段々昼の時間が短くなり、冬の寒さが感じられるこの頃になると、境内の落葉樹が一斉に葉を落とし始めます。葉の中では役目を終えた葉緑素が消え、赤や黄の色素だけが残るのでこれを「紅葉」といいます。春に葉が茂っていくのに比べ、やはり散っていく様はより強く季節の変わり目、年の瀬の訪れを感じさせるものです。
さて、近くに目を移すと、この時期の神社に欠かせないのが境内の掃除です。銀杏の葉が黄色い絨毯のように道を埋めるのは雅なものですが、それでも掃除しないわけにはいきません。
元々「修行」というものが無い神社にとって、掃除は心を養う上でも大切なものとされてきました。神社は江戸時代まで国が運営していましたが、
「・・・神社を掃き清め、祭事を潔め斎くこと、国司の一人は専らその掃修の状を検校し、毎年上申すべし」
「・・・社を掃き神を敬うは、禍をとどめ福をいたすためなり」
という通達が度々出ていたように、祭事と掃除は昔から切り離せないものであったようです。お寺でも「一に掃除、二に勤行(修行)、三に説法」というようで、日本人の掃除観を表しているようでもあります。
掃除は汚れてからするもの、と考える方も少なくないと思いますが、掃除をすることはその場所、また自分自身をお祓いすることでもあります。前向きな気持ちで掃除に向かっていきたいものです。