[注釈]
* il tira (...) un papier (...) qu'il fit semblant de lire : ここの関係代名詞 que は et と解した方がいいでしょう。つまり、「頭は紙を取り出し、読む振りをした」
* a` celui-ci, contre un arc (...) un sabre d'abatis : ここは、直前の la liste des objets que je devais donner en retour des cadeaux offerts という文脈からすると、「ある者には弓と矢のお返しに伐採用の刀」ということです。
* qu'il avait obtenu l'alliance : que は、les persuader que.…, qu'il avait obtenu とつながっています。
* nous nous mi^mes en retoute : se mettre en route 「出発する」かけ声で、En route ! となれば「出発 !」です。
[試訳]
ところで、グループの頭は、皆を集めると背負い籠からねじれた線で覆われた一枚の紙を取り出し、それを読む振りをしたのです。あたかも迷いながら、頂戴した贈り物のお返しに私が用意しなければならない品物のリストを、彼はそこに読もうとしているのです。ある者には、弓と矢とのお返しに伐採用の刀 ! また別のものに対しては首飾りのお返しに真珠 ! という具合。このお芝居は2時間続きました。頭の望みは何だったのでしょうか。多分、自分自身を欺くことだったのでしょう。いや、むしろ仲間を驚かすこと、自分の仲介があって品物が手に入るのだと仲間に思わせることでしょう。自分は白人とすでに親しく、その秘密にも与していると思わせたいのでしょう。私たちはそそくさとその場を立ち去りました。というのも、もっとも恐れなければならないのは、私がもたらした奇跡が他のものの手に渡ってしまうことだったことは、間違いないからです。ですから、ことをこじらせないためにも私たちは出発しました。相変わらずインディアンに導かれて。
滞在は不首尾に終わり、自分が図らずもこけおどしの道具にされたことで、刺々しい雰囲気が生まれていました。そのうえ私のロバが口内炎で、口元が痛そうでした。痛みに耐えかねて歩き出したかと思うと、突然立ち止まったり。私たちはやりあってしまいました。知らぬあいだに私は草原の中で方角も失い、ひとりぼっちになっていました。
**********************************************************
月曜でしたか、Moze さんの書き込みを読んで、思わず、あ、と声を上げてしまいました。そうでした。前日の夜、テレビのことがなにか引っかかっていたのですが、気になりながらも、ネットで Le Monde を読んでいたか、本を読んでいたりしていたのでした。そう、夜は ETVで辺見さんの姿を見ようと、日曜の朝予定を立てていたのでした。
辺見庸さんは大病をされてから三度も講演のために来阪されているのですが、ぼくは2度その会場に足を運んでいます。失礼ながらも、まだお元気なのだろうかという気持ちで、お声を聞きに伺っています。前回は昨年、大阪の夜もようやく冷え込んで来た頃の秋でした。間に休憩を挟んでですが、それでも3時間近くお話しになりました。アメリカ発の今回の金融危機が、1929年の恐慌のあとのファッショ化と果たして無縁いられるだろうか、と危ぶんでいられたことが印象的でした。それから、この都の知事さんを辛口で論評されると、会場から陽気な笑い声がにぎやかにわき起こったこともよく覚えています。会は、開場時間の30分前から長蛇の列が出来る盛況振りでした。若い知事さんの支持率とやらが驚異的な高さだと、昨日の大阪のメディアは大きく取り上げていましたが、そんな知事の危うさを敏感に感じ取っている府民も大勢いることを肌身で感じ、少し安心してその夜は帰途についたものです。
次回は、les autres. までとしましょう。
* il tira (...) un papier (...) qu'il fit semblant de lire : ここの関係代名詞 que は et と解した方がいいでしょう。つまり、「頭は紙を取り出し、読む振りをした」
* a` celui-ci, contre un arc (...) un sabre d'abatis : ここは、直前の la liste des objets que je devais donner en retour des cadeaux offerts という文脈からすると、「ある者には弓と矢のお返しに伐採用の刀」ということです。
* qu'il avait obtenu l'alliance : que は、les persuader que.…, qu'il avait obtenu とつながっています。
* nous nous mi^mes en retoute : se mettre en route 「出発する」かけ声で、En route ! となれば「出発 !」です。
[試訳]
ところで、グループの頭は、皆を集めると背負い籠からねじれた線で覆われた一枚の紙を取り出し、それを読む振りをしたのです。あたかも迷いながら、頂戴した贈り物のお返しに私が用意しなければならない品物のリストを、彼はそこに読もうとしているのです。ある者には、弓と矢とのお返しに伐採用の刀 ! また別のものに対しては首飾りのお返しに真珠 ! という具合。このお芝居は2時間続きました。頭の望みは何だったのでしょうか。多分、自分自身を欺くことだったのでしょう。いや、むしろ仲間を驚かすこと、自分の仲介があって品物が手に入るのだと仲間に思わせることでしょう。自分は白人とすでに親しく、その秘密にも与していると思わせたいのでしょう。私たちはそそくさとその場を立ち去りました。というのも、もっとも恐れなければならないのは、私がもたらした奇跡が他のものの手に渡ってしまうことだったことは、間違いないからです。ですから、ことをこじらせないためにも私たちは出発しました。相変わらずインディアンに導かれて。
滞在は不首尾に終わり、自分が図らずもこけおどしの道具にされたことで、刺々しい雰囲気が生まれていました。そのうえ私のロバが口内炎で、口元が痛そうでした。痛みに耐えかねて歩き出したかと思うと、突然立ち止まったり。私たちはやりあってしまいました。知らぬあいだに私は草原の中で方角も失い、ひとりぼっちになっていました。
**********************************************************
月曜でしたか、Moze さんの書き込みを読んで、思わず、あ、と声を上げてしまいました。そうでした。前日の夜、テレビのことがなにか引っかかっていたのですが、気になりながらも、ネットで Le Monde を読んでいたか、本を読んでいたりしていたのでした。そう、夜は ETVで辺見さんの姿を見ようと、日曜の朝予定を立てていたのでした。
辺見庸さんは大病をされてから三度も講演のために来阪されているのですが、ぼくは2度その会場に足を運んでいます。失礼ながらも、まだお元気なのだろうかという気持ちで、お声を聞きに伺っています。前回は昨年、大阪の夜もようやく冷え込んで来た頃の秋でした。間に休憩を挟んでですが、それでも3時間近くお話しになりました。アメリカ発の今回の金融危機が、1929年の恐慌のあとのファッショ化と果たして無縁いられるだろうか、と危ぶんでいられたことが印象的でした。それから、この都の知事さんを辛口で論評されると、会場から陽気な笑い声がにぎやかにわき起こったこともよく覚えています。会は、開場時間の30分前から長蛇の列が出来る盛況振りでした。若い知事さんの支持率とやらが驚異的な高さだと、昨日の大阪のメディアは大きく取り上げていましたが、そんな知事の危うさを敏感に感じ取っている府民も大勢いることを肌身で感じ、少し安心してその夜は帰途についたものです。
次回は、les autres. までとしましょう。