平成も押し迫った2019年4月25日(木)、福岡市東区の人工島「アイランドシティ」に新しいモビリティが走り始めました。人工知能(AI)を使った効率的な配車を行うオンデマンドバス「のるーと」です。
バスといっても「のるーと」には時刻表がなく、乗客はアプリから、出発地と目的地を指定してバスを呼び出します。AIは複数の乗客からのリクエストを分析し、もっとも効率的な配車とルートを設定。乗客は指定された乗車ポイントに行き、バスに乗車するというシステムです。
乗車ポイントはアイランドシティ内と、本土側のイオンモール香椎浜、千早駅に計46ヶ所設定。システムは三菱と西鉄が共同開発したもので、西鉄バスのアイランドシティ営業所が運行を担当します。今回は実証実験という形で、期間は1年間の予定です。
一体どんな乗り物? 今までのコミュニティバスやオンデマンドバスとどう違うの? いろいろ気になったので、運行開始2日目の26日、真新しい人工都市を訪ねてみました。
「のるーと」を利用するには、あらかじめスマートホンに専用アプリをDLして、利用者登録を済ませておく必要があります。アイランドシティの住民だけでなく、外部から訪ねる人にも便利な「のるーと」。アイランドシティへバスで行くなら、あらかじめDLしておいて損はありません。
プロモーションコードに「のるーと」と入力すれば400円分の利用券ももらえるので、バス代の節約にもなります(笑)。
では、実際に「のるーと」に乗ってみましょう!乗車場所は、イオンモール香椎浜。アイランドシティの住民御用達(と思われる)の、大型ショッピングモールです。
「のるーと」のアプリで、 現在地から福岡市総合体育館までをリクエスト。普段、スマホの地図アプリを使い慣れているならば、問題なく操作できます。
「のるーと」は千早駅に待機していたようで、AIは配車までの時間を12分と導き出しました。
しばらくすると、アプリ内からバスの現在地も分かるようになります。タクシーの配車アプリに近い感覚です。
タクシーと異なり、「のるーと」の乗り降りは定められたミーティングポイントのみで可能。バス停のような標識ではなく、地面にステッカーが貼られています。
アプリの地図と見比べながら探せば、見つけるのにさほど苦労はありません。ただスマホ地図に慣れていないと、少し難しいかも。
ミーティングポイントは、広大なイオンモール香椎浜の、やや北寄りの位置になります。路線バスのバス停に近く、乗り継ぎ利用にも配慮されています。
到着予想時間より数分早く、「のるーと」が現れました。なかなかかわいくて、道行く人にも「乗りたい」と訴求するデザインです。
ベースは日産のミニバスで、乗客定員を8人に抑えることで小型2種免許での運転を可能にしているとか。今後深刻化する、ドライバー不足への対応策です。
運転士さんに電話番号の下4桁と、名前を言って乗車。運賃は現金、交通系ICカードの他、クレジットカードでの先払いも可能なので「本人確認」が必要なわけです。
前部には運転士さんに加え、社員さんも同乗。オリジナルのスマホ画面クリーナーをプレゼントされました。
座席はバスよりしっかりしてて、乗り心地良好。
他に乗客はいないので、AIお得意の迂回ルートにはならず、目的地まで直行しました。ジャンボタクシーを貸切りにしている気分だけど、乗客が増えて、他の乗客との混乗になれば「バス」の感も増してくるのかな。
交差点で曲がる際、横断歩道の手前で一旦停止した時だけは、ああ西鉄バスなんだなあと意識しました。
運転席にはタブレットが備えられ、画面左で予約の状況、右にAIが導いたルートがナビされています。
予約画面にはアプリに登録している名前と、顔写真を表示。変顔で登録していると、運転士さんのみならず他の乗客の失笑も買うことになるので、ご注意を。
アイランドシティ内の幹線道路を、順調に走行。あっという間に、福岡市総合体育館前に到着しました。道路上に停留所がある路線バスに対し、「のるーと」は玄関前まで着けてくれるので、ちょっとVIPな気分です。
運賃は300円。170円の路線バスよりちょっとお高めだけど、早くつけるメリットは大きいです。住宅街だとバス停まで距離がある区画も多く、「のるーと」だと歩く距離はぐっと縮まります。
