長い新婚旅行もようやく後半、6日目を迎えました。
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スイスのテレビでユニークなのが、ラジオの画面つき放送。画面には、DJの顔と道路情報が流れていています。「ながら視聴」になりがちな朝の忙しい時間には、普通のテレビより便利なのでは?
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朝食は「本館」のホテルゾンネのレストランだったので、身支度を整えて行きました。昨日の朝ほど豪華ではないけど、味はおいしいかったです。
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旧市街方面へと向かいます。凍結したサンモリッツ湖は公園的に使われていて、氷上に散策路やベンチ、ゴミ箱まで設置されているのは面白いです。
もちろん足元はしっかりしていて、湖上にいるなんて微塵も感じませんでした。
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湖畔の幹線道路。横断歩道の真ん中には必ず「安全地帯」が設けられていて、一気に道路を渡れない高齢者でも安心です。
歩行者優先の考え方は徹底していて、待っていれば必ず車が止まってくれます。
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さてサンモリッツにも、3,000m級の展望台があります。中でもピッツネイル展望台へは、旧市街からケーブルカーとロープウェイを乗り継いで行けるという手軽さ。
ところが今日は山の上の天気が悪く、登ったところで視界はきかないようです。そもそも時間に余裕もないので、ケーブルカーの終点であるコルヴィリアまで登ってみることにしました。
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コルヴィリアまで往復の運賃は49.2フラン(5,870円)。スイストラベルパスの割引もありません。
車内はスキーヤーばかりで、普通の旅姿の僕らは、他の列車以上に場違いな感じが。でも眼下に遠ざかっていくサンモリッツの街の風景は、やはり登ってよかったと思えるものです。
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チャンタレッラで別のケーブルカーに乗り継ぎ。2本のケーブルカーで1路線を構成していることを現地で初めて知り、一瞬理解ができずに焦りました。
日本だと、近鉄の生駒ケーブルくらいしか例がないと思います。
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さらに高度を稼いでいくケーブルカー。チャンタレッラでも充分高かったのですが、さらなる高みを目指していきます。ただ景色には、だんだんともやがかかったようになり…
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コルヴィリア着。スキー場の玄関口で、レンタルショップやスキースクールなどが入り大賑わいです。
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そして外は、吹雪の様相。仮にロープウェイで3,000mまで登っても、これでは何も見えなかったことと思います。
スキーウェアを着ているわけでもない我々は、外に出たら凍え死んでしまいそう。行き場もないということで、早々に次のケーブルカーで下山しました。
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ほぼスキー場専用のケーブルカー、下りに人が乗っているわけがありません。貸し切り状態で下山していきます。
すれちがった登り便は、もちろんウェアに身を包んだスキーヤーでぎっしり満員でした。
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終盤コースはトンネルに入り、地下鉄のような雰囲気で麓の駅に到着。お値段も高度もちょっとお高めの、朝の散歩でした。
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ケーブルカー乗り場前のロータリーに立つ、歴史ありげな建築物。ネットには旧学校(現在は図書館)と書かれていたので遠慮なく扉を開けたら、現役バリバリの学校です。
側にいた子どもが、流暢な英語で教えてくれたので分かりました。それにしても小学校の高学年(もしかしらた中学年?)で、英語を操れるとは…
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旧市街のドルフは、夜とはまた違った表情を見せてくれます。
サンモリッツの駆け足滞在は、これにて終了!あまり観光もできなかったし、展望台にも登れなかったので、また行きたい場所が増えました。いい思い出ができたらできたで、また行きたくなるんですけどね。
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11時発のレギオ(普通列車)で、イタリア領のイタリアのティラーノを目指します。
列車はわずか3両編成で、珍しく電車です。姉妹鉄道の縁で「箱根」の愛称つき。へえ、機関車牽引の客車ばかりじゃないんだなあと感心していましたが、実は見た目を裏切る実力者だったことを後から知ります。
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わずか3両の電車なのに、半室の1等車がついてます。ゆったりしたクロスシートで快適。結局、ティラーノまで1室貸切という贅沢さでした。
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サンモリッツの街を抜け、ポントレジーナでクール方面の線路と合流します。ここで後部にベルニナ急行の客車を連結。機関車はなく、つまり僕らの乗っている3両編成の電車が、機関車代わりに客車をひっぱるのです。
普通の電車と見せかけて、実は自身よりも長い客車を従えて急勾配を登り降りできる、パワフルな車両でした。
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標高1,822mのサンモリッツでも充分標高は高いのに、さらに高みを目指すのがベルニナ線です。湖も凍りつく寒さだったサンモリッツから上がるのですから、雪もどんどん深くなっていきます。
そしてここでも、列車はスキーヤーの足。接続列車は、リフトです。
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ベルニナ急行を従えた長い編成は、急カーブにかかると全容を見渡すことができます。僕らのローカル車両だと、窓が開くのも嬉しいところ。1等には他に乗客もいないので、遠慮なく窓を開けて零下の空気を吸い込みました。
パノラマ窓のベルニナ急行もよさそうだけれど、普通車もイイネ!
