Chang! Blog

福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです

祝!西鉄天神大牟田線 雑餉隈~下大利 高架開業

2022年08月28日 | ■旅と鉄道

 長年に渡って工事が進められてきた、西鉄天神大牟田線連続立体交差事業・雑餉隈~下大利間が、2022年8月28日、ついに開業しました。
 工事期間中に続いた2分延の徐行ダイヤ、春日原駅で発見された旧駅基礎の撤去のため工期2年延伸など、生みの苦しみも続いた難工事。雑餉隈周辺に住んでいたこともあるので、喜びもひとしおです。
 開業日にさっそく初乗りして、各駅の様子を眺めてきました。



 今は久留米市民なので、花畑駅から高架化の区間に駆けつけます。前日は終電繰り上げ、今日も始発は8時頃に繰り下がる特別ダイヤでしたが、無事に切替は完了した模様です。
 新ダイヤも今日からスタート。徐行解消による2分のスピードアップと、残念ながら世相を反映した本数の見直しが、主な内容です。
 ダイヤパターンも刷新され、緩急接続の時間が短縮されたのは改正点。週1で乗っている8時32分発の急行は、花畑駅で甘木行と顔を合わせるようになりました。


 空いているのでゆったり座っていましたが、久留米駅では多くの人が待っていたので、念のため先頭に移動しました。
 予想通り、高架を前から眺めたい人が数人集まってきました。その後の各駅からも、空席があるにも関わらず「立席かぶりつき」の人がチラホラ。


 しかし二日市で乗務員さんが2名乗り込んできて、視界はほとんど遮られてしまいました。ぶっつけ本番の高架化、この後乗務する運転士さんの「線見」なのかな。


 都府楼前駅を通過、橋を渡れば高架切替地点です。多くの作業員に見守られながら、最徐行で通過。深夜から続く作業、お疲れ様です!
 真新しい高架橋を走る気分は爽快。各駅にはギャラリーが集まり、特別な日であることを感じます。普通の利用者さんも平静を装いつつ(?)、車窓から目を離しません。


 ひとまず高架区間を乗り通し、大橋で下車。西鉄天神大牟田線の新たな歴史が始まったことを実感しました。めでたい!
 切符を買い直し、折り返しの普通電車に乗車しました。北側の切替地点でも最徐行。各列車とも、5分程度の遅れが発生していました。数分の遅れは1週間が過ぎても続いており、スピードアップのダイヤ改正は1ヶ月後くらいでもよかったのでは…?


 この後は行ったり来たりしながら各駅の様子を眺めましたが、ブログでは北から順に紹介していきます。まずは「元」最寄り駅の雑餉隈から。
 昭和の香り漂てった(そこが好きだった)橋上駅舎は、ホームが向き合うシンプルな高架駅に劇的変化を遂げました。ホーム屋根には天井材が張られていて、仕上げのグレードは高いです。


 最新型の発着案内装置も完備。平成ジャンプして、一気に令和の駅になりました。
 天井のモニタは今のところ調整中で、列車の接近案内のみ稼働しています。


 大橋の方向を望みます。ダイヤが乱れているため、列車が団子状になる様子も見られました。


 各駅とも、空調完備の待合室が整備されました。特に平日は10分以上電車の間隔が開くこともあるので、快適に待てる環境はありがたいです。
 窓が全部固定されていて、既存の駅のように、換気ができない構造なのは気になりました。換気扇の能力向上でカバーされているのかな?


 今回高架になった駅のうち、下大利以外は、既存駅の真上に高架駅が設置されました。というわけで高架下の駅舎部分の工事は、これからになります。
 雑餉隈は引き続き、上下線別の仮駅舎を使用。仮ホームを歩いて新ホームに上がるため、改札からの距離は伸びました。生みの苦しみは、当面続きます。


 駅舎の外観も見えてきているものの、仮駅を飲み込んだような姿です。どんな駅になっていくのか、楽しみ。


 12時間前は生きていた、地上の線路と駅。一夜にして切り替わったので、線路はまだ輝きを失っていません。踏切跡から旧駅へカメラを向ける人も、多く見られました。
 「便利になるけど、なんだか寂しい」といった街の声は、地元ニュースでもずいぶん聞かれたものです。


 駅北の筑紫通は、もともと西鉄の上を陸橋で超えていました。高架化工事に伴い臨時の踏切を設置、期間限定の渋滞名所に。工期が伸びたのを最もうらめしく思っていたのは、筑紫通ユーザーかもしれません。
 現段階では、ひとまず仮道のまま踏切が撤去された状態です。まっすぐ道路が引き直されれば、陸橋の頃よりスムーズになるはず。


