Chang! Blog

福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです

筑後・吉井のブックカフェと、おひなさまめぐり

2017年02月18日 | □久留米発えことりっぷ
 久留米市の隣町、うきは市・吉井。白壁の土蔵が連なる歴史ある街並みは、毎年2月から3月にかけ、「おひなさま巡り」で賑わいます。
 今年は25周年という、節目の年。ちょっと気になっていたお店もあったので、土曜日の午後、ふらりと吉井へ出かけてみました。


 通町の我が家から久大本線に乗るなら、わざわざJR久留米駅にまで行くより、久大本線の駅まで直接出た方が便利。JR南久留米駅まで、自転車を漕いで10分です。
 南久留米駅の平屋建ての木造駅舎は、背後の巨大マンションに飲み込まれそうです。


 SUGOCAに対応しているのは、旧久留米市内の善道寺までなので、きっぷを購入。
 駅事務室に詰める駅員さんの姿があり、ほっとします。若松線ですら無人化計画がある中、いつまで健在か心許なくはありますが。


 筑後平野を思いのほか飛ばす普通列車に揺られ、約30分、筑後吉井着。駅前は静かだけど、こちらも有人駅です。特急も停まります。


 国道210号に出れば、車通りが多くて、これはこれで落ち着かない感じ。
 中心部に進むにつれ、歩道が広くなってきてました。通りに飾られた生花に、なごみます。


 街中まで出てくると、ひなまつりの雰囲気が出てきました。市の施設だけでなく、個人のお店も協賛して、ショーウインドウが華やかに飾られています。


 今日の目的地の一つ、MINOU BOOKS CAFEへ。書店が成り立ちにくい地方の街にあって、カフェと暮らしに根付いた選書で定着を目指す、新しい「町の本屋さん」です。
 建物は、古びていながらもいい味を出している、タイル張りのRC2階建。もとは魚屋さんだったそうです。


 建物の中も、古い鉄骨やガラスはそのままです。手の入れらた範囲は最小限だけど、それが古臭さにならないセンスが素晴らしい。
 本屋のスペースは小さなもの。でも見たことのない本や雑誌も多くて、楽しく書棚を巡りました。どんな本でもネットで買える今だからこそ、手に取らねば良さが分からない本がある本屋さんは、大切です。それも身近なところに。


 ブックカフェとはいっても、会計前の本をカフェに持ち込むのはNG。雑誌を買い求め、サンドイッチを食べました。新鮮野菜がシャキシャキ鳴って、うまいです。
 カフェコーナーにある、自由に読んでいい本のラインナップも充実していて、ゆっくりくつろげました。


 2階に入っているのは、生活購買店reed。普段使いできる良質な雑貨が揃っていて、MINOU BOOKS CAFEに近いコンセプトを感じます。
 おしゃれにラッピングしてもらえるみたいなので、知人・友人への贈り物選びにもいいかも。






 ひさびさに歩いて巡る、吉井の白壁の街。身近な街なのに、もう10年以上ぶりです。カフェやらギャラリーやら、ずいぶん増えたような気がします。


 鏡田屋敷へ。築100年を超える、官舎住宅です。
 公式な開館時間は16時30分までですが、時間が過ぎてても入れてくれました。おひなさま巡りの時間が17時までなので、合わせてくれたようです。感謝。




 豪華なひな壇飾り。一つだけでなくいくつも並び、かざり方の様式や人形の表情は、個性豊かです。
 管理が難しくなってきた人形の寄贈を、市内のあちこちから受けているそうで、年々数は増えているとか。多くの人目に触れられて、おひな様も喜んでいるのでは。


 2階へ上がる階段には、曲線の意匠が。やさしく、優美な印象を与えます。


 屋敷の2階は、楼閣のような造りに。風通しがよくて、夏場は気持ちよさそうです。
 今でこそ家が建て込んでいる周囲ですが、建築当初は耳納連山を見渡せたんじゃないかなと思います。


