても、新たなものを創造します。というのも、意思的な行為はそれを望んだ者にはね返り、一定程度その行為を生み出した者の性質を変えてしまいます。そうしてある種の奇跡によって、自己による自己の創造を成し遂げるのですが、それこそが人間の生命の目標であるかのように思われます。
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 Moze さん、コメントの編集についてですが、申し訳ないのですが、どうしたらよいかわかりません。もし他にご存知の方がありましたら、教えていただけますか。
 さて、ベルクソンですが、次回を最終回とします。Telle est l'apparence で区切ることとしましょう。
 
 それから、旧「フランス語読解教室」ですが、データの移行が可能だったのは「日記」のみで、皆さんに利用してもらっていた「掲示板」の内容は移行できないものでした。ただ、
 http://cafe.ocn.ne.jp/profile/mshuhei/bbs
 に、「目次」のみ移しました。また何かの参考にして下さい。
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