フランス語読解教室 II

 多様なフランス語の文章を通して、フランス語を読む楽しさを味わってみて下さい。

サルコジの新年 (2)

2009年01月21日 | Weblog
 [注釈]
 
 * A juste titre : Les relances からはじまる前文を受けています。
 * l'expe'rience de 1981 : 明子さんが調べて下さったように、1981年は 社会党出身の Francois Mittrrand が大統領に就任し、議会でも同党が多くの議席を占めた年です。折からの経済不況に対する政策は、主要企業の国営化をはじめ、いわゆる「大きな政府」路線だったわけです。
 ぼくはまだフランス語に接する前で、当時のこれといった記憶はありませんが、往時のミッテランの登場は、「小さな政府」を見直そうとしているオバマ大統領の誕生と、ひょっとすると似ていたところがあったかもしれませんね。
 * un pays champion du monde (...) avec la Sude`de : フランスの公共支出の大きさはスウェーデンと並ぶ。
 * Il ne prote`ge gue`re (… ) : Il は、Etat francais のことです。
 * L'irresponsabilite' du monde finance : 今回の世界的な金融危機に際しての金融界の無責任
 * l'orthodoxie budge'taire, des efforts ne'cessaires : 財政のことにはまったく疎いので、ここは正直申し上げてよくわかりません。ただ、orthodoxie...と des efforts...は、財政政策に対する対照的な態度なのでしょうね。これも宿題にさせて下さい。

 [試訳]
 
 それも当然であろう。1973年の石油危機と1981年の経験の後の経済振興で明らかになったのは、消費を財政援助によって下支えしようとするのは非現実的だということだからだ。英国の消費税引き下げと比較するのは少し適当ではない。イギリスの台所事情は深刻な債務超過であるが、フランス人の預貯金は潤沢であり、そこに頼るのが賢明だ。
 しかしながら、景気の後退はそれとして、フランス経済の本当の弱点が消えてしまうわけではない。国家に救済を要請するのはいいしても、国のパーフォーマンスは、スウェーデンと並んで公共支出世界一の国の水準からは程遠い。フランス国家は高くつく割には私たちを守ってくれない。公共政策の全般的な見直しをやっても、わずかな期間だけ節約が出来るに過ぎない。研究開発、医療、国土の編成、司法などの改革が謳われてはいるが、それが小手先の改革に終わらなければ、歓迎すべきである。無責任であったのは金融界であったとしても、正統的な予算論者でも、必要に応じた柔軟な対応を認めるわけでもなかったニコラ・サルコジの責任は免れない。具体的な成果を上げられなければ、任期半ばで早くも、大統領の行動主義は、空騒ぎでしかなかったことになるであろう。
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 じつは、昨年この教室で取り上げたかった教材に1968年、いわゆる「五月革命」に関する文章と、昨年100歳の誕生日を迎えた Le'vi-Strauss の著作があります。09年を迎えて、 anniverssaire 後追いになりますが、次回からしばらく、 後者レヴィ-ストロースの『悲しき熱帯』を読むことにします。
 ページ数は、教材向けにぼくがつけたものです。今回は、p.1 e'clairecissements ne'cesaires. までとしましょう。
 また、レヴィ-ストロース『悲しき熱帯』のテキストご希望の方は、
 smarcel@mail.goo.ne.jp
 までご一報下さい。
smarcel