 鏡田屋敷の西側の路地を下ると、水路の立体交差に出会いました。
 たびかさなる干ばつに見舞われた末、筑後川の導水で豊かな土地となっていったという吉井。立体交差水路も、灌漑の工夫の跡なんでしょうか。


 身近な街にも旅がある。なんだか得した気分で、帰路の列車に揺られました。 

2017年城島酒蔵びらきdeウォーキング

2017年02月12日 | □久留米発えことりっぷ
 今年も、毎年恒例の城島酒蔵びらきの季節がやって来ました。2日間の日程のうち、1日目はお手伝い、2日目は来場者として参戦しました。
 毎年飲み過ぎて、ひどい展開になってしまうことを反省。少しは体のためになることを、というわけで、協賛開催されているJR九州ウォーキングに乗っかることにしました。会場まで9km、約3時間のウォーキングコースです。


 JR荒木駅で下車。酒蔵びらきバスの接続するJR荒木駅と西鉄三潴駅は、この日1年で一番の賑わいを見せます。
 さっそく受付でウォーキングマップを貰い、シャトルバスを横目に見ながら行軍スタートです。


 久留米市内とはいえ、合併前に遡れば旧久留米市から三潴町、城島町へと3行政区をまたいでのウォーキング。日ごろ車で動き回っている身には、はるかかなたの目的地に感じられます。
 案内版は至る所に出ているし、要所にはJRの社員さんも立っているので、マップを見ずとも歩けました。


 バスファンにとって酒蔵びらきは、シャトルバスによる10万人大輸送も見どころの一つ。西鉄バス久留米だけではなく、各地の西鉄グループからバスが応援に駆け付けます。
 日ごろは志賀島や能古島で活躍している、こんな珍客も。久留米を走る貴重な「ぐりーん」、乗ってみたかった!


 前日までは大雪に見舞われ、週末も雪の予報が出ていた久留米市ですが、市南部はおだやかな天候に恵まれました。日なたでは、少し暑く感じるほどです。
 ウォーキングの参加者も、想像していたよりずっと多い感じ。日ごろは歩く人などわずかな農道を、ずらりウォーカー達が連なります。


 大善寺の街中へ。区画整理で生まれた、整然とした街並みの中を、歩いて行きます。
 ここまでで約50分。予想していたペースより早めだけど、周りの年上ウォーカーに、どんどん追い抜かれて行きます。


 街を抜け、歩道のない柳川県道を恐る恐る抜けて、ふたたび田園地帯に。ウォーキングののぼりはあちこちに立っていて、準備にあたるJRの苦労も大変なものと思います。


 大善寺から三潴、城島へと抜ける県道701号線に出てきました。平行する歩道は、かつて久留米と大川を結んだ大川軌道~西鉄大川線の跡。線路を模したインターロッキングが、その名残を留めます。
 バス停の上屋も、鉄橋のような形です。


 三潴小学校前には、「ポッポ汽車」と呼ばれた蒸気も展示されています。昭和20年代には早くも休止の憂き目にあった路線なのに、よくぞ残したものと思います。


 迂回する道路に対し、線路跡の歩道はまっすぐに伸びている区間も見られます。ちょっとした、廃線跡ウォークの気分になってきました。
 大川線が城島まででも存続していれば、酒蔵びらきも「広島酒まつり」をしのぐイベントになっていた・・・かも?