 こちらは駅南の踏切跡。線路の構造物の撤去はこれからなので、段差はしばらくそのままです。「段差注意」の警告を一夜で描き切るあたり、迅速な仕事ぶりを感じます。


 高架下では、地元主催の開業記念イベントの準備が進んでいました。


 踏切を背景にアーケードが続く、下町風情たっぷりのアーケード商店街は、それほど表情を変えていないように見えました。
 線路が撤去され、スマートな高架駅の全容が姿を現した時には、またイメージが変わるのかな。その程度では変わらない「地力」のある街という気もしますが。
 銀天町は通常、平日の方が人通りが多いのですが、今日は平日をしのぐ人通り。まさにお祭り騒ぎといったところです。


 アーケードが切れているところに、やや、何やらインスタ映えしそうな仕掛けが。がんばっているなぁ。


 でも「せんべろ雑餉隈!」こそ、この街らしい頑張り方なような気もします。12時から、協賛店各店で開催するとか。せんべろでハシゴさせるとは、さすが ざっしょです。
 花畑駅まで自転車で来たことを、激しく後悔しました。


 高架から眺める銀天町、新鮮です。


 さて雑餉隈から南へわずか500mの西鉄バス雑餉隈営業所では、新駅「桜並木」の工事が進んでいます。
 南福岡の駅ビルマンションに住んでいた頃は、結婚前のヨメさん家までのバスに乗るのに、ずいぶんお世話になったバス停です。まさかここに駅ができるとは、当時夢にも思いませんでした。


 駅前になることを見越して、周辺ではマンションの建設ラッシュ。バス営業所も移転して、跡地には西鉄が再開発した新しい街区が生まれます。
 JR南福岡駅へも徒歩数分で、便利な立地。新たな賑わいが生まれていく過程にあります。


 駅の開業は2024年の春が予定されており、すでに駅施設は完成しています。駅名の入っていない駅名版が新鮮。


 駅名の由来ともなっている桜並木は、新駅から南へ200m。高架から眺める桜が、今から楽しみです。


 続く春日原は、今回高架化した4駅の中で唯一の緩急接続ができる駅。2面・4線で、大橋や久留米と見まごう立派な駅になりました。
 「春」のイメージなのか柱が淡いピンク色に塗られ、他の高架駅とはちょっと違う雰囲気に仕上がっています。


 緩急接続は大橋がメインなので、春日原での接続は平日の朝ラッシュ時が中心です。
 待避線に入る列車は休日は少なく、上りホームには午前中にして夜10時の列車が表示されています。


 下りホームに至っては、表示ナシ!


 春日原駅も高架下駅舎の建設はこれからで、エスカレーターも当面使用できません。こんなにきちっと作られた「工事中」の掲示、はじめてみました。


 4箇所に設置されている時刻表が、デジタルサイネージになっているのにビックリ! 関係のない平日ダイヤは表示されず、今の時間帯が拡大表示されているので、分かりやすいです。
 西鉄でも駅張り時刻表が減る中での、意欲的な取り組みに好感。もっとも高架化4駅の中で、設置されているのは春日原のみではありましたが。


 高架下の仮駅舎は通路を組み換え、引き続き使用中。改札からの距離は微妙に伸びており、雑餉隈ほどではないけど不便が続きます。


 仮通路から旧ホームを見下ろしたら、自販機が稼働しててビックリ。誰も買う人おらへんで!
 発着案内も稼働中しており、いずれ どこかの駅に移設されるのかな。大善寺あたりに、どうでしょ?


 駅舎の外壁もピンク色で、美しいです。


 高架駅のグランドオープンは、なんと2年以上も後の令和6年11月を予定しているとか。大変な工事です。
 工事前には西鉄ストアを併設していた駅でもあり、西鉄の稼ぎ頭としてバッチリ整備してほしいもの。「レイリア春日原」と呼べるレベルのものになってほしいな。


 地上線の真上に高架線を組み上げる、直上高架方式が採用された今回の高架区間。用地取得が最小限で済む代わり、地上に列車を通すため、高く幅の広いオーバースペックな高架橋になるのが欠点です。
 消費意欲旺盛な地域だけに、駐車場に留まらず、幅広い活用がなされてほしいです。


 普通電車で下ります。時間はお昼過ぎで、電車も空いている時間帯。先頭車両だけは、親子連れでいっぱいです。


 白木原駅で下車。白亜の高架橋とアーチを描く架線柱が、都会的な風景を演出します。


 敷地に余裕がなかったのか、柱がせり出す部分のホームはかなり狭めです。
 屋根に天井版は張られておらず、波板スレートがむき出し。雑餉隈駅は福岡市、その他の駅は福岡県の施工で、考え方に違いがあるのかもしれません。


