[注釈]
* la triple faute du Vatican, qui n'a pas informe' le pape de paroles : informer quelqu'un de quelque chose 「~に…を知らせる」という動詞の用法に注意して下さい。
* paroles connues des milieux averstis : 「その筋においては周知の言葉」似た言いまわしに、des milieux bien informe's というのもあります。
* enfin par la lenteur de leur condamnation : 文脈から言って、ウィリアムソン司教の言葉を教皇庁側が非難するのが遅かった、ということです。
[試訳]
カトリック教会はここ何十年来経験したことのない危機のただ中にいる。事態が深刻なのは、カトリック教会への信頼が、非カトリック教徒のあいだで、あるいは文化的なカトリック教徒なのか、敬虔な信徒であるのかを問わず、あらゆる領域で揺らいでいるためだ。
教会は外からの攻撃にさらされているわけではない。現下の困難は、「信仰の敵」や反教権主義者の仕業ではない。教会の階層性の問題を問う二つの深刻な出来事が、教会の抱える矛盾を白日の下にさらしたのだ。4人の司教の破門が解除されたのだが、いずれも原理主義者で、そのうちの一人はホロコーストの存在を否定するものであった。もうひとつの出来事は、レシフェの大司教がほとんど同じ時期に、一人の少女の母親と、女の子を診た医師団を破門したのだった。9才の少女は強姦され双子を妊娠し、生命の危険もあったため中絶手術を受けていた。
さらに機内でのベネディクト16世の発言。飛行機はアフリカに、もっともエイズ被害が広がった大陸に向かうところであった。「コンドームを配布してもエイズの問題は解決できません。それどころか、コンドームの使用は問題を深刻にしています。」
最初の出来事は、ウィリアムソン猊下の聞くに堪えないホロコースト否定の言葉によって特に問題を大きくした。加えて、ヴァチカンの三つの失策。ヴァチカンは法王に、2008年来さまざまな場所では知られていた問題の発言を伝えていなかった。さらに件の発言が、1月22日以来全世界のメディアのトップを飾っていたにもかかわらず、同月24日に破門解除の教令が公表されたのだった。おまけに、こうした発言を糾弾するまでに随分と時間もかかってしまった。
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宗教関連の言葉は、ぼくも幾度か辞書のお世話になりました。専門家から見れば、ひょっとしたら、訳語が適切でないものもあるかもしれません。言葉は難しいものもありますが、新聞に載った文章ですから構文はそう込み入ったものはありません。いつも通り、文脈を丁寧に追うことを心がけていれば難しい文章ではないと思います。
manekineko さん、フランス語の力、少しも落ちていませんね。勉強は他でも続けられているようですね。またおつき合い下さい。
それでは、次回は ... a' des fins vitales ? までとしましょう。
* la triple faute du Vatican, qui n'a pas informe' le pape de paroles : informer quelqu'un de quelque chose 「~に…を知らせる」という動詞の用法に注意して下さい。
* paroles connues des milieux averstis : 「その筋においては周知の言葉」似た言いまわしに、des milieux bien informe's というのもあります。
* enfin par la lenteur de leur condamnation : 文脈から言って、ウィリアムソン司教の言葉を教皇庁側が非難するのが遅かった、ということです。
[試訳]
カトリック教会はここ何十年来経験したことのない危機のただ中にいる。事態が深刻なのは、カトリック教会への信頼が、非カトリック教徒のあいだで、あるいは文化的なカトリック教徒なのか、敬虔な信徒であるのかを問わず、あらゆる領域で揺らいでいるためだ。
教会は外からの攻撃にさらされているわけではない。現下の困難は、「信仰の敵」や反教権主義者の仕業ではない。教会の階層性の問題を問う二つの深刻な出来事が、教会の抱える矛盾を白日の下にさらしたのだ。4人の司教の破門が解除されたのだが、いずれも原理主義者で、そのうちの一人はホロコーストの存在を否定するものであった。もうひとつの出来事は、レシフェの大司教がほとんど同じ時期に、一人の少女の母親と、女の子を診た医師団を破門したのだった。9才の少女は強姦され双子を妊娠し、生命の危険もあったため中絶手術を受けていた。
さらに機内でのベネディクト16世の発言。飛行機はアフリカに、もっともエイズ被害が広がった大陸に向かうところであった。「コンドームを配布してもエイズの問題は解決できません。それどころか、コンドームの使用は問題を深刻にしています。」
最初の出来事は、ウィリアムソン猊下の聞くに堪えないホロコースト否定の言葉によって特に問題を大きくした。加えて、ヴァチカンの三つの失策。ヴァチカンは法王に、2008年来さまざまな場所では知られていた問題の発言を伝えていなかった。さらに件の発言が、1月22日以来全世界のメディアのトップを飾っていたにもかかわらず、同月24日に破門解除の教令が公表されたのだった。おまけに、こうした発言を糾弾するまでに随分と時間もかかってしまった。
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宗教関連の言葉は、ぼくも幾度か辞書のお世話になりました。専門家から見れば、ひょっとしたら、訳語が適切でないものもあるかもしれません。言葉は難しいものもありますが、新聞に載った文章ですから構文はそう込み入ったものはありません。いつも通り、文脈を丁寧に追うことを心がけていれば難しい文章ではないと思います。
manekineko さん、フランス語の力、少しも落ちていませんね。勉強は他でも続けられているようですね。またおつき合い下さい。
それでは、次回は ... a' des fins vitales ? までとしましょう。