この鈴鹿明神社では、二柱の神様を御祭神としてお祀りしています。一柱は『伊邪那岐命(いざなぎのみこと)』、もう一柱が今回お話しする『素戔鳴尊(すさのおのみこと)です。
神社の御神輿の一つに描かれた素戔鳴尊。勇ましい御神格で知られます
素戔鳴尊は、八岐大蛇(やまたのおろち)を退治したことで有名な神様なのですが、神話によると、その初めの姿は英雄とはほど遠いものでした。
天照大神(日の神)、月読命(夜の神)の弟として生まれた素戔鳴尊は、父神の伊邪那岐命から海の世界を治めるように言われるのですが、心だけが子供のままで、母神(伊邪那美命。火の神を産んだときに亡くなった)に会いたいと言って役目を果たしません。怒った父神に役目を取り上げられてしまうのですが、素戔鳴尊は「これで母神に会いに行ける」と逆に喜び、挨拶に寄った姉の天照大神のところでは数々の乱暴をはたらきました。ここに至って素戔鳴尊は他の神々から罰を受けることになり、高天原という神々の世界から追放されてしまいます。
追放という形でこの地上に降りてきたといわれている素戔鳴尊ですが、ここで心を入れ替え、以降は勇猛な善神としての成長をみせます。智恵によって八岐大蛇を退治した後は出雲にその居を定め、櫛名田比売という娘を妻として娶り幸せに暮らしたととあり、その後はその力が認められて災いを取り除いてくれる神様として信仰を集めるようになったのです。
素戔鳴尊をお祀りしている神社では特に京都の八坂神社が有名ですが、全国にある八坂神社の大本でもあります。各地で疫病などが流行り出すと競って素戔鳴尊をお祀りしその厄災を祓ってもらおうとしたようです。
当社もこの素戔鳴尊をお祀りしており、通称厄除け明神と言われている由縁でもあるのです。