夜の間に雪は降り続いたようで、朝起きれば銀世界! 宿で朝ごはんを食べ、朝風呂で温まって暖気を抱え込み、いざ出発。
雪道は北海道で慣れているつもりでしたが、0度を下回らないこの天気では、道がべちょべちょ。歩き難さには閉口です。
とりあえずは米子市内を散策。近代の建築物が散在し、風情ある街並みもあるという米子ですが、足元の悪さから見ることができたのは公会堂と歴史館のみ。暖かい季節か、雪の固まる季節にまた訪れたい街です。
この天気、アーケード街にはかなり助けられましたが、アーケード街そのものはあまり元気がない模様。山陰の商都と呼ばれる米子ですが、現実は大変なようです。
米子からは、新型キハ121系の快適な快速「みなとライナー」で境港へ。警笛を鳴らしながら高速で駅を通過し、普通列車なら40分かかるところをわずか25分で結ぶ、本格的な快速列車です。ただ観光客はすれ違う「鬼太郎列車」シリーズに目を輝かせていて、多少のスピードよりは「鬼太郎」の方が好まれるのかも。
境港駅前から続く「水木しげるロード」は、ゲゲゲの鬼太郎のブロンズ像が並ぶ観光名所。以前は何の変哲もない商店街だったんでしょうが、この寒い天気の中でも多くの人を集めているのだから、全国の「シャッター通り」から見れば何ともうらやましいことと思います。あとで地元の人に聞いてみれば、今日はこれでも少ない人出とのこと。すごいこった!
夢みなとタワーにでも行ってみるかと軽い気持ちでタクシーに乗ってみれば、1,500円もかかる距離でビックリ! タワーの下では福引をやってて、前の人はカニに当選。よし、オレもタクシー代取り返したると意気込みガラガラしてみたら…
カランカランカラ~ン!
「何ですか? カニですか!?」
「おめでとうございます…洗剤です」
タワーから吹雪の港を眺め降りてきましたが、タクシーの姿はなし。こりゃタクシー呼んで貰わなきゃと思い、境港さかなセンターの事務所を訪ねてみれば、
「ああ、それだったらお送りしますよ」
との、ありがたいお言葉。お礼の意味で、実家に送るカニのランクを、1ランクアップにしました。
米子に戻り、さらに元祖振り子特急の「やくも」で出雲へ。2002年の留学出発以来、5年以上ぶりに会う大学の同級生と落ち合い、ジョイフル(笑)で楽しくダベりました。
そのまま車に乗せてもらって、今宵の宿である出雲大社前のユースホステルへ。同室のホステラーともすぐに打ち解け、関西から来て毎年新年はここで迎えているという「大社プロ」氏の誘い&勧めに従い、年越しそばを食べた後すぐ、9時に初詣へ出発しました。
3が日だけ一般参拝が許されるという本殿の前には、すでに初詣を待つ15人ほどの人々が。今年は寒いからか人出は遅いそうですが、後ろにはどんどん参拝者が集まり、すごい行列になっていました。この人数の中で先頭に立っているのですから、気迫に押しつぶされそうです。
11時前には扉が開き、本殿の前へ。足はかじかみ、寒さにこごえつつ新年を待ちます。長い3時間も、過ぎてしまえばあっという間。慣れている大社プロ氏はともかく、若者3人の間には苦行を耐えた連帯感も芽生え、
「なんか、終るのも寂しいッスよね~」
などと言いつつ、年明け! ドン、ドンという太鼓の音と共に扉が開かれ、新年も開きました。なんて印象的な年明け! 生涯忘れることはないでしょう。
はやる気持ちを抑え、順番を待って715円を賽銭。これも大社プロ氏の一説で、
「なんとかご縁がありますように」
という意味だとか。その謙虚さにご利益がありそうで、良縁を祈願しました。
門限の1時が迫っているので、おみくじは明日にしてユースへ戻り、暖を取りつつ、ここで新年を迎えた感動を噛み締めました。