 荒木駅から約1時間半、ようやく1蔵目の萬年亀に着きました。ゴールの花の露はまだ先だけど、バスで巡る時も萬年亀から先は歩くことが多いので、ここからはいつも通りの酒蔵めぐりのノリです。
 歴史ある蔵。川の護岸も、こうして見ると風情たっぷりです。


 さっそく、500円の飲み比べにチャレンジ。歩いてきた身にぐーっと染みわたり、早くもほろ酔い気分です。


 蔵の奥では、じっくり浸ったおでんのコーナーも。あったまります。


 頻発する蔵めぐりバスを横目に、再び軌道跡を歩き始めました。


 軌道跡から少しコースアウトして、筑後川旧流沿いの堤防へ。


 2蔵目の、池亀酒造へ。天窓が取られた、明るい試飲コーナーが気持ちいいです。


 2年、3年、5年、10年を熟成させた大吟醸の試飲コーナー。5年、10年は早くも売り切れです。3年モノは、グラス付きで600円でした。
 きっと誰が飲んでも旨い、超優等生な味。10年は、どんな味なんでしょう。




 大川軌道の廃線跡へ戻りました。旧三潴町から旧城島町に入ると、舗装が城島瓦になります。


 コースアウトして、有薫酒造へ。今年は新しい蔵を開放したのか…と早合点しかけましたが、よく見ると八女や北野の酒もちらほら。お隣の酒屋、酒乃竹屋の協賛イベントです。
 城島以外の酒を試せるのも、悪くないですね。


 改めて、有薫へ。文字通り、純米から大吟醸まで、独特の風味が感じられる酒をつくる蔵元です。
 酒造り唄保存会のみなさんが、筑後酒造り唄を披露されていました。


 荒木駅から約4時間、14時前にゴールの花の露前に到着。JRウォーキングに参加していたことを、この時まで忘れかけていました。昨年夏の宝珠山以来、2つ目のスタンプをゲットです。


 花の露は規模の大きな酒蔵で、単体の蔵開きイベントとしても充分成立する規模です。
 今年も「酒の間」を開放。500円の飲み比べセットを買えば、40分間くつろぐことができます。


 白熱灯がぶらさがり、琉球畳が敷かれた空間に響くのは、モンゴルの民謡・ホーミー。ほろ酔いの頭で聞く和音のメロディは、遠く異国の平原の中へと誘います。


 薪ストーブが焚かれ、体も心も温まるひと時でした。


 メイン会場にたどり着く頃には、動かした体に酒がしみわたり、ヘロヘロ状態。写真も、いつにも増して斜めになります。
 この2日間の人出は、悪天候の予報にも関わらず11万人にも達したそうで、昨年からさらに1万人上積みされました。1日開催ではパンクしてしまうということで、4年前から2日間開催になったものの、この調子ではさらに期間拡大!?


 16時の閉場から間もなくの時間。三潴駅行きのシャトルバスは大行列でしたが、荒木駅行きはたまたま2台続行となり、座ることができました。
 荒木駅では、1日に4本しかない55系統に乗り継げて、ガラガラのバスで西鉄久留米へ。11万人動員とは無縁の、混雑知らずの帰路となりました。

別府鉄輪イマドキ湯治【その3】歴史と大地の鼓動感じる鉄輪路地裏散歩

2017年02月04日 | ■旅と鉄道
 宿でぐうたら くつろぐのが目的の旅ではありますが、あまりゴロゴロしすぎても体がなまってしまうので、夜の散歩に出かけてみました。


 宿を出て、断層上の県道218号線を歩くと、別府・鉄輪のシンボルともいえる湯けむりの風景が広がりました。
 温泉の蒸気はいつでも上がるものですが、絶好の湯けむりの景観になるかは、天候次第。街灯に照らされたこの日の湯けむり、なかなか見事でした。


 排水溝という排水溝に、温泉が流れ込む鉄輪。蓋の上は、猫にとって絶好の居場所です。
 真冬にも関わらず、花が咲いたり、虫の声が聞こえたりするのも、温泉の流れる別府ならでは。