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車窓左手には、ビアンコ湖が広がっています。ビアンコはイタリア語で白…なんて意味を知っているのは、
彼らのお陰(笑)。
湖に流れ込む岩盤の成分で白く見えるのが名前の由来らしいですけど、冬場は雪で真っ白です。どこからどこまでが湖なんだか、分かりません。
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湖畔のオスピツィオ・ベルニナ駅は、ビアンコ湖畔の駅。ラックレールを使わない一般的な鉄道(特殊な鉄道と比較して、粘着式鉄道ともいいます)としてはヨーロッパ最高峰の駅になります。
しんと静まり返った、白の世界です。
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均整の取れた合理的な姿が美しい石橋も、列車に乗りながら見ることができます。
カーブが続き、見上げれば今通ってきた駅が、見下ろせばこれから進む線路が見える車窓はめまぐるしいです。昨日の氷河急行よりも、短時間で車窓が変化していきます。
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ポスキアーヴォの谷を下ると、麓の街が見えてきました。
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麓に降りれば、あれだけあった雪もすっかり消えてしまい、どことなく春が近い雰囲気も。イタリア語圏に入り、街の雰囲気も変わります。
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麓には小まめに駅が設けられていて、地域の足としても活躍します。
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道路と平行して走っていた線路は、やがて境界が曖昧になり、とうとう路面電車の状態になってしまいました。地元の人は慣れっこなのか、真横を過ぎ去っていく登山電車に驚くこともありません。
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道路と離れた列車は湖畔へと飛び出し、水際をトレースするように走っていきます。山岳区間に負けず劣らず、次々に車窓が展開していきます。
線路と湖の間には、ところどころにベンチが置かれた散策路もあり、歩く人は気持ち良さそう。
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そしてベルニナ線のハイライトであり、世界遺産のポイントの一つでもあるブルージオのオープンループ橋に差し掛かりました。
鉄道のループ線はたいていトンネルを組み合わせいることが多く、弧を描いた線路を眺められる場所は、世界的にも珍しいと思います。
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ループ線の役割は、円を描いて距離を稼ぐことで勾配をゆるやかにすること。そして石橋のも、力学に基づいた合理的なものです。
でもこの美しいループは、作り手の美意識がなければ生まれないものではないのかとも思います。百年前の技術者に、問うてみたいです。
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そして、いつの間にか国境を越えてイタリア領へ。再び路面区間を走れば午後1時、終点のティラーノ到着です。ベルニナ急行併結の列車とはいえ、気分はローカル線鈍行列車の旅でした。
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パスポートのチェックも、管理官の巡回もなかったけれど、ここはもうイタリア。レーティッシュ鉄道の駅舎と隣り合って、イタリア国鉄のティラーノ駅が建っています。発着する列車も、見慣れぬイタリアのものです。
2時間のイタリア・ティラーノ探検に出発!つづく。