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再発信!「お前はウチ(ロッテ)の試合でよう打つから、江夏と当たって調子を落としてこい」と濃人監督はそのまま加藤に打たせた。

2024年09月24日 16時46分24秒 | 全般

巨人に大きな、そして痛い1敗を喫したが… 阪神・岡田監督が球団史上初の『連覇』にこだわる理由、あらためて考えてみた:中日スポーツ・東京中日スポーツ (chunichi.co.jp)
2024年9月24日

コラム「田所龍一の岡田監督『アレやコレ』」
大きな、大きな、そして痛い1敗だ。9月23日の巨人との決戦に敗れ、首位・巨人との差は再び「2」に広がった。大事な試合なのに…。
そのとき、ふと阪急担当記者時代に聞いた上田利治監督の言葉を思い出した。
「試合の大事さはどの試合も同じや。勝てる試合をきっちり勝っていれば、この時期に大事な試合―とはならんのよ」
ここまで阪神は70勝60敗6分け。
その60敗の中に“勝てた試合”はいくつもあったかもしれない。
この日、岡田監督は試合後、記者たちとは話をせずに悔しそうな表情でクラブハウスへ引き揚げた。
《連覇》が遠のいた愚痴をこぼしたくなかったのだろう。
また、ふと思う。
なぜ岡田監督は《連覇》を目標に掲げたのだろう。
前年に優勝しているのだから当たり前―と言われれば当たり前だが、それ以上の“こだわり”があるように思う。
◇            
岡田監督には阪急阪神HD会長の角和夫氏を筆頭に多くの支援者がいる。
プロ野球界では、座右の銘をもらった村山実氏(故人)。
二塁手として蘇らせてくれた吉田義男氏。
「ユニホームを着続けろ」と指導者の道に引っ張ってくれた仰木彰氏(故人)。
そして憧れの選手、江夏豊氏だ。

昭和46(1971)年7月17日、オールスター第1戦(西宮球場)に先発した江夏氏は“前人未到”の9連続奪三振を成し遂げた。
当時、岡田監督13歳。
「その年の前半、江夏さんはあまりええ成績やなかったそうや。それでも投票してくれたファンを喜ばせたい。それで親しい記者に『球宴で誰もやったことのない記録は何や?』と聞いたんや」
岡田監督はこのエピソードが好きだ。
“伝説”はこうだ。
当時、江夏の球宴前の成績は6勝9敗。防御率3・12。
だが、ファン投票1位で選ばれた。
親しい年配の記者が江夏に言った。
「ありがたい―と思うんやったら。投票してくれたファンを喜ばすようなことやってみぃ」
「そやな。けど、オレには三振を取ることしかでけへん」
「それやったら三振取ったらええがな」
「オールスターで誰もやってない三振記録はあるん?」
「9連続奪三振や。大リーグは最長2回やから6連続が最高。けど、それも誰もやった選手はおらん」
「誰もやってない9連続奪三振かぁ、よし、やったる!」

こうして江夏は第1戦のマウンドに上がった。
【1回】①有藤通世(ロッテ)②基満男(西鉄)③長池徳二(阪急)
【2回】④江藤慎一(ロッテ)⑤土井正博(近鉄)⑥東田正義(西鉄)
【3回】⑦阪本敏三(阪急)⑧岡村浩二(阪急)⑨加藤秀司(阪急)
3回、9人目の打者・加藤がボールカウント1-1から一塁ベンチ方向へのファウルを打ち上げた。
打球を追おうとした捕手・田淵幸一に江夏はマウンドから「追うな!」と叫んだ―というお話は有名。
そして加藤を速球で空振り三振。9連続奪三振を達成した。
ちなみに江夏は前年のオールスターでも5連続を含む8個の三振を奪っており、これで14連続奪三振。

実はドラマはこれだけではなかった。
9人目になった加藤は打席に入る前、ベンチの濃人渉監督(ロッテ)に「ボクには絶対に打てませんよ。だから代打を出して下さい! 右打者で凄い選手がまだいっぱいるやないですか」と訴えていた。
このとき加藤は球宴初出場。
ベンチには野村克也、大下剛史、池辺巌ら右の好打者が控えていた。
「お前はウチ(ロッテ)の試合でよう打つから、江夏と当たって調子を落としてこい」と濃人監督はそのまま加藤に打たせた。
「実話やで。信じられんやろ」とは後年の加藤氏の回想。

2回、江夏は全パの先発・米田哲也(阪急)から3ラン。
そして全セは江夏を継いだ渡辺秀武(巨人)―高橋一三(巨人)―水谷寿伸(中日)―小谷正勝(大洋)で計16奪三振、球宴史上初のノーヒット・ノーラン試合を達成したのである。

《連覇》は阪神球団史上初の快挙。《誰もやったことのない》記録。
だからこそ岡田監督はこだわるのである。
まだ5試合残っている。
すべて勝てば、何が起こるか分からない。
“奇跡のドラマ”があるのを信じよう!

 


2024/9/5 in Onomichi

 

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