 別府のあちこちで見られる、源泉の「マシン」。人工物が、析出物という自然物で侵食されつつあります。


 月と湯けむり。


 川から湯けむり。


 怪しく光る、緑色の湯けむり。


 場所によっては路上から、あるいは路上の割れ目からも湯気が立ち上がります。
 大地のパワーも感じますが、ここに住むということも、なかなかすごいことなのかも。


 翌朝も、12時のチェックアウト時刻ギリギリまでゴロゴロしてから出発。あてもなく、路地裏に迷い込んでみました。
 ちょうど前日のBSテレビで鉄輪が特集されていて、テレビ画面で見た地獄蒸し釜が、突如目の前に。宿のおかみさんも、もちろんテレビそのままでした。


 路地裏にある、ここちカフェむすびのへ。空き家のまま放置されていた医院を、再生したカフェです。
 9時から朝食の営業もあるので、彩葉に泊まってしっかり朝ごはんを食べたい時にも いいですね。


 お茶をポットで出してくれるのが嬉しいです。長居を公式に認めて貰った気になれます。


 むすびのランチ(1,080円)。メインは肉と魚から選べます。これ以外に、前菜3品が付いていました。
 今日の魚は、鯖の香草焼き。体にやさしいご飯です。


 2階はギャラリーコーナー。1階と吹き抜けになっています。
 帰り際、マスターさんと、
 「NHKのブラタモリって知ってます?」
 「あ、今日放送ですよね。楽しみにしてるんです。ひょっとして出られたとか?」
 「いやいや、気付かないうちに撮影終わってました」
 なんて言葉を交わしたのですが、その日の夜の放送では、まさにカフェの裏の断層が大きくクローズアップされてました。早朝のロケだったんでしょうね。


 お隣の、冨士屋Gallery一也百(はなやもも)にもお邪魔しました。
 明治の旅館建築で、旅館からギャラリーへの再生工事に入る前に、見学させてもらったことがあります。あの頃は大学生、もう15年も経ったんですね。


 広い玄関は、いかにも高級旅館といった趣。


 広く取られた窓から、ソファに座って庭園を眺めていると、何時間でもゆったりしていたくなります。


 珈琲を頼むと、小さなケーキが付いてきました。濃くて、珈琲の味を引き立ててくれます。


 そして飲み物を頼めば、館内の見学もOK。


 2階は、大きなホールになっています。定期的にイベントもやっているようで、2月25日にはワインを楽しみながらのジャズの夕べがあるんだとか。
 明治の旅館で、ほろ酔いで聞くジャズ。想像しただけでも、いい時間を楽しめそうです。


 旅館だった頃の部屋も、残されていました。
 別府の旅館といえば、鉄筋コンクリート造に改築されたものばかりで、建物そのものに歴史がある旅館は多くありません。旅館としての富士屋にも、泊まってみたかったなと思います。


 とはいえ、なかなか古い建物が残らない別府にあって、きちんと再生・活用されているのは喜ばしい限り。別府の観光史の生き証人として、親しまれて行ってほしい存在です。
 そう思いませんかニャ?


 14時過ぎの高速バスで、鉄輪を立ちました。温泉でのんびりが目的の旅だったけど、広範囲に動かなかった分、じっくり鉄輪を楽しめたように思います。
 30代後半、たまにゃこんなのも悪くないなと思った週末旅でした。

別府鉄輪イマドキ湯治【その2】癒しの宿・彩葉で温泉三昧

2017年02月03日 | ■旅と鉄道
 今日の泊まり先は、鉄輪温泉の「癒しの宿・彩葉」。この宿を、福岡のローカル朝ワイド「アサデス」で見たのが、旅立ちのきっかけでした。宿を目的に旅することなんて、雲仙観光ホテルくらいしか経験ありません。
 彩葉は大分県下で手広く宿泊業を手掛ける、ニューグロリアさんの経営。ビジネスホテルのイメージが強かったのですが、実際はビジネスホテル2軒、ウィークリーマンション1軒、カプセル1軒に対し、旅館が10軒と、観光の比重が大きい会社、らしいっす。