では、近くにミーティングポイントがない場所で呼び出すと、どうなるか? AIを活用して「スマートストア」を実現したことで話題の「トライアル」前から、千早駅へ向かうようリクエストしてみました。
生活に密着した店舗なのに、なぜ目の前に「のるーと」の乗車ポイントがないのかは謎。いろんな大人の事情があるのかな…。
指定されたポイントは、もっとも近いアイランドシティ中央公園北側。ポイントまでは徒歩4分なのに、あと3分でバスが来ると表示され焦りました。
必ずしも最寄りのポイントが指定されるわけではなく、ルート次第では離れたポイントが指示されることもあるとか。自宅など、決まった場所から呼び出しても乗車ポイントは毎回変わるわけで、スマホ地図の読解力がやはり必須です。
アイランドシティは完全に新しい街で若い世代が多い分、問題は少ないかも。高齢者層が多い地域に展開していく時には、何らかの手立てが必要かもしれません。
乗車ポイントは路上。目立つ色のステッカーなので、すぐに見つけられました。
実際には到着まで5分ほどかかり、余裕を持って乗ることができました。さきほどと同じ3号車がやって来て、もちろん運転士さんも社員さんも同じ人。ちょっと照れくさいです。
本土側に戻り千早の街に入ると、2号車が出発していくところでした。車内に乗客の姿はなく、千早駅にバスが溜まらないようAIが指示したのかも。「のるーと」は総台数5台体制ですが、昼間は2台運行とのこと。
総合体育館から15分で、千早駅に到着。運賃は400円(路線バスは240円)でした。千早駅ではJR、西鉄が接続し、駅前には区民センターもあるので、行政手続きに来るのにも便利です。昼間は1時間近く間隔が開く、路線バスの補完にもなります。
今回は便利さこそ実感できたものの、行き、帰りとも貸切りだったので、自慢のAIの実力を測ることはできませんでした。乗客が増えてくれば、人間が思いもよらないルートを通るはず。実証実験は今後1年間の予定なので、半年くらい経ったらまた乗りに来たいと思います。
なお九州内では「のるーと」に先行して、4月2日から九州大学でもAI配車バス「aimo」の運行が始まっています。ドコモが開発したシステムで、学内バスとはいえ、広大な九大の伊都キャンパス内を5台運行する本格派。こちらも、機会を作って体感してみたいです。
バスといっても「のるーと」には時刻表がなく、乗客はアプリから、出発地と目的地を指定してバスを呼び出します。AIは複数の乗客からのリクエストを分析し、もっとも効率的な配車とルートを設定。乗客は指定された乗車ポイントに行き、バスに乗車するというシステムです。
乗車ポイントはアイランドシティ内と、本土側のイオンモール香椎浜、千早駅に計46ヶ所設定。システムは三菱と西鉄が共同開発したもので、西鉄バスのアイランドシティ営業所が運行を担当します。今回は実証実験という形で、期間は1年間の予定です。
一体どんな乗り物? 今までのコミュニティバスやオンデマンドバスとどう違うの? いろいろ気になったので、運行開始2日目の26日、真新しい人工都市を訪ねてみました。
「のるーと」を利用するには、あらかじめスマートホンに専用アプリをDLして、利用者登録を済ませておく必要があります。アイランドシティの住民だけでなく、外部から訪ねる人にも便利な「のるーと」。アイランドシティへバスで行くなら、あらかじめDLしておいて損はありません。
プロモーションコードに「のるーと」と入力すれば400円分の利用券ももらえるので、バス代の節約にもなります(笑)。
では、実際に「のるーと」に乗ってみましょう!乗車場所は、イオンモール香椎浜。アイランドシティの住民御用達(と思われる)の、大型ショッピングモールです。
「のるーと」のアプリで、 現在地から福岡市総合体育館までをリクエスト。普段、スマホの地図アプリを使い慣れているならば、問題なく操作できます。
「のるーと」は千早駅に待機していたようで、AIは配車までの時間を12分と導き出しました。
しばらくすると、アプリ内からバスの現在地も分かるようになります。タクシーの配車アプリに近い感覚です。
タクシーと異なり、「のるーと」の乗り降りは定められたミーティングポイントのみで可能。バス停のような標識ではなく、地面にステッカーが貼られています。
アプリの地図と見比べながら探せば、見つけるのにさほど苦労はありません。ただスマホ地図に慣れていないと、少し難しいかも。
