松島町北小泉地区北西部、山中の細道をゆるやかに下って行くと切通があって、ここで東
へ折れ曲がってさらに下って行くようです。ここで一休みして何気なく周囲を見渡してい
ると、日陰になった道脇の落葉の中に、やや褐色を帯びたアカハナワラビの紅葉を見つけ
ました。この植物は群生する傾向があるので下りながら探してみると、同じような日陰に
20本以上の紅葉した葉を見つけることができました。
撮影時は日陰でしたが、時間帯によっては日が当たる場所のようです。
二枚とも2021.2.12撮影
アカハナワラビは9~10月頃に栄養葉が生え、やや遅れて胞子葉が生えてきます。
栄養葉はきれいな緑色で、胞子葉の胞子嚢はやや光沢のある黄褐色です。
胞子嚢は晩秋から初冬にかけて熟し、胞子を飛ばすと胞子葉は間もなく枯れて、淡褐色の
藁しべのようになってしまいます。
栄養葉は晩秋に向けて少しずつ褐色を帯びていき、厳寒期には紅紫褐色になります。
ただ、環境や株によっては、紅変しないこともあるようです。
仲間のフユノハナワラビも紅葉するものがあるようですが、裂片や鋸歯の先端が丸味を帯
びていることで、鋭鋸歯のアカハナワラビと区別することができます。
2021.2.12撮影
ハナヤスリ科ハナワラビ属の冬緑性羊歯植物で、本州~九州に分布するが西日本では稀。
低山~山地の林縁や山道沿い、社寺境内などの半日陰に自生する。
根茎は短く直立し、葉を一枚出す。担葉体は短く、長さ1.5~6cm。
栄養葉の柄は長さ3~13cm。葉身は3出状の5角形で、幅・長さとも8~15cm、2~3
回羽状に深裂する。裂片は長楕円形から披針形、辺縁は重鋸歯状となる部分があり、鋸歯
は多くが鋭頭で少し内曲する。葉表には脈に沿うように白味を帯びたカスリ模様が入る。
ふつう冬季には草体が著しく紅変する。
胞子葉は栄養葉よりもはるかに長く30~50cmほど、1~2回羽状に裂け、短い枝に直接胞
子嚢をつけるため、円錐花序のように見える。胞子飛散後には枯死する。
胞子の外膜はほぼ平滑。
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