文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

米保守が「ESG」拒否する理由…経済と自由が損なわれる…まるで「社会主義」と反発…日本もESG再考の時  

2023年04月19日 11時57分41秒 | 全般

以下は今日の産経新聞「正論」に掲載された杉山大志の論文からである。
彼は最澄が定義した国宝、至上の国宝の一人である。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。

米保守が「ESG」拒否する理由
「ESGは、米国の存立基盤である経済と自由を脅かす。だからフロリダでは誕生させない」 
ESGとは環境(E)、社会 (S)、企業ガバナンス(G)を考慮した投資や事業を行うことだ。
これまで日本では、ESGは今後「世界の潮流」になると喧伝されてきた。
それを真っ向から批判する。 
何と強烈な言葉だろうか。
これを述べたのは誰かといえば、いま最も注目を浴びている政治家であるフロリダ州知事、ロン・デサンティス氏である。
トランプ前大統領に次ぐ人気を誇る、共和党の有力な大統領候補だ。
そのデサンティス氏が強力に反ESG運動を率いている。 

経済と自由が損なわれる 
ESGとは、要は「良い」会社や事業に投資しましょうということなのだが、その「良い」とはいったい何か、それを誰が決めるのか、といった問題が生じる。 
民主党のバイデン政権は、投資アドバイザー、投資ファンド、年金基金、金融機関などに対し、投資に際しESGの視点を織り込むよう、ルールを整えてきた。
例えば労働省は、年金を運用するに際し、ESGを考慮するよう関係機関に求めるようになった。 
これに対し、デサンティス氏は3月16日に「バイデン氏のESG金融詐欺と闘う」という18の州知事との連名での声明を発表した。
名を連ねたのはいずれも共和党の州知事たちである。
いわゆる米国のレッド・ステートだ。 
声明のポイントは2つだ。
第1は経済的なもので、運用の在り方がESGによって歪められ、環境などの目的が優先される結果、国民の利益を損なうことだ。
第2は自由に関わるもので、選挙されたわけでもない高級官僚や金融機関が、自分たちエリー卜好みの特定の価値観に沿った投資を強制するのはおかしい、ということだ。 
米国ではここ数年、民主党政権の下、性的少数派のLGBT、人権・移民問題、銃規制、そして環境などの様々な問題について、左翼リベラル的な価値が相次いで制度化されてきた。
その対象は経済活動にも及び、ESGは最前線で具現するものだった。 

まるで「社会主義」と反発 
だが、かかる動きは「覚醒した資本主義」と揶揄(やゆ)され、まるで社会主義だとして反対が起こった。
伝統的価値を重んじる保守層と軋轢(あつれき)を起こし、党派的な分断が深まった。
デサンティス知事はフロリダ州において州政府のみならず、民間企業の業務からも徹底的にESGを排除するよう、禁止を規定した法案を提出している。
この法案が成立すれば、先の声明に名を連ねた18州も類似の法律を制定してゆくとみられ、影響は大きくなるだろう。 
ESGへの反対にはもう1つの側面がある。
それは州民のお金を預かるほか、州内で事業をしておきながら、ESGを理由に州内の産業に投資をしないことは不適切だ、ということだ。 
これまでも石炭、石油、天然ガスの採掘や、それを燃料にして事業を営む企業が、ESGを理由に投資や融資を受けられなくなり、事業の売却を余儀なくされるといった圧力を受けてきた。 だが米国には化石燃料に関連する産業で潤っている州は多い。
石油、天然ガスの生産量、石炭の埋蔵量も世界一である。
このため共和党は、バイデン政権の進めるグリーンディール(日本で言う脱炭素)や、その推進手段であるESGの強化には強固に反対してきた。 
のみならず、民主党の議員であっても、ウェストバージニア州選出のマンチン上院議員らを筆頭に、化石燃料産業への抑圧には反発がある。 
民主党から造反者が出たため、この3月の初めには、米連邦議会で上下両院とも、「労働省の年金基金運用はESGを考慮する」という規則を否定する決議が通ってしまった。
結局これはバイデン大統領が拒否権を行使したので無効になったが、米国ではいかにESGが不人気なのかよく分かる。 

日本もESG再考の時 
それでは気候変動はどうなるのか、と読者は思われるかもしれない。
実は米共和党は、気候危機説は誇張が過ぎ、極端な脱炭素は不適切だと認識している。
トランプ氏だけが例外なのではなく、デサンティス氏も含めて、共和党の重鎮はみな同じだ。 
さて日本はどうするか。
経済と安全保障の基盤として、化石燃料利用への投資は必須であり、またいま防衛産業の強化も急務だ。
だがESGはこういった産業を投資対象から外す傾向にある。 
しかもこれが国民の意見が全く届かないところで、海外の左翼リベラルによる価値の押し付けという形で決定されてゆく、ということで果たしてよいのだろうか。 
フロリダ州の経済はデサンティス知事の下で絶好調である。
起業が相次ぎ、失業率は低く、世界から投資がなされている。
日本もESG一辺倒をやめ、自らの経済と自由を守るべきではないのか。 

     


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Un alt motiv pentru care Na... | トップ | ワイドショーはテロリストの... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

全般」カテゴリの最新記事