[注釈]
* Ce qui e'tait autre fois un indicateur d'alte'ration (...) est devenu un indicateur de souplesse : alte'ration ですが、changement en mal par rapport a` l'e'tat normal ということを意味する言葉です。ですからここは、従来は「家族のあり方を歪めていたもの」となるでしょうか。
* les femmes ne refusent pas d'avoir des enfants : refuser de + inf. で、 「…することを拒む」ですから、ここは「子供を持つことを拒んでいるわけではない」
* le renonecement au travail qu'implique une naissance : impliquer は少し捉えにくい動詞ですね。engager dans une affaire fa^cheuse つまり、困った事態に引き込むことですから、ここでは「出産のためにやむなく離職すること」
* ni la droite ne la gauche n'ont d'ailleurs remis en cause... : d'ailleurs は文字通り、物事を「よそから」見ることを意味します。ここでは、第二次世界大戦後から一貫しているフランスの家族政策を、2007年の大統領選という、比較的新しい政治状況において捉え直しています。
[ 試訳]
見逃せないのは、この北欧モデルが今日高い出生率を支えていることです。実際30年前は離婚数と婚外子の数が多かった国が、ヨーロッパでは出生率も低かったのです。今は反対です。かつては家族のあり方を歪めていたとされるものが、家族のあり方の柔軟性の現れとなっています。フランスモデルの持つこの柔軟性のおかげで、男女ともにためらいなく、共同生活を選択し、子供を持とうとしています。
日本、韓国、イタリアでは、反対に、子供を持つなら結婚していた方がいいし、育児のために女性は家にいた方がよいと考えられています。こうした硬直した家族のあり方のために、極東の国々や南ヨーロッパは少子化の記録を塗り替えています。こうした国々では、子供を持つこと自体を女性たちが拒否しているわけではありません。ただ彼女たちは、結婚において自分たちに課せられる条件や、出産に伴って仕事を諦めなければならないことが我慢ならないのです。
フランスにおける家族政策の役割
フランスの家族政策の優れているところは、様々な選択肢を提供していることです。保育のあり方も多様です。保育所、子育てママ、短時間利用可能な託児所など。もっとも3 歳以下の子供を対象とするものは不足していますが。3 歳から通うことのできる幼稚園が、こうしたシステムの中核のひとつでしょう。ただ、フランスの家族政策のキーポイントは、その持続性にあります。その政策は、早くも第二次世界大戦後に大変幅広い層から同意を得て、それ以後も後続世代によって定期的に再構築されて来ています。2007 年の先の大統領選においても、左右いずれもこの政策の基本を見直すことはありませんでした。
…………………………………………………………………………………………….
明子さん、映画がお好きなのですね。ぼくは、周りに無類の映画好きが何人かいて、そういう友人たちに勧められて時々映画館に足を運ぶという程度です。でも、フランス滞在中は、朝の割引制度を利用して、まず一本映画を見てから一日を始めることにしています。「ユキとニナ」、関西での公開はもう少し先になりそうですが、是非観てみたいと思います。
それでは、次回はこの記事を最後まで読むことにしましょう。
smarcel
* Ce qui e'tait autre fois un indicateur d'alte'ration (...) est devenu un indicateur de souplesse : alte'ration ですが、changement en mal par rapport a` l'e'tat normal ということを意味する言葉です。ですからここは、従来は「家族のあり方を歪めていたもの」となるでしょうか。
* les femmes ne refusent pas d'avoir des enfants : refuser de + inf. で、 「…することを拒む」ですから、ここは「子供を持つことを拒んでいるわけではない」
* le renonecement au travail qu'implique une naissance : impliquer は少し捉えにくい動詞ですね。engager dans une affaire fa^cheuse つまり、困った事態に引き込むことですから、ここでは「出産のためにやむなく離職すること」
* ni la droite ne la gauche n'ont d'ailleurs remis en cause... : d'ailleurs は文字通り、物事を「よそから」見ることを意味します。ここでは、第二次世界大戦後から一貫しているフランスの家族政策を、2007年の大統領選という、比較的新しい政治状況において捉え直しています。
[ 試訳]
見逃せないのは、この北欧モデルが今日高い出生率を支えていることです。実際30年前は離婚数と婚外子の数が多かった国が、ヨーロッパでは出生率も低かったのです。今は反対です。かつては家族のあり方を歪めていたとされるものが、家族のあり方の柔軟性の現れとなっています。フランスモデルの持つこの柔軟性のおかげで、男女ともにためらいなく、共同生活を選択し、子供を持とうとしています。
日本、韓国、イタリアでは、反対に、子供を持つなら結婚していた方がいいし、育児のために女性は家にいた方がよいと考えられています。こうした硬直した家族のあり方のために、極東の国々や南ヨーロッパは少子化の記録を塗り替えています。こうした国々では、子供を持つこと自体を女性たちが拒否しているわけではありません。ただ彼女たちは、結婚において自分たちに課せられる条件や、出産に伴って仕事を諦めなければならないことが我慢ならないのです。
フランスにおける家族政策の役割
フランスの家族政策の優れているところは、様々な選択肢を提供していることです。保育のあり方も多様です。保育所、子育てママ、短時間利用可能な託児所など。もっとも3 歳以下の子供を対象とするものは不足していますが。3 歳から通うことのできる幼稚園が、こうしたシステムの中核のひとつでしょう。ただ、フランスの家族政策のキーポイントは、その持続性にあります。その政策は、早くも第二次世界大戦後に大変幅広い層から同意を得て、それ以後も後続世代によって定期的に再構築されて来ています。2007 年の先の大統領選においても、左右いずれもこの政策の基本を見直すことはありませんでした。
…………………………………………………………………………………………….
明子さん、映画がお好きなのですね。ぼくは、周りに無類の映画好きが何人かいて、そういう友人たちに勧められて時々映画館に足を運ぶという程度です。でも、フランス滞在中は、朝の割引制度を利用して、まず一本映画を見てから一日を始めることにしています。「ユキとニナ」、関西での公開はもう少し先になりそうですが、是非観てみたいと思います。
それでは、次回はこの記事を最後まで読むことにしましょう。
smarcel