 鉄輪バス停から紫石方面に歩いて3分ほど。徒歩なら、セブンイレブン向かい側の坂道が入口です。それに気づかずに通り過ぎて…


 裏手の駐車場に回り、立派な構えの門から入りました。時間は午後3時過ぎ。チェックイン時間の直後で、これも僕の旅では異例中の異例です。
 でも温泉でのんびりしようと思えば、これくらいの時間にチェックインするのが普通なんでしょうね。すでに先客さんがいらっしゃいました。


 帳場には、いろはの秘密なる、墨書きの案内が。曰く建物には、別府の山の手にあった、旧麻生別荘の古材を随所に利用しているのだとか。麻生とは飯塚の炭鉱王、麻生家のことです。
 古くからの温泉地で、近代の名建築が多くあった別府ですが、残念ながらあまり大切にされてきませんでした。麻生別荘も、同じエリアにあった中山別荘(亜米利加屋施工の洋館)と時期を同じくして、2006年に解体されたものです。


 なるほど。2012年オープンの新しい宿なのに、そこはかとなく感じる風格は、麻生別荘の重ねてきた歳月の成せる業だったのですね。
 歴史的建築物が消えていくのは残念だけど、少しでも生き残っているだけ、良しとせねばならないんでしょうか。ちょっと答えが出せない問題です。


 チェックイン時に、鍵を2本渡されました。1本だけだと、めいめい風呂に行くときなんかは不便なので、これは嬉しいです。
 宿の方に案内され、部屋へと向かいます。大きい荷物は持ってくれて、旅館っぽい接客です。ただスタッフと直接会うのはこの時くらいで、あとは いい意味で放っておいてくれます。


 彩葉はオール離れの宿。金曜日の直前プランで、1泊1部屋19,280円です。
 隣棟間隔はけっこう狭く、建物の外観も住宅のようで、素っ気ない感じです。


 しかし部屋の中は、いい意味で外観とギャップあり。玄関を開けると、木の匂いが香ってきました。


 玄関を入って左手の部屋が、居間になる和室。色合いは明るめながら、居心地のいい部屋です。天井が高く、のびのびできます。


 障子かと思ったら、アルミ製のサッシでした。普通の窓も外側にあるので、防音や断熱に二重サッシの効果があります。離れの宿で外に直接面しているので、防犯上の効果もあるかも。


 冷蔵庫の中は、自由にどうぞとのこと。ペットボトル2本と、ウェルカムおはぎが入っていました。ペットの水は、お風呂の時に重宝します。


 ふすまを開けると、布団が2組。たたみに布団がよければ、居間で寝てもOKですが…


 玄関右手には、さらに大きな寝室が!これは4人で泊まらないともったいない感じだけど、標準は2名利用みたいです。
 ちなみに「アサデス。」では、同じタイプの部屋に一人で泊まってました。なんて贅沢…


 しかもテレビは、寝室の方がでかいです。これは人を、ぐうたらに導いてしまう旅館ですね。しかも居間と寝室の両方に、DVDプレーヤーまで付いてます。
 家にあるDVDを持ってきて、大音量でゆっくり鑑賞するものいいかも。


 鉄輪に来たからには、温泉♪ 大浴場もあるけど、各部屋にも立派な源泉かけ流しの風呂が付いています。
 洗面台もひろびろ。


 アメニティが充実している宿は、女子の評価が高いです。男子の分も、まあまあ充実してました。


 そして風呂場には、寝湯まで! これは極楽です。お湯は鉄輪らしく、鉄の味がする弱酸性。温度が高く、ちょろちょろかけ流していても熱くなります。
 来て1回、飯前に1回、寝る前に1回、起きて1回、出発前に1回の5回も浴びてしまいました。


 風呂場の天井も高く、2重屋根には2面にガラリ(換気窓)が取られています。吹き抜けていく風で湯気を逃がす、共同湯でも見られる伝統的な自然換気方式です。
 もちろん風が吹くのは屋根近くなのですが、風呂場もちょっと寒くなるので、ヒートショックに注意。


