盆栽に懸崖という樹形があります。
根の位置よりも幹が下がっていて、断崖にしがみつく古木を表現しているとも言い、
自然の厳しさを現す樹形として愛好されています。
まさにそんな樹形で花を付けている、ツルアジサイを見つけました。
二枚とも2015.7.5撮影
栗原市築館町南東部で、溜池から集落の方へ下っていくと、田畑越しの崖に白い花が
群れ咲いています。初めはアジサイの低木かと思ったのですが、近寄るとツルアジサイの花
のようです。木々を透かして見ると、崖の中段から下垂したツルアジサイが、崖下で陽射し
を得て枝葉を茂らせ、花を咲かせているものと判りました。
普通は木の幹を這い登り、梢で花を咲かせるのですが、この株は逆なんですね。
木の幹の場合、10mくらい這い登らねば陽射しが得られないのに対し、下垂させた
場合は3~4mで陽射しが得られるため、こちらを選んだのでしょう。
2015.7.5撮影
ユキノシタ科アジサイ属の落葉性の蔓性木本で、北海道~九州に分布する。
落葉広葉樹林や松林の林縁、樹木の枯損によって開けた空間に自生する。
茎は気根を出して、樹木や岩壁を這い登る。
葉は対生し、葉身は広卵形で長さは5~12cm、幅3~6cm、先端は小さく尖る。
葉柄は3~8cmと長く、葉質はやや厚め、縁には細かい鋸歯がある。
花期は6~7月で、枝先に直径10~12cmの、両性花と装飾花から成る花序をつける。
中心部の両性花は乳白色で、直径5~6mm、花弁は4枚。
周辺には直径2~4cmのアジサイによく似た、白い4枚の花弁状装飾花を咲かせる。
果実は蒴果で、直径4mmほどの球形。
種子は長さ1.5mmほどの扁平な卵形で、縁には翼がある。
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