石巻市北上町十三浜地区南西部、国道から分かれて細い林道を上がって行き、道脇の空地に
車を停め置きます。空地は民家跡のようで、山側や上段との法面はブロックで区切られてい
ます。たぶん・・大津波がここまで上がり、建物は全て流されてしまったのでしょう。
林道と見えた細道も、かつては集落道だったのでしょうね。
林道をさらに上がると、西側に岩壁が現れます。硬質の頁岩からなっていますが、風化が進ん
でいて、岩壁下には崩れ落ちた岩屑が積み上がっています。
岩壁は北向きなので日差しが遮られ、また近くを沢が流れているので空中湿度が高く、そん
な環境を好む羊歯植物が、岩壁にも岩屑地にもたくさん生えています。
二枚とも2019.12.24撮影
この辺りには3~4種の羊歯が生えていますが、一番多いのがジュウモンジシダで、岩壁に
は点々と、岩屑地には大小の群落をなしています。この羊歯は沢沿いとか湿った杉林などに
ふつうに生えていて、珍しい羊歯というわけではありませんが、特徴がハッキリしていて識
別しやすいので取り上げました。
葉身の最下羽片だけが左右に長く伸び、上下に伸びる中軸と十文字になっています。
2019.12.24撮影
オシダ科イノデ属の常緑性羊歯植物で、北海道~九州に分布し、草丈は30~50cm。
低山~山地の沢沿いや山裾などの、やや湿気のある林床や岩礫地に自生する。
根茎はやや大きく、斜上して、葉を束生する。
葉は長さ50cm以上になり、草質でやや硬く、光沢はない。
葉柄は葉身よりやや短く、基部の鱗片は淡褐色~褐色、卵状長楕円形で、長さ1cm以上。
葉身は1回羽状複葉だが、最下羽片だけが大きく、さらに羽状に分裂し、葉は十字形の
3出羽状に見える。羽片はやや鎌状に曲がった3角状披針形、鋭尖頭、縁には鋭鋸歯が
あり、基部はくさび形、ほぼ無柄。上部の羽片は小型となる。
胞子嚢群(ソーラス)は小さい点状。苞膜は円形で、早落性。
こちらのジュウモンジシダは秋になると葉が枯れてしまいます。このジュウモンジシダは12月24日にもかかわらず、少しの葉の傷みもなく、こちらの真夏の葉のように生き生きしているのに驚いています。かつて羊蹄山のふもとで傷みがひどいながら、かろうじて緑色をのこしているジュウモンジシダを見たことがあります。こちらの生物の先生のお話ではジュウモンジシダは分類を見直す必要がある聞いたことがありました。このように冬でも青々としているジュウモンジシダを見せていただきましてありがとうございます。もしよろしければこの写真をいただきたいのですが。
新芽が伸びる頃まで鮮やかな緑色を保っています。
写真はコーピーしてご自由にお使いください。崖下でしたので暗い写真になってしまいましたが、明暗等も明るく調整してお使いください。
グミ