 決して安っぽい駅というわけではなく、階段の壁は上品な灰色のタイル。壁のライティングも工夫されており、分譲マンションのような高級感があります。
 駅舎部分は工事中のため、階段は途中から仮設に変わります。


 駅前では子ども向けの開業記念イベントが開催中。家でお留守番させている、我が子の顔がちらりと浮かびました。


 プラレールのイベントも屋外。秋めいてきたとはいえ陽射しの強かったこの日、レールの組立ては汗だくだったんじゃないかな。
 さすが子どもたちは、もろともせずに集中していましたが。


 我が子への罪滅ぼしに、西鉄バスのTシャツを買って帰りました。2,500円也。西〇屋の価格に慣れていると、ないはずの清水の舞台が見えてきます。


 高架の外壁部分はほぼ完成。緑地のモザイクタイルを組み合わせたような、独特で上品なデザインです。


 東側からは全容を見渡せました。普通電車しか止まらない駅にしては、力が入っています。


 仮駅舎は上下線で分かれており、下り線の駅舎が天神側、上り線の駅舎は二日市側に大きくずれています。
 当面は仮駅の状態が続き、乗車の際は時間に余裕が必要。JR大野城駅との徒歩連絡は、下り線駅舎だと少し距離が伸びます。


 さらに1駅下り、下大利駅へ。2面2線の相対式ホームの、急行停車駅です。天井が張られており、白木原駅より少しグレードを上げています。


 駅前ロータリーを見下ろせるようになり、窓から下をのぞく人が多く見られました。


 下大利駅周辺は従来の線路・駅から西へずらして建設されたので、高架下まで含めほぼ完成しています。


 高架下のコンコースも、ほぼ完成形。天井には板が張られ、都会の高架駅ながらぬくもりある雰囲気です。
 沿線の中高生の「書」が、いい味出しています。


 トイレ施設もできあがっており、これから工事の行われる3駅の完成形も うらなうことができそう。


 トイレ内部の内装グレードも高くて、ショッピングセンターのようです。
 多目的トイレは2ブース。それぞれにベビーベッドも付いていて、子連れのお出かけでも安心。フィッティングボードがあれば完璧なんだけど。


 男性用トイレの個室にも、ベビーチェアがあるのはありがたい! 抱っこ紐の時にこれがないと、パパが便意をもよおした時に「詰む」ですたい。


 高架下には、早くも西鉄系スーパーの看板が上がっていました。地元の期待も高そうです。
 従業員募集のサイトによれば、9月上旬にはオープン予定だとか。


 カフェも10月下旬にはオープンだそうです。また遊びに来ねばなりません。


 下大利駅では10時より、開業記念式典が開催されました。時節柄、SPさんの姿があちこちに。


 県知事に福岡市長、沿線各市の市長も集まり、開業を祝いました。
 規模の大きな春日原の方が式典会場として相応しい気もしたけど、あちらの駅前はほぼ工事中の状態。テントを置くスペースもなく、下大利の方が適するという判断に至ったようです。


 式典のテントはその後、イベント会場に早変わり。鉄道模型のレールが組まれ、白木原より やや対象年齢高めのイベントでした。


 9月10日には「まどかマルシェ」と銘打ち、廃線ウォークなどのイベントが予定されています。
 下大利~白木原~春日原間では無料乗車券が配られるとかで、今日のような賑わいがまた見られそうです。


 昨日まで「仮駅」というには、あまりに立派な橋上駅舎が使用されていました。しばらく駅機能が残る他3駅と違い、昨日の終電をもって完全閉鎖になっています。


 駅北には、おそらく今の基準では不適合となるであろう、線路と道路の角度が鋭角な踏切がありました。
 高架化で、自転車や車いすにとっても、ぐっと安全性が増したはず!


 丁寧に、遮断棒もすべて撤去されていました。長い間、お疲れさまでした。


 下大利駅前は、高度経済成長期に公団住まいの通勤客をターゲットに進出した店(たぶん)が並んでいます。
 駅前広場の工事で多くは立ち退きになりましたが、駅前北側には昔ながらの区画が残っています。


 「昭和レトロ」なミニ商店街の背景に令和の高架駅が映る今は、貴重なひとときかもしれません。
 というわけで駆け足で巡った高架化区間。ダイヤの乱れも2週間ほどで落ち着き、天神大牟田線が本領発揮しはじめました。コロナ禍の影響はまだまだ続きそうだけど、立派な施設を活かした攻めの一手に進めるよう期待しています。