またまたインターネットの恩恵にあずかりました。
「ミュルダール」で検索していたら、藤田菜々子氏(名古屋大学)の「ミュルダールの福祉国家論」という論文に出会いました。
論文調なので、「だれでもわかるミュルダール経済学入門」というわけにはいきませんが、ていねいに読んでいくと、論旨は明快でとても参考になりました。
ここで藤田氏に心から感謝申し上げたいと思います。
みなさんもよかったら読んでみられませんか。
一部だけ、読者のみなさんの参考に引用させていただきます(改行は筆者)。
「1930年代において,ミュルダール夫妻は,スウェーデンの福祉国家形成過程のとりわけ思想面において大きな役割を果たしたことがしばしば指摘される。
当時のスウェーデンでは,出生率低下という人口減少問題が社会問題として深刻に受け止められつつあったが,ミュルダールは妻アルバとともに共著『人口問題の危機』(初版1934年)を出版し,政策論を展開した。
ミュルダール夫妻の基本的主張は,出生率低下の原因は経済的な困難にあるが,それは働く機会があるのに出産のためにはそれをあきらめなければならないというような困難であるということであった。
彼らは,子供を持つことに対する社会経済的困難は取り除かれなければならないという見解に基づき,事後的あるいは対症療法的ではなく,事前的かつ普遍主義的・平等主義的な社会政策としての「予防的(preventive, prophylactic)社会政策」の必要性を訴えた。
そこには理念的にスウェーデンの普遍主義的福祉政策の原型が現れていたと評価される。」
つまり、ミュルダールは、
①「スウェーデンの福祉国家形成過程のとりわけ思想面において大きな役割を果たし」、
②かつ「『予防的社会政策』の必要性を訴え」、
③さらに「そこには理念的にスウェーデンの普遍主義的福祉政策の原型が現れていたと評価される」のだそうで、
どうもそんなことはその世界(経済学界? 福祉学界?)では「しばしば指摘される」ような常識だったようです。
うーむ、残念、私は知りませんでしたが。
「知るを知るとなし、知らずを知らずとなせ、これ知るなり」(孔子)なので、知らないことはこれから勉強して知ることにします。
なんだか、もう一度学生に戻った気分です(この分野については学生も学生、一年生みたいなものですからね)。
しかし、学生ではないので、一言文句を言います。
こんなに翻訳や研究はなされているようなのに、なぜ、市民の耳に届いて、日本の政治の現場に活かされるような〈生きた知〉にならなかったのでしょうね。
そんなことはない、要するに私が知らなかっただけ、なんでしょうかねえ。
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