ミーティングポイントは、広大なイオンモール香椎浜の、やや北寄りの位置になります。路線バスのバス停に近く、乗り継ぎ利用にも配慮されています。
到着予想時間より数分早く、「のるーと」が現れました。なかなかかわいくて、道行く人にも「乗りたい」と訴求するデザインです。
ベースは日産のミニバスで、乗客定員を8人に抑えることで小型2種免許での運転を可能にしているとか。今後深刻化する、ドライバー不足への対応策です。
運転士さんに電話番号の下4桁と、名前を言って乗車。運賃は現金、交通系ICカードの他、クレジットカードでの先払いも可能なので「本人確認」が必要なわけです。
前部には運転士さんに加え、社員さんも同乗。オリジナルのスマホ画面クリーナーをプレゼントされました。
座席はバスよりしっかりしてて、乗り心地良好。
他に乗客はいないので、AIお得意の迂回ルートにはならず、目的地まで直行しました。ジャンボタクシーを貸切りにしている気分だけど、乗客が増えて、他の乗客との混乗になれば「バス」の感も増してくるのかな。
交差点で曲がる際、横断歩道の手前で一旦停止した時だけは、ああ西鉄バスなんだなあと意識しました。
運転席にはタブレットが備えられ、画面左で予約の状況、右にAIが導いたルートがナビされています。
予約画面にはアプリに登録している名前と、顔写真を表示。変顔で登録していると、運転士さんのみならず他の乗客の失笑も買うことになるので、ご注意を。
アイランドシティ内の幹線道路を、順調に走行。あっという間に、福岡市総合体育館前に到着しました。道路上に停留所がある路線バスに対し、「のるーと」は玄関前まで着けてくれるので、ちょっとVIPな気分です。
運賃は300円。170円の路線バスよりちょっとお高めだけど、早くつけるメリットは大きいです。住宅街だとバス停まで距離がある区画も多く、「のるーと」だと歩く距離はぐっと縮まります。
では、近くにミーティングポイントがない場所で呼び出すと、どうなるか? AIを活用して「スマートストア」を実現したことで話題の「トライアル」前から、千早駅へ向かうようリクエストしてみました。
生活に密着した店舗なのに、なぜ目の前に「のるーと」の乗車ポイントがないのかは謎。いろんな大人の事情があるのかな…。
指定されたポイントは、もっとも近いアイランドシティ中央公園北側。ポイントまでは徒歩4分なのに、あと3分でバスが来ると表示され焦りました。
必ずしも最寄りのポイントが指定されるわけではなく、ルート次第では離れたポイントが指示されることもあるとか。自宅など、決まった場所から呼び出しても乗車ポイントは毎回変わるわけで、スマホ地図の読解力がやはり必須です。
アイランドシティは完全に新しい街で若い世代が多い分、問題は少ないかも。高齢者層が多い地域に展開していく時には、何らかの手立てが必要かもしれません。
乗車ポイントは路上。目立つ色のステッカーなので、すぐに見つけられました。
実際には到着まで5分ほどかかり、余裕を持って乗ることができました。さきほどと同じ3号車がやって来て、もちろん運転士さんも社員さんも同じ人。ちょっと照れくさいです。
本土側に戻り千早の街に入ると、2号車が出発していくところでした。車内に乗客の姿はなく、千早駅にバスが溜まらないようAIが指示したのかも。「のるーと」は総台数5台体制ですが、昼間は2台運行とのこと。
総合体育館から15分で、千早駅に到着。運賃は400円(路線バスは240円)でした。千早駅ではJR、西鉄が接続し、駅前には区民センターもあるので、行政手続きに来るのにも便利です。昼間は1時間近く間隔が開く、路線バスの補完にもなります。
今回は便利さこそ実感できたものの、行き、帰りとも貸切りだったので、自慢のAIの実力を測ることはできませんでした。乗客が増えてくれば、人間が思いもよらないルートを通るはず。実証実験は今後1年間の予定なので、半年くらい経ったらまた乗りに来たいと思います。
なお九州内では「のるーと」に先行して、4月2日から九州大学でもAI配車バス「aimo」の運行が始まっています。ドコモが開発したシステムで、学内バスとはいえ、広大な九大の伊都キャンパス内を5台運行する本格派。こちらも、機会を作って体感してみたいです。