以下は、1/26に発売された月刊誌WiLLに、呪い殺したい 習近平独裁!と題して掲載された、阿古智子 東京大学教授、譚璐美 作家、楊 逸 作家、劉燕子 中国文学者の4人による対談特集からである。
何度も言及するようにWiLLとHanadaは、本物の論文が満載されていながら980円!なのである。
今、世界最高の月刊誌であると言っても全く過言ではない。
本稿は日本国民のみならず世界中の人達が必読。
老若男女、わけても若い人たち全員が必読である。
今、中国で起きている現象を既にして予感させていた箇所もある。
本特集は、キッシンジャーの日本と中国に対する認識、知識がアベコベだった事を完璧に証明している。
或いは民主党の議員や支持者達も同様であることも証明している。
流石に、中国と韓国の反日プロパガンダを振り回して日本を攻撃して来たアレクシス・ダデンの様な人間達が米国でしてきた大きな顔も、随分、小さくなっているはずだが。
先年、ハーバード大学の優秀な学者が慰安婦や徴用工の嘘を糺した論文を発表した時、米国の大学に蔓延っている中国や韓国の代理人の赤い学者達が、彼を攻撃した態様を見れば、日米ともに、まだまだ油断は禁物なのである。
以下は前章の続きである。
見出し以外の文中強調は私。
理念なき日本は何もできない
阿古
恐縮ですが、私には小さなことしかできません。
だから、いろいろな方たちと一緒になってやっていきたいと思っています。
先日、私は台湾に4日間行き、「民主主義への世界のムーブメント」に参加してきました。
この会合は、世界中から活動家、ジャーナリスト、弁護士、学者などが参加して人権侵害や権力乱用の実態を分析し、差別や不正義に立ち向かい、自由と民主主義を発展させるための戦略を議論する場です。
今回の主要なテーマは「中ロなどが中心に展開するデジタル権威主義にどう対抗するか」でした。
とくにいま、ロシアがウクライナに対してフェイクを流している状況で、やはり民主主義国家が団結しなければならないと改めて実感しました。
中口のように自分たちに都合のいいナラティブ(物語)を発信する権威主義国に対して、われわれ民主主義国家はどうカウンターナラティブをつくれるか。
その戦略をつくるには、教育現場やメディア、シンクタンクなどのさまざまな団体で具体的に議論する必要があります。
しかし現状、日本は米国や英国に任せっきりで、白分たちが何を大事にするかという理念が非常に曖昧です。
譚
まったく同感です。
いま、北朝鮮からのミサイル発射が相次いでいますが、日本は「警戒感をもって監視する」ばかりで、毅然とした対応ができていません。
ただ見ているだけでは意味がない。
しっかりとした理念と決断力がなければ、具体的なアクションは起こせません。
阿古
ウイグルや香港などの人権問題に関しても、日本はガイドラインや決議を出しただけで、法律や政策に具体的なものはない。
近年、経済安全保障という概念がいわれていますが、理念がしっかりしていなければ経済優先になってしまい、人権問題に何の影響も与えることはできないでしょう。
人権を中心にすると、必ず企業側が損する部分がありますが、それを覚悟で人権問題に対処するには、やはりしっかりとした理念が必要です。
短期的にはデメリットが大きくても、長期的に見たら中国のような巨大な権威主義国家を育てるデメリットのほうがはるかに大きい。
天安門事件の後、日本は人権を無視して中国と付き合ってしまい、中国は今日のような権威主義国家に成長してしまった。
それをしっかりと反省しなければなりません。
怪物国家・中国を育てた日米
劉
天安門事件のとき、なぜ日本は中国の本質を見抜けなかったのか。
阿古さんがおっしゃるように、今日の怪物国家・中国を育てたのは日本と米国にほかなりません。
譚
問題なのは、日本は中国に莫大な政府開発援助(ODA)を拠出したにもかかわらず、一般の中国人はODAによる支援を受けた事実を知らないことです。
日米が資金を援助し、官民挙げて合弁企業をつくったおかげで世界中の投資が中国に集まり、中国は経済成長したわけですが、中国はそれを忘れている。
中国人たちは中国の経済発展は自分たちの力だと思っている。
だから日本はもっと日本の業績を宣伝するべきですよ。
阿古
実際に私は中国の日本大使館でODAを担当していましたが、日本は箱物ばかりをやっていました。
戦争の贖罪史観の影響で内政干渉を恐れるがあまり、中国政府にカネだけ渡して終わりです。
本来であれば、学校をつくるのであれば、学校で何を教えるのか、先生となる人材をどう育成していくか、そういった中身をセットでつくる必要がありますが、それをほとんどやらなかった。
だから一般の中国人は、日本がODAを出した事実を知らないんです。
譯
日本はずっと同じ過ちを繰り返してきました。
1920年代、世界中が清朝時代に起きた義和団事件の賠償金を中国に返却しましたが、米国は中国に学校をつくり、米国が選んだ学生を入学させ、米国に留学させて博士号を取得させた。
帰国した博士は大学教授になり、「米国には恩義を受けた。米国はすばらしい国だ」と次世代を教育した。
だから次世代も米国はすばらしいと思っています。
しかし日本は中国政府に賠償金の一部を返却し、学生選抜も中国政府に任せて日本へ留学させた。
だから留学生たちは日本の資金だとは知らず、ちっとも日本に恩義を感じない。
また、日本は返却資金の大半で北京と上海に研究機関をつくり、日本人研究者を日本から派遣して、中国人とは関係ないところで中国研究に没頭しました。
そのおかげで胡散臭い研究機関だと思われて排斥された。
同じカネを使うのなら、米国のように活かして効果的に使ったほうがいいに決まっています。
設備や機関に投資するのではなく、人材に投資すべきなのです。
阿古
やはり欧米はキリスト教のベースもあるし、人権感覚がしっかりしています。
しかし、日本は政経分離を意識するがあまり経済だけ良ければいいと考え、中身の人間らしさを育てようとしなかった。
楊
実際に日本のODAの大半は官僚のポケットに入り、日本でビジネスを成功させた中国人の大半はその官僚の親戚・支援関係者です。
阿古
私は実際に担当していたので、その悲しい現実をイヤというほど知っています。
中国人が感謝するにしても、ODAの橋渡しをした日本の政治家が関わっている中国の政治家や役人に対してであり、日本には感謝してくれません。
この稿続く。