 風呂場の屋根を外から見ると、こんな感じ。


 鉄輪の高台にあるものの、向かいのアパートにさえぎられ、眺望はあまり広がりません。それでも建物の間から、高崎山を望むことができました。
 部屋によってはまったく眺望のない部屋もある一方、メゾネットタイプだとテラスから景色が広がるみたい。景色に関しては、割り切っておくのが吉です。


 湯上りに、帳場横の東屋へ。風情ある囲炉裏スペースがあります。部屋の居心地がいいせいか、あまりここでくつろぐ人はいません。


 本やDVDが揃っていて、部屋へ借りていくこともできます。


 東屋を目指す人のお目当ては、たいていコレ。滞在中は自由に使える、「生」のサーバーですよ!
 酒好きには、たまらん装備。「アサデス。」を見ながら、我々夫婦がノックアウトされたポイントが、実はコレでした(笑)。


 しかも部屋へのお持ち帰りOK。グラスを片手に、何往復したかしら…。
 東屋から一番遠い部屋だったので、ほどほどの回数で済んだけど、一番近い部屋だったらどんな事態になっていたことやらと思います。


 彩葉の特徴の一つが、完全素泊まりの宿であること。その代わりに、部屋には近隣のお店のチラシが挟んであります。食べに行くのはもちろん、出前を取ってもOKというのがポイントです。
 お手頃な定食やらピザやらあって目移りしたけど、「アサデス。」でも出ていたオレンジ寿司から頼むことに。チラシには前日予約が謳ってあったけど、電話してみると、この日は3,800円の懐石ならOKとのことでした。


 約束の7時キッカリに到着。出前なので、運んでくれるのは客室の玄関まで。その先の配膳は、セルフサービスです。


 それでも部屋に並べれば、ほら、完全に旅館の部屋食!お寿司だけでなく、大分名物とり天や、豊後牛(…かな?お品書きがあると、いいですね)の焼き物もあるのは、大分っぽくてグッドです。


 固形燃料の鍋も、旅館の部屋食っぽさが引き立ちます。
 3,800円が高いか安いかは人それぞれでしょうけど、酒代がタダな分、僕にとっては外に食べに出るより安く済みました。






 夜になると、宿はライトアップされます。昼間は素っ気なく感じた外観も、夜目には、なかなか風情が出てきました。


 大浴場にも出かけてみました。


 時間は夜11時前。なのに床はカラカラで、この日一番風呂だったみたいです。部屋の風呂でも充分広々しているので、あえて大浴場に来る人は少ないのかも。
 湯船は広く、今日の宿泊客全員が入っても、入り切れるんじゃないかしら。しっかり足を伸ばし、最後のビールを飲み干して、ホカホカの体でベッドに潜り込んだのでした。

別府鉄輪イマドキ湯治【その1】バスで巡る十文字原・明礬・鉄輪

2017年02月03日 | ■旅と鉄道
 いそいそと駆け回る旅も好きだけど、たまにゃ温泉でのんびりしたい!というわけで2017年の初旅は、別府・鉄輪温泉でのんびりしてきました。
 今回は「のんびり」が主目的なので、交通機関もコスパ重視で高速バスを選択。西鉄久留米~高速基山間710円+高速基山~別府間2,005円(Web回数券1枚当たり)=片道2,715円で済みました。


 西鉄久留米から、福岡空港行き高速バスに乗車。朝の渋滞を見込んで1本早いバスにしましたが、流れはスムーズで、9時40分には高速基山に着きました。
 基山SAは以前からロッテリアが入っており、民営化後はさらに充実。上り線にはスタバ、下り線にはドトールがあって、高速バスの待ち時間も快適に過ごせます。




 スタバはテイクアウトばかりで、少ない客席には僕らだけ。のんびりコーヒーを傾けて、バスを待ちました。
 車のない僕にとって、サービスエリアは非日常な空間。比較的近場とはいえ、旅の気分が出てきます。


 高速基山で上下線を乗り継ぐには、サービスエリア外の市道を歩かねばなりません。歩道は狭く、大荷物の人同士のすれ違いには難儀します。
 10年前に始まった高速バスの基山乗り継ぎは、画期的な取り組みでしたが、乗り継ぎ通路そのものの改善も実現できたらなと思います。


 別府行き高速バス「とよのくに」は、7分ほどの遅れで現れました。福岡空港国際線経由、韓国人に人気の別府行き、韓国は休暇シーズンとあって、車内は韓国の高速バスに迷い込んだかのような雰囲気です。
 指定席のはずの席には先客がおり、
 「ここですか?」
 「ここです」
 「お二人とも?」
 「ええ」
 と交わした会話も、韓国語でした。


 高速バスはさすがに早く、基山から1時間も経つころには別府湾が見えてきました。
 高速道路からの別府湾は何度も眺めているけど、こんなに澄んでいるのは初めて。海の向こうの四国まで、くっきりです。


 途中で遅れを取り戻し、定刻に高速別府湾APUへ到着。降りたのは、僕らだけでした。


 展望台からの眺めも、今日は素晴らしいの一言。韓国人のおばちゃん団体さんも、歓声を上げながら写真を撮っていました。


 別府湾サービスエリアは、基山以上に充実した店舗が自慢。湯布院の名旅館・山荘無量塔(むらた)の手がけた、「別府の中の湯布院」です。
 まずは古民家を移築した蕎麦屋「不生庵」の暖簾をくぐりました。


 お店からの眺望も、申し分なし。


 ざるそば大盛りを頂きます。1,100円というサービスエリア離れした値段ですが、ほどよくコシのある麺はおいしかったです。


 お隣のB-speakcafeへ。こちらも、サービスエリアらしからぬ雰囲気。


 カウンターからの眺望もよし。


 湯布院では行列必至のPロールを、ゆったり景色を眺めながら食べられました。後追いしてくるクリームのコクがウマイです。


 高速別府湾APUバス停の下りは降車専用で、乗ることはできません。そこでサービスエリアから外に出て、APU(立命館アジア太平洋大学)へ降りてきました。
 スマートICの出口から少し海側にある、階段を下りて行くのが近道。バス停から大学正門まで、5分少々といったところです。


 平日とはいえ2月。冬休みで閑散としているかと思いきや、キャンパスは学生さんで賑やかでした。
 真ん中の通りを多くの人が行き交う様子は、大学というより一つの街のような雰囲気です。


 APUからは、大分交通と亀の井バスの路線バスが頻発しています。いずれもnimoca対応なので、交通系ICカード全般の利用OK。明礬・鉄輪方面へ出るなら、亀の井バスで。


 十文字原展望台や自衛隊演習場を横目に、バスは次第に高度を下げていきます。湯の花小屋を目印に、地蔵湯前で下車しました。
 バス停からすぐの、明礬地獄(入場料200円)へ。


 現役ではないけど、湯の花小屋の内部を見ることができます。


 遊歩道を上がった先で広がるのが、この眺望。高速道路の明礬大橋が、雄大な風景を作ります。
 見方によっては高崎山まで通じていた景観を「破壊」してもいるのですが、そう感じないのは、アーチそのものの均整ゆえなんでしょうね。


 明礬温泉のお楽しみ、岡本屋の「地獄蒸しプリン」にも舌鼓。カラメルソースはちょっと苦めの、大人の味です。
 平日だというのに、店内外はお客さんでいっぱい。アジア圏の人も多いけど、ほとんどが日本人です。


 再び亀の井バスに乗って、鉄輪まで降りてきました。停留所で待っていたのは、外国人観光客の列。昨年の地震の風評被害もだいぶ脱してきたようで、なによりです。
 別府は昔も今も、国際観光都市なのでした。